著者
那須 隆 小池 修治 鈴木 豊 伊藤 吏 岡崎 慎一 野田 大介 青柳 優
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.819-824, 2004-09-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
25
被引用文献数
6 4

A 1-year-and-1-month-old boy presented with a wooden foreign body in a right cervical lesion after falling down. The foreign body was the broken tip of a wooden chopstick which was penetrating into his neck. No foreign bodies were reliably detected by plain film. We then used helical CT for the diagnosis of the foreign body. A wooden foreign body, 2.2cm long and 2mm in diameter, like a rod, was shown embedded in his neck by reconstructing 3D images of helical CT. The wooden foreign body was removed through an incision of the neck under general anesthesia.In this case, helical CT was helpful in the diagnosis of a radiolucent wooden foreign body in a cervical lesion.
著者
鈴木 大地 松葉 剛 稲葉 裕 白石 安男
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.415-426, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
44

目的: 近年プールを設置する自治体が増えており, 水泳や水中運動を健康づくり事業に取り入れるケースも増えている. 当研究は水泳や水中運動がどのように住民の生活習慣や健康状態に影響しているかを調べることを目的に行った. 方法: 2004年K市において健康関連イベントおよびこれまで水泳. 水中運動事業に参加している257名を対象に質問紙による調査および血圧, 内臓周囲脂肪, 血液生化学データ (血算, 肝機能, 血清脂質, 血糖) の測定を行った. 結果と考察: 対象者を運動習慣により〈水中運動群〉〈水中運動以外の運動群〉〈運動習慣のない群〉の3群に分け, 心理的要因, 食事, 血液生化学検査を含む身体的要因について分布の差について調べた. 心理的要因については, 健康状態や生活満足度, 幸福感をたずねた質問では良好であるとの回答が水中運動群および水中運動以外の運動群に多く統計学的有意差が認められた (p<0.01). また食習慣的要因では水中運動群および水中運動以外の運動群で〈塩辛い食事〉を好まない傾向が認められた (p<0.05). 血液生化学データのうちHDLコレステロールの値について水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が高値を示した (水中運動群73.2mg/dl, 水中運動以外の運動群63.2mg/dl, 運動習慣のない群63.2mg/dl, いずれもp<0.01). その他, 収縮期血圧において同様に水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が低値を示した (水中運動群73.3mmHg, 水中運動以外の運動群78.1mmHg, 運動習慣のない群79.4mmHg, いずれもP<0.01). また健康な生活に与える影響について他の生活習慣との関わりを知るために, 因果モデルを作成し共分散構造分析にて分析を行った. その結果, 定期的な運動習慣のなかでも水中運動が, 健康な生活との間により強い関連があることが示された.
著者
成田 年 宮竹 真由美 鈴木 雅美 鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.43-48, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
27

依存性薬物に対する精神依存形成時には中枢神経系の可塑的な変化が起きている.近年,中枢神経系における神経伝達効率に対するグリア細胞の重要な役割が認識されるようになった.著者らは数種の依存性薬物のグリア細胞,特にアストロサイトに対する作用に着目し,in vivoおよびin vitroレベルで多角的に検討している.最近,強力な精神依存形成能を有する覚せい剤メタンフェタミンがアストロサイトを直接的かつ持続的に活性化するのに対して,麻薬性鎮痛薬であるモルヒネのアストロサイトへの作用が間接的かつ一過性であることが明らかになった.著者らの一連の研究成果は,メタンフェタミンの強力なアストロサイト活性化作用が,中枢神経系の可塑的な変化を惹起させ得る可能性を示唆するものである.一方,メタンフェタミンのような強力な依存性薬物とモルヒネは本質的に異なるものであり,臨床現場において適切にモルヒネを使用すれば,覚せい剤のように不可逆的な神経変性は形成されないものと考えられる.
著者
鈴木 晃志郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.73-83, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
71

急速に多様化が進むジオパークは,国や地域によってさまざまな性格を帯びつつある.ジオパークの活動を地質学者や自治体関係者が牽引してきた日本では,その応用的な側面の検討に際して,教育的効果が強調され,地域振興との関わりでジオツーリズムが論じられることが多かった.しかし,火山地帯であり地震大国である日本においてジオパークのあり方を考える上で避けて通れないのは,地殻変動によってもたらされるネガティブな事象(災害)との関わりではなかろうか.本論文は,近年観光学で注目されているダークツーリズムの概念を紹介しつつ,ジオパークにおけるダークツーリズムの適用可能性について考察することを目的とする.
著者
大内 誠 鈴木 陽一 岩谷 幸雄
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.348-351, 2017-09-09

著者らは,3次元音響バーチャルリアリティを実現するためのバーチャル聴覚ディスプレイ装置を開発した.この装置は,ヘッドフォンを用いて音場を精密に再現するものであり,そこに音源が存在しないにもかかわらず,聴取者は音源の存在を知覚することができる.視覚から情報を得ることの困難な盲人や強度の弱視者にとって,本装置は今までにないエンタテインメント型情報提示装置になりえることが予想される.著者らはこの装置を応用して,音空間ゲームを開発したので報告する.
著者
廣川 満良 鈴木 彩奈 樋口 観世子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.83-87, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
9

甲状腺癌取扱い規約第7版の細胞診報告様式は,すでに国際基準となっているThe Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology:BSRTCを採用しているが,本邦の状況に合わせて一部改変されている。判定区分は検体不適正,囊胞液,良性,意義不明,濾胞性腫瘍,悪性の疑い,悪性の7区分に分類され,各々に該当する所見および標本・疾患,頻度,精度管理などが記載されている。
著者
鈴木 健
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

伝播投資貨幣(Propagational Investment Currency SYstem:PICSY)は、価値が伝播する貨幣システムである。売り手は現物出資の投資家となるため、すべてが投資の貨幣といってもよい。取引関係の行列から固有ベクトルを求め、その値を個々人が社会に与えた貢献度と解釈し、購買力を与える。Google PageRankの貨幣版ともいえるこのモデルについて紹介する。
著者
ウメルジアンウスマン 中平勝子 鈴木俊哉 植村俊亮 三上喜貴
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013-DD-90, no.5, pp.1-8, 2013-07-19

本論文で扱うウイグル文字は,歴史的にはアラム文字を起源とし,アラム文字から派生したソグド文字を直接の祖先として形成された表音文字である.また,ウイグル文字からは,後にモンゴル文字,満州文字などが派生した.ウイグル文字は,縦書き,横書きいずれの書記方向でも書かれてきた.横書きのウイグル文字は中央アジアの西トルキスタンと東トルキスタン地方に見られる.一方,縦書きのウイグル文字は紀元 8-9 世紀頃にトルファン地方で誕生したと考えられ,西はトルファンから東はモンゴルと甘粛に至る広範囲で使われるようになった.検討にあたって,文献作品クダトクビリグと阿毘達磨倶舎論実義疏には,作成者の署名を表すような様々な図形が登場し,これをすべて符号化しようとすれば数百になる.ここで検討が必要なのは,縦書き用の文字と横書き用の文字を,符号として区別するかどうかという点である.ウイグル文字の単語中での文字の位置によって文字図形が変化する文字の場合,異なる図形ごとに異なる符号を与える方式,図形は異なっても同じ音を意味する場合には同じ符号を与える方式 (符号-グリフ分離方式) とがある.ISO/IEC 10646 では符号-グリフ分離方式が採用されていることから,本設計でも,符号-グリフ分離方式を採用した.筆者らは,このウイグル文字の文字符号を確立することによって,ウイグルの貴重な歴史的文献情報の保存と活用の基盤形成に貢献したいという目的をもって研究を行なっている.本論文ではその研究成果であるウイグル文字古文献に基づくグリフデザインの経験について述べる.
著者
鈴木 崇文 岩見 真吾 竹内 康博
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.473-486, 2008
参考文献数
18

2005年9月中国で実施された家禽の鳥インフルエンザウイルスに対するワクチン接種政策を例に数理モデルを考える.解析の結果,大変興味深いことに,家禽へのワクチン接種率を上げることが,総感染個体数を増加させうることを発見した.つまり,感染個体数を減少させるための家禽に対するワクチン政策が,感染個体数の増加を引き起こしている.本論文では,こういった「ワクチン政策のパラドックス」について詳しく報告する.
著者
鈴木 眞理子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.31-41, 2005-03

In the previous article (Suzuki, 2003), there introduced two high school graduates who had no knowledge on welfare, but started acquiring professional skill and knowledge enthusiastically through their work. We followed how they become qualified as social workers. They learned to gain professional knowledge and more they leveled up more they had incentive. After they became qualified, they still grew up as well-experienced workers. In present two cases, they start from actual workers without much professional knowledge but eventually they acquire national qualification as social workers. That gives them self esteem and high level of profession. In other words, qualification has more meaning than only gaining skill and knowledge. It gives satisfaction to the ones who acquired the qualification and that leads to their self esteem on their work. This has a good effect on the quality of their work because more confident social workers become, they serve better. There is also a fact that qualification changes nothing in what they can do compared with other qualification which legally allows the profession such as lawyers and doctors. However, qualified social workers tend to be proud of their work and skill. The workers brush up their skill and as a result they are accepted as skilled and experienced workers. There are also qualified social workers who graduated from non-welfare department, but happened to start working as social workers. Although they are similar to the workers in previos article, some differences are discussed.
著者
鈴木 美紀 竹内 恵 内山 真一郎 Miki SUZUKI Megumi TAKEUCHI Shinichiro UCHIYAMA
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.84, no.臨時増刊1(医学部神経内科学教室 内山真一郎教授退任記念特別), pp.E73-E79, 2014-01-31
著者
五十嵐 悠紀 五十嵐 健夫 鈴木 宏正
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-58, 2009-01-27
被引用文献数
1

"あみぐるみ"は毛糸を使って作るぬいぐるみであるが,毛糸の編み方によって形状をデザインしていくため,初心者にはデザインすることが困難である.我々は3次元モデリングプロセスにインタラクティブな物理シミュレーションを組み合わせることであみぐるみを効率的にデザインできるモデラーを作成した.本システムは自動で編み目を計算してあみぐるみモデルをシミュレーション結果として提示するため,初心者にでも直感的にデザインでき,編み図も容易に得ることができる.また,初めてあみぐるみに挑戦する初心者でも製作手順を容易に理解できるようにするために,製作手順を視覚的に提示する製作支援インタフェースも備えた.あみぐるみ初心者でも容易にオリジナルなあみぐるみを作成できることを確認したので報告する.
著者
福島 俊彦 鈴木 眞一 早瀬 傑 隈元 謙介
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

小児甲状腺癌手術症例のうち、研究参加の同意が得られた67例について、癌関連遺伝子の解析を行った。BRAFの点突然変異は63%で認められ、K, N, H RASには遺伝子変異を認めなかった。これらの結果は、これまでの日本人成人の結果と同等のものであり、チェルノブイリ事故後の甲状腺癌のものとは異なっている。また、BRAFについては、免疫組織化学的検討も行い、染色性と変異陽性は同等の結果であった。
著者
此枝 史恵 鈴木 重明 西本 祥仁 星野 晴彦 高木 誠
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.373-377, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
17
被引用文献数
23

症例は74歳女性.2014年に進行直腸癌を指摘され直腸離断術を受けたが,残存病変に対する化学療法が副作用のため継続困難となり放射線療法のみで経過観察となっていた.2016年4月に他院で通常より低用量のニボルマブが開始された.ニボルマブの最終投与から約2週間の経過で近位筋優位の筋力低下・筋痛,眼瞼下垂,嚥下障害,呼吸苦が出現した.ニボルマブによる筋炎合併重症筋無力症と考え各種免疫療法を行い症状の改善がみられた.ニボルマブ投与開始から短期間のうちに発症し,従来知られているものとは違い急速に呼吸筋障害をきたすなど重症化する傾向があり,コンサルテーションをうける神経内科医には迅速な対応が求められる.