- 著者
-
秦 正樹
- 出版者
- 京都府立大学
- 雑誌
- 若手研究
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
2019年度は,当初の研究計画にもとづいて,世論における政治的デマの受容傾向を明らかにする意識調査(サーベイ実験)を実施する予定であったが,以下の理由によって調査実施を遅らせることとなった.その理由は,昨年度に実施したサーベイ実験の結果にもとづいて,日本選挙学会で行った報告(秦正樹「「"普通の"日本人」ほど騙される?:政治的デマの受容メカニズムに関する実験研究」日本選挙学会,東北大学,2019年7月)でのディスカッションによるものである.当該ディスカッションでは,「普通の日本人」を測定する際の項目について,重要な視座を得た.とくに,社会心理学等で用いられている噂の受容に関する測定尺度を改めて整理したことで,より妥当性の高い研究とつなげられることとなった.また,これらの意見を反映した新たな調査については,事前の調査を2019年11月に実施しており,プリ調査の結果を踏まえたサーベイ実験を2020年3月までに行う予定であったが,今般の新型コロナ禍を踏まえたデマについて検討するべきであると考え,調査時期を延長することとした.加えて,前述の学会での報告ペーパーをもとに英語論文化を進めている.さらに,日本政治学会での報告(秦正樹・Song Jaehyun「争点を束ねれば「イデオロギー」になる?:サーベイ実験とテキスト分析の融合を通じて」日本政治学会,成蹊大学,2019年10月)でも,憲法改正に特化した有権者の態度形成に関して報告を行っており,こちらの論文は年報政治学2020-1に掲載予定である.