著者
平野 修 河西 学 平川 南 大隅 清陽 武廣 亮平 原 正人 柴田 博子 高橋 千晶 杉本 良 君島 武史 田尾 誠敏 田中 広明 渡邊 理伊知 郷堀 英司 栗田 則久 佐々木 義則 早川 麗司 津野 仁 菅原 祥夫 保坂 康夫 原 明芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

奈良・平安時代において律令国家から、俘囚・夷俘と呼ばれたエミシたちの移配(強制移住)の研究は、これまで文献史学からのみ行われてきた。しかし近年の発掘調査成果により考古学から彼らの足跡をたどることが可能となり、本研究は考古学から古代の移配政策の実態を探るものである。今回検討を行った関東諸国では、馬匹生産や窯業生産などといった各国の手工業生産を担うエリアに強くその痕跡が認められたり、また国分僧尼寺などの官寺や官社の周辺といったある特定のエリアに送り込まれている状況が確認でき、エミシとの戦争により疲弊した各国の地域経済の建て直しや、地域開発の新たな労働力を確保するといった側面が強いことが判明した。
著者
秋吉 亮太 高橋 優太
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-22, 2013-11-30 (Released:2017-08-31)
参考文献数
50
被引用文献数
1 2

Gentzen proved the consistency of elementary arithmetic (i.e. first-order Peano arithmetic) in 1936 before his most famous and influential proof in 1938. The consistency proof in 1936 contains some ambiguous parts and seems to be quite different from his consistency proof in 1938. The aim of the consistency proof in 1936 is "to give finitist sense" to provable formula. In this paper, we give an exact reconstruction of the consistency proof in 1936 and claim that "to give finitist sense" is a uniform idea behind Gentzen's three consistency proofs including the proof in 1938. First we explain Gentzen's basic ideas of the proof in 1936 in detail. In particular, the idea of finitist interpretation and the main structure of the proof are explained. Secondly, we define a reduction step via the modern method of proof theory called "finite notation for infinitary derivations" due to Mints-Buchholz. It is shown that the reduction essentially coincides with Gentzen's reduction in 1936. Especially we give a definition of "normalization tree" describing Gentzen's reduction step. Moreover, the well-foundedness of this tree is proved. The well-foundedness of the normalization tree implies the consistency of elementary arithmetic. Together with Buchholz's analysis of Gentzen's 1938 consistency proof, this shows that the proof in 1938 is just a special case of the proof in 1936. Thirdly, we clarify what the normalization tree is. According to Gentzen, the normalization tree makes us possible to see the "correctness" of a provable formula in elementary arithmetic. Then we propose a uniform reading of three consistency proofs as based on the same spirit. Finally we discuss some relationship between Gentzen's idea, the method of "finite notation for infinitary derivations", and Gödel's idea of his famous Dialectica interpretation. According to our analysis, Gentzen's idea and the method of "finite notation for infinitary derivations" can be explained in the same way as "carrying out finite proof as program". Moreover, we suggest that Gödel's interpretation (no-counterexample interpretation) should be obtained by describing the normalization tree as functionals.
著者
菊地 剛正 高橋 大志
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-119, 2021-09-15 (Released:2021-09-29)
参考文献数
30

本邦では,社会の高齢化・長寿化の進展に伴い,老後の資産形成と取り崩しの問題に関心が高まっている.しかし,資産の枯渇に係る論点については,それを防ぐための方策を含め,必ずしも議論が深まっている状況とは言えない.本稿では,退職後の資産形成・取り崩しに係る本邦での今日的な議論に対して,実データを用いたシミュレーション分析による接近を試みる.個人の属性やリスク資産による運用を勘案した上で,外生的に与える各種シナリオにおいて,各種施策が資産の枯渇に与える影響を分析する.主な結果は以下のとおり:1)資産階級やリスク量,想定する余命に応じて資産の枯渇割合は異なること,2)資産階級の上昇に応じ枯渇率が単調に減少するわけではなく,資産残高と収支のバランスによること,3)枯渇割合を低下させるためには,個人の属性に応じたリスクテイクが必要なこと,4)公的年金給付水準の引き下げによる枯渇割合の上昇に対しては,退職年齢の引き上げや支出抑制により,当該上昇をある程度抑制しうること.
著者
高橋 史 小関 俊祐
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-194, 2011-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
9

本研究の目的は、14編の論文を用いたメタ分析によって、日本の子どもを対象とした学級単位の社会的スキル訓練(SST)の効果について検討することであった。本研究から得られた結果は、以下のとおりである。(1)学級単位のSSTによる社会的スキル向上効果は大きい。(2)小学1〜3年生の児童に対して最も効果を示しやすい。(3)セッション数(5セッション以下、6セッション以上)による効果サイズの差異は見られない。(4)担任教師がSSTを実施することの明確な優位性は見られない。(5)セッション時間外の介入を行うことでSSTの効果が高まると明確には結論づけられない。(6)教師評定や仲間指名法においてSSTの効果が示されやすい。これらの結果を踏まえて、学級単位のSSTにおける今後の研究動向について展望が行われた。
著者
高橋均著
出版者
創文社
巻号頁・発行日
2017
著者
大津 耕陽 福島 史康 高橋 秀和 平原 実留 福田 悠人 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 敬一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2019-2029, 2018-11-15

近年さかんに行われているアイドルのライブにおいては,演者の演技に対し観客が「応援」という形で参加することにより,会場をともに盛り上げていこうとする様子が見られる.本稿では,アイドルのライブにおける演者の演技・それに対する観客の応援を振動・光に変換し,双方向に伝達しあうことで,演者・観客間の双方向インタラクションを拡張するライブ支援システムを提案する.提案手法を実現するために,応援したいメンバの演技をリアルタイムに観客の持つデバイスに振動・光として提示する機能,観客が自身の持つデバイスを振ることで光として応援を可視化して演者側に伝達する機能の2つを持つシステムを開発した.実際のライブ環境下において実験を行い,演者の動きの情報を観客に伝達することで応援したいメンバと観客の間の一体感が高まることを確認した.また,デバイスの振りの情報に基づいて観客の応援の大きさを演者の衣装に提示することによって,応援したい特定のメンバと観客間の一体感に加えて,特定のメンバを応援する観客同士の一体感が高まることを確認した.
著者
品田 瑞穂 山岸 俊男 谷田 林士 高橋 知里 犬飼 佳吾 小泉 径子 横田 晋大 三船 恒裕 高岸 治人 堀田 結孝 橋本 博文
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.149-157, 2010 (Released:2010-09-09)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

Cooperation in interdependent relationships is based on reciprocity in repeated interactions. However, cooperation in one-shot relationships cannot be explained by reciprocity. Frank, Gilovich, & Regan (1993) argued that cooperative behavior in one-shot interactions can be adaptive if cooperators displayed particular signals and people were able to distinguish cooperators from non-cooperators by decoding these signals. We argue that attractiveness and facial expressiveness are signals of cooperators. We conducted an experiment to examine if these signals influence the detection accuracy of cooperative behavior. Our participants (blind to the target's behavior in a Trust Game) viewed 30-seconds video-clips. Each video-clip was comprised of a cooperator and a non-cooperator in a Trust Game. The participants judged which one of the pair gave more money to the other participant. We found that participants were able to detect cooperators with a higher accuracy than chance. Furthermore, participants rated male non-cooperators as more attractive than male cooperators, and rated cooperators more expressive than non-cooperators. Further analyses showed that attractiveness inhibited detection accuracy while facial expressiveness fostered it.
著者
菊池 貴洋 加藤 光広 高橋 信也 中村 和幸 早坂 清
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.375-378, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
9

症例はてんかん性脳症の10歳女児. 発作は難治で1日10回程度の強直発作・ミオクロニー発作が出現し, 覚醒時脳波で多焦点性鋭徐波複合が多発していた. topiramate追加内服中, 眼振の増悪がみられ漸減中止したところ, ミオクロニー発作の頻度が増加し, levetiracetam (LEV) 250mg/日を追加した. LEV開始翌日から発作は消失したが, 反応性低下と寡動がみられた. 覚醒時脳波を再検したところ多焦点性鋭徐波複合の消失を認め, 強制正常化の診断基準を満たした. LEV投与による強制正常化の報告は調べ得た限り自験例が初めてである. LEVは初期から治療量の投与が可能である半面, 強制正常化の可能性を念頭におく必要がある.
著者
五島 圭一 高橋 大志 寺野 隆雄
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.221-222, 2017-03-16

金融資産を管理する上で金融資産のリスクを表すボラティリティについて、どのようにモデリングをして、予測を行うかは金融機関経営における重要な課題の一つである。そのため、金融市場を反映した様々なモデルが考案されてきた。そこで本研究では、ディープラーニングモデルの一つであるリカレントニューラルネットワーク及びその派生モデルであるLSTMとGRUによって、株価指数のボラティリティ変動のモデリングを試みる。リカレントニューラルネットワークを用いれば、これまで人手で設計していたボラティリティ変動の構造を自動で捉えることができる可能性がある。GARCH(1,1)モデルとの比較を通じて、予測精度の分析を行った。
著者
深瀬 徹 簗川 堅治 高橋 ゆう 吉村 晶子
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.S5-S8, 2022 (Released:2022-08-07)
参考文献数
11

山形県蔵王温泉で,2022年6月5日から7月2日にかけてジョウビタキの巣とそこから巣立った3羽のヒナを観察した.当地では2015年夏まで日本野鳥の会山形県支部の探鳥会が実施されていたが,繁殖期のジョウビタキの観察記録はなく,近年になってから,ジョウビタキが繁殖するようになったものと考えられた.
著者
光山 秀行 中岡 孝剛 高橋 幸造
出版者
日本バレーボール学会
雑誌
バレーボール研究 (ISSN:13449524)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-6, 2019 (Released:2021-08-11)

Many studies have been conducted to explore the factors that determine a performance of the individual player or team in the volleyball, and they have found that some specific motions for the individual player or team have an influence on their performance. However, there is a shortage of empirical analysis on the determinants of match results, it has not been clarified yet. This study applies an econometric method and empirically examines the determinants of match results using a sample of Men's Matches in Kansai University Volleyball Federation from 2014 to 2017. The result shows that the average number of the block is the most important factor to win the match.
著者
高橋 昇太 阿原 一志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.46-48, 2021-11-06

トレーディングカードゲーム (TCG) には,手札枚数や個々のカードの攻撃力など様々なパラメータが存在する.一般にこれらの値は勝敗に大きく関わるとされているが,科学的実証はほとんど報告されていない.そこで本研究では,パラメータ変更による勝率の変化についてサンプリング手法を用いた調査を試みた.本論文では特に,初期手札の枚数差を意図的に生じさせ,どのように勝率が変化するかをこの手法を用いて調査した.その結果,初期手札枚数が多いプレイヤーは勝率が高くなる傾向を数値化できることが分かった.
著者
高橋 健太 鈴木 忠樹 片野 晴隆 長谷川 秀樹
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.125, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
28

【要旨】中枢神経系では病原体の感染により種々の病態がもたらされる。病理学的には脳炎・脳症は組織形態により区別される。形態観察で炎症が認められる場合に脳炎、炎症を欠くものが脳症とされ、これらは宿主側の反応の違いによる。感染症の病理学的検索では、同一検体上で病原体の感染とその結果としての組織反応や形態変化の関係性を併せて評価することが重要となる。本稿では病原性微生物の感染による脳炎および脳症の代表的疾患につき病理組織像を提示しながら概説し、感染症が疑われる原因不明脳炎に対する国立感染症研究所感染病理部における網羅的な病原体の新規検索法についても紹介する。
著者
久保田 均 久永 直見 高橋 幸雄 佐々木 毅
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

建築業従事者の職業性難聴について、三重県建設労働組合の男性組合員を対象に難聴の原因として考えられる各種有害因子へのばく露、或いは複合ばく露との関連を探る目的で調査研究を実施した。また聴覚に関して、従来の質問紙調査による自覚的聴覚と定期健診時の聴力検査結果(客観的聴覚)との関連を明らかにするための調査も行った。騒音ばく露に振動ばく露が加わると難聴発症のリスクが増幅、そこへ有機溶剤ばく露が加わることでリスクは更に増幅することがわかった。一方、難聴自覚症有り群となし群で、健診時聴力検査の有所見率に差があるか否かの検定を行ったところ、難聴自覚症無し群でも客観的聴覚の有所見率が高まる傾向がみられた。