著者
坂本 美徳 吉村 陽 小坂 浩 平木 隆年
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.201-208, 2005-09-10
被引用文献数
3

光化学オキシダント(O_x)の原因物質が週日に比べ週末に減少するにもかかわらず, O_xは増加するというweekend effectと呼ばれる現象が米国等で報告されている。1976〜2003年度の大気汚染常時監視データを用いて, 兵庫県におけるweekend effectの有無を検討した。解析した全13測定局でweekend effectは認められ, 全測定期間をとおした全測定局平均の週日と週末の差は, 一酸化窒素(NO), 窒素酸化物(NO_x)及び非メタン炭化水素(NMHC)はそれぞれ-34%, -27%, -16%であるのに対し, O_xは6%であった。weekend effectは地域差があり, 全測定期間をとおしたO_xの週日と週末の差の最大は尼崎市の11%で, 最小は丹波市の1%であった。O_xの週日と週末の差が最大であった1997年度の尼崎市の曜日別の経時変化で, 週日に比べてO_x濃度が高かったのは, 土曜日の午後及び日曜日の終日であった。兵庫県におけるweekend effectの原因として, (1) NO排出量の減少, (2) O_xの生成条件がVOC-limitedの時のNO_x排出量の減少について考察した。
著者
齋藤 実
出版者
自由が丘産能短期大学
雑誌
自由が丘産能短期大学紀要 (ISSN:18812244)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.73-85, 2006-08-31

大学病院における医療事故が後を絶たない。特に,近年,大学付属病院が特定機能病院の承認を取消されるケースが何件か報告されている。これらのケースの多くは,内部通報制度が不十分であることに,大きな理由がある。そこで,医療事故を防止していくためのひとつの方策として,公益通報者保護法を活用し,病院内の透明性をはかることをあげることができる。その中でも特に重要なのは,院内の通報に頼るのではなく,外部通報制度により医療事故を防ぐことであろう。とはいえ,外部通報を行う場合,公益通報者保護法では,「通報対象事実」の内容,及び外部通報の要件で問題が生じる可能性があるため,外部通報制度に一定の限界があることは否めない。そのため,これらの要件を限定的に考えながら,誠実性の要件で利益調整を図り,外部通報制度の活用を図ることが必要であると考える。
著者
大関 真之 一木 輝久
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

機械学習アルゴリズムの多くは勾配降下法に基づき、その都度パラメータを更新する。その更新に際して極小の谷に落ち込むことがしばしばある。その回避のために熱揺らぎに相当するガウスノイズを導入する、シミュレーテッドアニーリング法、さらには量子揺らぎを導入する量子アニーリング法が物理学サイドからは提案されている。現在投稿中の論文は、深層学習における量子揺らぎの導入によってもたらされる効果の検証を行ったものである。量子揺らぎの導入により、トンネル効果によって極小の谷を超える効果を期待することはもちろんであるが、有限の量子揺らぎにより、谷の中における谷の形状の探索が可能であることが判明した。この形状の探索により、機械学習アルゴリズムの性能指標として最も重要な汎化性能が向上することが判明した。数値実験として極めて汎用的なオープンデータセットについて検証を行ったところ、良好な汎化性能を獲得した。この汎化性能の起源について、解析的検討を行ったところ、極小の周りの揺らぎをガウス分布の形で取り入れており、MM勾配降下法を採用すると、エントロピー勾配効果法として知られる海外の有力グループの手法を系統的に導出することができた。またこの手法は計算リソースを大半に割くため、MM勾配降下法だけでなく簡易的な手法にする他のタイプの近似を導入する可能性についても検討を行った。特に励起状態への遷移を考慮した離散的ノイズを導入すると、対応するフォッカープランク方程式に補正項が加わり、確率分布の形状による改善効果がもたらされることが判明した。この成果も突如得られたものであるため、最終年度である次年度に出版をする予定である。
著者
足立 幸子
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.64-71, 2002-09-30
著者
工藤 真由美
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.18-20, 2009-05

近年子どもの変化が、身体発達、心の発達など様々な点で指摘されるようになってきた。このようななかで、「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」にも示されているように、子どもの遊びの重要性は時代が変わっても変わらないものである。子どもの遊びの重要性を今日の社会環境の中で実現するには、大人の子どもの遊びに対する再考が求められる。まず、自己形成としての遊びは、(1)身体化される遊びであることが重要である。すなわち単に体を動かすだけでなくそのことを通して他者と交わり他者に存在を認められる行為としての身体活動であること。更には(2)身体化された遊びから想像力の世界へとつなげていくことが重要である。すなわち五感を働かせ、そこに無いものや目に見えないものへのあこがれや恐れなど想像力を豊かにすることである。それらは日本の伝承遊びなどに見られるが、まず大人がそのような遊びの価値に気づき、子どもへ働きかけることが重要である。
著者
猪俣 朋恵 宇野 彰 伊澤 幸洋 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.246-253, 2011 (Released:2011-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

漢字学習過程を想定し, 意味を付与した非言語的な図形を繰り返し模写, 再生する長期記憶検査 (図形学習検査FLT;Figure Learning Test) を新たに作成し, 小学校1~6年生の典型発達児75名と発達性読み書き障害児6名に実施した. 典型発達児では FLTの遅延再生得点と漢字の書き取り成績との間に有意な相関関係を認めなかった. 非言語的図形の長期記憶力に明らかな低下がない場合, 非言語的図形の長期記憶力以外の他の要因も漢字書字成績に影響しやすいのではないかと考えた. 一方, 発達性読み書き障害児では, 高学年児においてFLTの遅延再生得点が典型発達児に比べて-1.5SDもしくは-2SD以下と低下していた. また, 繰り返しの学習の効果が十分に得られないという特徴や意味との対連合学習で困難を示すといった特徴がみられた. 非言語的図形の長期記憶力が漢字書字の学習到達度に影響しうることが示唆された.
著者
奈良 由美子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1027-1036, 1995-11-15
被引用文献数
3

The purpose of this series of study is to systematize the theory of Risk Management in Family Life. And this paper aims to examine the possibility as well as problems of the present family risk management theory in the province of Risk Management. The major findings of this paper are as follows : 1) There is significant probability in adapting the risk management theory into the family life to manage enlarged and serious family risks. 2) There are two aspects to the management : an economic system and an interpersonal system. The risk management theory heretofore has been studied, with the aspect of management focussed as an economic system. 3) When the risk management theory is adapted to the whole management process of family life, both aspects should be integrated to study what issues to be taken up for what purpose. It is also necessary to consider the introduction of a risk manager responsible for a systematized risk management, management of speculative risks, and those means and resources other than financial measures for dealing with risks.
著者
春原 則子 宇野 彰 金子 真人
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.10-15, 2005-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
17
被引用文献数
12 7

発達性読み書き障害の男児3例に対して2種類の方法で漢字書字訓練を行い, 単一事例実験研究法を用いてその効果について検討した.3例とも音韻認識力や視覚的認知, 視覚的記憶力に低下を認め, これらが漢字書字困難の原因になっていると考えられた.一方, 音声言語の記憶力は良好であった.漢字の成り立ちを音声言語化して覚える方法 (聴覚法) と, 書き写しながら覚える従来の学習方法 (視覚法) を行い, 訓練効果を比較した.その結果, 効果の持続という点において聴覚法が視覚法に比べて有用であることが示唆された.視覚的情報処理過程に低下がある一方で, 音声言語の記憶力が良好であった本3症例にとっては, 見て写しながら覚えるだけでは十分に漢字書字が獲得できず, 聴覚法が有効なルートとして機能したものと考えられた.
著者
田頭 章徳 久慈 達也 見明 暢 佐久間 華 馬場田 研吾 松本 雄樹 金子 晋也 Akinori TAGASHIRA Tatsuya KUJI Nobu MIAKE Hana SAKUMA Kengo BABATA Yuki MATSUMOTO Shinya KANEKO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

優秀な学生、より上を目指す学生をさらに高いレベルに引き上げる目的で立ち上げたデザインチーム DESIGN SOIL は、教員と学生がともにデザイナーとして参加し、質の高い展示会への出展を軸に活動している。DESIGN SOIL では、参加学生に学生としてではなくプロのデザイナーとして作品を発表し、展示会に臨むことを要求している。2011年度は、家具産業が抱える輸送コストの問題に取り組むべく、「SOUVENIR.機内持ち込みができるパッケージサイズの家具、インテリアエレメント.」をテーマとして作品制作を行い、Salone Satellite 2011 やTIDE EXHIBITION 2011 などの最高峰の選抜展に出展を果たした。展示会では、多くの批評、賞賛を得ることができた。多数の先鋭的な雑誌媒体などに掲載されたのも、純粋に作品が評価されたということであり、大きな成果である。最高峰の展示会への出展を目標としているため、参加学生たちの作品の質は概ね向上した。展示会への参加を通して、大学のカリキュラムだけでは経験を積むことが難しい、展示会でのプレゼンテーションの仕方、取り組む姿勢を目の当たりにし、意識改革ができたことは非常に重要な成果である。次年度以降も活動を継続し、教育の方法論の確立を目指したい。"DESIGN SOIL" is a design team which has launched with the aim of raising talented or ambitious students to higher level. The selected students and young teachers participate as a designer to it and the activities is based on exhibiting in high-quality exhibitions. We require the students to make a design and participate in exhibitions as not just a student, but a professional designer.We developed theme of "SOUVENIR . furniture or interior elements which could be dismantled and stored in a package within the hand-luggage size limit allowed by airlines .", and we have participated in top-level exhibitions 'Salone Satellite 2011' and 'TIDE EXHIBITION 2011'.
著者
富永 五郎 岡田 繁
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.10, pp.375-377, 1956-10-01