著者
井上 耕治
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

レーザー3次元アトムプローブを用いて、MOS構造におけるドーパントの3次元空間分布やhigh-kゲート酸化膜構造について調べた。MOS構造やhigh-kゲート酸化膜構造の3次元アトムマップを得ることができた。ドーパントの種類による違い(ドーパントの偏析の有無やゲート酸化膜への侵入の有無)について明らかにした。high-kゲート酸化膜構造については傾斜構造を得ることができたが、今後詳細について検討していく。
著者
秋山 進午 田 広金 高浜 秀 山本 忠尚 宮本 一夫 大貫 静夫 TIAN Guangjin 郭 治中 郭 素新 谷 豊信 岡村 秀典
出版者
大手前女子大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

〔研究成果概要〕我々は中国内蒙古文物考古研究所(代表:田広金)と共同して、内蒙古涼城県にある湖"岱海"において"遊牧騎馬民族文化の生成と発展過程の考古学的研究"を行った。"岱海"は内蒙古の南東部に位置し,万里の長城の北,僅か10Kmにある。いわゆる"内蒙古長城地帯"のただ中である。湖の南岸の丘陵上には仰韶文化遺跡,北岸には龍山文化とオルドス青銅器文化遺跡が並び,農耕文化と牧畜文化が入り交じる"農牧交錯地帯"である。我々はこの,研究テーマに対する絶好の地点を選び,中国で最初の"地域研究"を行った。[平成7年度]初年度には先ず仰韶文化後期の「王墓山上遺跡」の発掘調査を行い,住居址15基ほかの遺構と土器,石器,骨角器など多数の遺跡を発見した。調査によって,この原始聚落が層位的に2時期に分かれ,また,遺物の研究によって,第2期をさらに前・後に細分することが出来た。[平成8年度]二年目には石虎山I・II遺跡の発掘調査を行った。石虎山遺跡は仰韶文化前期の遺跡で,黄河流域の仰韶文化が北方へ拡大して,この地に初めて農耕をもたらした重要遺跡である。発掘調査によってII遺跡から14基の住居址や多数のピット,墓等を発掘し,後岡一期文化期の聚落の状況を初めて明確にした。II遺跡では聚落を巡る環濠とその中から多数の獣骨を発見し,当時の生活環境研究に貴重な資料を得た。[平成9年度]三年目には飲牛溝遺跡においてオルドス青銅器文化期の墓地を発掘し26基の土坑墓を発掘し,副葬品や犠牲畜骨を発見した。併せて龍山文化期の板城遺跡の考古測量調査と住居址2基を発掘した。以上のように,3か年の調査期間において,この地域における農耕の始まりから,その展開過程,続いて牧畜を主たる生業とするオルドス青銅器文化の牧畜民への交代の様相を追求することが出来た。発掘調査と平行して,東は遼寧省から西は寧夏回族自治区,甘粛省に到る万里の長城に沿って関係遺跡と遺物の調査を行い,研究資料の蓄積に務めた。
著者
望月 茂徳
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

コンピュータ映像処理のみならずセンシングデバイス、ユビキタス技術などを包括する先進的なデジタル技術を基盤とした芸術表現であるメディアアートの制作手法をマルチモーダルでインタラクティブな乳幼児向けのデジタル玩具開発へと応用することにより、乳幼児が自発的な身体運動を引き起こすと同時に養育者が高い関心をもって育児を行えるようなデジタル玩具開発方法とその役割について知見を得ることができた。
著者
波多野 純 野口 憲治 フォラー マティ
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、ライデン国立民族学博物館所蔵の、1830 年頃の日本の町家模型を通して、近世の町家に関する従来の理解を、西欧人の目という新たな視点から見直し、再構築することを目的とする。模型は、実際の町並みを切り取ったのではなく、代表的な町家を組み合わせていた。つまり出島の西欧人は、特徴的な町家に着目し、生業・職種により町家の形式や生活空間が変化することを正確に理解していた。
著者
ユ ゼグン
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では室内環境に適するサービス用ロボットに単眼ビジョンセンサを用いて特徴地図を作成し、自己位置を推定しながら自律走行を実現するのが目標である。まず、1年次に行った単眼カメラの視野角を改善した多視点単眼カメラ(Multi-View Single Camera)と高速ガウスぼかしフィルタ(Fast Gaussian Blurring Filter)を本VSLAM(Visual Simultaneous Localization and Map-Building)のアルゴリズムに適用し、アルゴリズムとロボットシステムの最適化を行った。単眼カメラと距離センサにより構築された特徴点地図とトポロジカル地図を用いてロボットの経路計画と自律走行を実現するためにGNP-SARSA(General Network Programming-State Action Reward State Action)を導入した。GNPは遺伝的アルゴリズムと遺伝的プログラミング,進化的プログラミングを元に作られた進化的計算手法である。また、そのGNPアルゴリズムのなかに決定プロセスを強化するためにSARSA学習手法を加えてロボットの走行シミュレーションを作成した。本研究を通して一般的な経路はトポロジカル地図によるノードで繋がれる全体的な経路を設定し,ロボットの精密な走行の際には特徴点地図によって制御されることが可能となり、また、ロボットの走行の際に静的・動的障害物を油然と回避することが可能になった。
著者
佐藤 義則 竹内 比呂也 倉田 敬子 小山 憲司 三根 慎二 逸村 宏
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

国内 45 機関の参加・協力の下, 2011 年 10 月から 12 月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から 3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も変化しつつあることが明らかとなった。
著者
柄谷 友香
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,過去の災害対応から得た経験や情報を"災害対応ナレッジデータベース(KDDM)"として一元的に集約し,将来的に,国や県,市区町村,企業, NPOなどがWeb等を介して共有・活用できるシステムのデータベース(基盤)を構築した.また, KDDMを用いた実践例として,行政と被災者をつなぐコミュニケーション・ルールのあり方への提言や,過去の災害教訓に基づき,平常時に行われる防災研修のための教材を作成し,自治体や市民,企業, NPOに対して実践した.
著者
大西 宏治 寺本 潔 田部 俊充 志村 喬 水野 惠司
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

子どもの地域安全マップの作成カリキュラムと防犯教材の開発に地理教育の視点から取り組んだ。日本では景観から犯罪危険性を読み取る教育として地域安全マップづくりが行われている。英語圏の取り組みを見る限り、このような防犯学習は少なくとも地理教育の観点からは日本のユニークな取り組みであることがわかった。カリキュラムは小学3年生程度で実施するまち探検を利用して、景観に危険を読み取る技能の育成から始める。次に、交通事故やその他の危険を地図から読み取る学習、最後に地形図などから地域の防災を取り上げる。このように景観や地図を読み取る技能を段階的に身につけていくことが、地域の安全や危険を読み取る技能の育成にもつながるであろう。
著者
岡本 肇
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、市民版マスタープラン(以下「市民版MP」)を従来の提案手法としての活用だけでなく、市民自身のマスタープランとしての市民版MPの作成・活用方法を探求する研究である。研究成果として、既に市民版MPが作成されている13事例に対する調査による市民版MP作成後の活用の評価や、現在作成中の市民版MPの作成プロセスへの観察調査の分析によって、市民版MPが様々なまちづくりの場面で市民自身のマスタープランとして活用できうることを実証した。
著者
秋山 佳丈
出版者
東京農工大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では、昆虫の心臓である背脈管組織を駆動源するマイクロロボットの創成およびその制御法に関する検討を行った。シリコーンゴム製のマイクロ構造体へ背脈管組織をアセンブリすることで、自律的に一定方向に移動するマイクロロボットの創成に成功した。また、オプティカルフローにより背脈管の拍動を数値化し、その値に基づき電気刺激を行うことで、背脈管の拍動を一定に維持できることを示した。
著者
北山 兼弘 岡田 直紀 清野 達之 蔵治 光一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

赤道付近では、東西太平洋を結ぶ大気循環であるウォ-カ-循環によって、対流圏に沈降逆転層が形成される。沈降逆転層付近では気流の沈降による強い乾燥が生じ、植物に大きな乾燥ストレスを与える。本研究では、沈降逆転層の高度や乾燥の強さがどのように植物に影響を与えるのかを解明した。西太平洋ボルネオ島の熱帯高山では森林限界が高標高(3,300 m)に、東のガラパゴス諸島では森林限界が低標高(1,000 m)に出現した。また、森林限界は、どちらにおいても最も強い乾燥が生じる標高の下限と一致していた。このことから、ウォ-カ-循環における沈降逆転層の存在が森林限界の決定に強く関わっていることが示唆された。
著者
高橋 栄一 加藤 進 佐々木 明
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年、高層大気中に観測され注目を集めているスプライト放電に類似した拡散と分枝構造を併せ持つ放電を一様電界中の予備電離分布をUVレーザーにより制御することで再現した。分枝の有無は初期の予備電離密度に強く依存することが分かった。高層大気中でもその様な密度分布の存在が予想される。また、放電の時間発展をナノ秒の時間分解能を有する超高速マルチフレーミングカメラをストリーマ放電に初めて適用することにより、分枝の発展の様子の詳細を明らかにした。その結果、成長を続ける分枝の止める分枝の存在、電離度が高い領域では放電の波面が一様な伝搬をしていても電離度が低い領域に進展すると分枝が形成されたこと、いくつかの分枝のうち一つが反対側の電極に到達すると短絡するが残りの分枝の先端はそれでも伝搬を続ける、あるいはその短絡して形成された短絡路に向かって再結合をした振る舞いから、分枝の形成機構は成長界面の不安定性に類似のものと考えられる。
著者
安原 洋 小見山 高士 新本 春夫 布川 雅雄 重松 宏 久保 淑幸 畠山 卓弥 大城 秀巳
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

再潅流障害における微小血管透過性の亢進と浮腫発生は局所の障害程度を推定するうえで重要なパラメータのひとつとなる.一方,四肢や腸などの重症虚血障害成立には微小循環下での組織の全血流量よりも血流の組織内分布がより大きな役割を演じていることが知られている.今回,われわれは再潅流障害の重症度を推定するパラメータとして,微小循環における浮腫発生部位の血流分布測定の有用性を実験的に検討した.微小循環モデルとしてはhamster cheek pouchを用い,生体顕微鏡下でpostcapillary venulesのアルブミン透過性を観察した.血管透過性は血管周囲に漏出した標識アルブミンの発する蛍光輝度で測定した.再潅流障害の発生はpostcapillary venules内腔における内皮細胞への好中球の付着をもって確認した.再潅流障害の発生が確認されたぶいでは透過性亢進血管が有意に不均一な分布をすることが観察され,生体顕微鏡を用いた微小循環の浮腫分布パターン解析が組織障害推定の有用なパラメータとなりうることが示唆された.
著者
小平 聡
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

宇宙放射線の主成分である高エネルギー陽子から鉄に至る荷電粒子群は宇宙で活動する宇宙飛行士の放射線被ばくに大きな影響を持つ。宇宙における被ばく線量としては、宇宙放射線などの一次粒子成分のほかに、宇宙放射線が衛星構体や人体内の構成元素と核破砕反応を起こすことで発生する二次粒子成分も重要な要因となる。近年、陽子線と人体内元素との標的核破砕反応で生成する二次粒子成分の線量寄与が問題となっている。CR-39固体飛跡検出器はこれらの二次粒子成分も飛跡として記録するが、従来の計測法では、エッチング処理が短飛程粒子の飛程を超えてしまい正確にLETが計測できない、LETが高すぎると応答感度が飽和してしまう、炭素や酸素などの高フラックス宇宙放射線のバックグラウンドが大きくなる、などの問題点があった。本研究では短飛程粒子の飛程を超えないごく微小のエッチングにより生成した極微小エッチピットの原子間力顕微鏡を用いた計測技術や、CR-39の応答感度を高LET領域に最適化しLET検出閾値を制御する計測技術を確立した。要素技術を用いて陽子線由来の短飛程二次粒子の測定実験の結果、短飛程二次粒子のLETは20keV/μm~4000keV/μmの広域にわたり連続分布を持ち、線量当量で1次陽子線の30~40%程度の余剰線量を持つにとを明らかにした。本研究において確立した二次粒子計測技術は、宇宙放射線場だけでなくがん治療用の粒子線やX線照射によって生じる二次粒子による医療被ばく影響研究に応用できるようになった。
著者
平田 聡 森村 成樹 山本 真也 明和 政子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヒトの知性を進化的観点からとらえたとき、特に社会的知性の領域において著しく進化しているという主張がなされるようになった。この点について、ヒトに最も近縁なチンパンジーを対象とした比較研究によって検証した。アイトラッカーを用いた視線計測による研究である。その結果、世界の物理的な特徴認知に関してはヒトとチンパンジーとで大きな差はないが、他者の動作の背後にある意図の理解のような心的側面の認知においてはヒトとチンパンジーで顕著に異なることが示された。
著者
梅根 健一
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1と略す)は以下の特徴をもつ。(1)HSV-1はmaster herpesvirusであり、HSV-1の基礎研究は、最先端レベルで遂行されている。(2)HSV-1はヒトの重要な感染性病原体であり、ヒト集団の80-90%がHSV-1に感染しており、ヘルペス脳炎や角膜ヘルペス(失明の最大の原因)のような重篤な結果を引き起こす。HSV-1のゲノムDNA成熟機構について以下のことが判明している。(1)DNA成熟部位(シス因子)としてのa配列が、HSV-1DNAの複製後に切断され、ウイルス粒子中にウイルスDNAが包み込まれる(DNAゲノムの成熟)。(2)DNA成熟に関与する遺伝子(トランス因子)として、10余りのHSV-1遺伝子の必要性が判明して、細胞遺伝子としてTAF_<II250>遺伝子の必要性が知られている。<研究の概要>HSV-1のDNA成熟において、中心的役割を担っているのはa配列である。しかし、a配列のDNA配列は分離株ごとに大きな相違が認められ、どの配列がどのような影響をDNA成熟に及ぼしているのかの判断に、困難を伴う状況にある。また逆に、それらの相違の存在から、a配列の機能の必須部分を抽出することが可能となり得る。そこで本研究では、a配列のコンセンサス配列を明らかにすることを目的として、以下のことを行った。(1)研究対象とするHSV-1株の選定:我々は、数百株のHSV-1株についてのDNA多型情報を持つ。これらの株から、DNA多型に関して多様性の確保を考慮しつつ、HSV-1株を30株選択した。(2)HSV-1株DNAの抽出:選択されたHSV-1株を培養細胞にて増殖させ、ウイルスDNAを抽出した。(3)HSV-1株a配列の分子クローニング:抽出されたHSV-1DNAを制限酵素で切断の後に電気泳動し、a配列を含むDNA断片を電気泳動ゲルから回収し精製し、クローニングベクターへ挿入し、a配列を分子クローニングした。(4)a配列のDNA配列の決定:分子クローニングされたa配列のDNA配列を決定した。(5)以前に報告されたものとは異なる、構成パターン又はDNA配列を持つ、a配列の存在が判明した。
著者
ギュヨン オリビエ 高見 英樹 高見 英樹
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではすばる望遠鏡用のコロナグラフィック究極補償光学系(SCExAO)の開発を行った。すべての鍵となるコンポーネントの製作を行い、実験室において可視光で全体として性能試験を行い、目的の性能が達成されていることを確認した。これはすばる望遠鏡用の新補償光学系AO188と太陽系外惑星検出用のコロナグラフカメラHiCIAOに取り付けるものであり、そのための取り付け治具の製作を別途すすめ、2010年に望遠鏡に取り付けての観測を予定している。
著者
坂野 秀樹
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.補間方法の評価・検証音声補間の応用の一つである音声モーフィングは、通常、異なる話者間の補間を行うが、話者間の音声特徴量の違いが大きいため、劣化も大きい上、劣化の原因も特定しづらい。そこで、本研究では、異なる話者間に比べて難易度の低い、同一話者・同一発声におけるモーフィングについて検討し、問題点を明らかにしてきた。特に、同じ発声内容でもスペクトルや基本周波数の変化に富む感情音声並びに、テンポや音程が保たれているため話声よりも扱いの容易な歌唱音声の補間・モーフィングについて検討している。今年度は、より広範なデータを用いての補間方法の検討・評価を行った。特徴点の設定方法を検討する中で、我々は声道断面積関数を利用したスペクトルの補間方法に関する手法を開発した。更なる高品質化のためには、より詳細な検討が必要であるが、極めて柔軟な補間が可能な手法となり得ることが確認されている。2.音声補間を利用したシステムの構築デモシステムの構築及び評価を行った。感情モーフィングを利用した中間的な感情を生成するシステム、入力歌唱音声のテンポを変更して合成するシステム、入力した音声のスペクトル及び基本周波数を実時間で変換して高品質な合成を行う実時間声質変換システムなどを構築した。特に、実時間声質変換システムについては、主観評価実験等による評価を行った結果を論文として投稿し、採録が決定している。このシステムに用いられている分析合成部分では、高品質音声分析合成方式であるSTRAIGHTをベースとしたものを用いているが、高速化や様々な工夫の導入により、実時間処理が難しいと言われていたSTRAIGHTの実時間処理を可能としている。この分析合成部分の評価を行った所、元のSTRAIGHTに比べれば劣化するものの、既存の分析合成であるケプストラムボコーダに比べて主観評価値のMOSにおいて1程度の品質向上が見られている。
著者
松本 文夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

小型・分散・連携型の空間群からなる「領域型ミュージアム」のシステムデザインについて、建築・都市・情報の3つの視点から研究を行った。建築系研究では空間の小型化の手法を検討し、各種の展示空間ユニットの企画開発を行った。都市系研究では施設の分散配置のあり方を検討し、東京丸の内や札幌の領域型ミュージアムの配置案を検討した。情報系研究では空間の相互連携の手法を検討し、i-Compass(自分専用のコンパス)というiPhoneアプリケーションの試作開発を行った。
著者
森際 康友 松本 恒雄 長谷部 恭男
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

研究代表者の森際康友が研究統括の他に、法曹倫理基礎理論と教育方法の開発に取り組み、研究分担者の松本恒雄が私法および司法の観点から、同長谷部恭男が公法および人権教育の観点から法曹倫理の研究・教育に関わった。その研究成果および教育実践・方法開発の報告を内外の国際会議で行った。たとえば、最終の2010年度には、森際が蘇州及び北京で編著の教科書の中国語訳出版を記念した招待講演を行い、6月末にはアンカラでトルコ弁護士会連合主催による弁護士倫理の国際シンポジウムを企画・報告し、7月には第4回国際法曹倫理会議(スタンフォード大学)にて比較裁判官倫理のパネルを企画し、報告した。8月には長谷部がオスロで、9月には森際がハイデルベルグで、10月にはパリで研究発表を行った。12月には森際がドイツ裁判官アカデミーで裁判官倫理の哲学的基礎について講演した。2011年2月には、東京で、「職域拡大時代の弁護士倫理」と題して次期研究計画を視野に入れつつ3年間の研究を総括する国際会議を企画・開催した。この間、森際は法科大学院における法曹倫理コアカリキュラム策定に携わるとともに、それに対応した教科書の改訂作業を行った。また、長谷部・森際はCCBEにおける欧州弁護士倫理統合作業について調査し、その成果をジュリスト誌上で発表した。これを含めて研究成果の出版数は雑誌論文21編、図書3冊である。教育研修実践については、森際が毎年ドイツ裁判官アカデミーで裁判官の倫理研修を行ったほか、本務校以外に学習院大学、ルンド大学(スウェーデン)で法曹倫理の講義を行った。こうして「法曹養成における職業倫理教育の理論と方法」を開発する研究と教育研修を履践した。