著者
朱 雲飛 高橋 幸司
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1_25-1_35, 2014 (Released:2015-01-26)
参考文献数
16

日本政府は2008年に新たに「留学生30万人計画」を発表し,海外の優秀な人材を高等教育機関に受け入れようと大きく動き始めた.しかしながら,近年,留学生人数の減少や質の低下等についての懸念が増えてきた.これは日本の留学生受入れ制度が戦後から根本的に変わっていないことに加え,国際的な人材獲得競争が激化しているため,留学生の視点から見ると,日本への留学は他国と比べて,その魅力が弱くなっていることが大きな原因の一つであると考えられる. 本稿では,まず留学生の視点から日本の高等教育機関に留学するための準備段階における取引構造を解明し,現存の日本の留学生受入れ制度の問題点を指摘する.次に,山形大学の産学連携による海外学級制度の試みを例として,如何に日本留学のための準備段階にかかる期間を短縮し,コストを節約するか,取引を再デザインする.
著者
高橋 幸裕
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-19, 2016-03-31

少子高齢社会、少産多死社会となった我が国において社会福祉政策の位置づけが揺らいでいる。介護保険制度の浸透も併せて介護サービスの需要は高まり、ニーズも多様化している。しかし、戦後整備されてきた高齢者福祉政策と日本人の死生観とはズレが生じはじめている。どこで死を迎えるのか、どこで死が迎えられるのかという理想と現実に乖離が生じているのである。その結果、多様化するニーズは従来の健康で生き続けるという福祉的充実だけでなく、死まで包括するようになってきた。しかしながら、それは十分なものではない。介護サービスの充実や体制の構築を進めていくのはもちろんのこと、法や政策においても死を包括した枠組みの構築をすることが必要である。福祉国家として成熟していくには、各個人がより良く死ぬというQOD(クオリティオブデス)がどこまで高められるのかということも念頭に置かねばならないが、社会的成熟も含めてまだまだ十分な議論と社会的合意が形成していく必要がある。今後、少なくとも死を包括した形での政策的展開を進めていくことが必要である。これを実現した時こそ、福祉国家として新しいモデルを提示することができるのではないだろうか。
著者
光山 秀行 中岡 孝剛 高橋 幸造
出版者
日本バレーボール学会
雑誌
バレーボール研究 (ISSN:13449524)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-6, 2019 (Released:2021-08-11)

Many studies have been conducted to explore the factors that determine a performance of the individual player or team in the volleyball, and they have found that some specific motions for the individual player or team have an influence on their performance. However, there is a shortage of empirical analysis on the determinants of match results, it has not been clarified yet. This study applies an econometric method and empirically examines the determinants of match results using a sample of Men's Matches in Kansai University Volleyball Federation from 2014 to 2017. The result shows that the average number of the block is the most important factor to win the match.
著者
久保田 均 久永 直見 高橋 幸雄 佐々木 毅
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

建築業従事者の職業性難聴について、三重県建設労働組合の男性組合員を対象に難聴の原因として考えられる各種有害因子へのばく露、或いは複合ばく露との関連を探る目的で調査研究を実施した。また聴覚に関して、従来の質問紙調査による自覚的聴覚と定期健診時の聴力検査結果(客観的聴覚)との関連を明らかにするための調査も行った。騒音ばく露に振動ばく露が加わると難聴発症のリスクが増幅、そこへ有機溶剤ばく露が加わることでリスクは更に増幅することがわかった。一方、難聴自覚症有り群となし群で、健診時聴力検査の有所見率に差があるか否かの検定を行ったところ、難聴自覚症無し群でも客観的聴覚の有所見率が高まる傾向がみられた。
著者
中村 國衛 野元 けい子 大沢 俊彦 高橋 幸男 秋葉 光雄 柿本 紀博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.307-316, 1994-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3
被引用文献数
2

有機ゲルマニウム化合物,とくにBis(2-carboxyethylgermanium)trioxide[(GeCH2CH2COOH)2O3,Ge-132],Bis(2-amino-2-carboxy-1-phenylethylgermanium)trioxide[GeCHPhCH(NH2)COOH2O3,Ge-373],Bis(2-amino-2-carboxyethylgermanium)trioxide[GeCH2CH(NH2)COOH]2O3,Ge385]の生理活性をinvitroモデル実験系および実験動物(糖尿病ラット)に投与して検討した.Ge-373は,DNAを断片化する作用を示した.この事実から,有機ゲルマニウム化合物が糖に対して特殊な作用を発揮するのではないかと考え,MaiUard反応(non-enzymaticamino-carbonylreaction)における効果の検討を行った.種々アミン酸とリボースを混合しAmadori転移およびAdvancedGlycationEndproducts(AGE)の生成を測定する実験系に,Ge-132またはGe-385を加え,AGE形成を蛍光分光光度計により測定した.有機ゲルマニウム化合物は,Amadori転移産物の形成は阻害しなかったが,AGEの形成を抑制した.とくにGe-385は,いったんできたAGEを可逆的に減少させる作用を発揮した.Streptozotocin(STZ)により誘発した糖尿病ラットにGe-132またはGe-385を100mg/kg/d経口投与し,糖尿病合併症に対する効果を観察した.Glycatedalbumin,fructosamineの低下,レンズ混濁の低下が観察された.糖と有機ゲルマニウム化合物,とくにGe-132との相互作用の様子をNuclearMagneticResonance(NMR)を用いて解析した.Ge-132は糖の1および2位のヒドロキシル基と反応し,糖一有機ゲルマニウム複合体を形成することが判明した.この反応がAmadori転移以降の反応を阻害し,AGEの可逆的可溶化を誘導する化学分子論的機序であろうと考えられる.
著者
小野 浩明 高橋 幸利
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.58-60, 2010 (Released:2016-05-11)
参考文献数
10

インフルエンザ脳症では情動異常や行動異常などの側頭葉辺縁系症状が前駆症状として出現することがある. しかし, インフルエンザ罹患に伴う辺縁系脳炎自体の報告例は稀である. 今回, インフルエンザ感染を契機に情動障害, 異常行動を呈した12歳女児例を経験した. 症状が遷延したためステロイドパルス療法を施行し, 以後軽快した. 頭部MRIでは異常を認めなかったが, 脳血流検査において側頭葉辺縁系の血流増加と髄液中抗グルタミン酸受容体抗体陽性を示したことから本例を辺縁系脳炎と診断した. インフルエンザで異常行動が遷延する場合は辺縁系脳炎の可能性も考慮し, 自己抗体の検索, ステロイドを含めた治療法の選択を検討するべきかと思われた.
著者
高橋 幸子 山本 賢司 松浦 信典 伊賀 富栄 志水 哲雄 白倉 克之
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.167-175, 1999-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

音楽聴取が情動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために実験を行った.被験者は健康な女子大学生31名.セッションは, 安静保持と検者が選択した音楽と被験者が選択した好みの音楽(どちらも落ち着くことを目的として選択された)を用いた.情動変化を測定するために心理テストProfille of Mood States(POMS)を用い, その絶果を解析した.短時間の音楽聴取により, POMSの「活気」以外の各因子において, 明らかに一時的な情動変化が観察された.その変化は音楽のジャンルに関係なく, 一貫したパターンを示した.これらの結果から, 音楽聴取はホメオスタティックな情動変化を起こしていることが考えられた.
著者
高橋 幸司 高畑 保之 今井 敏彦 志斎 金一
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 = Kagaku kogaku ronbunshu (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.479-482, 2011-11-20
被引用文献数
1

持続可能な開発が望まれている近年,バイオマスエネルギーはカーボンニュートラルであるため環境負荷が少なく,注目を集めている.その中で最も実社会への普及が進んでいるのがBDF(バイオディーゼル燃料)であろう.BDFは植物油を原料として製造され,廃棄の面倒な廃食油からも製造可能である.加えて軽油に比べ硫黄酸化物の排出が少なく,環境に優しい.このようにさまざまなメリットを有することからも,より一層の利用の拡大が望まれている.日本では近年小型のBDF製造装置が開発され,企業だけではなく自治体や学校,福祉介護施設などで導入され,BDFがその団体のバスやトラック,公用車などに使用されている.しかしながら市販されている装置は液体混合に基づいた最適化が成されているとはいえず,操作性が悪いことに加え価格が高く,普及のための大きな障害となっている.<br>本研究ではBDF製造工程に配慮して装置を見直し,すでに市販されているものよりも高性能な装置の開発を目的に種々の検討を加えた.実験結果よりBDF製造においては円錐底円筒槽よりも四角錐底角型槽の方が撹拌状態において有効であることを明らかにし,このことにより操作時間の大幅な軽減と,装置の小型化に成功し,低価格の実現を可能とした.さらに,本研究成果に基づきBDF製造装置を開発し市販するに至った.
著者
二宮 隆次 小野 浩幸 高橋 幸司 野田 博行
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.93-104, 2016 (Released:2016-07-07)

本研究では、産学官連携の現場の諸活動について、大量の質的(定性的)データを基に計量的分析を実施し、可視化した情報として提供することを試みた。具体的には、日経産業新聞の連載記事「ベンチャー仕掛け人」を、テキストマイニング手法「KH Coder」を用いて分析した。その結果、①大学の共同研究センター等を中心とした産学官連携活動、②インキュベート施設を中核とした活動、③資金に関するベンチャーキャピタルや金融機関を中心とした活動、のそれぞれの活動において、出現する言葉に特徴があることが明らかになった。また、特徴的な3つのグループにプロットされた語から特定語を選択して共起分析した結果、①の「産学」による分析では、研究、開発、技術および連携の4つ語が強く共起関係を結び、加えてそれぞれの語がほかの関連語とネットワークを結び、産学官連携の活動パターンを形成していることが確認できた。②の「施設」と「入居」による分析では、主たる活動は起業、事業を育成することであることが見て取れた。施設と入居の語の共起分析から、施設には入居タイプと入居がないものがあり、入居は技術、経営の語の共起関係が比較的高く、施設は、地域、開発および相談が高いことがわかった。③の「上場」と「ファンド」による分析では、起業・研究フェーズでの事業の元手となる出資やベンチャーキャピタル、実用化・会社設立フェーズでのファンド・株式、事業経営の維持・拡大フェーズでの銀行等金融機関の融資などが共起していることが確認された。以上のことから、本研究は、産学連携活動を効率的、かつ、効果的に実施するうえで重要な情報を提供しうるものと考えられる。
著者
近藤 昌和 安本 信哉 秋吉 佑樹 高橋 幸則
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.87-101,

Morphological and cytochemical characteristics of neutrophil in Carangid fishes, jackmackerel(Trachurus japonicus), greater amberjack(Seriola dumerili)and yellowtail amberjack(S. lalandi), were examined by light microscopy. Three types of granules, eosinophilic granule(αG), chromophobic granule(βG)and basophilic granule(γG)were observed in the neutrophils of these fish species. Multiple Romanowsky-type stain valuation revealed that αGs of these fish species were stained eosinophilic with May-Gr?nwald(MG), but not with Giemsa. Eosinophilic stain of the αG was disappeared by Giemsa after MG. The βGs were unstained by Romanowsky-type stain and peroxidase-positive. The γG of greater amberjack and yellowtail amberjack were stained light blue with Giemsa, but unstained with MG. On the other hand, the γGs of jack-mackerel were stained not only with Giemsa, but also with MG.
著者
加藤 大樹 高橋 絢子 松本 大和 笹崎 晋史 高橋 絢子 松本 大和 野村 こう 高橋 幸水 天野 卓 山本 義雄 並河 鷹夫 万年 英之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.149-155, 2013-05-25
参考文献数
17

バングラデシュ在来ヤギ53個体とフィリピン在来ヤギ30個体におけるmtDNA D-loop HVI領域の塩基配列を決定し,DNAデータバンクにあるアジア在来ヤギの情報を加え,A,Bハプログループの起源について考察を行った.バングラデシュとフィリピン在来ヤギではそれぞれ25および5ハプロタイプに分類され,AおよびBハプログループから構成されていた.両国の在来ヤギのBハプログループにおける塩基置換率は,それぞれ0.0009と0.0006であり,極めて低い多様性を示した.また家畜化起源を推測するため,中東からの地理的距離と塩基置換率の相関を調べた.Aハプログループにおける順位相関係数は<I>r</I>=-0.7200であり有意な負の相関を示した(<I>p</I>=0.0469).一方,Bハプログループにおいては有意な相関を得られなかった(<I>p</I>=0.7782).この結果は,ヤギのAハプログループの起源が中東である仮説を支持していたが,Bハプログループの起源に関しては不明確であった.