著者
Yu NOMURA Masato NARAOKA Nozomi FUJIWARA Shouhei KINOSHITA Keita YANAGIYA Takao SASAKI Ryouta WATANABE Kouta UENO Norihito SHIMAMURA
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
NMC Case Report Journal (ISSN:21884226)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.165-169, 2022-12-31 (Released:2022-06-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Chronic subdural hematoma (CSDH) typically develops in the supratentorial region in elderly patients. We treated a case of unilateral supratentorial and bilateral infratentorial CSDH, whereby the patient had a coronavirus disease 2019 (COVID-19) infection combined with disseminated intravascular coagulation 2 months earlier. The patient had not experienced any head trauma before the onset of the CSDH. The postoperative course was uneventful, and the patient experienced no neurological deficit. We propose that we should be aware not only of acute ischemic or hemorrhagic diseases after COVID-19 infection but also of chronic subdural hematoma caused by coagulopathy after a COVID-19 infection.
著者
山田 至康 市川 光太郎 伊藤 泰雄 長村 敏生 岩佐 充二 許 勝栄 羽鳥 文麿 箕輪 良行 野口 宏
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.65-81, 2012-02-15 (Released:2012-03-20)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

小児救急医療においては初期・2次救急への対応策が取られてきたが,平成21年度からは厚生労働省による検討会が持たれ,3次救急への対応が検討されるようになった。今回の調査では9割近くの救命救急センターは,常に小児救急医療に対応していたが,施設の特徴により受診数や入院数,入院病名には差異が見られた。小児の年間ICU入院数は平均19.3名で,CPA数平均4.0名,死亡退院数平均2.7名が示すように重篤患者は少なかった。小児の利用可能なICUは20.3%にあったが,そのうちで救命救急センター内にあるものが7.2% で,病床数は平均1.6床であった。時間外における小児科医の対応は72%で可能であったが,救命救急センターの常勤小児科医によるものは15%であった。救命救急センターは施設間に偏りがあるものの小児の3次救急に可能な範囲で対応していた。小児の内因性疾患に対応可能な施設は,小児科医と救急医が協力し,重篤小児の超急性期の治療を進めていく必要がある。
著者
林 信太郎 岡田 豊博 堤 久 熊川 寿郎 森 眞由美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.373-376, 1999-05-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は72歳男性. 1991年頃より膝関節痛が出現しNSAIDsが投与された. 同時期に軽い腎障害を指摘された. 1993年に貧血 (Hb 9g/dl台) を指摘された. 1996年7月に下腿の浮腫と息切れを主訴に当院に受診し, 貧血の進行 (Hb 6.9g/dl) と腎障害 (Cr 1.5mg/dl) を認め入院となった. 貧血の主因として骨髄異形成症候群 (以下MDS) が, 腎障害の精査で行った腎生検でIgA腎症が確認された. また10月下旬には両側手, 膝関節に関節炎が出現した. このためプレドニン20mg/日を開始したところ, すみやかに関節炎は消失し, 貧血と腎機能にも改善傾向がみられた.本例は経過中にMDS, 腎障害, 関節炎と多彩な臨床像を呈したが特にMDSと成因の一つに骨髄異常を指摘されているIgA腎症の合併例はこれまでになく, 本報告が一例目と思われる.
著者
上藤 満宏 川口 岳芳
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.259-267, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
27

ミニトマト夏秋栽培におけるつやなし果の発生を抑制するため,着果促進剤(4-CPA)および遮光がつやなし果の発生に及ぼす影響について調査した.4-CPA処理におけるつやなし果発生率は,5~12%であり,無処理の22~39%と比較して有意に低かったことから,4-CPA処理は,つやなし果の発生抑制技術として有効と考えられた.また,遮光処理によって施設内の昇温を抑制した遮光区および調光区のつやなし果の発生率は7および9%であり,無遮光区の15%と比較して有意に低く,つやなし果の発生が最も多い9月の可販果収量は遮光処理した遮光区および調光区が株当たり0.8および1.0 kgであり,無遮光区の0.4 kgと比較して有意に多かった.これらのことから,遮光による昇温抑制は,つやなし果の発生抑制技術として有効と考えられた.遮光処理の方法について,強日射時のみ遮光する方法は,つやなし果の発生抑制効果に加えて,常時遮光する方法と比較して可販果収量が一時的に増加したことから,つやなし果の発生を抑制しつつ常時遮光による減収を回避する方法として有効であると考えられた.
著者
高谷 芳明 内沢 秀光 松江 一 奥崎 文一 鳴海 文昭 佐々木 甚一 石田 邦夫
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.846-849, 1994-06-15 (Released:2008-04-10)
参考文献数
13
被引用文献数
20 26

Squid ink, which has little commercial use and is usually discarded, was extracted using a Tris-HCl buffer (pH 6.8). The extract was fractionated using DEAE Sephacel ion-exchange chromatography and Sephacryl S-300 gel filtration to give a peptidoglycan fraction which exhibited strong antitumor activity against Meth-A fibrosarcoma in BALB/c mice following intraperitoneal administration. The fraction was composed of 7.8% peptide, 57% polysaccharide and 30% pigment. The polysaccharide component had a unique structure with equimolar ratios of GlcA, GalNAc and Fuc. Since the fraction has no direct cytotoxic effect on Meth-A cells, inhibition of tumor growth may be due to stimulation of host-mediated responses.
著者
加藤 登紀
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.76-81, 2017 (Released:2020-02-22)
参考文献数
4

外国人技能実習制度の下で,日本には現在約5万人の外国人技能実習生(以下,実習生)が来日し就業している。これまで中国人実習生が過半数を占めていたが,昨今はベトナム人実習生が増加傾向にあり,それに伴い就業時に必要とされる漢字の学習が課題となっている。そこで,ベトナム人実習生がどのように漢字を理解し,漢字学習に対してどのような意識をもっているのかを知るために濱川(2016)の調査票を使用し調査を行った。
著者
小林 信一
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-154, 2009-05-23 (Released:2019-05-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1

1990年代以降の研究活動の改革を含む大学改革は,3つの理念により先導されてきた.第1は1990年代前半からの「基礎研究シフト」や博士後期課程の拡大などによる拡大モデルである.これは,90年代半ばから徐々に,イノベーション・モデルとも呼ぶべき,科学技術と社会経済的価値との関連性を重視した改革モデルと,ニューパブリック・マネジメント・モデルとも呼ぶべき改革モデルに置き換えられていく.改革は,90年代には大学の研究活動を拡大する方向に働いたが,2000年代には改革の成果があがっているとは言いがたい.むしろ,大学間格差の拡大,ポスドクの増加などが顕在化し,「選択と集中」の方向性は妥当なのか,システムに矛盾はないのか,制度的な対応に偏りすぎていないか,などの問題に直面している.
著者
芦田 泰之
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.10-15, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
17

平成24 年から28 年までの5 年間に,人口約20 万人の地方都市にある二次救急医療機関である当院に心肺停止を理由に搬送された院外心肺停止299 例を検討した.心拍再開率は27.4 %,1 ヵ月生存率は3.0 %,社会復帰率は1.7 %であった.病院到着後は平均25 分の心肺蘇生術が行われていた.病院到着時の心電図波形が心静止,心室細動,心室頻拍の症例では社会復帰例はなかった.一方,搬送中に心拍再開し,病院到着時に洞調律であった症例で社会復帰が認められた.病院到着時に心静止であることのみを心肺蘇生術を中止する理由としてはならないが,要因のひとつとはなると考えられた.
著者
高野 進 小俣 政男 大藤 正雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-4, 1990-01-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
19

輸血を受けた187例の患者(肝炎発症群83例,非発症群104例)に使用された1148単位の輸血製剤の献血時GPT値を調べ,輸血後肝炎発症との関係を調べた.献血時GPT値26単位以上の献血者から得た血液を輸血された患者は25例あった.このうち肝炎が発生したのは16例で輸血後肝炎発症群の19%を占めたのに対し,肝炎が発生しなかったのは9例で非発症群の9%に過ぎず,GPT値26単位以上の血液は肝炎発症群に多く使われでいた.一方GPT値10単位以下の血液のみの輸血を受けた例は肝炎非発症群に多かった.これより献血時GPT値25単位以下の血液のみを輸血に使用することにより輸血後肝炎の発生が減少する可能性が示唆された.
著者
緒方 昭子 井手口 範男 外村 昌子 蓮池 光人
出版者
一般社団法人 日本統合医療学会
雑誌
日本統合医療学会誌 (ISSN:24355372)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.40-46, 2020-05-20 (Released:2021-05-20)
参考文献数
21

近年増加した腹腔鏡手術に対する安楽ケアとしてソフトマッサージの効果ならびに研究方法の検証をするために、消化器がん患者を対象にマッサージ前後の変化についてランダム化比較試験 (RCT) を実施した。男性10名、女性3名 (平均年齢62歳) の対象者の協力が得られた。その結果、体温・脈拍・血圧に有意差はみられなかったが、マッサージ群のKOKOROスケールの 「不安な気分から安心な気分」 は対照群と比較して有意に改善していた。マッサージ後のインタビューから、 「マッサージしているときに痛みがない」 などの発言が得られた。これらのことから、測定値の顕著な変化は得られなかったが、ソフトマッサージは心理的安定に寄与することが考えられる。臨床看護においてRCTの実施はさまざまな困難を伴うため、対象者個別のデータを活用する代替的な研究方法を模索する必要性が示唆された。
著者
福田 怜生
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.304-312, 2022-05-25 (Released:2022-05-25)
参考文献数
27

本研究では,ファッション製品の中でも,ウォーキングシューズを材料として,そのデザイン性が感情的製品態度に及ぼす影響について,物語広告がどのように調整するかを検討した. 物語広告と非物語広告とを比較した実験の結果,非物語広告では,デザイン性の程度は感情的製品態度に正の影響を及ぼすが,物語広告では,その影響がなくなることが示された. また,物語広告では,デザイン性が低い場合にも,非物語広告のデザイン性が高い場合と同等の感情的製品態度であることが示された. これらの結果から,物語広告は,デザイン性による差別化が困難である場合に,効果的なマーケティング・コミュニケーション施策である可能性が示唆された.
著者
中村 泰之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究は「萌えおこし」に使用される「ご当地萌えキャラ」のデザインについて調査と分析を行う。地方そのものが主体となってキャラクターを創作し,地域振興に繋げようという活動が活発になっている。本研究の目的は主に2つあり,1つは創出プロセスの中でも特にキャラクターデザインに焦点を当て,地域振興において有用なデザイン手法を明らかにすることである。2つ目はご当地萌えキャラの活動をアーカイブすることである。1つの萌えおこし活動について詳細に調査した研究は複数あるが,ほとんどが「メディア主導型」の萌えおこしである。有志による運営が多いご当地萌えキャラは数年持たずに消えていくことも多いため,全体を俯瞰するためにも必要である。
著者
森 美奈子 上村 浩 竹林 正樹
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.146-153, 2022-05-31 (Released:2022-06-10)
参考文献数
25

目的:ナッジが設計された社員食堂での健康メニュー選択促進の実践と利用者の状況等の報告を目的とした.活動内容:特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalと契約した社員食堂では,ナッジのEASTフレームワークに則って健康メニュー選択を促進している.Easyナッジとして,手に取りやすい場所に健康メニューを配置し,健康メニューを選ぶと20円が自動的に寄付できる仕組みとした.Attractiveナッジとして,手書きポップで健康メニューを強調し,支援を受けた子どもの笑顔の写真を掲示した.Socialナッジとして,開発途上国の学校給食への寄付数を,Timelyナッジとして,今すぐに援助を要する子どもがいることを掲示した.活動評価:参加群(当該社員食堂利用者)100名に質問紙調査を,未参加群(当該社員食堂を利用したことのない労働者)70名にウェブ調査を実施した.参加群(解析対象者47名)は,未参加群(同70名)より社会貢献活動と健康メニューの両方に興味がある者が多く,ボランティア活動の参加経験率も高かった(いずれもP<0.001).参加群の利用期間は平均29.3か月,今後も継続利用したい者が71.0%だった.これらのナッジは,既存のナッジの弱点である「短期的効果」を克服できる可能性が示唆された.今後の課題:本実践では各群で調査法が異なったこと等の限界があるため,今後は同一企業の社員を対象に条件を揃えて検証する必要がある.
著者
久保田 暁
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.129-134, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
21

Polymyositis (PM) has been a common clinical diagnosis for inflammatory myopathies without dermatitis, since Bohan and Peter established diagnostic criteria classifying polymyositis and dermatomyositis by the presence of dermatitis. In Japan, the diagnostic criteria of polymyositis and dermatomyositis for medical subsidies are also based on the presence of dermatitis, and there are a number of patients with “polymyositis”. However, clinical, pathological, and serological studies have revealed that the inflammatory myopathies without dermatitis are a heterogenous group, including sporadic inclusion body myositis (sIBM), immune–mediated necrotizing myopathy (IMNM), collagen disease related myositis, and PM. For adequate clinical decisions as well as high–quality studies, PM should be diagnosed based on strict diagnostic criteria including pathological examination, such as the European Neuromuscular Centre (ENMC) criteria. Among 972 cases that had been diagnosed as inflammatory myopathies in our laboratory between 2000 and 2019, about 2/3 cases (550/925) lacked dermatitis, and could be diagnosed as “polymyositis” by Bohan and Peter criteria. However, based on the ENMC criteria, only 1.7% (17/972) cases were classified as PM. Even after the diagnosis of PM was made by pathological examination, some patients may be reclassified as other diseases, especially as sIBM. The improvement of pathological examination further reduced the number of misdiagnosed “PM”. In addition, infiltration of CD8 positive cells surrounding non–necrotic fibers, a hallmark of PM and sIBM, is also observed in other myopathies. Some researchers doubt the existence of PM. Thus, PM is a shrinking entity.
著者
市川 寛也
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.57-64, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
36

近年の「妖怪ウォッチ」ブームに象徴されるように,今や妖怪は視覚文化として広く認知されている。一方で,民間伝承として語られてきた妖怪の多くは視覚で捉えることのできない無形の文化である。本稿では,民俗文化と大衆文化の間で揺れ動きながら形成されてきた現代の妖怪イメージを研究対象とする。その際,過去に蓄積されてきた知識や情報を参照しながら各種の表現媒体に変換されていく過程に着目し,そこに妖怪文化の持つ本質的な創造性を見出した。「妖怪をつくる」というテーマには,既存のキャラクターをモチーフとして用いるだけではなく,妖怪がつくられる仕組みを創作活動に組み込むというアプローチを想定することもできる。その実践事例として,筆者が取り組んできた「妖怪採集」というワークショップを踏まえ,現代の妖怪文化を通じた地域学習の可能性について一つの方法論を提示した。