著者
丸山 千歌
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU 日本語教育研究センター紀要 = The Research Center for Japanese Language Education Annual Bulletin (ISSN:13447181)
巻号頁・発行日
no.6, pp.15-42, 1997-03-31

現在の用法での「~的」という語は英語からの影響を受け明治十年ごろから使われ始めたようである。ここ100年のうちに急速に使用が広まった「~的」を調べることは現代日本語の特質を把握することに通じるものと思われる。本稿は,一世代前の1962年の雑誌から抽出された「~的」を,「~的」と話題との関係,「~的」の語種や表記との関係,語の意味との関係などの観点から分析しその使用状況を明らかにする。
著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786, 853, 2003-09-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
古谷野 哲夫
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.319-322, 2014-10-31 (Released:2014-10-31)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Chocolate consists of solid particles such as cocoa, sugar, and milk solids which are dispersed in a continuous fat phase. The major fat in chocolate is cocoa butter, and it is crystallized at room temperature, so chocolate is a food which we eat crystals. Therefore, fat crystals play a great role in chocolate quality and storage stability. In this paper, polymorphism of cocoa butter and the transformation of polymorphic forms are reviewed including recent results.
著者
永田 浩一 田尻 久雄 光島 徹 歌野 健一 高林 健 渡辺 直輝 赤羽 麻奈 加藤 貴司 平山 眞章
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.435-444, 2013 (Released:2013-05-21)
参考文献数
33

【目的】大腸3D-CTを用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した.【対象】50歳以上の日本人とアメリカ人650名ずつ,合計1,300名を対象とした.【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ154.7cm,158.2cm,(p値:0.003,効果量:0.17),S状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ63.3cm,62.5cm,(p値:0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ153.2cm,155.6cm,60歳代で155.2cm,159.3cm,70歳代で161.8cm,165.2cmで,日米ともに世代が上がるにつれて有意に長くなった.【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.
著者
西廣 淳 赤坂 宗光 山ノ内 崇志 高村 典子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.147-154, 2016 (Released:2017-07-17)
参考文献数
33
被引用文献数
4

種子や胞子などの散布体を含む湖沼の底質は、地上植生から消失した水生植物を再生させる材料として有用である。ただし、底質中の散布体の死亡などの理由により、地上植生から植物が消失してからの時間経過に伴い再生の可能性が低下する可能性が予測される。しかし、再生可能性と消失からの経過時間との関係については不明な点が多い。そこで、水生植物相の変化と底質中の散布体に関する知見が比較的充実している霞ヶ浦(西浦)と印旛沼を対象に、水生植物の再生の確認の有無と、地上植生での消失からの経過時間との関係を分析した。その結果、地上植生から記録されなくなった植物の再生の可能性は時間経過に伴って急激に低下し、消失から40~50年が経過した種では再生が困難になることが示唆された。散布体バンクの保全は、湖沼の生態系修復において優先すべき課題であると考えられる。
著者
金子 直樹 林 慶和 服部 多市 川野 真太郎
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

COVID-19パンデミックは変異株の報告を含め未だ予断を許さない状況であり、病態の早急な解明が望まれている。われわれはこれまでに、COVID-19において特異なCD4+CTLsとDN B細胞が増加し、病態形成に関与することを明らかにしたが、その役割は不明である。本研究の目的は、これらの細胞の役割を明らかにし、治療応用への可能性を模索することである。またこれらの細胞は各種自己免疫疾患(IgG4関連疾患、強皮症)の病態形成(組織障害、線維化、自己抗体産生)にも関与することが示唆されており、本研究はCOVID-19の病態解明のみならず、非ウイルス性疾患を含む多岐疾患に応用できる可能性を秘めている。
著者
Erika Hishida Yuko Ono Kazuho Oe Toshimi Imai Hiromichi Yoshizawa Takeo Nakaya Hirotoshi Kawata Tetsu Akimoto Osamu Saito Daisuke Nagata
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.62, no.16, pp.2381-2387, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
47
被引用文献数
2

We herein report a case of acute kidney injury (AKI) presenting as acute interstitial nephritis (AIN) after the first dose of the BNT162b2 mRNA vaccine against coronavirus disease 2019 (COVID-19). A 69-year-old man with a history of diabetes and hypertension presented with AKI 4 days after receiving the vaccine. Despite the administration of methylprednisolone pulse treatment, his renal function worsened, which prompted us to initiate temporal hemodialysis. His renal function subsequently improved, and a renal biopsy confirmed AIN and glomerular capillary IgA deposition without apparent crescents. The clinical history and histological findings suggest a relationship between severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) vaccination and AIN as a rare side effect.
著者
竹 瀟瀟 田村 照子 小柴 朋子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.64-73, 2017-01-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
8

振動抑制に配慮したブラの設計を目的とし,ハイスピードカメラを用いて,歩行,走行,ジャンプ時の乳房振動を観察した.異なる乳房の大きさの若年女性8 名を被験者として,皮膚粘弾性と乳房の圧縮性を測定,乳房振動との関係を検討した.主たる結果は以下のとおりである.(1)乳房x,z 軸方向の振動軌跡は運動の種類によって特異的であり,乳房が大きいほど上下の振幅が大きい.(2)乳房の上下振動は,いずれの運動においても基体の動きとは時間的なズレを持って振動し,乳房振動には慣性の影響が大である.(3)いずれの運動も平均振幅,速度,加速度は,乳房外側2 点は内側の2 点より大きく,運動中の乳房外側の振動を抑制することが重要である.(4)乳房の大きさと,歩行・走行時の乳房上下・左右方向およびジャンプ時の上下方向の平均振幅,速度との間には,有意な高い正の相関が認められた.歩行・走行時の振幅は皮膚の回復率R7 との間に正の,走行時の振幅は圧縮応力F10mm と負の相関を示し,柔らかい乳房ほど大きく揺れることが示された.
著者
ヨンテル トーマス ストックホルム大学 経済史・国際関係学科 / Stockholm University Graduate School of International Studies
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.20-05, 2020-07

本稿のねらいは第一に、スウェーデンがなぜ、核兵器開発計画を始動させ、莫大な投資を何年も続けたのちに同計画を棚上げしたかを説明することである 。二つ目の、より重要なねらいは、核開発逆転を決める過程で、スウェーデン政府が、核拡散を防止する国際的な法的枠組みを作り出すことに、いかに多くの政治的エネルギーを注いだかを概説することである。スウェーデンは、1950 年代には核開発計画を持っていた。それは、核兵器開発と、原子力発電の双方の目標を、追求しようとするものであった。しかし、1960 年代終盤になると、核兵器の持つ意味が、全く変わってしまい、その結果としてスウェーデンの外交目標も、大きく転換することになった。1970 年までにスウェーデンがNPT を署名、批准したことは、理論上も実際上も、安全保障の概念が大きく変化し、核兵器が防衛と抑止の手段として見られていた状況から、国際安全保障とスウェーデンの国家としての生存への脅威として認識される状態に変化したことを示していた。The purpose of this paper is twofold. The first aim is to explain why Sweden embarked on a nuclear weapon program and why it was shelved after many years of heavy investments. The second, and even more important, aim is to outline the nuclear reversal process in which the Swedish government invested much political will into creating an international legal framework for preventing the spread of nuclear weapons. In the 1950s, Sweden had a national nuclear weapons development program. This program aimed to combine the double objectives of nuclear weapons acquirement and civilian nuclear power production. But by late 1960s, the meaning of the nuclear weapons had changed drastically, and the foreign policy objectives of Sweden changed accordingly. The signing and later the ratification of the NPT in 1970 by the Swedish government meant both in theory and practice that the concept of security had undergone a significant change, from a situation where nuclear weapons where seen as tools for protection and deterrence to circumstances that considered them as threats to international security and Sweden’s own survival as a nation.

187 0 0 0 OA 学士の陰謀

著者
高等探偵協会 編
出版者
中興館書店
巻号頁・発行日
1915
著者
亀田 豊 山口 裕顕 玉田 将文 太田 誠一
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.211-218, 2014 (Released:2014-11-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

表流水中微量放射性セシウム放射能測定法(ADiCS法)を確立した。ADiCS法は前段のPTFE膜による懸濁態セシウムの分離,後段の選択性ディスクによる溶存態セシウムの吸着を連続的に行い,その後PTFE膜とディスクの放射能をNaIシンチレーションカウンターで測定する。作業効率性および分析精度を検討した結果,SS濃度が20 mg•L-1以下の表流水20 Lでは蒸発乾固法より約6倍以上迅速に濃縮でき,検出下限値は約10 mBq•L-1であった。また,ADiCS法測定値は蒸発乾固法測定値の30%の誤差範囲内で一致した。ADiCS法による関東地方の表流水測定の結果,高沈着量地域の表流水から100 mBq•L-1以上の放射性セシウムが検出され,事故後の有意な増加が確認できた。以上より,従来法に比較して本手法は容易に現在および将来の水中放射能や水生生物中蓄積特性を評価しうると考えられた。

186 0 0 0 OA 艱難目異志

著者
浅井了意
出版者
巻号頁・発行日
vol.上,下,