著者
仲林 裕司 山田 悟 酒井 平祐 鈴木 亮一
出版者
一般社団法人 産業応用工学会
雑誌
産業応用工学会論文誌 (ISSN:2189373X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.153-159, 2021 (Released:2021-09-15)
参考文献数
29

Wastewater monitoring is necessary to preserve the quality of water in publicly water bodies. In particular, the presence of colored pollutants in wastewater inhibits the photosynthesis of seaweed, and therefore requires adequate treatment for its removal. We developed a surface-enhanced Raman scattering (SERS) sensor for the detection of color-polluted water. Silver particles on a quartz substrate were grown via mist chemical vapor deposition; this substrate was built into the sensor to enhance its Raman-scattering signals. Aqueous solutions colored with a single dye were detected at concentrations as low as the ppb level, and the intensity of their SERS spectra decreased with the dye concentration. Additionally, we evaluated the performance of the SERS sensor using mixed dyes dissolved in river-water, making assumptions suited to practical occurrences results demonstrated that our sensor depicts the molecular features of each dye in the river-water sample, clearly detecting them at concentrations as low as the ppb level. Therefore, this study proved that SERS can be applied in an environmental spectroscopic sensor.
著者
今田 純雄 鈴木 千尋
出版者
広島修道大学
雑誌
広島修大論集. 人文編 (ISSN:03875873)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.285-302, 2000-03-10

People differ widely in their reasons for drinking. This article reports on the development of a six-factor measure that assesses four enhancement and two suppression motives for alcohol drinking in adult male drinkers. Apart from the three traditionally accepted motives-social, coping and enhancement-sensory/cognitive pleasures were evaluated as further motives for the use of alcohol. Also, two distinctly different motives were shown to explain the suppression of the wish to drink. Comparison of undergraduate students with male adults showed different patterns of the motivational bases of alcohol use across two groups. Young people tend to drink for social and enhancement motives, although male adults use alcohol to cope with negative emotion and to gain sensory/cognitive pleasure. Data gained from female students suggests the sex difference as the causative factor in their suppression of drinking, when compared with males. These findings indicate the importance of taking into account these different motives to explain drinking behavior in natural settings.
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1268, 2012

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる"尿意がない"状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、"尿意がある"状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、"尿意がない"状態と"尿意がある"状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点"尿意なし"と、強い尿意を感じる時点"尿意あり"における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS"8"となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは"0"を「尿意なし」とし、"10"を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は"尿意なし・右"平均120.1±6.1cm、"尿意なし・左"117.8±7.9cm、"尿意あり・右"109.7±9.3cm、"尿意あり・左"108.9±9.6cmとなり、"尿意あり"で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、"尿意あり"の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 "尿意なし"と"尿意あり"の時点における運動機能、注意機能の比較では、"尿意あり"の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、"尿意あり"の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS"8"の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と"尿意なし"と"尿意あり"で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 "尿意なし"と"尿意あり"の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように"尿意あり"の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。

3 0 0 0 OA 理研酒に就て

著者
鈴木,梅太郎
出版者
大阪釀造學會
雑誌
釀造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, 1927-12-15
著者
仲村 秀子 尾島 俊之 中村 美詠子 鈴木 孝太 山縣 然太朗 橋本 修二
出版者
東海公衆衛生学会
雑誌
東海公衆衛生雑誌 (ISSN:2187736X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-75, 2013-07-20 (Released:2018-12-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的 2011年に発生した東日本大震災前後の岩手県・宮城県・福島県の出生率・男児出生割合・低出生体重児割合の変化を明らかにすることである。方法 2007年から2011年の人口動態統計を用いて,全国,岩手県,宮城県,福島県における各年の出生数・出生率,男児出生割合,低出生体重児数と割合の推移を,それぞれの変化率を用いて検討した。出生数・出生率は男女を合わせた総数を,低出生体重児数と割合は,総数と男女別の検討を行った。次に,2007年から2010年を合わせた出生率,男児出生割合,低出生体重児割合と2011年のものと比較し,χ2検定を行った(有意水準を5%)。結果 2007年から2011年にかけて全国,岩手県,宮城県,福島県の出生数と出生率は,概ね低下していた。2007年から2010年を合わせた出生率と2011年との比較では,全国,岩手県,宮城県,福島県いずれも2011年は有意に低下していた。男児出生割合は,2007年から2011年にかけて全国は緩やかに減少していた。岩手県は52.26%から50.44%に年々減少し,宮城県,福島県は50.78%から51.91%の間を増減しながら全体としては横ばいであった。2007年から2010年を合わせた男児出生割合と2011年との比較では全国と岩手県は有意に減少していた。低出生体重児割合は,2007年から2011年にかけて総数では,全国は安定していたが,岩手県・福島県は年によって増減しながら,ほぼ横ばいであった。宮城県は概ね上昇していた。男女別にみると,男児は2007年から2011年にかけて,全国は8.50%前後を推移したが,岩手県,宮城県,福島県は増減を繰り返し,ほぼ横ばいであった。福島県は他県と比較して増減の幅が大きかった。女児は全国では10.70%前後を推移したが,宮城県は概ね上昇していた。岩手県,福島県は増減を繰り返しながら横ばいであった。2007年~2010年を合わせた低出生体重児割合と2011年との比較では,宮城県の女児は10.02%から11.04%へと有意に増加し,福島県の男児は8.25%から7.56%へと有意に減少していた。結論 東日本大震災が起こった2011年の全国・岩手県・宮城県・福島県の出生率は2007年から2010年と比較して有意に低下し,男児出生割合は全国と岩手県で有意に減少していた。低出生体重児割合は,宮城県の女児で有意に増加し,福島県の男児で有意に減少していた。今後,より詳細な分析が必要である。
著者
光崎 龍子 坂口 和子 光崎 研一 高木 敬彦 森 真弓 鈴木 啓子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.330-333, 1999-11-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

ドクダミ茶加工の採取時期としては,一般に花のような白い総ほうが終わる頃が適していると言われている。そこで,ドクダミの成長期を「萌芽期」,「結実期」,「本葉期」と名付け,この3期と,結実期の「葉部」,「花部」の2種類の無機成分含有量を分析した。さらに,採取時期の意義を,相関分析,主成分分析法により解析を試みた。1.ドクダミの無機成分は,カリウムがもっとも多く,カルシウム,マグネシウム,鉄,マンガン,亜鉛は成長とともに増加し、銅は複相単為生殖後の花部に多い。2.カリウムとカルシウムは6:1,マンガンとマグネシウムは80:1ほどの比率で増加し,カルシウム・カリウムと銅では反比例する関係があり,花部,本葉期に認められる。3.主成分分析では第1主成分に,カルシウム,マグネシウム,カリウム,マンガンと銅が抽出され、ドクダミの無機成分を構成する主な成分と複相単為性生殖により増加する成分と考えられ,第2主成分の鉄,亜鉛は複相単為生殖に深く関与する成分と考えられる。4.成長期別の主成分分析法では,2次元布置図から花部の特異性が推測ができる。5.以上のことから,経験的にいわれているドクダミ採取時期は総ほうの終わる頃がよいとされるが、3成長期と花部、葉部に分けることにより明確にできた。ゆえに,昨今の食生活に派生する味覚異常や高齢者の無機成分摂取不足などの改善には,手軽に日常的な飲用が望ましい薬用植物と考えられる。
著者
鈴木 禄彌
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.233-266, 2005-03-18
著者
鈴木 健司 SUZUKI Kenji
出版者
京都
雑誌
総合文化研究所紀要 = Bulletin of Institute for Interdisciplinary Studies of Culture Doshisha Women’s College of Liberal Arts (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.142-157, 2021-07-29

This essay provides an overview of Canadian nation-building, deals with the British and Canadian regulations on nationality and citizenship, and examines how they affected each other. The process of Canada’s independence is sometimes referred to as “evolution,” in contrast to the American “Revolution.” Starting from British colonies, Canada achieved independence in stages, gradually separating from Britain: promotion to a Dominion, autonomous diplomacy, the British Commonwealth of Nations, and the patriation of the constitutional law from London. The same applies to Canadian nationality and citizenship. The origin of the concepts lies in the status of the British subject, inherited by the common law. Then, critical points came with the following regulations: (1) the British Naturalization Act of 1870, which finished up the traditional nationality system, defining the British subject based on the common law, (2) a series of Canadian laws from the 1910s to the 1920s on immigration, naturalization, and nationality, referring to Canadian citizenship and nationality for the first time, with the British Nationality and Status of Aliens Act 1914, which provided the common code over the status of the British subject, (3) the Canadian Citizenship Act 1946, which radically changed the relations between the concepts of British subject and Canadian citizenship, followed by the British Nationality Act 1948, which introduced a new classification of the British subject.
著者
中村 元保 加藤 晶人 井上 元 鈴木 恵輔 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.407-410, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
7

症例は89歳の女性。身長147cm, 体重43kgと小柄で慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD) の既往歴がある。1カ月前から呼吸困難を自覚していた。朝に呼吸困難が増強したためにツロブテロールテープ2mgを1枚胸部に貼付したが, 症状改善ないために夕方に2枚目を胸部に追加貼付した。追加貼付2時間後から動悸, 嘔気を自覚したために救急要請した。救急隊到着時は意識レベルJCS1であったが, 嘔吐が出現し意識レベルJCS100まで低下し当院へ救急搬送された。搬送時意識障害は改善傾向であり, 胸部に貼付されていたツロブテロールテープ2枚を剝離したところ動悸と嘔気が消失した。臨床症状よりツロブテロールテープによる中毒症状が疑われた。貼付薬は容易に自己調整できるが, 高齢者や乳幼児など管理能力に問題がある場合や, 低体重の症例では使用方法に注意が必要となる。また, 救急対応の際には全身観察での貼付薬の有無の確認も必要となってくる。
著者
安池 慎治 鈴木 裕一
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
日本地下水学会会誌 (ISSN:00290602)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.163-171, 1986 (Released:2012-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
2

The Kanto Loam is a deposit of the volcanic ash, and is widely distributed in the Kanto district. The purpose of this paper is to clarify the effects of tube-like macropores on hydraulic conductivities and on its anisotropy of the Kanto Loam. The permeability tester developed for this study was used to measure the anisotropy of conductivities. By using this device, it is possible to obtain the conductivities of two directions (vertical and horizontal) in one sample, simultaneously. Undisturbed soil samples for this measurements were taken at the outcrop in Kawasaki city in every 1 meters height. As a result, the following conclusions are obtaind.1. The hydralic conductivities of the layer with many tube-like macropores is much larger than that of layer with few macropores. The magnitude of the difference is 10 times in horizontal direction and 100 times in vertical.2. The anisotropy of the hydraulic conductivity is also much influenced by the effects of tube-like macropores. Without tube-like macropores, the ratios of Kv (vertical hydraulic conductivity) to Kh (horizontal one) range from 1.0 to 1.5, while with macropores, the ratios of Kv to Kh range from 3.0 to 20.
著者
鈴木 普 佐藤 匡
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.71-75, 1966

ロースハムの日本農林規格における採点基準の具体的数値を把握するため,都内のJAS認定工場33社より56点の製品を採取し,断面の形態に対して,断面の径,面積,周囲長などについて測定し,つぎのような平均数値を得た。<BR>(1) 断面の円形は,長径8.04±0.16cm,短径7.36±0.67cmで,短径が比較的変化するやや扁平な円が多い。また長径,短径の方向は,脂肪層や結着面とはとくに関係がなかった。<BR>(2) 断面積は47.96±2.01cmcm<SUP>2</SUP>,筋肉面積は30.29±1.72cmcm<SUP>2</SUP>,脂肪面積は17.56±1.37cmcm<SUP>2</SUP>で,脂肪面積の変異係数が25.51%で,筋肉面積の変異係数の20.50%よりも大きく,断面からみて製品は脂肪量のばらつきの大きいことがわかる。<BR>(3) 断面における筋肉面積の割合いは63.36±2.49%であり,ロースの芯の周囲をおおう脂肪層の厚さは0.670~1.070cmぐらいである。<BR>(4) 断面の形態より採取試料56点中,明らかに肩ロースのラックスハムと思われるものが17点もあるのは,切断部位が5-6胸椎間のものより,2-3胸椎間のものが多いためと思われる。<BR>(5) 脂肪が肉の表面をなめらかにおおっているのは,周囲長と,脂肪と筋肉の接触面の長さの比が0.987±0.113ぐらいで,比が1.833と大きいものは脂肪面積も45%と大きく,比が0.593と小さいものは,脂肪が筋肉中まで入って,結着を悪くする原因を作っているようである。
著者
小嶋 雅代 酒々井 眞澄 鈴木 匡 坡下 真大 早野 順一郎 村上 里奈 山本 美由紀 浅井 清文 浅井 大策 石川 大貴 木村 侑樹 明石 惠子 赤津 裕康 大原 弘隆 川出 義浩 木村 和哲
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.221-235, 2019

<p>背景 : 医療系学生による高齢者家庭訪問実習の初年度の教育効果の検証.</p><p>方法 : 実習に参加した医学部3年生5名, 高齢者5名によるフォーカスグループインタビューを基に自記式調査用紙を作成し, 医学部3年生, 高齢者の全参加者に調査協力を依頼した.</p><p>結果 : 学生84人と高齢者30人が協力に同意した. 学生の74%が「高齢者の暮らしぶりが分かった」と回答し, 高齢者の57%が「良い変化があった」と回答した. 93%の高齢者が本実習に満足だったのに対し, 学生の肯定的な意見は半数であった.</p><p>考察 : 学生が本実習に積極的に取り組むためには, 各自が明確な訪問への目的意識を持てるよう, 入念な事前準備の必要性が示された.</p>
著者
伊坂 淳一 佐藤 宗子 鈴木 宏子 安部 朋世
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.39-58, 2018-03

[要約] 小学校教員養成教育における国語科の教科内容(教科の専門的事項)は,その根拠となる教育職員免許法及び同施行規則等の関連項目と,実際に小学校で行われる学習内容を規定した学習指導要領の指導事項との間に整合性を欠いているために,一定の共通理解が得られているとは必ずしもいえないのが現状である。学習指導要領の指導事項も学習者の能力の到達目標として記述されているために,国語科の授業者に求められる資質・能力が明確にされているとはいいがたい。結果として,教員養成段階の小学校国語科の内容を扱う,いわゆる教科専門科目が教養主義に傾いてきたことも否めない。本稿は小学校の国語科授業を担う授業者に対する教員養成教育として,教材研究や授業づくりの前段階として求められる実践的な資質・能力をどう捉えたらよいかを課題とする。おおまかには,実際の国語科授業で行われる学習の内容や活動を授業者自身が行うことができることであると仮定し,そこから逆算して3領域1事項に関わる42項目を提言するものである。なお,この提言は千葉大学教育学部国語教育講座に所属する,いわゆる教科専門教育科目を担当する教員4名による討議を経た共同研究・共同著作である。
著者
一林 亮 鈴木 銀河 山本 咲 中道 嘉 渡辺 雅之 本多 満
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.559-563, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
17

目的:われわれは気管挿管下に人工呼吸管理を行った80歳以上の高齢者の予後に影響する因子を調査し,人工呼吸管理の是非を検討した。対象および方法:3年間で当院救命救急センターに現場から直接搬送され,気管挿管された80歳以上の患者95例を対象とした。診療録より日常生活動作,認知症の有無,APACHEⅡスコア,アルブミン値,28日間のventilator free day(VFD)などを後方視的に検討した。結果:患者95例のうち生存群55例,死亡群40例であり,多重ロジスティック回帰分析の結果,アルブミン値がオッズ比2.28869 で生存および28日間VFDに影響していた。結論:高齢者治療において人工呼吸管理をする場合,血中アルブミン値も参考に各施設でリスク・予後を評価する必要があると考えられる。