著者
高橋 有里 桐田 隆博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.7-12, 2011-01-14

本研究では,育児中の20組の父親と母親の乳児の泣き声に対する心理生理的反応を測定し,性別および,乳幼児の泣き声に対する不快度の観点から比較検討した.具体的には,他人の乳児の泣き声を聴取中の父親,母親の心拍数,皮膚コンダクタンス変化を測定した.その結果,乳児の泣き声に対する父親と母親の生理的な反応には統計学的な差異は見られなかった.すなわち,どちらにおいても,泣き声聴取により心拍数は一過的に低下した後ベースラインに戻り,皮膚コンダクタンス変化は急激に上昇した.ただし,細かく見ると,母親と比較して父親の心拍のベースラインへの復帰はいくぶん早く,皮膚コンダクタンス変化は若干高いことが示された.このことから,父親は母親より泣き声を不快に感じる傾向があることが示唆された.また,乳幼児泣き声不快尺度における差に関しては,私的状況不快得点が低い父親では,心拍数に一過性の低下が見られず,心拍数に関する限り不快低群の父親は泣き声から受ける影響が少ないことが示された.
著者
遠藤 宏樹 酒井 英嗣 日暮 琢磨 大久保 秀則 山田 英司 飯田 洋 野中 敬 古出 智子 稲森 正彦 高橋 宏和 中島 淳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.457-463, 2013-04-25

要旨 カプセル内視鏡によって,NSAIDs起因性小腸粘膜傷害の現状が明らかになってきた.NSAIDsは,小腸にびらん,潰瘍,絨毛欠損や出血など多彩な病変を引き起こし,原因不明の消化管出血の一因となりうる.また,NSAIDs長期服用者においては,小腸に輪状潰瘍・膜様狭窄という特徴的な所見を来すことがあり,カプセル内視鏡検査に注意を要することがある.NSAIDs起因性小腸潰瘍に対しては休薬が確実な治療であるが,治療後の評価もカプセル内視鏡ならば,簡便かつ低侵襲で行うことが可能である.カプセル内視鏡はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害の診断や治療評価に有用であると考えられる.
著者
河内 修司 蔵原 晃一 川崎 啓祐 大城 由美 高橋 郁雄 八板 弘樹 岡本 康治 永田 豊 澤野 美由紀 吉岡 翼 渕上 忠彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1318-1325, 2014-08-25

要旨 患者は26歳,男性.1歳時より難治性鉄欠乏性貧血,低蛋白血症を認め,18歳時に小腸型Crohn病と診断されていた.高度な貧血を認め,当センター入院となった.小腸X線造影検査では,中部小腸に非対称性の変形・狭窄が多発し,地図状のバリウム斑を認めた.小腸内視鏡検査では,ひだ集中を伴う境界明瞭な浅い類円形潰瘍,非同心円状の全周性潰瘍,斜走する潰瘍を認めた.小腸切除標本では,境界明瞭で平坦な輪走・斜走する地図状・テープ状の潰瘍が多発し,大部分がUl-IIまでの非特異的潰瘍または瘢痕であった.以上より,自験例は特徴的な臨床経過,X線造影・内視鏡所見,切除標本の肉眼・組織学的所見から非特異性多発性小腸潰瘍症と診断した.
著者
畑佐 由紀子 高橋 恵利子 伊東 克洋
出版者
広島大学大学院教育学研究科
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
no.65, pp.177-186, 2016

The current paper reviews previous research on the acquisition of Japanese language sounds and pronunciation skills of second-language learners of Japanese, focusing on both segmental and suprasegmental features. We first provide a brief overview of Japanese language sounds. Studies based on comparative analysis of segmental features in Japanese and learners' native languages are then discussed, followed by a review of recent studies involving a range of techniques, including acoustic analysis, cross-sectional and time-series experimental designs to explore the acquisition process and factors affecting it. In addition, we examine research on the production and perception of Japanese lexical accent, and the relationships between them. Based on this review, we propose that the rhythmic unit, mora, a typologically unique feature of Japanese, presents significant learning challenges for second-language learners, because it affects the perception and production of segmental features such as long and short vowels, double consonants, and syllabic nasals as well as the Japanese lexical accent. Finally, we examine previous research examming second-language learners' pronunciation skills. We propose that insufficient attention has been paid to this issue, warranting future investigation.
著者
近藤 昌和 安本 信哉 秋吉 佑樹 高橋 幸則
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.87-101,

Morphological and cytochemical characteristics of neutrophil in Carangid fishes, jackmackerel(Trachurus japonicus), greater amberjack(Seriola dumerili)and yellowtail amberjack(S. lalandi), were examined by light microscopy. Three types of granules, eosinophilic granule(αG), chromophobic granule(βG)and basophilic granule(γG)were observed in the neutrophils of these fish species. Multiple Romanowsky-type stain valuation revealed that αGs of these fish species were stained eosinophilic with May-Gr?nwald(MG), but not with Giemsa. Eosinophilic stain of the αG was disappeared by Giemsa after MG. The βGs were unstained by Romanowsky-type stain and peroxidase-positive. The γG of greater amberjack and yellowtail amberjack were stained light blue with Giemsa, but unstained with MG. On the other hand, the γGs of jack-mackerel were stained not only with Giemsa, but also with MG.
著者
高橋 知代 久志本 彩子 小長谷 貴昭 田原 雄一郎
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-4, 2006-06-30
参考文献数
7

Biodegradable packaging buffers made from corn or wheat starch have replaced plastic foambuffers as packaging materials. The German cockroach, Blattella germanica, the smoky-brown cockroach, Periplaneta fuliginosa, and the brown-banded cockroach, P. brunnea consumed the biodegradable packaging buffers as food when they were kept in an arena with water, yet they hesitated to eat a urethane buffer. The cockroaches could survive and most of them could propagate for generations feeding on packaging buffer. Therefore, the biodegradable packaging buffers should be removed from factories immediately to avoid cockroach infestation.
著者
後藤 淳 岩田 英信 清水 俊行 高橋 督 白形 昌人 佐藤 充則
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.415-420, 2008-07-28 (Released:2008-12-16)
参考文献数
25

慢性血液透析患者が安心してカリウム(K)含有量の多い食品を食べることを検証するために,透析開始直前のミカン摂取が透析前後の血清K値および透析によるK除去量におよぼす影響を検討した.過去3か月の透析前血清K値が6.0mEq/L以下の透析患者13名(男性6名,女性7名;平均年齢59.3±12.6歳)を対象として,ミカン非摂取日および摂取日の透析前後の血液と透析排液を採取して電解質濃度を測定した.ミカン摂取日は透析開始直前にMサイズのミカン5個(総重量0.5~0.55kg,K負荷量約15mEq)を摂取した.血清K値は,ミカン非摂取日は透析前4.8±0.5mEq/L,透析後3.3±0.4mEq/L,ミカン摂取日は透析前5.0±0.6mEq/L,透析後3.3±0.3mEq/Lであった.透析によるK除去総量は,ミカン非摂取日44.9±9.5mEq,ミカン摂取日51.5±9.6mEqであり,その差は6.6±7.1mEqでミカンによるK負荷量の44%が除去された.以上の結果から,普段の透析前血清K値が6.0mEq/L以下の透析患者においては,Mサイズのミカン5個程度までなら透析開始直前に摂取しても安全と考えられた.
著者
安藤 皓章 清水 英佑 高橋 善一 福本 正勝 小此木 英男 門倉 真人
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.692-697, 1993-08-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Criminal cases involving stimulant abuse have increased since 1970 but have now leveled off. Some of the offenders claimed to have used the Vicks Inhaler containing a stimulant (1-methamphetamine) which is used for the treatment of nasal obstruction.The aim of this experiment was to measure the amount of 1-methamphetamine contained in the Vicks Inhaler by stimulating the human respiratory system. The results are as follows:1) The data from the stimulation experiment showed that the inhalation level of 1-methamphetamine was estimated to be 320.4ng. From this value, the level of 1-methamphetamine absorbed per one respiration was calculated to be 21ng.2) The data from quantitative and qualitative analysis by gaschromatography showed that menthol interfered with the methamphetamine.3) A qualitative test for the stimulant in urine was negative when the subject inhaled the Vicks Inhaler only once. However, this test turned positive when the subject inhaled it more than 17 times.
著者
高橋 圭子 東泉 裕子 佐藤 万里 Keiko TAKAHASHI Yuko HIGASHIIZUMI Mari SATO
出版者
国立国語研究所
雑誌
言語資源活用ワークショップ発表論文集 = Proceedings of Language Resources Workshop
巻号頁・発行日
no.3, pp.57-67, 2018

会議名: 言語資源活用ワークショップ2018, 開催地: 国立国語研究所, 会期: 2018年9月4日-5日, 主催: 国立国語研究所 コーパス開発センター近年,ビジネスマナーに関する書籍やウェブ上において,「了解」は上から目線の言葉で失礼なので使わないほうがよい,とする記述が少なからず見られる。本発表では,各種コーパスの用例,辞書やマナー本の記述などを調査し,(1)応答詞としての「了解」とその派生形式,(2)「了解は失礼」説,のそれぞれについて,出現と広がりのさまを探る。
著者
高橋 勇一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2000

中国長江上流域に位置する四川省・雲南省における森林環境の歴史的変遷を文献によって調べた結果、特に18世紀後半以降の人口急増に伴い、森林率が減少してきていることが明らかになった。また20世紀後半から現在に至る雲南省の森林・林業の変化を文献およびフィールドワークによって調査した結果、1980年代において、木材生産の急増が行われ、90年代以降において生態的側面を調査した結果、1980年代において、木材生産の急増が行われ、90年代以降において生態的側面を重視する方向へ移行し、98年の大洪水を契機に、天然林保護および退耕還林など、さらに生態保全の強化が進んだことがわかった。ところで、持続可能な生態村を建設する上では、地域住民の自主的・積極的な参加が必要不可欠である。そこで、自然資源の循環型利用を行う上で、住民との協働管理を考慮した持続可能な森林経営の資本評価の方法を考慮した。これは、本年の持続的経営の管理費kを、輸伐期uで還元するというのが基本であるが、環境保全に対する住民の支払意思額CSを加え、u(k+CS)と評価するものである。これを具体的な事例として、雲南省北部で最も有名な人工林であるウンナン松に適用し、その評価を試みた。ここで、農民たちの参加意思は意外と高いことがわかったが、社会の成熟度等によって変動が予想されることから、u'(k+αCS)の方が望ましいことを導いた。さらに、その古城が世界文化遺産に指定されている麗江県を対象に、エコシステムマネジメント導入の実行可能性について考察した。その結果、麗江は自然環境的要因においては条件が恵まれているが、都市と農村の共生関係の問題、政府・地域住民・研究機関等の協働関係の問題、そして特に県境付近における違法伐採など、さまざまな課題を残していることが明らかになった。

2 0 0 0 OA 神経毒性試験

著者
高橋 宏明 高田 孝二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.462-467, 2008 (Released:2008-06-13)
参考文献数
8

農薬などの化学物質の安全性評価の分野では,脳神経系の機能,形態,発達への影響を体系的に評価するガイドラインが整備されている.その特徴は,一般毒性試験を1次スクリーニング試験と位置づけ,成獣期ならびに発達期のガイドラインを揃えることによって,脳神経系への影響を段階的に評価することにある.本稿では,神経毒性に関連するガイドラインを紹介し,世界的な標準であるOECDガイドラインに基づいて哺乳動物を対象にした神経毒性試験を解説した.
著者
野津田 雄太 高橋 健一 稲葉 通将
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.83-92, 2015-12-09

1990年頃から国内で理系離れが問題視されている.しかし,理系離れの要因として明確なものは存在しない.その分析に寄与するため,文系・理系の大学生の日常生活の習慣や科目の得意・不得意などの状況を調査した.本研究では,著者が所属する大学の学生を対象にアンケート調査を実施し,データマイニング手法を用いて,科目の履修・嗜好などの傾向から文系・理系への進路選択と相関のある要因と,学生の生活習慣から文系・理系学生の日常の傾向について考察を行う.用いたデータマイニング手法は決定木,主成分分析,ベイジアンネットワークである.分析の結果,小学校・中学校からの得意・不得意科目や日常生活における学生の嗜好と学生の文理に相関があることが分かった.From around the 1990s, undergraduate students majoring in sciences have decreased, and indifference to sciences has been spread. However, specific factors of the indifference to sciences are not clear. In order to contribute to the analysis, investigation on lifestyle and subjects studied in schools by students majoring in humanities and sciences is done. This paper describes experimental results to extract features of undergraduates majoring in humanities and sciences respectively to show factors that correlate with their course, i.e., humanities or sciences. In the research, data are collected through questionnaires to undergraduates. The questionnaire includes questions such as the lifestyle, subjects studied in schools. Then the data are analyzed by using data mining methods, namely decision trees, Principal Component Analysis, and Bayesian network. The analysis shows a correlation between students in sciences and humanities and lifestyle and a correlation between those students and subjects studied in elementary and junior high schools.
著者
田中 稔 梅村 太 長岡 聡紀 岡 竜巳 高島 里奈 高橋 拓哉 平山 和哉
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.1020-1031, 2021-10-19

野球肩の効果的な運動療法を行うためには,投球動作で必要とされる運動機能の理解と機能的な問題点の把握が必須であり,それらの問題点の機能的な改善と投球動作を念頭に置いた運動連鎖と投球動作の再構築を行うことが最も有効な運動療法といえる。本稿では,痛みの出現する頻度が高いコッキング期とボールリリース・フォロースルー期での評価法と効果的な運動療法の詳細について解説する。