著者
堀越 和夫 鈴木 創 佐々木 哲朗 川上 和人
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.3-18, 2020-04-23 (Released:2020-05-16)
参考文献数
58

小笠原諸島の絶滅危惧種アカガシラカラスバトColumba janthina nitensの個体数は非常に少なく,その個体群の存続には侵略的外来種であるネコの捕食圧が大きく影響していると考えられていた.このため,諸島内の最大の有人島である父島では,2010年から島内全域でネコの捕獲が行われ,2013年頃にはその個体数が当初の10分の1以下になったと考えられている.また,集落域では飼いネコの登録や不妊去勢の推進が行われ,ノラネコの個体数も減少した.そこで,ネコ対策の効果を明らかにするため,一般からの目撃情報に基づき2009年から2017年におけるアカガシラカラスバトの個体数と分布の推移を明らかにした.その結果,個体数は夏期/冬期,山域/集落域を問わず,2012年から2013年に大幅な増加が見られた.また分布域は2009年には山域や集落の一部に限られていたが,2017年には集落域の8割および山域の6割まで拡大し,繁殖域は当初の分布面積の2倍に拡大した.これら個体数の増加,分布域と繁殖域の拡大時期は,山域でのネコ個体数が最少となり,また集落域の野外の個体数も減少した時期であった.一方,2014年以後はハト個体数の増加傾向が見られなくなっているが,この時期は山域のネコの個体数が回復傾向にある時期と重なっていた.以上のことから,アカガシラカラスバトの集団の回復にはネコ対策が効果的であると言え,今後トラップシャイ個体の効率的な捕獲手法を開発する必要がある.また,この鳥は頻繁に島間移動するため,他島での対策も進める必要がある.
著者
鈴木 美穂
出版者
西洋比較演劇研究会
雑誌
西洋比較演劇研究 (ISSN:13472720)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.108-119, 2014-03-31 (Released:2014-04-03)

This paper discusses Caryl Churchill’s Top Girls by focusing on the portrayal of Angie, who is regarded by critics as a comparatively minor character. As symbolically exhibited in the confrontational relationship between Marlene and Joyce, a binary opposition functions as the dominant structure of the play. Marlene, one of the leading characters, is bent on boosting her already successful career and espouses Margaret Thatcher’s monetarist policies. Appearing in almost every scene, she seems to be at the heart of the play, and her presence reinforces various dichotomies, such as winner/loser and centre/margin. Her sister Joyce, a working-class single mother, does not accept Marlene’s point of view. However, Angie, who has been raised by Joyce but is actually Marlene’s sixteen-year-old daughter, has the potential to decentralise Marlene’s position and subvert the rigid binary opposition. First, Angie demonstrates the possibility of fluidising binary relationships at various levels. In Act II scene 2, she and her friend Kit are crammed into a small shelter. Their interdependent relationship is shown through the representation of their bodies, as when Kit shows her menstrual blood to Angie on her finger, and Angie licks it. These representations also symbolize the variable relationship between the inner and outer parts of the body. In that scene, Angie is geographically and socially in the most marginalised position in relation to the centre, London, where Marlene lives. However, Angie decides to visit London because she believes that Marlene is her birth mother. In this manner, Angie is able to break up the rigid relationship between the two. Second, the unrealistic dinner party in the first scene can be thought of as Angie’s dream, which also overthrows Marlene’s centrality within the play. Although the party is held to celebrate Marlene’s promotion, her position is gradually decentralised as guests talk about their painful experiences in childbirth and separation. The separation between mother and child suggests a strong connection to Angie’s search for her biological mother. During the dinner party, verbal language gradually recedes as the characters’ bodies come to the fore. These processes are symbolically represented by the portrayal of the female pope, Joan, whose vomiting in the final scene evokes the story of her horrible childbirth. These images also imply the plasticity of the relationship between the inner and outer parts of the body, as suggested by Angie’s bodily representation in the shelter scene. Thus, Angie implodes the various boundaries and decentralises Marlene’s position in Top Girls.
著者
井尻 朋人 白井 孝尚 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.4-11, 2021 (Released:2021-12-25)
参考文献数
11

It is known that the patients with shoulder disorder have scapular dyskinesia in shoulder motion, and there are many variations in scapular dyskinesia. Scapular movement is a consequence of the movements in the sternoclavicular and acromioclavicular joints. Therefore, we have to assess and focus on the functional impairment instead of the phenomenon. In this article, the perspectives of determining a functional impairment from the patient’s motion are presented.
著者
高見 武志 松田 俊樹 三馬 孝明 中道 哲朗 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.65-70, 2011 (Released:2012-01-06)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Sometimes, when improving the range of motion or muscle strength of the shoulder joint, we fail to obtain sufficient therapeutic effects in subjects who have difficulty in raising their arms up along the spine from a position in which the arms are at the back (belt-tying movement). In many such cases, scapular motion is inadequate or different from the normal motion during belt-tying movement. On the other hand, we have experienced several cases in which the scapula moved more smoothly and belt-tying movement was improved by strengthening the scapular muscles using exercise therapy. This study aimed to elucidate the muscle activity pattern of scapular muscles during the belt-tying movement. We found that the upper trapezius muscle fibers elevate the scapula and middle trapezius muscle fibers maintain scapula adduction; and the lower trapezius muscle fibers and the serratus anterior muscle were considered to regulate anterior inclination of the scapula at T12 and lower vertebrae. Patients experiencing difficulty in belt-tying movement should receive a quantitative and qualitative assessment of the timing of movement of the trapezius muscle fibers and the serratus anterior muscle after gaining an understanding of the stage in which the patient starts to feel difficulty in movement.
著者
渡辺 哲生 鈴木 正志
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.345-352, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
2

昭和58年10月から平成16年3月まで当科で入院加療した扁桃周囲膿瘍209例の細菌検査について検討した.187例 (89%) から351株の細菌が検出された.約半数の症例が混合感染で, 約70%の症例から好気性菌, 約40%の症例から嫌気性菌, 約20%の症例から両者が検出された.好気性菌は227株で, S.pyogenes, S.milleri groupが, 嫌気性菌は124株で, Prevotella属, Fusobacterium属が多くみられた.薬剤感受性検査の結果をNCCLSの基準からみると扁桃周囲膿瘍においては耐性菌の問題はなかったが, セフェム系抗菌薬に感受性の低いS.milleri groupの増加, クリンダマイシンに対する耐性菌がみられたので抗菌薬の使用に注意を要すると考えた.
著者
笹川 智子 金井 嘉宏 村中 泰子 鈴木 伸一 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.87-98, 2004-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
30

本研究の目的は、日本版Fear of Negative Evaluation Scale(FNE;石川ら,1992)の短縮版を作成し、その測定精度を項目反応理論(IRT)の観点から評価することであった。項目数を削減することによる情報量の損失を、段階反応モデルを用いることで補い、12項目五件法の尺度を構成した。テスト情報関数の形状から、作成された短縮版は幅広い尺度値レベルで安定した測定精度を保つことが示された。特に特性値の高い被検者に対しては30項目二件法の原版よりも有効性が高く、Leary(1983)のBrief Fear of Negative Evaluation Scale(BFNE)との比較においてもすぐれた測定上の特徴をもつものであった。また、簡便なスクリーニングテストとしての有用性や、他の尺度との併用など、臨床・研究場面への応用可能性が論じられた。
著者
土屋 賢治 松本 かおり 金山 尚裕 鈴木 勝昭 中村 和彦 松崎 秀夫 辻井 正次 武井 教使 宮地 泰士 伊東 宏晃
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

背景と目的自閉症スペクトラム障害(ASD)の危険因子として父親の高年齢が指摘されている。今年度の本研究では、父親の高年齢が児の認知発達にどのような影響を与えるかについて、本研究では、父親の年齢という非遺伝的要因の発症への寄与を、関連因子の評価を交えて、prospectiveおよびretrospective二つの方向を交えた疫学的探索的研究を行った。方法(1)Retrospective研究:自閉症・アスペルガー障害または特定不能の広汎性発達障害(ASD)と診断され総IQが70以上の84名(5~27歳、女性14名)、精神科診断を持たない208名(5~34歳,女性104名)から、臨床情報を取得するとともに、母子手帳を通じて両親の生年月日を確認し、出生時の父親・母親の年齢とASD診断との統計学的関連をロジスティック回帰分析を用いて検討した。(2)Prospective研究:浜松医科大学医学部附属病院産婦人科(静岡県浜松市東区)および加藤産婦人科(静岡県浜松市浜北区)の2病院を2007年11月19日より2009年7月1日までに妊婦検診を目的に受診し、研究への参加の同意が得られた全妊婦780名と、その妊婦より出生した児809名を対象とした。この児を最長3年3ヶ月追跡し、Mullen Scales of Early Learningを用いて、運動発達および認知発達(視覚受容、微細運動、受容言語、表出言語)を3~4ケ月ごとに繰り返し測定した。また、父親の年齢と関連する生物学的要因として、生殖補助医療に関するデータを収集し、関連を解析した。結果とまとめ(1)出生時の父親の年齢が高いほど、児のASD診断のリスクが高いことが示された。母親の年齢には同様の関連は見られなかった。出生時の父親の年齢とASD診断のリスクとの関連の強さは、母親の年齢や出生順位、性別、自身の年齢を考慮に入れても変わらなかった。(2)粗大運動、視覚受容、微細運動、表出言語の発達、発達指標の到達、ASD疑い診断に、出生時の父親の年齢は統計学的に有意な関連をしていなかった。しかし、生殖補助医療の有無(なし、IVF、ICSI)は、いずれの発達変数においても、なし-IVF-ICSIの順に発達が遅れる傾向が認められた。欠損値に対する配慮からStructural equation modelingによって解析を進めたが、サンプル数の限界のため、父親の年齢と生殖補助医療の交互作用については言及できなかった。結論父親の年齢とASD発症リスクの生物学的基盤としての生殖補助医療の関与を確定することはできなかった。しかし、その可能性が示唆されるデータが一部から得られた。
著者
平野 幹雄 鈴木 徹 長谷川 武弘 野口 和人
出版者
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
雑誌
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.7, pp.69-76, 2012-06

筆者らは、高機能自閉症児およびアスペルガー症候群の子どもを対象とした放課後支援を通じての、社会性発達支援をおこなってきた。今回は、三年間の取り組みを通じて対象児の社会性にどのような変化が生じたのかについて報告した。対象児は高機能自閉症あるいはアスペルガー症候群児5名であった。鉄道に関するブログの運営、定例会の開催を通じて支援を行ってきた結果、ブログ上では、自分の撮影した列車の説明に加えて、撮影時の状況や心情の説明もできるようになってきた。また、例会でも、大学教員やボランティアなどの発言に耳を傾ける姿が見られるようになってきた。以上のような変化には、自他の発言を振り返ることの出来る仕組みと、リスペクトできる他者からそうした振り返りを行うことを長期間促されてきたことが関係しているものと推察された。
著者
鈴木 和明 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会年次大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.93-94, 2005

ゲーム機の解像度や色数の制限のために,効果的な画像表現が創意工夫されてきた.このような分野の低解像度画像をドット絵と呼ぶ.ドット絵は,熟練したドッターと呼ばれる人々によって手作業で描かれてきた.ドット絵作成には膨大な時間がかかる.この手間とゲーム機の高性能化を背景に,映像の3D 化が進んでいる.しかし,低解像度のディスプレイにおいては,ドット絵は効果的な表現方法である.本研究では,写真やイラストからドット絵を自動的に生成するために,描画手法を分析する.そして輪郭線描画手法を提案する.
著者
白井 康大 中村 知史 鈴木 麻美 大坂 友美子 大西 健太郎 栗原 顕 小野 裕一 澤田 三紀 清水 茂雄 大友 建一郎 坂本 保己 磯部 光章 内藤 滋人
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_61-S3_64, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
5

症例は32歳, 男性. 感冒様症状後の下腿浮腫を主訴に前医を受診し, 胸部X線上心拡大と肺うっ血を認め心エコーにてEF 18%と著明な低心機能を認めた. 冠動脈に有意狭窄は認めず, 生検の結果心筋炎の診断にてアンジオテンシンII受容体遮断薬 (ARB), β遮断薬, 利尿薬を投与され, 心不全は改善し退院後当院を紹介受診した. 初診時EFは25%, ホルター心電図にて非持続性心室類拍 (NSVT) を認めたが, β遮断薬増量にて1年後の心エコーではEF 71%まで改善を認めた. ホルター心電図にて不整脈は認めず, 加算平均心電図, T波オルタナンス検査はともに正常であった. ARB, β遮断薬のみ継続し外来フォローしていた. 心筋炎発症から2年後, 出張先の米国にて妻と電話中突然倒れ心肺停止となり救急隊の蘇生にても心拍再開せず永眠された. 急性心筋炎に伴う低心機能, 不整脈に関して著明な改善を認めるも, 遠隔期に心臓性と考えられる突然死をきたした1例を経験したので報告する.
著者
鈴木 千晶 藤崎 賢二 渥美 雄介 竹村 実紀 水野 孝一 永峯 岳樹 天野 智康 山本 英雄 高橋 護
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.273-281, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

The purpose of this study is to measure the hemodynamics on the effect of Valsalva maneuver aiming at pulmonary thromboembolism (PTE) using 2-dimensional (2D) phase contrast imaging of magnetic resonance image (MRI), Philips Ingenia 3.0-tesla (T). The maximal inspiration reduced the blood flow rate in various degrees at all measurement positions, superior vena cava (SVC), inferior vena cava (IVC), pulmonary artery (PA), ascending aorta (AA), and descending aorta (DA). This result suggests that the contrast effect in the PA might become weak during general PA phase to give a substantial influence of Valsalva maneuver in the condition after maximum inspiration. A contrast-enhanced computed tomography (CT) examination aiming at detection for PTE should be scanned without an advance maximum inspiration.
著者
古川 聡 鈴木 豪 緒方 克彦 大島 博 村井 正 村上 敬司 鈴木 健之 阿部 高志 佐藤 勝
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

本研究では、同意を得た被験者(一度に8人)に2週間、JAXAの閉鎖環境適応訓練設備内に居住してもらい、閉鎖環境に加え密なスケジュールでの模擬科学実験などの負荷を宇宙飛行想定で加え、それらの前中後における唾液や血液サンプルの変化を調べ、閉鎖ストレスによるダメージを客観的に評価できる新規ストレスマーカーを探索した。閉鎖設備実験モデルに特徴的な血中遺伝子発現パターンの変化を明らかにし、また閉鎖滞在に伴うストレスを身体活動量低下とそれ以外の要因による影響に分けて評価することを可能にするストレスマーカー遺伝子候補を絞り込むことができた。
著者
木本 義明 港 洋平 稲本 林 紅林 真理絵 高柳 駿也 鈴木 雄一郎 石井 鈴人 根岸 良充 小野 公平 瀧田 麻衣子 村元 喬 大圃 研
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.42-44, 2021-06-25 (Released:2021-07-10)
参考文献数
2

In this study, we investigated Clear-Through® (Kewpie, Tokyo) with increased volume type.50 patients each were enrolled in group A (Clear-Through® with increased volume type), group B (Clear-Through® with normal type) and group C (no test diet). Quality of colon cleansing in each colon was higher in both groups A and B than in group C. The quality was significantly higher (p<0.05), but there was no difference between the A/B groups. On the other hand, in the A/B group, 70/62% of patients reported that each diet tasted "good" and 76/46% of patients reported that the amount of each diet was "moderate".Clear-Through® with increased volume type could have higher patient acceptance while maintaining colon cleansing.
著者
市倉 加奈子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.79-88, 2020-05-31 (Released:2020-10-23)
参考文献数
33

身体疾患患者は、それぞれの疾患に特有な問題を抱えている。たとえば、がん患者は診断や余命の告知が衝撃や絶望をもたらす。心疾患や糖尿病患者はセルフケアや長期療養に伴う苦痛が大きい。これらの心理社会的問題や苦痛の改善に、認知行動療法(Cognitive behavioral therapy: CBT)が有用であることが先行研究で明らかにされてきた。がんのCBTは、認知療法、行動活性化療法、問題解決療法、マインドフルネス認知療法などで構成される。一方で心疾患や糖尿病のCBTは認知療法、生活習慣改善を目指す行動療法が用いられることが多い。チーム医療において、上記の身体疾患患者に対するCBTを適用していくために、公認心理師の役割や行動コンサルテーションなどのCBT活用方法について議論する必要がある。今後はさらにエビデンスを蓄積し、身体疾患患者に広く心理的支援が提供されることが求められている。
著者
鈴木 彌生子
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アジア太平洋地域における食品トレーサビリティシステムの構築を目的とした国際連合食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)の技術協力プロジェクト(RAS5062およびRAS5081)の協力を得て、素性の明確な米試料を各国から収集し、安定同位体比および無機元素組成を明らかにすることで産地判別の可能性を検証した。軽元素(炭素・窒素・酸素および硫黄)・重元素(ストロンチウム)の安定同位体比および18元素の濃度を組み合わせることで、アジア各国の米の産地判別の可能性が示唆された。
著者
江頭 和道 鈴木 尊志 阿部 和彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.65-70, 1986-10-15 (Released:2010-10-13)
参考文献数
10
被引用文献数
3

Seasonal variation of suicidal deaths in Japan for 1900-41 and 1947-82 was studied. As suicide seasonality index, we used the sum of deviations of the monthly suicidal rates from the annual average, which was normalized to 100. The long-term trend of the suicide seasonality was negatively correlated to the logarithm of the per capita GNP. The correlation coefficient between them was -0.83 for men and -0.88 for women, respectively (p<0.001) . Elimination of the effect of GNP on suicide seasonality by using the regression line of the latter on the former lead to the “corrected” suicide seasonality. The short-term fluctuations of five-year moving averages of the corrected suicide seasonality resembled to those of annual hours of sunshine. The correlation coefficient between them was 0.69 for men and 0.64 for women, respectively (p< 0.001) . The corrected suicide seasonality was similarly correlated to the sunshine seasonality, and the correlation coefficient between them (each, five-year moving averages) was 0.51 for men and 0.41 for women, respectively (p<0.001) . Although these values are smaller than those obtained for the correlation of the corrected suicide seasonality to the annual hours of sunshine, the differences are not significant. One possible explanation is that annual hours of sunshine and/or sunshine seasonality influence the suicide seasonality and that the two sunshine factors are proportional to each other. With a moving average period more than three years, we obtained significant correlation coefficient between the corrected suicide seasonality and annual hours of sunshine. We discussed the limitation of this study and proposed future studies on the association of suicide with sunshine.
著者
太田 富雄 和賀 志郎 半田 肇 斉藤 勇 馬杉 則彦 竹内 一夫 鈴木 二郎 高久 晃
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科研究会講演集 (ISSN:03878031)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.61-68, 1975-06-06 (Released:2012-10-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Disturbance of consciousness in acute stage, so far, has been classified by using a set of technical terms such as coma, stupor, somnolence, confusion and so on. However, the definition of such terms has a different nuance from one clinic to another, and this made the comparison of the data on the same topics incomplete and incorrect. Because of this, it is true in most neurosurgical clinics in Japan that the severity of the disturbance of consciousness has long been described with grades of the responsiveness to different stimuli laden to the patients.In order to obtain an universal classification on this matter, possibility ef quantitative and qualitative gradings has been searched by means of combining the following three factors; arousal, responsiveness to mechanical and verbal stimuli, and the contents of consciousness. Table shows our proposal of quantitative and partially qualitative grading of the disturbance of consciousness in acute stage. Deep coma, coma and semicoma in the contemporary usage belong to grade III in our classification; stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, and drowsiness belong to grade II, and delirium, confusion, and senselessness belong to grade I.Features of this new grading of the disturbance of consciousness in acute stage have been discussed.Table: New grading of level of consciousness in acute stage (So-ocalled 3-3-9 formula) Grade III. The patient is unable to be arousen with any forceful mechanical stimulus, and(300) 3. is not responsive at all except for change of respiratory rhythm,(200) 2. is responsive with slight movements including decerebrate response, or(100) 1. is responsive with combative oropurposeful movements. Grade II. The patient is able to be arousen with mechanical or verbal stimuli, and(30) 3. is barely arousen with repeated mechanical stimuli,(20) 2. is arousen with loud voice or shaking shoulders, or(10) 1. is arousen easily with usual voice. Grade I. The patient is awake without any stimulus, and(3) 3. is quite senseless and cannot tell even his own name or date of birth,(2) 2. is disorientated to time, place, and person, or(1) 1. is seemingly alert but not fully so. “R” and“Inc” are added to the grading in case of restlessness and incontinence.
著者
野口 翔平 玉置 昌孝 中道 哲朗 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.618-626, 2017-08-18 (Released:2017-10-03)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

目的:立位での一側下肢への側方体重移動における腰背筋群・足部周囲筋の役割を解明する目的で,側方移動中の姿勢変化と腰背筋群・足部周囲筋の筋活動パターンを検討した.方法:対象は健常男性24名(24.3±2.6歳).直立位から2秒間で側方移動させ,そのときの足底圧中心(COP)と両側多裂筋・腸肋筋・最長筋,移動側足部内反筋群・腓骨筋群の筋電図波形,ビデオ画像を計測した.結果:骨盤は水平移動した後,COPの移動側変位途中から非移動側挙上を生じた.下肢では側方移動に伴い移動側足部回内による下腿の外側傾斜を生じた.このとき,COPが移動側へ変位する途中から非移動側多裂筋・腸肋筋・最長筋,移動側足部内反筋群・腓骨筋群の筋活動が増加した.結論:非移動側多裂筋・腸肋筋・最長筋は骨盤非移動側挙上に対する胸腰部非移動側側屈に関与した.このとき,足部内反筋群・腓骨筋群は足底接地した状態での足部回内に関与した.