著者
大庭 重治
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.254-262, 2008-02

小学校における一斉指導をうけても、平仮名の読み書きを十分に習得できない児童が存在している。このような子どもたちに対する学習支援においては、読み書きの状態を的確に把握し、その状態の背景にある認知特性を理解した上で、具体的な支援方法を選定していかなければならない。しかしながら、読み書き障害児に対する支援の歴史が浅いわが国においては、このような対応は極めて不十分な状況に留まっているといえる。そこで本稿では、平仮名の書字に焦点をあて、それに関連する従来の研究成果を概観し、合わせて今後の支援に向けた検討課題を整理した。特に、書字状態を把握する際の手がかりとなる書字遂行過程モデルの構築の必要性、子どもの認知特性を理解するための体系的な検査法の必要性、内発的動機づけに基づく書字支援の重要性などを指摘した。
著者
石井 徹
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

我々はふだん、一方では他者と向かい合って協力したり、逆に競争したりしている。しかし他方では結構長い時間、他者に身を委ねたり、逆に自己を主張したりして暮らしている。前者を「向かい合う信頼」、後者を「並んで座る信頼」と呼ぶ。本研究は、Garfinkel(1963)を直接の起源とする。一度崩壊した「信頼」を放ったとき、あらたにどのような「信頼」が生まれるかを探った。本研究は仮想状況を用いた実験的調査である。すなわち(a.)パーソナル・コンピュータのディスプレイ上に展開する仮想迷路と仮想アドバイザーへの対応データに基づいた(b.)具体的な意志決定パターンの変化から、(c.)信頼の形成・崩壊過程を実証的に描き出すことを試みた。本研究は平成6年度から平成8年度にかけて、実験による資料収集とその基礎解析を行った。また平成8年度は、さらに全体的分析を行った。被験者は132名(6年度49名、7年度45名、8年度38名)。18歳から25歳までの男女大学生(男子45名、女子86名)および男子社会人(38歳)1名。練習試行の後、被験者は、5回迷路をさまよった。被験者は第4試行と第5試行では迷路内に発生する「火災」を避けながら脱出した。このとき行われる「相棒」の誘導を受け容れるか否かは自由だった。第4試行で火災に3度遭遇し脱出に失敗した98名(男子28名、女子70名)のデータを分析した。分散分析の結果から、第5試行において被験者が第4試行と同様の誘導パターンを示したことを見いだした。これは特に第5試行の第2四半期以降に現れた。既知のものに対する安心と、心理的慣性の法則という二つの観点を提案し、直前に脱出失敗をもたらした意志決定パターンを被験者が再度くり返した現象について考察した。
著者
小川 ソノ 奥窪 朝子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. II, 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.89-97, 1974

小学生1年から6年まで1,386名(男子702名,女子684名)を対象とし,着衣の選択における主体が学童であるか否かについての実践状況を,質問紙法により調査した。取上げた項目は,A)通学用衣服についてのデザインや色の選択,B)家庭用衣服についてのデザインや色の選択,C)通学用衣服についての寒暖に対する調節,D)家庭用衣服についての寒暖に対する調節である。いずれの項目においても男女とも,高学年になるに従い自分で行う者が増加,母へ依存する者が減少し,着衣調節における自主性の発達が認められた。自分で行う者の率は,男女,各学年ともAが最も低く,Dが最も高い。低学年では男女ともAに次いでCが低く,外出時の着衣調節における自主性の劣りが認められた。中,高学年においてDに次ぐ高率を示したのは,男子ではC,女子ではBであり,また,Bの率は女子が男子よりも高く,男女差が認められたのは興味深い。全項目を通じてのおおよその傾向を示す目安として算出した着衣調節指数をもとに,男女差をみると,自分で行う者(着衣調節指数83~100)の率は,低学年では有意差が認められなかったが,中,高学年では女子のほうが男子より高く,女子での着衣調節における自主性は,男子よりほぼ1学年早い発達を示していた。6年男子の41%に対し,女子のそれは62%であった。しかし,着衣調節指数が100に達した学童の率は,最高を示した6年女子においても20%に過ぎず,着衣調節における自主性の発達は遅れているように思われる。一方,母親が職業を持たない学童,ひとりっ子や末っ子,母親が高令である学童において,母へ依存する者の率が高かった成績は注目すべきであろう。A survey on the children's growth of independence in choosing of clothes was carried out by questionnaire to 1386 pupils (702 boys and 684 girls) from the first-year to the sixth-year. In questionnaire we dealt with four items to choose clothes; A) design and color of a school wear or uniform, B) design and color at home, C) school wear suiting to climate, and D) home wear suiting to climate. With the advance in school grades, both boys and girls who themselves choose clothes increase in rate, and the rate of children who depend on their mothers in choosing clothes decreases in every item. Even in the sixth-year girls the parcentage of pupils who themselves choose clothes in all the items is only 20% and it is the highest value in this survey. Then it is suggested that children's growth of independence in choosing clothes is slow. The rate of children themselves choosing clothes is highest in the item D and lowest in A in any of the lower, middle or upper grades. In the lower grades the item C shows to be low next to A. Therefore it reveals that children's independence in choosing outdoor clothes is inferior to the case of choosing home wear in both boys and girls. The rate of pupils who themselves choose clothes in all the items or wish for just a little help of their mothers in some items is higher in girls than in boys in the middle and upper grades, and then girls' growth of independence in choosing clothes is found to be superior to boys' one by about one school year, while no significant difference is recognized between boys and girls in the lower grades. On the other hand, the rate of depending on their mothers entirely or almost entirely in all the items is higher in the case of pupils whose mothers have no occupation or are advanced in years, andor who are the only or the youngest.
著者
門野 敏彦 重森 啓介 弘中 陽一郎 佐野 孝好 藤岡 慎介 境家 達弘 杉田 精司 黒澤 耕介 大野 宗祐 松井 孝典 中村 昭子 荒川 政彦 近藤 忠 藪田 ひかる
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

高出カレーザーを用いてサブミリメートルサイズの弾丸および平板飛翔体を加速した.従来の加速方法ではこのサイズの飛翔体は秒速数kmまでしか加速できなかったが,本研究では秒速10km以上(最高秒速60km)に加速することに成功した.この技術を使って岩石標的に対して超高速度衝突実験を行い,衝突によって発生する高圧状態での岩石物質の状態方程式,高圧から解放後に発生する蒸気の組成や熱力学状態,クレーターサイズ,放出破片,クレーター深部の状態,など,これまで全く実験的データの無かった未知領域での知見を数多く得ることが出来た.
著者
平 孝臣 堀 智勝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.316-322, 2005-05-20
被引用文献数
1

書痙は上肢の局所ジストニアで, 大脳基底核などの機能異常によることが明らかにされている.しかし, 現在でも多くの医療者は書痙を心因性疾患と考え, 心理療法や抗不安薬で治療することが多い.ただ, このような保存的治療の効果は乏しい.同様の症状はピアニストなどプロの職業人にも多くみられ, 職業予後はよくない.書痙が心因性とみなされてきた背景には, ある一定の動作時のみ出現し他にはまったく症状ないこと(task-specific)が挙げられるが, これがジストニアの特徴の一つである.ジストニアでは動作特異性(task specificity), 症状の常同性(stereotypy), 感覚トリック(sensory trick)がみられる.書痙はジストニアのうちでも最も難治で, 欧米では異常緊張する前腕などの筋にボツリヌス毒素を局所注射する対症療法が一般的である.しかし本邦では頭頸部以外のジストニアに対する適応がない.これまで書痙に対して定位的視床核凝固術で良好な結果が得られた症例報告がいくつかあり, この数年筆者らは上肢の局所ジストニアである書痙に対して視床Vo核凝固を行い良好な結果を得ているので紹介する.
著者
本勝 千歳
出版者
宮崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではヒュウガナツ枝変わり系統である'西内小夏'の生殖特性を明らかにするために受粉試験、果実の形質調査、胚珠および種子成長の組織観察を行った。まず、普通系ヒュウガナツ(普通系)、'西内小夏'、ハッサク、スイートスプリングを種子親として、'西内小夏'ならびに普通系、ハッサクの花粉をそれぞれ受粉し、結実率、果実成長を調査した。その結果、'西内小夏'を花粉親として使用した場合、全ての種子親について果実が得られた。一方、'西内小夏'×普通系は受粉後10週目までにすべて生理落果を起こした。ヒュウガナツの自家不和合性が雌ずい側と花粉側の複数の因子に関係していると仮定するならば、この普通系と'西内小夏'の正逆交雑の結果から、'西内小夏'は花粉側因子に何らかの異常が発生したと考えられた。また、収穫果の含有種子についてみると、各種子親における'西内小夏'花粉受粉果は、他の花粉受粉果と比較して完全種子数は有意に減少し、しいなの数は有意に多くなった。種子親が普通系および'西内小夏'の場合、'西内小夏'花粉を受粉して得られた果実内の種子はほとんどしいなとなったのに対して、種子親がハッサクおよびスイートスプリングでは正常種子としいなが果実中に混在して確認された。特に種子親がハッサクの場合は、一つの果実内に見られる正常種子としいなの割合が、果実毎によって異なっていた。次に普通系ヒュウガナツおよび'西内小夏'の果実発育中の種子を取り出して観察したところ、種子のしいな化は受粉後8週目〜12週目の間に起こっていた。胚発生の組織観察の結果、'西内小夏'受粉果において胚の初期成長が観察されたことから、'西内小夏'花粉受粉果でも受精がおこるものと推察された。しかし、受粉後8週目〜12週目にかけて胚の異常発達や胚の消失が確認され、このことが種子のしいな化に影響していると考えられた。
著者
伊達 洋至 小池 薫 板東 徹 庄司 剛 陳 豊史 藤永 卓司 岡本 俊宏 佐野 由文 大藤 剛宏 山根 正修
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、京都大学(呼吸器外科および救急医学分野)と岡山大学(呼吸器外科)の共同研究により、心停止ドナーからの肺移植臨床応用をめざすものである。体外肺還流(ex-vivo lung perfusion, EVLP)の実験系を用いて、両大学で大動物実験を継続した。京都大学では、EVLP還流液としてのET-Kyoto液の有用性とEVLPによる肺水腫を来したグラフト肺修復の可能性を報告した。一方、岡山大学では、EVLP中に吸着膜を使用して炎症性サイトカイン(TNFαとIL-8)を除去する効果を検討し、サイトカイン以外の因子がグラフト肺の傷害に関与している可能性を示した。
著者
伊藤 光利 (2006) 五百旗頭 真 (2005) VICTOR KUZMINKOV
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

研究の第2部を構成するソ連解体後,エリツィンとプーチン時代の日ロ関係について研究を行った。まず,特徴なのは,ソ連時代と異なって新生ロシアと日本には,民主主義と市場経済の原理を信頼するという共通の価値観ができたことである。ソ連の解体とともに戦後に形成された二極支配の国際体系が崩壊し,日ソ間に存在したイデオロギーと体制上の対立がなくなった。第二に,1992年に登場したビル・クリントン政権はこれまでロシアに対して消極的であったブッシュ政権とは異なったロシアにおける民主化を積極的に指示することにした。また同盟国の日本の対ロシア政策の変化を求めた。第三に,国際情勢が変化するなかで,エリツィン・橋本の間で日ロは幅広い協力関係への転換を試みた。ロシアの政策が欧米との協調だけではなく,プリマコフ外相の下でアジアとの協力をも求める政策へと転換した。これを受けて日本はロシアに対する政経不可分の原則に基づいた「拡大均衡」政策から,更なる幅広い関係の発展を目指す「重層的アプローチ」の政策へと進んだ。日本政府は,アジア太平洋地域における安全保障のために,強いロシアの必要性を認めた上で,ロシアをG8の正式メンバーとして歓迎した。そしてエリツィンと橋本の両首脳の間に信頼関係が築かれ,それを基礎として,両首脳はクラスノヤルスクと川奈の非公式会談において画期的な合意を達成し,日ロ関係を新たな協力関係の段階に乗せた。しかし,二人のリーダシップによって築かれた日ロ関係はリーダの退場によってモメンタムを失い足踏みすることになった。日ロ両国を分断する国際構造は消えたが,両国共通の関心と利益を築くことは容易ではなかった。
著者
礒崎 初仁 田口 一博 金井 利之 田口 一博 阿部 昌樹 礒崎 初仁 伊藤 正次 亀井 源太郎 阿部 昌樹 伊藤 正次 亀井 源太郎
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

自治体の不祥事は多様であるが、(1)組織的不正行為、(2)組織的失敗行為、(3)職務上の個人的不正行為、(4)職務外の個人的不祥事に分けられる。その原因としては、(1)職務の複雑さと責任の拡大、(2)人材育成不足と職務環境の劣化、(3)社会からの要求の厳格化等がある。そこで対策としては、(1)事務執行の手続整備、(2)検査・監査体制の実質化、(3)関係者通報の促進、(4)人事政策・組織改革が必要である。今後の法令遵守には、(1)地方分権による決定権の拡大、(2)政策法務の発想の浸透、(3)情報公開・説明責任の仕組みが重要である。法令遵守は、自治体の自己改革と住民自治を促進する意味をもつのである。
著者
Bauer Tobias
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.23-40, 2010-03-25

本稿は、「脳死・臓器移植」問題に対するドイツ福音教会(EKD)の立場について分析を試みるものである。1997年の臓器移植法の可決以前にも、ドイツ福音教会はドイツのカトリック教会と共同で、脳死・臓器移植に関する基本的な見解を二度にわたって公にしている(1989年及び1990年)。その見解の中で、ドイツ福音教会は「脳死」を基本的に認め、臓器提供が隣人愛の行為になり得るとして、移植医療を肯定的に評価した。本稿は、脳死・臓器移植をめぐる福音主義神学の議論ではなく、ドイツ福音教会が教会として取った公式見解を検討し、「脳死」というコンセプト、臓器提供、臓器摘出、移植術を受けること等に関する教会の論証のありかたを分析しようとするものである。移植医療を肯定的に評価するに至るまで、いかなる論証が行われ、キリスト教の教義及び聖書がどのように解釈し直されたのか、それに伴って、1989年と1990年の見解から現在に至るまで、福音教会の立場がいかに発展してきたのかという点についても考察する。
著者
福永 伸哉 高橋 照彦 寺前 直人 清家 章 都出比 呂志 伊藤 聖浩 禹 在柄 朴 天秀 ロラン ネスプルス
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、おもに1990年代以降の新たな考古資料の分析と効果的なフィールドワークを結合させることによって、古墳時代政治史を考古学的に考察した。その結果、弥生終末期から古墳後期まで、中央性を持つ政治権力が畿内地域に一貫して存在したが、その内部では主導権の数度の移動が認められ、これが「政権交替」と呼ぶべき政治変動であったという理解に到達した。そして、この政治変動の背景には、大和盆地と河内平野に基盤を置く2つの地域集団の対抗関係が存在したのではないかという仮説を提示した。
著者
吉川 左紀子 中村 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1324-1331, 1997-08-25
被引用文献数
7

相手の顔の表情や, 性別, 年齢が話し手の発話行動にどのような影響を及ぼすのかを実験的に検討した. 48名の被験者(「話し手」)が, ディスプレイに提示される大学生または40代成人男女の顔写真(笑顔, 真顔, 怒り顔)に対して, (1)ペンを借りる, (2)道を尋ねる, (3)車をぶつけて謝る, (4)うるさい隣人に抗議する, という四つの発話状況で話しかける課題を行い, そのときの発話行動をビデオカメラで記録した. 発話行動は, 発話の文節数, 発話のていねいさ, 発話開始までにかかった時間, 発話の流ちょうさ,「話しかけやすさ」と「発話の自然さ」の自己評価(被験者による評定)という6種の指標によって分析した. その結果, 相手の顔の表情は, 発話表現のていねいさや発話開始時間, 流ちょうさ, 話しかけやすさ, 発話の自然さといった発話行動のさまざまな側面に影響することがわかった. 一方相手の年齢や性別は, 話しかけやすさや発話の自然さについての主観的評価には影響を及ぼしたが, 発話開始までの時間や流ちょうさといった遂行指標には影響しなかった. コミュニケーション場面における時間的制約の中での顔の認識の特徴について考察した.
著者
金崎 雅之
出版者
九州産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

政策決定過程の応用ミクロ経済分析として、政治献金と情報が政策決定、ひいては住民の厚生に与える影響を明らかにした。さらにこの観点から地域間の統合の可能性を明らかにした。また、官僚の将来利得獲得の誘因と政治家の再選の誘因が両者の政策にまつわる業務を行う上での努力水準の決定に与える影響を明らかにし、さらに政策決定に関する権限の配分の決定権の所在の在り方を制度の違いとして捉え、それら制度の違いが政治家や官僚の政策業務上の権限分割と投入する努力に与える影響について分析を加えた。
著者
山川 百合子 井出 政行 武島 玲子 河合 伸念 片野 綱大 松坂 尚
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.75-81, 2008-03

統合失調症の治療は、抗精神病薬による薬物療法が重要である。特に地域リハビリテーションでは薬物治療の維持の方策が重要である。今回、統合失調症の30歳女性がオランザピン口腔内崩壊錠の投与により長期の精神状態の安定化とともに就労が可能となった一例を報告した。これにより薬剤の形状の変化が社会復帰に貢献する可能性が示唆された。