著者
関 光
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1)植物トリテルペン配糖体の生合成/構造多様化の過程において重要な役割を果たしている糖転移酵素(UGT)を単離し、機能を解析するとともに、各種トリテルペノイドアグリコンをインビボ生産する組換え酵母においてUGTを共発現することにより、「組換え酵母における多様なトリテルペン配糖体のインビボ生産」の実行可能性を検証することを目的とした。平成25年度内に、酵母内在の2,3-オキシドスクアレンから4-エピ-ヘデラゲニンを生産するように改変した組換え酵母に、さらにタルウマゴヤシUGT73F3遺伝子を導入することで、酵母内在の糖供与体(UDP-グルコース)を利用して4-エピ-ヘデラゲニンの28位配糖体をインビボ生産する酵母の作出に成功した。平成26年度は、同システムを利用して様々なトリテルペン配糖体を生産することを目指して、新規のトリテルペン配糖体生合成関連UGTの単離を進めた。その結果、マメ科カンゾウからグリチルレチン酸の3位および30位それぞれにグルコースを転移することが強く示唆される新規UGTを同定した。同時に、酵母が生産する糖供与体のバリエーションを増やすことを目的として、UDP-グルコースをUDP-グルクロン酸に変換するUDP-グルコースデヒドロゲナーゼの候補遺伝子をカンゾウから6種単離し機能解析を行ったところ、4種について酵母内在のUDP-グルコースを基質としてUDP-グルクロン酸を生成する活性を認めた。今後、研究代表者らがこれまでに既に作出している各種トリテルペノイド生産酵母に平成26年度内に単離した新規UGTおよびUDP-グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することで、組換え酵母での各種トリテルペン配糖体の生成が可能であると考えられる。
著者
島谷 康司 関矢 寛史 田中 美吏 長谷川 正哉 沖 貞明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.105-109, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
24

〔目的〕本研究の目的は,発達障害児の障害物回避の見積もり能力を明らかにすることであった。〔方法〕対象は5~6歳の発達障害児と健常児,各9名とした。視覚弁別課題として,7.0 m離れた位置から異なる高さの2本のバーの高低を比較させた。また,接触回避を見積もる課題として,異なる高さのバーを1本ずつ呈示し,かがみ込むことなしに,身体を接触させずに通り抜けることができるかどうかを回答させた。〔結果〕視覚弁別課題では発達障害児の正答数は9.22±.63回,健常児は9.78±.42回であり,有意な差は見られなかった。見積もり課題では,発達障害児の正答数は7.78±.67回,健常児は8.56±.73回であり,発達障害児の正答数が有意に少なかった。〔結語〕発達障害児は身長とバーとの相互関係からバーへの接触回避を見積もる能力が劣っていたために,障害物に接触する頻度が高いのではないかと考えられた。
著者
岡本 慶大 寺田 直美 赤藤 倫久 岡本 裕子 関谷 勇司 河合 栄治 藤川 和利 砂原 秀樹
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2011-IOT-12, no.30, pp.1-6, 2011-02-21

インターネットにおける大規模コンテンツ配信では,突発的なアクセス増加によりリソースの不足が起こると,大幅に配信品質が低下してしまう.この問題に対して,クラウドから計算機資源を一時借用し,品質低下を防ぐという解決法が考えられる.本論文では,全国高等学校野球選手権大会のインターネット中継において実施した,クラウドを利用した大規模コンテンツ配信実験について報告する.
著者
関 隆 有澤 正義 二河田 雅信 寺西 貴英 古谷 正敬 持丸 文雄
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-28, 1999-01-01
参考文献数
15

羊水細胞より抽出したDNAを用いて胎児RhD血液型の診断を試みた. RhD陰性(RhD(-))妊婦12例およびRhD陽性(RhD(+))妊婦30例より超音波ガイド下に羊水5mlを採取した. また妊婦血液5mlを採取し, それぞれ核酸抽出剤SepaGeneを用いてDNA抽出を行った. PCRを行うにあたり次の四つのプライマーを作成した. RhCE遺伝子とRhD遺伝子に共通した136 base pair(bp)のPCR産物を得るためA1(5'-TGTGTTGTAACCGAGT-3'), A2(5'-ACATGCCATTGCCG-3')を合成し, またRhD遺伝子に特異的な186bpのPCR産物を得るためA3(5'-TAAGCAAAAGCATCCAA-3'), A4(5'-ATGGTGAGATTCTCCT-3')を合成した. PCRは25μlの反応系で35回のサイクルを行った. PCR産物は3%アガロースゲルで電気泳動を行い解析した. RhD(+)血液試料では136bpと186bpの複バンドが検出され, RhD(-)血液試料では136bpのみの単バンドが検出された. 羊水細胞による分析では136bpと186bpの両者が検出された症例をRhD(+)胎児, 一方136bpのみが検出された症例をRhD(-)胎児と判定した. その結果40例がRhD(+)胎児, 2例がRhD(-)胎児で判定不能な症例はなかった. またすべての症例において, 羊水細胞によるDNA判定は臍帯血による血清学的判定と完全に一致した. 以上より羊水細胞による胎児RhD血液型のDNA診断は信頼性が高く臨床応用への道が開かれた.
著者
関沢 明彦 市塚 清健 松岡 隆
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

正常妊娠の末梢血を採取し、胎児由来の遺伝子としてY染色体特異的なマーカーであるDYS14遺伝子を標的にして、その妊娠経過に伴う変化を標準化した。この結果を元に、胎児DNA濃度をMultiples of Median (MoM)値に変換し、妊娠週数による違いを補正した上で各種病態における胎児DNA濃度の変化について比較できるようなシステムが整った。RhD血液型診断に関し、研究期間中にRhD陰性の症例は合計で25例に過ぎなかった。RhD遺伝子exon7を標的とする遺伝子診断を行い、25例全例で正確な胎児診断が可能であった。このことから、この方法は、既に確立された方法であり、精度向上を図る必要性がない思われた。超音波診断で極端な下肢の短縮を認めた症例が9例あり、その症例の妊婦血漿を採取した。また、同時に分娩時の膀帯血も採取した。その症例にFGF-R3の遺伝子についてAchondroplasia、Thanatophoric Dysplasiaなどの原因遺伝子を直接シークエンス法で検討した。しかし、9例全例で遺伝子異常は検出されず、新しい診断には結びつかなかった。次に、妊娠高血圧症候群での胎児DNA濃度の変化及びそれを用いた妊娠高血圧症候群の予知についてであるが、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)では、胎児DNA濃度が上昇することが分った。また、蛋白尿と高血圧の臨床症状の程度と胎児DNA濃度を比較検討した結果、胎児DNA濃度は、蛋白尿及び高血圧とは独立した因子であり、蛋白尿に比較し、高血圧により強く相関していることが分った。また、それらの症状の重症化に伴ってその濃度も上昇することが示され、妊娠合併症の病態把握にも優れたマーカーになると考えられた。
著者
尾関 一将 水藤 弘吏 桜井 伸二 浦田 達也
出版者
大阪体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

競泳スタート時におけるスタート台に作用する力を手部,足部それぞれ独立して測定し,評価する方法を確立することができた.大学生以上の男子および女子競泳選手において新しいスタート台を用いたキックスタートを用いることの優位性が明らかとなった.また,女子一流競泳短距離選手のキックスタートの特徴として,高い跳び出し水平速度の獲得よりもブロックタイムを短縮するためにスタート姿勢の身体重心位置を前方向にして構えていることを報告した.これらのスタート開始時の構えにおいて,スタート構え時の前方向の脚における等尺性最大脚筋力が大きいほど,跳び出し水平速度が高く,5m通過時間が有意に短かったことが明らかとなった.
著者
関如来 (巌二郎) 編
出版者
文禄堂
巻号頁・発行日
1900
著者
小関 勇気 園田 潤 昆 太一 佐藤 源之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.131, pp.37-42, 2011-07-07
参考文献数
26
被引用文献数
7

地中レーダGPRの順・逆問題シミュレーションには,FDTD (Finite-Difference Time-Domain)法が広く用いられるが,計算時間が増大する問題がある.計算時間の問題が解決できれば,シミュレーションによるリアルタイム地中構造推定などが可能になり,GPRの精度向上が期待できる.近年のGPU (Graphics Processing Unit)の高性能化に伴い,GPUによるFDTD法の高速化の研究が行われている.GPUを用いることでCPUに対し数十倍高速に計算できるとの報告もあり,GPRシミュレーションの高速化にも有効な手法であると考えられる.そこで本論文では,GPU実装によりFDTD法によるGPRシミュレーションの高速化を検討する.本論文では,FDTD法のGPU実装における共有メモリやキャッシュの効果と,Mur一次吸収境界条件付きFDTD法のGPU実装における高速化について議論し,二次元および三次元GPRシミュレーションのGPU実装による高速化について示している.
著者
望月 谷州子 加藤 宣弘 関戸 一紀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.191-192, 1992-09-28

従来、ビジネス分野におけるデータの管理では、ネットワークデータベース(NDB)が多く使用されてきた。NDBはデータ構造が、そのまま物理的状態に対応するところが多く、データ操作が手続き的であり、ユーザにとって使いにくい面が多い。それに対して、リレーショナルデータベース(RDB)は、データの独立性、モデルのわかりやすさ、データ操作の非手続き性などで、NDBに勝っているが、これまで、性能面でNDBに及ばないとされてきた。しかし、近年、RDBの性能が向上し、ビジネス分野でも用途を限定して利用する傾向にある。そのため、既にNDBで構築されたDBをRDBに移植する検討も行なわれている。NDBからRDBへのスキーマ変換は、移植後のアプリケーションの生産性、メンテナンスの容易性、移植後の拡張性などに優れた方式を採用する必要がある。一方、移植による性能低下にも十分配慮する必要がある。本稿では、2つのスキーマ変換方式による、変換後のスキーマ構造と実アプリケーションによる性能評価から、より移植に適したスキーマ変換方式を示す。
著者
事崎 由佳 竹内 光 関口 敦 品田 貴光 山本 悠貴 高橋 慶 荒木 剛 瀧 靖之 荻野 武 木口 雅史 川島 隆太
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

デイリーハッスルズは日常生活上の小さな苛立ちであり、健康に悪い影響を与えることが知られている。我々は、脳血流と心拍数の生体情報を1chNIRSで視覚的にフィードバックし、自身の生理的状態を制御する訓練によってストレス反応が軽減されるか否か検討した。その結果、統制群と比べ介入群において右眼窩前頭前野と左海馬の灰白質量の増加、陰性気分、抑うつ傾向、職業ストレス、唾液中コルチゾール濃度の低下が見られた。
著者
小関 勇気 園田 潤 金澤 靖 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J96-C, no.6, pp.151-155, 2013-06-01

これまで,室内モデル等によるFDTD解析が行われているが,解析結果の現実的かつ三次元可視化の高速化に課題があった.本論文では,SfMシステムにより構築した実環境モデルと,データ転送量を削減したマルチGPUによるFDTD法を組み合わせ,実環境下における三次元ポインティングベクトル分布の高速可視化を実現する.
著者
前田 顕之 大関 悟 有地 榮一郎 出雲 俊之 大鶴 洋 岡部 貞夫 小村 健 川辺 良一 桐田 忠昭 草間 幹夫 迫田 隅男 佐々木 朗 篠原 正徳 田中 陽一 中村 太保 野口 誠 又賀 泉 山城 正司
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 = Journal of Japan Society for Oral Tumors (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-175, 2007-09-15
被引用文献数
1 1

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。<BR>有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。<BR>手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。<BR>一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。
著者
小川 幸男 関田 清司 梅村 隆志 斎藤 実 小野 敦 川崎 靖 内田 雄幸 松島 裕子 井上 達 菅野 純
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8-18, 2004-02-25 (Released:2009-01-21)
参考文献数
29
被引用文献数
4 11

雌雄のWistarラットに,0.00, 0.01, 0.10および1.00%の割合でギムネマ・シルベスタ葉の抽出粉末(GS)を基礎飼料に添加した餌を52週間与えた.試験期間中,GS投与に関連する動物の死亡はなく,体重,摂餌量,血液学,血液生化学および病理組織学的検査における変化は認められなかった.52週間のGS 1.00% 添加飼料(一日平均摂取量,雄504 mg/kg/day, 雌563 mg/kg/day)の摂取量は,ラットにおいて毒性変化の認められない用量(NOAEL)であると推論した.
著者
久野 靖 佐藤 直樹 鈴木 友峰 中村 秀男 二瓶 勝敏 明石 修 関 啓一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.966-974, 1988-10

高性能個人用計算機向けOSを,データ抽象機能を持つ言語CLUを用いて開発した.本システムの基本設計は1985年秋に開始され,現在NEC PC-98XA/XL計算機上で中核部分(記憶域管理,プロセス管理,モジュール管理),ファイルシステム,CLUコンパイラ,ウィンドシステム,ネットワークモジュールおよびいくつかの応用プログラムが動作している.本システムは単一言語系の考え方を採用することにより,コンパクトで見通しのよいシステムにできた.またCLU言語のデータ抽象機能は,モジュール間の独立性を高め,分かりやすく構造化されたシステムとする上で効果があった.