著者
岡山 聖彦 山井 成良
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ソフトウェアの不正コピー対策として、組織保有のPCにインストールされたソフトウェアの厳格な管理が求められている。しかし、既存の管理システムでは対象となるPCの管理者権限を要するため、大学のようにPCの利用者が管理者であるような環境では、確実にソフトウェア情報を収集することが困難である。これに対し、我々の研究グループでは認証・アクセス制御システムと連携するソフトウェア資産管理システムの研究開発を進めており、当該研究期間においては、実用化のための機能強化および機能拡張を行う。
著者
内田 直文
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

本年度は皇帝と臣下との間で直接交わされた奏摺がいつ如何なる政治的要因で、使用されるようになったかを、(1)清代康煕年間における奏摺政治の展開(九州大学東洋史論集、2005年5月、第33号)、(2)清代康煕27政変再考(東方学、2006年7月、第112輯掲載予定)の論文において明らかにした。さらに、それについて(1)九州大学東洋史研究室定例会において、「清代康煕朝奏摺政治と地域社会」と題する口頭を2005年11月20日に、(2)財団法人東洋文庫談話会において「清代康煕朝奏摺政治の展開と地方社会」と題する口頭発表を2006年3月24日に行った。また、台湾・中央研究院台湾史研究所、及び歴史語言研究所へ訪問研究員として受け入れをしていただき、資料調査・学術交流を行った。中央研究院歴史語言研究所所属の傅斯年図書館は、明清時代の公文書を整理した内閣大庫?案を所蔵しており、清朝の政務決裁過程を検討する上で、その資料の収拾分析は大いに有益であった。さらに、同院近代史研究所所属の郭廷以図書館が所蔵する財政類の奏摺は、台湾故宮博物院図書文献館が所蔵する宮中档案とともに、清代奏摺政治の展開や、清朝の公的政務決議機関として18世紀の乾隆時代に成立した軍機処について考察する上で欠かせない資料であったが、受け入れ期間中の調査により、充分な資料収集を行うことができた。さらに、国立国家図書館には貴重な満洲語資料が多数収蔵されており、それらの収集を行った。台湾の研究環境は申し分なく、報告者の研究を進展する上で大変有益であった。中央研究院台湾史研究所・歴史語言研究所受け入れ期間中に収拾した資料を活用した研究成果の一部は、本年度中の研究発表に示した研究業績に反映されているが、今後さらなる検討分析を加え、研究成果を公表していきたい。さらに台湾での学術交流を通じ、文献でしか知ることのなかった諸先学と面識を持つことができ、様々なご指導をいただいた。短い期間ではあったが、研究活動を通じて培った交流は、今後、報告者の研究において貴重な財産となると思われる。
著者
福島 孝典 岡本 敏宏 安藤 伸治 藤川 茂紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高効率有機薄膜太陽電池へ向けた材料設計では、電子およびホール輸送性を示す分子をそれぞれナノサイズの集団として区画化し、広い接触面積をもって接合させる手法の開拓が鍵となる。本研究では、一つの理想系として、構造明確なナノスケールの異種分子集合体を一次元で精密接合した物質を世界で初めて実現した。さらに本研究過程において、複数の液晶発現基を側鎖に導入した高分子が大面積集積化する現象を偶然見出し、その発見に基づき、新たな光エネルギー変換材料を開発した。
著者
吉野 博 長谷川 兼一 岩前 篤 柳 宇 伊藤 一秀 三田村 輝章 野崎 淳夫 池田 耕一 岸 玲子 持田 灯
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ダンプビルの原因となる高湿度環境を解決するための最適設計法・住まい方の提案に資する資料を構築することを目的とする。そのために、住宅のダンプビル問題の実態を全国的規模で把握し、居住環境と居住者の健康状態との関連性を統計的に明らかにした。また、室内の湿度変動を安定させる機能をもった様々な多孔質の建材(調湿建材)等の高湿度環境緩和技術の使用効果について、実測やシミュレーションを用いた評価を行った。
著者
岡田 信弘 高見 勝利 浅野 善治 只野 雅人 笹田 栄司 武蔵 勝宏 常本 照樹 佐々木 雅寿 加藤 一彦 稲 正樹 木下 和朗 新井 誠 齊藤 正彰
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

衆議院と参議院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ国会」が出現した結果、日本の国会における立法活動は混迷状態に陥った。本共同研究は、この混迷状態の制度的・政治的要因を探りつつ、そうした状態を解消・克服するための方策を従来の二院制に関する憲法学的研究とは異なった視角からの分析を通して明らかにすることを試みた。具体的には、従来の類型論的・解釈論的研究に加えて、統治構造論を視野に入れた実証的な比較立法過程論的研究を実施した。
著者
今泉 飛鳥
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、第二次世界大戦以前の東京府の機械関連工業を対象に、経済発展に産業集積の存在がもたらした効果とその変化を明らかにすることである。本年度は分析結果を博士論文等の形でまとめる計画であった。実際に11月末に博士論文を提出し、3月に学位の認定を受けた。今年度中の研究の具体的内容は主に以下の4点であり、すべて上記博士論文に収録されている。(1)先行研究のサーヴェイと研究枠組みの整理本研究の土台となる先行研究整理を行った。そこでは特に人文地理学の分野の研究を参考にしながら、空間経済学と近年の産業集積論双方に目を配り、集積地から集積内企業が受け取り得る効果を「集積のもたらすメリット」として総合的に整理した。比較的狭い範囲の産業集積内部に注目してきた従来の集積論を客観化することにより、産業集積と広域の工業分布や「都市化の経済」との関係を論じる足掛かりをも得ることができた。(2)産業集積の実態東京市芝区に存在した機械工場(大塚工場)の経営資料を用い、産業集積内に立地する企業がどのような取引ネットワークを構築していたかを明らかにした。この成果は4月と9月のコンファレンスにおいて報告した。また、1910年代に相次いだ東京における機械工業関連の組合の結成過程を分析し、産業集積との関連を考察した。(3)危機に際する集積の効果の働き方1920年代に開始された都市計画用途地域制を事例に、産業集積が突発的なショックや継続的な制約に対して示した反応の解明を通して集積のメリットの実証を試みた。この成果を『経営史学』に発表(掲載決定済)した。(4)長期的・全国的俯瞰1902年から35年の4冊の『工場通覧』を包括的にデータ化し、戦前期日本の産業立地とその決定要因を分析した。この結果は8月の国際経済史学会(於ユトレヒト)において報告した(なお、同様のデータを用いた共同研究2つにも参加し、現在論文を作成中である)。
著者
松尾 一郎
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

細胞内ペプチドN-グリカナーゼ(PNGase)は不要糖タンパク質からN-型糖鎖を遊離させる酵素であり、タンパク質の品質管理機構に関わる分子として注目されている。本研究ではPNGase活性を高感度に検出するために、還元末端にクロロアセタミド基を、非還元末端側の4位にプロパルギル基を有するキトビオース誘導体をデザイン、合成した。クリック反応により蛍光性置換基を導入、得られたプローブはPNGaseの脱糖鎖活性をμMオーダーで阻害した。
著者
森 由利亜 稲畑 耕一郎 稲葉 明子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、中国西南部に存在するシャーマニズム(巫教)が中国の様々な宗教的伝統と密接な関係を保ちつつ共存する様が観察される中国西南部について、現地に大量に存在する文献資料に注目し、とりわけ道教との関連を重視しつつ追及するものである。研究成果報告書は、2004年夏の道真県河口郷梅江村張芳頤壇門の地府道場と、河口郷三〓村の楊海安壇門の衝儺活動の現地調査並びに聞取り調査の成果を中心に編集した。前者の地府道場では、壇門の構成や成員などの状況に加え、清微派の法事内容を確認し、具体的に"三天喪葬"法事の次第を一つ一つ確認した。後者の衝儺活動では、8月19,20日に河口郷に赴いて実際に衝儺活動に参加し、複数のデジタルデバイスで儀式を立体的に記録した上で、その後二日をかけて壇門の基本情報と衝儺活動式次第の内容の聞取り調査を行った。この調査を通じて、私たちは現地の研究者と協力しながら、いかにして儀礼の全体を記録し、いかにして当地の職能者とのインタヴューを行うかについての基本的な方法を確立することを得た。しかしながら、今回記録した儀礼の内部構造は、多様な文脈を有する多くの要素を内包しており、それらの分間yくの摘出には本調査は及んでいない。今後は、職能者とのインタヴューを重ねてこれらの儀礼の文脈を明らかにすることを試みたい。
著者
長友 和彦 井上 修一 平瀬 清
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本・韓国・中国・台湾の教育研究機関・関係者と連携して研究を進めた結果、(1)三言語(日本語・韓国語・中国語)同時学習支援を支える三言語習得論・多言語多文化同時学習支援論・多文化共生論等の理論、(2)それぞれの国・地域における三言語及び多言語多文化同時学習支援に関わるさまざまな実践例、(3)三言語同時学習や多言語多文化同時学習支援のシラバスのあり方やその支援者・推進者の役割のあり方、等についての知見が得られた。
著者
多田 弘明 小林 久芳 秋田 知樹 松井 英雄
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の主要な成果は以下の通りである。(1)単体硫黄と金属イオンを含むエタノール溶液中で,TiO_2にUV光を照射することによって,TiO_2表面と良好な界面接合状態を有するCdS,PbS,MoS_2,Ag_2S量子ドットを形成することに成功した。(2)光析出法を用いて作製した金属硫化物量子ドット-TiO_2ダイレクトナノカップリング系の特徴を明らかにした。(3)光析出法,SAM法およびSILAR法で調製したCdS量子ドット担持メソポーラスTiO_2ナノ結晶薄膜を光アノードとして用いた量子ドット増感型太陽電池を作製した。疑似太陽光照射下(one sun)におけるセル性能評価を行った結果,光電変換効率は,2.5%(光析出法)>1.2%(SILAR法)>0.14%(SAM法)の順であることが判明した。
著者
神崎 初美 東 ますみ 芦田 信之 那須 靖弘
出版者
兵庫県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

災害支援Ns養成に活かす仕組みとして、1)育成支援システムを構築するため、詳細な学習プログラムを作成した。2)個人評価システムの構築として、プログラム受講効果を受講前と後・半年後(フォローアップ研修時)に評価できる評価表を作成し、自己評価制とした。3)集団教育支援の査定(看護ケアの質の安定性と継続ケアの実現性に関する評価)では、県内病院の卒後院内研修プログラムに「まちの保健室」講義と実習を取り入れ、評価した。4)効果・エビデンスの蓄積は、研修プログラムの評価を行ったことと、東日本大震災時の災害支援Ns派遣実績とその報告で得ることができた。また、東日本大震災被災地での看護の経験知を「災害支援ナース実践マニュアル」として作成し、被災地に持参できるようにした。
著者
馬場 忠雄 早島 理 佐藤 浩 丸尾 良浩 長倉 伯博 横尾 美智代
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

難治性の重篤な患者、末期状態の患者などを支える緩和医療のより望ましいあり方を構築するため、医学・医療を学ぶ者と宗教者が医学教育の場で共に学ぶことを通じて、両者が実践的に協働できるシステムを研究開発し、滋賀医科大学のカリキュラムで実践することができた
著者
岡田 信弘 高見 勝利 小早川 光郎 林 知更 常本 照樹 佐々木 雅寿 前田 英昭 岡田 信弘
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1 夏季研究集会における諸報告とその成果の公表(1)2002年8月19日(月)〜21日(水)の日程で、研究分担者と本共同研究への協力を依頼した部外の実務家が北海道大学に参集し、研究会が開催された。部外の実務家からの報告として、橘幸信氏(衆議院憲法調査会事務局)「『実践的立法学』の構築に向けて-法律(案)のつくり方・つくられ方-」と山岡規雄氏(国立国会図書館憲法室)「憲法調査会の活動」とがあった。なお、山岡氏の報告を補完するものとして、橘氏による追加報告(「衆議院憲法調査会の活動」)がなされた。これらの報告をめぐる活発な討論を通して、一方で、「立法過程」の現場体験に基づいた「立法事実」に関する新たな知見が得られるとともに、他方で、現在進行中の「憲法改正」に関わる議会内部の動きを正確に理解することができた。(2)研究分担者からは、岡田信弘「改正内閣法に対する評価」、常本照樹「アイヌ新法の実施状況」、佐々木雅寿「司法制度改革の推進体制」、小野善康「国旗・国歌法制定後の学牧の状況」、高見勝利「政治腐敗と政治倫理-英米独仏等の国会議員の政治倫理に関する制度」の各報告があり、分担者間で意見交換がなされた。(3)以上に概観した夏季研究集会の成果の一部は既に公表もしくは近々公表予定であるが、それらを含む研究分担者の研究成果を、本共同研究グループが従来行ってきたように、1冊の著書にまとめるべく作業を進めている。2 その他の研究会活動2002年10月29日(火)にジャック・ロベール氏(元フランス憲法院裁判官)、12月20日(金)に孝忠延夫氏(関西大学教授)を招いて、ヨーロッパとアジアにおける最近の立法動向についての報告を受けた。
著者
羽藤 英二 朝倉 康夫 山本 俊行 森川 高行 河野 浩之 倉内 慎也 張 峻屹 高見 淳史 井料 隆雅 佐々木 邦明 井上 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

プローブ技術を援用したデータフュージョン理論による総合的行動調査の高度化に向けて、1)行動文脈の自動識別アルゴリズムの開発、2)プローブデータを基本とした交通調査・管制システムの開発、3)これらを組み込んだモビリティサービスの実装研究を行ってきた。時系列に同一個人の行動データの蓄積が可能なプローブ技術を用いた総合的行動調査の可能性を示すと同時に、様々な交通施策評価や交通管制の効率化に向けたプローブ技術とデータフュージョン理論の可能性を明らかにすることができた。特にセンサー情報を利用した行動判別アルゴリズムでSVMにAdaboostアルゴリズムを組み合わせることで、大幅な精度向上が可能になり、加速度センサーを有するスマートフォンによって95%以上の確率で交通行動の自動収集判別を可能にすることに成功した.こうした技術とPT調査を組み合わせた総合的な調査プラットフォームを構成することで,従前のワンショット型の交通調査からAlltheyear型の交通調査への移行と,総合的調査技術を用いた交通計画の可能性を示した.
著者
森川 聖子
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

宇宙開発は、その性格から国家の関与が大きい事業分野である。特にその傾向が顕著であるのが宇宙輸送の分野であるが、昨今では財政上の問題から、より効率的な事業運営が各国で求められており、その結果、欧米では商業化への移行がなされてきた。日本においても、変遷を経て、平成15年に民間事業者への移管が行われ、現在では打上げ輸送サービスとして事業が行われている。しかし、民間への移管は行われたものの、いわゆる「民営化」とは異なり、宇宙輸送の分野では官の役割が大きい状況となっている。これは、国の基幹ロケットとしての自律性確保や事業のリスクの高さなど、宇宙特有の側面によるものであるが、その結果、ガバナンスの観点でいくつかの問題が生じている。まず、宇宙輸送事業の民間移管は技術移転契約の形態をとっており、条件面で当事者間の合意が得られなかった場合、企図したロケットの打上げが困難になるという不安定な側面がある。また、民間事業者は会社形態をとっており、株主に対する説明責任の背景から、多くのリスクテイクは出来ない状況である。一方で、リスクの多くを官がカバーすることも、そもそもの民間移管の意義に遡ることとなってしまうという状況にあり、多くのジレンマを抱えている。一方、欧州においては、仏国立宇宙センター(CNES)が中心となって3分の1超の株式を所有し、その他欧州各国の製造メーカー等が株式を所有している。国の機関が筆頭株主であるため、一定範囲内でコントロールを及ぼしつつ、経営の裁量や機動性を確保することが可能となっている。日本においては、宇宙機関(JAXA)が出資可能な制度となっておらず、法改正が必要となる。しかし、国が開発した技術を用いた事業について、官が関与しつつ、民間主体による事業展開を行っていくには、欧州における官による出資の活用も有力な選択肢となりうる。
著者
藤波 初木
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

東アジアモンスーン域の陸上(主に中国の長江・黄河流域)における降水・対流活動の季節内変動とその要因を解析した。長江、黄河流域ともに、年々変動はあるが、夏季の降水・対流活動に顕著な季節内(7~25日周期)変動が確認された。これまで熱帯・亜熱帯の対流活動や大気循環場の変動の影響といった観点からのみ解析をされてきた対象領域の季節内変動は、中緯度亜熱帯ジェット気流上のロスビー波の影響を非常に強く受けていることが明らかになった。
著者
小林 芳規 佐々木 勇 沼本 克明 月本 雅幸 鈴木 恵 原 卓志 山本 真吾 西村 浩子 佐藤 利行 山本 秀人 青木 毅 来田 隆
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

醍醐寺蔵宋版一切経6,104帖の悉皆調査により,角筆の書き入れを調べ,古代東アジアにおける言語文化の交流と影響関係を考察する目的の本研究は,2007~2009年に5回の現地調査を行い,書誌事項と共に角筆の有無を調べ,4,453帖に角筆による漢字と諸符号の書き入れを見出した。その精査は第二次調査を期している。又,東大寺図書館の調査で,唐代写経に角筆の梵唄譜とヲコト点様の単点・複点を発見し,新羅写経に角筆の新羅語の真仮名等と符号を発見して,解読を進めている。
著者
幡野 弘樹
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

私生活・家族生活の尊重を定めるヨーロッパ人権条約8条と、婚姻をし、家族を形成する権利を定める同条約12条に着目し、これらの条文における「家族」の意味は何かを検討することを目指した。その際、ヨーロッパ人権条約が、フランス国内の家族法における理論的・実務的影響も視野に入れて検討を行った。
著者
汐海 沙知子
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

中国雲南地方の在来品種である「麗江新団黒谷」は、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」などの日本の強度耐冷性品種を上回る極強の耐冷性を有することが知られている(。申請者らはこれまでに「麗江新団黒谷」と「ひとめぼれ」の交配後代系統を用いてQTL解析を行ってきており、2年間の反復をとった耐冷性検定の結果から第3染色体長腕に「麗江新団黒谷」型の対立遺伝子の作用による耐冷性QTLを確認した。さらに染色体部分置換系統を作成し、候補領域内で組換えが生じている系統10系統を選抜して、2008年度および2009年度の2年間の反復をとった耐冷性検定の結果から候補領域を約1.2Mbの領域に絞り込んだ。この領域について「麗江新団黒谷」の塩基配列を決定して「日本晴」と比較したところ、ミスセシス変異を起こすSNPが6遺伝子に生じていた。これらのSNPについて、dot-blot-SNPマーカー化し、「麗江新団黒谷」と「ひとめぼれ」の遺伝子型を調べてところ、「ひとめぼれ」は全て「日本晴」型であった。また、推定遺伝子領域の上流5kb以内にSNPが存在る遺伝子について、「ひとめぼれ」及び準同質遺伝子系統の穂ばらみ期穎花からRNAを抽出して発現解析を行ったところ、両者で発現量に大きな差が見られるのはなかった。本研究では、「麗江新団黒谷」に由来する強度耐冷性の候補遺伝子を6遺伝子に絞り込むことができた。今後これらについて相補性試験等を進めることで、耐冷性遺伝子を単離できる可能性が高い。また、研究の過程で作成した準同質遺伝子系統は、実際に「ひとめぼれ」に比べて耐冷性程度が向上していることを確認しており、耐冷性育種にも貢献できると期待される。