著者
矢部 光保 荘林 幹太郎 田中 宗浩 西澤 栄一郎 林 岳 高橋 義文 陳 廷貴 黄 波 田村 啓二 辻林 英高
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

中国では畜産廃棄物が深刻な水質汚染をもたらしている。そこで、中国江蘇省にある出荷頭数 2.8 万頭の養豚場と近隣農家を対象に、ふん尿由来のメタン発酵消化液を液肥利用する試験を行い、その環境的・経済的効果を評価した。3 年間で液肥利用農地面積は、ゼロから 40ha に拡大し、農家は肥料代を大きく節減できた。また、消化液の投棄が防止され、有機性廃棄物循環、水質環境の改善、温室効果ガス削減に、液肥利用は貢献できることが実証された
著者
熊田 孝恒 丸山 隆志 岩木 直 田村 学 川俣 貴一 村垣 善浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

人間の認知機能では、前頭葉から脳のより低次の領野に対するトップダウンのコントロールによって、低次領野における情報処理の調節が行われている。この研究では、トップダウンの情報処理の基盤としての前頭葉の機能を、特に、前頭葉機能の中心である「知能」の側面に着目して明らかにした。知能を構成する3つの要因である、更新、移動、抑制の機能には脳内の異なるネットワークが関与していることがわかった。
著者
泉福 英信 浅野 敏彦 村田 貴俊 花田 信弘
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、ヒト型モノクローナル抗体を利用した新しい口腔バイオフィルム感染症予防方法の確立を行った。ヒト型モノクローナル抗体の作製は、PAc(361-377)ペプチドを利用して行った。このペプチドは、S.mutansの歯表面への付着阻害抗体の認識するB細胞エピトープとT細胞エピトープを有する。実際にこのペプチドがヒトにおいて有効に免疫原として作用するか、唾液のペプチドIgA抗体量とS.mutans量との相関関係を検討した。その結果、抗体価の高い唾液を有するヒトは、S.mutans量も低下していることが明かとなった。またDRB1^*1501やDRB1^*0406などを含む10種類のHLA-DR遺伝子タイプを有する被験者においてその高い唾液抗体誘導が認められた。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をNOD-scidマウスに移植し、このペプチドを接種して、ヒト特異ペプチド抗体を誘導できるか検討を行うと、すべての遺伝子タイプのPBMC移植において、PAc(361-386)ペプチドIgG抗体を誘導できることを明かにした。これらの結果から、PAc(361-386)ペプチドはヒトへの接種によりPAc(361-386)ペプチドIgA抗体やIgG抗体を誘導できる抗原であることが確認できた。よって、この抗原を利用して作製されたヒト型モノクローナル抗体を用いれば、有効な齲蝕予防方法が確立して行くことができる。このPAc(361-377)ペプチドを免疫原として、10種類のモノクローナル抗体を得た。それら抗体のうちKH3,KH5,SH2,SH3は、S.sobrinusとS.mutansのみに反応する事が認められた。これらの抗体SH2,SH3,KH5は、S.mutansの歯表面の付着においてPBSで処理したラットに比べ60%以上の阻害効果が認められた。またこれらのモノクローナル抗体は、S.mutansと唾液成分との結合をBIAcore in vitro実験においても70%以上の阻害することが認められた。今回明かとなったペプチド抗原で誘導されたヒト型モノクローナル抗体をこの3DSのような口腔バイオフィルム除去法を併用していけば、さらに長期間効果を期待できるう蝕予防が実現化していくと考えられる。
著者
今井 奨 西沢 俊樹
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

それ自身う蝕誘発性をもたず、う蝕原性細菌の有機酸産生や歯の再石灰化などに関わりをもってう蝕の発生を低下させるような、従来とは異なる機能性オリゴ糖の開発と、それを用いたう蝕予防方法の開発を目的として本研究を遂行した。馬鈴薯澱粉に液化型α-アミラーゼを反応させてリン酸化オリゴ糖(POs)を調製した。このPOsについてカルシウムリン酸沈殿阻害効果や、う蝕原性細菌であるS.mutans MT8148株、S.sobrinus 6715株を用いてPOs自身の発酵性とスクロースの発酵に及ぼすPOsの影響を調べた。また、人工口腔装置を構築し、ミュータンスレンサ球菌がスクロース存在下で形成する人工バイオフィルムの量、人工バイオフィルム下のpHおよびpH低下によって起こるエナメル質の脱灰に及ぼすPOsの影響を本装置によって評価した。その結果、POsはin vitroでのカルシウム-リン酸沈殿阻害効果を示し、カルシウム可溶化作用のあることが分かった。また、POs自身はS.mutans、S.sobrinusによって資化されず、培地pHを低下させないことが分った。また、POsは両ミュータンスレンサ球菌およびActinomyces viscosusによるスクロースの発酵に由来するpH低下を濃度依存的に抑制した。このpH低下抑制効果はリン酸化オリゴ糖のもつ緩衝作用に依ることが示唆された。さらに人工口腔装置による実験系で、Ca型のPOsはS.sobrinus、S.mutansの人工バイオフィルム沈着に起因するpH低下に対して抑制的に作用し、エナメル質表面の人工バイオフィルム量、エナメル質脱灰も抑制した。以上よりリン酸化オリゴ糖はう蝕予防用のオリゴ糖としての望ましい性質を備えており、これを用いた種々の予防方法に応用可能であることが確認された。
著者
斉藤 和雄 田宮 久一郎 青梨 和正 瀬古 弘 小司 禎教 川畑 拓矢 大関 誠 原 昌弘 柳野 健 中澤 哲夫 國井 勝 田中 博 古本 淳一 永戸 久喜 村上 正隆 田中 博 津田 敏隆 古本 淳一 若月 泰孝 林 修吾 露木 義 小泉 耕 西嶋 信 石川 宜広 本田 有機 三好 建正 経田 正幸 山口 宗彦 澤田 謙 酒井 亮太 米原 仁 小野 耕介 津口 裕茂 藤田 匡 三上 彩 近藤 圭一 劉 國勝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

集中豪雨を数値モデルで予測するため、大気の3次元的な状態を観測データを用いて精度良く解析する研究、および予測の信頼性を定量的に見積もる手法の研究を行った。非定時の観測データを同化する高解像度4次元変分法の開発、GPSデータ、マイクロ波放射計データ等の同化実験を行い、豪雨の予測が改善できることを示した。アンサンブル予報の手法をメソ現象の短時間予測に適用し、予報誤差を定量的に見積もる手法を示した。
著者
橋本 和彦 倉持 智宏 木村 真人
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

合成ポリアミド(ナイロン)、特に単純な繰り返し単位をもつナイロンは、一般に自然環境下では分解しにくいと考えられている。機械的強度が強く人間生活に不可欠のナイロンに生分解性をもたせることができれば用途がさらに広がるはずである。本研究では、比較的構造の簡単な各種ナイロンの土壌中での分解性を検討した。まず、市販のα-ピロリドン(1)を高真空ライン中で精製し、そのアニオン重合により高分子量のナイロン4を得た。また双環ラクタム、8-オキサ-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(2)からも糖基幹構造を主鎖にもつポリアミド(3)を合成した。合成したポリアミドおよび市販ナイロンから調製した膜を、名古屋大学の農学部付属農場の各種連用土壌中に埋没した。その結果堆肥を含む土壌中でナイロン4膜のみが特異的に迅速に分解消失した。一方、ポリアミド3は酸性土壌中で加水分解することがわかった。ついでナイロン4膜とナイロン6とのブレンド膜を作成し、同様にして土中埋没試験を行ったところ、堆肥を含む土壌中でナイロン4膜のみが特異的に迅速に分解消失した。また他の土壌(堆肥を全く含まない土壌、化学肥料含有土壌、クロレラ含有土壌など)中ではナイロン4膜もほとんど分解しなかった。堆肥のみではナイロン4膜はほとんど分解せず、土壌中の堆肥含有量には最適値があること、また畝の中心から採取した土壌より、畝から1m離れた土壌中の方がナイロン4膜が迅速に分解することもわかった。現在までに培養法により、堆肥を含む土壌中に生息する分解菌の1つを単離することに成功した。この成果を基に生分解性ナイロン開発に弾みがつくものと確信する。
著者
伊藤 たかね 萩原 裕子 杉岡 洋子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,語レベルの言語処理にかかわる心内・脳内メカニズムを明らかにすることを目的として,事象関連電位(ERP)計測の手法を用いた実験を行った。具体的には,複文の特徴を示す複雑述語(サセ使役)および,動詞の屈折を取り上げ,いずれの場合にも規則による演算処理と,レキシコン内のネットワーク的記憶という,質の異なる処理メカニズムが働いていることを示唆する結果を得た。
著者
宮岸 真
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

RNAiは非常に効果的な遺伝子抑制法であり、簡便で、効果の高い遺伝子機能の解析法として、注目を集めている。しかし、最近、siRNAによって、非特異的な抑制効果であるインターフェロン応答が励起されることが報告され、その詳細な解析が急務となっている。本研究課題では、ベクター系によって発現されるsiRNAによるインターフェロン応答の解析を行うと共に、二本鎖RNAによって誘起されるインターフェロン応答のパスウェイの解析を行った。初年度、数種類のsiRNAベクターのインターフェロン反応を、2',5'オリゴアデニレースシンセターゼ(OAS)の発現により調べたところ、どれもインターフェロン応答を起こしていないことが分かった。そこで、次に、より長い二本鎖RNAを発現するベクターを作製し、それによって生じるインターフェロン反応について解析を行った。発現系としては、tRNAプロモーターおよび、U6プロモーターを用いた2つの発現系を使用した。また、インターフェロン応答は、PKRのリン酸化、発現量をウエスタンブロッティングにより解析すると共に、OASの発現をリアルタイムPCRにより、定量することにより調べた。その結果、50、100塩基対を発現するtRNA連結型のベクターは、PKRのリン酸化、発現量、OASの発現量を増加させることから、インターフェロン応答を誘起していることが分かった。また、二本鎖RNAのセンス鎖にミューテーションを挿入することにより、このインターフェロン応答を軽減することができることが判明した。RNAiライブラリーを用いた二本鎖RNAによるアポトシスパスウェイの解析に関しては、数百のシグナルトランスダクションの遺伝子に関して、検索したところ、今回新たに、JNKからミトコンドリアに至るパスウェイおよび、MST2、PKCαからERK2に至るパスウェイが関与していることが分かった。
著者
河崎 善一郎 山本 賢司 王 道洪 高木 伸之 RCICHRAD Gum HUGH Christi
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本年度の成果は,当該研究遂行のために設計・試作した「VHF波帯広帯域干渉計」が,仕様通りの機能を有する観測機であることを実証できた点である。すなわち雷放電に伴って放射されるVHF/UHF波帯パルスを,高い時・空間分解能で標定することに成功し,俗に「枝分かれ」と呼ばれほぼ同時に並行して進展する放電の様相が可視化できた点であると結論できる。通常放電路の可視化は,VHF/UHF波帯で,狭帯干渉法,時間差法を用いて具体化されてきたが,いずれの方法においても,樹枝状に進展する放電についての可視化は不可能で,本研究申請者等が,世界で初めて実現したといっても過言ではない。その結果,これまで先行する雷撃の放電路と同じ経路を取るものと,数十年来信じられていた多重落雷の後続雷撃が,時として異なる経路をとり,その結果,後続雷撃の落雷地点が,先行する雷撃の落雷地点と,数キロメートルも離れることのあることが明らかとされている。さらに雷放電の開始点についての詳細な理解や,多重落雷を引き起こす雷雲内の電荷構造,雲内放電の進展様相等々,電波観測という利点を生かして,数多くの観測的事実を見出している。一方,超高感度ビデオカメラにより,Red Spritesの観測にも成功し,共同研究者であるニュージーランド・オタゴ大学D.Dowden教授の,低周波電磁波観測結果との照合により,Red Spriteが,雷雲頂部から電離層下部への「放電」現象であるとの結論を得ていることも特筆すべき研究成果となっている。またこのRed Spriteの観測により,その発生が,地域や緯度に依存せず,きわめて一般的な現象であることが明らかとなり,その後北陸や地中海等でその発生が相次いで見出されるきっかけとなっている。なお上記の成果は,全て米国地球物理学会誌及び電気電子学会誌に公表印刷されると共に,「VHF波帯広帯域干渉計」は,特許申請中(出願番号 特願平11-170666)となっている。
著者
古米 弘明 栗栖 太 片山 浩之 鯉渕 幸生 藤田 昌史 春日 郁朗 片山 浩之 鯉渕 幸生 藤田 昌史 春日 郁朗 益永 茂樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

合流式下水道雨天時越流水(CSO : Combined Sewer Overflow)に含まれる未規制リスク因子(健康関連微生物、微量化学物質)に着目し、これらが受水域に流出した場合に、どのような挙動を示すのかを評価した。雨天後の東京湾において、未規制リスク因子を含めた汚濁物質の動態をモニタリングすると共に、CSO の東京湾への負荷経路として重要な隅田川に着目して、晴天時および雨天時に24 時間の採水を行った。また、お台場周辺に特化した3 次元流動モデルの精緻化を行い、大腸菌群の挙動を解析した。
著者
中村 和利 土屋 康雄 斎藤 トシ子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、閉経後女性の骨密度低下抑制に有効なカルシウム付加量を明らかにすることであった。女性ボランティア450人を1)カルシウム250mg、2)カルシウム500mg、3)プラセボを毎日服用する群、の3群に割付け、2年間の腰椎および大腿骨頸部骨密度の低下を3群間で比較した。カルシウム250mg/日および500mg/日付加群の腰椎骨密度の低下がプラセボ群より有意に小さかった。カルシウム250mg/日の摂取増加は腰椎の骨密度の低下を遅らせる。
著者
矢吹 理恵
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アメリカ在住の夫アメリカ人・妻日本人国際結婚家族を対象に、夫の国であり多文化社会であるアメリカに居住することが、家族の文化・秩序・習慣にどのような影響を与え、そこで育つ子どもはどのような文化的アイデンティティを構築するかを質的に検討した。その結果、子どもの文化的アイデンティティは4つの型に分かれ、それを規定する要因として、(1)日本人母親の渡米年齢、(2)日本人母親の結婚前の異文化体験とアメリカ文化への心理的距離、(3)アメリカ人父親の結婚前の異文化体験と日本文化への心理的距離、(4)日本人母親とアメリカ人父親の、アメリカにおける家庭内での勢力関係が析出された。
著者
山田 賢 久留島 浩 岩城 高広 安田 浩 秋葉 淳 趙 景達 佐藤 博信 菅原 憲二 安田 浩
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、北東アジア(具体的には中国・朝鮮、そして日本を対象として想定している)の近代移行期における国民国家の形成について比較研究を行った。それぞれの地域の事例について文献調査を実施したほか、浙江工商大学日本文化研究所、武漢大学日本研究中心の研究者と共同研究会を開催して検討を行った。その結果、北東アジア各地域における国民国家は、それぞれの地域において育まれた近世伝統社会における社会関係を基体として出現したことを明らかにした。
著者
大友 智 岡出 美則 中井 隆司
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,大学・大学院における実践的指導力量形成のための体育科教員養成プログラムの開発であった.この目的を達成するために,以下の課題を設定し,検討した.第一に,体育科教員養成の課題について検討した.具体的には,近年,諸外国から体育科教育学研究者が招聘され体育教師教育に関する情報交換が行われているが,そこで論議されていることは何か,体育科の専門性と教師教育の課題は何か,教師の力量を高めるためにどのような授業研究が求められるのか,そして,教員養成段階にある学生は,体育をどのように捉えているのかを検討した.第二に,新任教師の能力基準を打ち出し,教師教育改革がすでに実行されているアメリカを対象に,体育教師教育カリキュラムとそのアセスメントを分析した.特に,JTPEにおいて,体育教師教育の取り組みが特集で紹介されているジョージア州立大学に焦点を絞り,その考え方やシステムを分析した.第三に,体育教師教育で利用することのできる期間記録に関するデジタルコンテンツ及び相互作用行動に関するデジタルコンテンツを作成し,それらの有効性を検討した.これらのデジタルコンテンツは,近年の体育授業研究成果を参照し,どの教師にとっても必要とされ,獲得できる可能性の高いものを設定するように試みた.また,それらのデジタルコンテンツを実際の大学の授業に適用し,学生の指導力量がどのように変化したかを分析した.第四に,体育授業の研究方法論を検討した.体育授業研究の研究成果は,体育教師教育の内容を豊かにしていくが,新たな知見は,新たな研究方法によって産出される.そのような意味から,質的研究と認知に関する体育授業研究方法論に検討を加えた.
著者
北川 能 塚越 秀行
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、土砂崩れなどの災害現場において生き埋めになった被災者の救出作業機能を従来の油圧パワーショベルに付加することを目的としているため、i)力制御しながら土砂・瓦礫などを撤去できる油圧ショベル先端のマスター・スレーブ制御系の構築、ii)i)の作業に時間を要する場合に備えた、瓦礫内部に直接延命用の飲料水を搬送できる駆動式生命線「能動ホース」の開発、これら2本を柱に本年度の研究を遂行してきた。その結果、以下のような研究実績を納めることができた。i)においては、11年度提案した臨場感の優れたマスター・スレーブ制御系「パラレルインピーダンス制御系」、12度はマスターとスレーブ間の通信遅れ補償した制御系を開発した。この制御系は、スレーブの受ける土砂・瓦礫等の対称物のインピーダンス特性変化にも適応できる機能があり、さまざまな瓦礫内に被災者が存在する場合の識別などにも発展する技術となり得る。本年度はこれらを総合的にまとめ、各状況に応じた制御系の適用法を明らかにした。またii)においては、11〜14年にかけて開発した「象の鼻」のように柔軟かつ大きな屈曲力を生成できるアクチュエータに関して、本年度は口径45mmの小型湾曲ユニットを開発し方向操舵の機能を有することを確認し、さらに瓦礫内への推進力を生成することのできる推進ユニットを2種類開発した。これらを連結して瓦礫内の推進、および延命用水供給作業の有効性も確認された。今後はさらに防塵対策も行っていく予定である。
著者
斗内 政吉 村上 博成 川山 巌
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

システム開発においては、固浸レンズやガルバノスキャナーを用いた新規なレーザーテラルツエミッション顕微鏡を構築し、空間分解能1μm以下でかつスキャン時間が数秒であといった高分解能かつ高速性能を持つことを確認した。また、このシステムを用が、半導体集積回路の欠陥検査等に有効であることを示した。一方、強誘電体からのテラヘルツ放射を、結晶構造および配向制御した薄膜を用いて系統的に観測し、そのメカニズムを明らかにした。
著者
佐久間 孝正 実松 克義 山脇 千賀子 イシカワ エウニセアケミ 田房 由起子 河野 康成 二井 紀美子 鈴木 美奈子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本では、外国人児童・生徒の教育が義務化されていない。そのため、受け入れに際し、必要とされる書類、親の滞在資格、さらに日本語教育の仕方、学年を下げても受け入れるか否か等において、教育委員会で差のあることが明らかになった。このような学校間の差は、かれらが帰国してからも、現地の学校で学ぶ姿勢にも影響している。また近年、滞在が長期化するにつれて、子どもは日本で生活することを望み、いずれは帰国しようと考えている親との間にギャップも生じ始めている。
著者
藤井 洋子 井出 祥子 阿部 圭子 片岡 邦好 片桐 恭弘 堀江 薫 植野 貴志子 菅原 和孝 石崎 雅人
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この3年間の研究成果は、(1)2009年3月、2011年2月の東京国際ワークショップにて、「場の理論」についての理解を深められたこと、(2)アラビア語のデータ収集とその分析をしたこと、(3)国際語用論学会にて、日本語と英語とアラビア語の比較研究を発表したこと、(4)2009年にJournal of Pragmaticsの『解放的語用論』特集号第一号を発行できたことなどが主な成果といえる。
著者
秋田 喜代美 小田 豊 芦田 宏 鈴木 正敏 門田 理世 野口 隆子 箕輪 潤子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は幼小移行を園文化から学校文化への移行という文化的観点から、3対象調査により検討を行った。第1は、描画と面接での短期縦断卒園前と入学後の日本と台湾の子どもの比較文化調査である。幼児の不安は仲間関係や生活全般であり、台湾が学業不安が高いのとは対照的であった。物理的差異から文化的規範の差異の認識に時間がかかることも明らかにした。第2の保護者縦断質問紙調査の日台比較からは、日本の保護者の方が基本的生活習慣・集団生活・情緒・人間関係への期待が高いことを明らにした。第3に幼小人事交流教師調査により使用語彙の相違、幼少人事交流での適応過程の相違を明らかにした。
著者
松永 宣明 藤田 誠一 金子 由芳 駿河 輝和 香川 孝三 河村 有教 河村 有教
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

経済発展にとって制度的インフラの整備は決定的に重要であり、とりわけ法整備は市場経済の発展にとって不可欠の要素である。本研究では、アジア市場経済化諸国を対象に法整備支援の現状と問題点、さらには今後の課題について学際的研究を行ない、その成果の一部は『法整備支援論-制度構築の国際協力入門』として出版した。調査結果は現在とりまとめ中であるが、各国のコーポレート・ガバナンスのありようが市場経済化の成否に大きく関わっているという暫定的な結論を得ている。