著者
本多 俊貴 鈴木 裕利 石井 成郎 遠藤 守 高橋 友一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.460-472, 2012-03-01

一般に,災害時に住民に対して提供される情報は行政やマスメディアから発信されている.このような公助的情報は広域にまたがり,あるいは,被害の大きな地域の情報に集中する傾向があるために,住民にとって身近な地域,あるいは,限定された地域における共助的情報の流通は難しいのが現状である.また,情報伝達の取組みにおいても,住民への伝達情報が,果たして住民が必要とする情報であるのか,住民が伝達情報をどのように活用しているのかなど,システムのユーザである住民の側からの評価,システムを使用する際の住民の行動についての分析は行われていない.そこで,本研究では認知心理学的なアプローチの導入により,災害情報収集システムを利用する人々が,「どのように情報を判断するか」について評価することにより,構築システムの最適化とシステムに求められる流通情報の特徴を明らかにすることを目的とする.これまでの評価実験の結果からは,システム利用時にユーザが必要としていた情報である,災害が起こった地域の場所や方向の安全/危険に関する情報を提案システムが提供できている点,災害時を想定した時間的制約のある状況においてもそれが有効である点がそれぞれ確認された.
著者
五ノ井 あずさ 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.14, pp.61-64, 2011-03-04

近年,拡張現実感が注目されている.本研究では,拡張現実感を用いたゲームを制作することを目的とし,ゲームをより面白くするために,3Dオブジェクトを表示する際に用いるマーカそのものに着目し,新しいマーカを提案する.基本となるマーカを参考に,拡張された新しいマーカを複数考案し,認識実験とアンケート調査を行い,実用性を評価した.またARマーカを用いて,現実環境の中で遊ぶことができるAR脱出ゲームを制作した.これにより,コンピュータゲームである脱出ゲームと拡張現実感を組み合わせた新しいゲームが可能になった.
著者
高橋 満 石井山 竜平 広森 直子 笹原 恵 槇石 多希子 朝岡 幸彦 千葉 悦子 大高 研道 宮崎 隆志 松本 大
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の社会教育制度は、福祉国家的な施策として制度化がすすめられてきた。しかしながら、この制度や管理運営の在り方は、経済のグローバル化や、これへの政策的応答としての自由主義的改革のもとで機能不全に陥っている。本研究では、これに対して、ソーシャルガバナンスという「パートナーシップ型の統治」モデルを提案している。それは、行政とともに市場やNPOなどの多様な主体がステークフォルダーとして独自な役割を果たすものとして参入し、新しい公共性をつくりあげるものである。
著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
古野 哲郎 神山 亜紀 明石 智義 臼井 真理子 高橋 武美 綾部 真一
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.275-280, 1993
被引用文献数
10

西洋タンポポのカルス培養細胞から完全な植物体を再生させた. カルス細胞をNAAとBAを添加した1/2MS培地上明所で培養すると, 一部の培地上で著しいシュートの形成が見られた. ホルモン無添加培地で発根させ, バーミキュライトを経てポット中の土壌に移植したところ, 開花し, 種子を得る事ができた. カルス培養ではトリテルペン酸 (オレアノール酸, ウルソール酸) が顕著に検出されたが, 再分化すると検出されなくなり, 代わりに分化器官ではトリテルペン-3-オール量が増加した. トリテルペン-3-オールの組成をHPLCで解析したところ, カルスではα-およびβ-アミリンが主要な成分であるのに対して, 分化器官ではタラキサステロール, ルペオールなどがさらに見出され, 特に乳液ではタラキサステロールが主成分であった.
著者
宮内 俊幸 黒木 和志 石川 徳久 高橋 誠 盛 秀彦
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-15, 2007-01-05
被引用文献数
4

ブナおが屑(くず)をホスホン酸ジフェニルーホルムアルデヒド樹脂で化学修飾して発煙硫酸処理に耐えられる木質バイオマスー合成高分子複合体を合成して,これを基体とするスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂を得た.ブナおが屑を強化するのに必要なホスホン酸ジフェニル樹脂は原料の仕込み濃度で約14wt%以上あれば十分であり,原料仕込み濃度で約75wt%ブナおが屑を基体とするスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂を得ることができた.交換容量は2.4meqg^<-1>-R(乾燥樹脂)と良好な値であり,交換速度も速く約5分以内で平衡に達し,そのため高速でのイオン交換が可能であった.密度は1.18g mL^<-1>であり,水溶液中で浮くという欠点もなくカラム操作に十分に対応できるイオン交換樹脂であった.本交換樹脂は塩酸溶液あるいはメタノールー塩酸混合溶液を用いると,Li^+-K^+, Mg^<2+>-Ca^<2+>-Sr^<2+>-Ba^<2+>の相互分離,更にはCd^<2+>-Zn^<2+>, Cd^<2+>-Co^<2+>あるいはCd^<2+>-Ni^<2+>などの相互分離に利用できた.
著者
高橋誠著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2011
著者
高橋 政美
雑誌
鉄道と電気技術 (ISSN:09159231)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.64-65, 2000-10-31
著者
小野川 文子 高橋 智
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.21-31, 2010-11

全国の特別支援学校(肢体不自由)寄宿舎に入舎している児童生徒とその家族の生活実態調査を通して,彼らの「生活と発達の貧困」の実態や寄宿舎教育のニーズを検討し,そうした困難・ニーズに対応していく寄宿舎教育の役割や課題を明らかにすることを研究の目的とした.全国の特別支援学校(肢体不自由)63校の寄宿舎利用の保護者,寄宿舎指導員,教員(舎監)を対象に郵送質問紙法調査を実施した.調査期間は2008年9月〜11月.回収状況は保護者398人(回収率32.8%),寄宿舎指導員82人(69.5%),教員(舎監)60人(50.8%)であった.障害児の家庭生活は限られた人間関係と単調な生活を余儀なくされ,そのことが障害児の発達に大きな影響を与えているが,その問題はほとんど改善されず放置されている.また,障害児を支える家族の生活は,介助等に伴う身体的負担をはじめ,保護者が病気になっても十分な治療もできない状況,身近に相談できる相手もいない孤立した子育ての状況が浮き彫りになり,そのことが精神的負担となっている保護者も多い.その問題は子どもの障害が重ければ重いほど,あるいは経済的に困難であればあるほど深刻であることが明らかとなった.障害児の支援を行うためには,保護者の健康・就労問題を含めて,障害児家庭全体を総合的に支える支援が不可欠であり,障害児の発達の視点にたった生活支援が重要である.それゆえに,障害児の生活支援と発達支援の双方の役割を果たしている特別支援学校寄宿舎は重要な社会資源である.
著者
山岸 俊男 渡部 幹 林 直保子 高橋 伸幸 山岸 みどり
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.206-216, 1996
被引用文献数
2

An experiment was conducted to test three hypotheses concerning effects of social uncertainty and general trust on commitment formation, hypotheses derived from Yamagishi & Yamagishi's (1994) theory of trust. First two hypotheses were supported, while the last one was not. First, increasing social uncertainty facilitated commitment formation. Second, low general trusters formed mutually committed relations more often than did high trusters. Finally, the prediction that the effect of general trust on commitment formation would be stronger in the high uncertainty condition than in the low uncertainty condition was not supported. Theoretical implications of these findings for the theory of trust advanced by Yamagishi and his associates are discussed.
著者
小島 康夫 安井 洋介 折橋 健 寺沢 実 鴨田 重裕 笠原 久臣 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.337-341, 2006-10-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

東京大学北海道演習林では, 積雪期にエゾシカによる激しい樹皮剥ぎが発生し, おもに小径の樹幹が剥皮される。この演習林では, イタヤカエデ, イチイ, イヌエンジュ, ウダイカンバ, エゾマツ, オヒョウ, シウリザクラ, シラカンバ, ハリギリ, ハルニレ, ミズナラ, ヤチダモが森林施業や保全の上で重要である。われわれは, これら12樹種小径樹幹の内樹皮成分を分析し, 各成分とエゾシカの樹皮嗜好性との関連を検討した。エゾシカはイヌエンジュに対して低嗜好性を示したが, この樹種はアルカロイドを含む唯一の種であった。他の11樹種に関しては, エゾシカの樹皮嗜好性に対して灰分含有割合が正の, 酸性ディタージェントリグニン含有割合が負の関係をそれぞれ示した。
著者
高橋 祐介 佐藤 貴美 平田 恭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.110-121, 2005-02-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では, 車載カメラ映像において部分的な隠れに頑強なランドマーク認識方法を提案する.視覚的特徴量空間において, あらかじめ登録したランドマークに対する辞書データと最も類似する映像中の分割領域の組合せを求めて評価することにより, 部分隠れに頑強な認識及びその領域の高精度な抽出を実現する.撮影情報(撮影カメラの位置及び向き)を利用した抽出領域の検定により精度向上を図るとともに, 対象ランドマークの候補数及び組合せに用いる分割領域の絞り込みにより処理コストを削減する.実写映像を用いて部分隠れがあるランドマークに対する認識精度及び領域抽出精度, 計算コスト削減の有効性を検証する.応用として, ランドマーク認識結果と車の走行情報を組み合わせた重要度判定に基づくドライブ映像の自動要約について報告する.
著者
高橋 智 和田 恵次 堀 道雄 幸田 正典
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

左利き遺伝子を持つ卵が左利き遺伝子を持つ精子と受精するのを阻止する不和合性遺伝子を考えた遺伝モデルにより,左利きホモが存在しないということ魚類の飼育交配実験の結果を説明した.捕食者が逆の利きの餌を捕食する交差捕食により左右性の比率が振動するとき,グループ産卵を行う魚でこの不和合性は有利となり進化する.また,ペア産卵を行う魚では不完全な不和合性が進化する.
著者
遠藤 邦彦 宮地 直道 高橋 正樹 山川 修治 中山 裕則 大野 希一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

火山防災上,防災担当者や住民にとって真に役立つ活動的火山の次世代型ハザードマップの構築を目指し,7項目の目標に対してそれぞれ以下の成果を得た.主に富士山,比較で浅間山,箱根山を対象とした.1.漏れのない噴火履歴の解明:重点的な現地調査により,データの充実化を進めた.2.噴火発生確率のより正確な見積りとデータベース:噴火発生娘串の重要判断材料である富士山の階段ダイアグラムを新しいデータに基づいて改定した.また,データベースを充実させた.3.噴火のさまざまな癖:火口の位置やタイプ,火砕流の発生など,新資料を得た.4.発生確率は低いが影響の大きなイベント:富士山の代表事例として御殿場岩屑なだれ,滝沢火砕流を詳細に解明した.5.多様な噴火シナリオから災害リスクの検討へ:爆発的噴火のタイプ,溶岩流出のタイプの典型として宝永噴火,貞観噴火の詳細な検討を行い,前者について災害リスタの検討を進めた.6.大気や地表の熱情報から:富士山監視カメラシステムを継続的に運用し,雲や降雪状況の変化をホームページに公開した.地表面温度分布の分析成果を公表した.以上のa-fについてその成果を単行本「富士山のなぞを探る」として公表した.7.役に立つハザードマップヘ:噴火が近づき,あるいは始まった時に機器観測,監視カメラ,目視情報をはじめ,大気情報や地表の熱などを含め,多様な情報がリアルタイムに捉えられ,またハザードマップ上に迅速に示されるGISを利用したシステムを,防災担当者および研究者間で運用するDGI-RTSシステムとして構築し,一部を「富士山観測プロジェクト」としてウエブページに公開した[http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/quart/fuji-p/].これは公開済みの「富士山監視ネットワーク」と,さまざまな災害情報に関する「自然災害と環境間題」のページにリンクしている,
著者
高橋 庸哉 遠藤 辰雄 若濱 五郎 福田 矩彦
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, 1997-07-01

The characteristics of snow crystal growth by vapor diffusion at water saturation and in free fall were quantitatively investigated in a vertical supercooled cloud tunnel for periods up to 30 min at temperatures from -3 to -23℃.