著者
藤岡 久美子 フジオカ クミコ Fujioka Kumiko
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.9-23, 2013-02-15

本稿は、幼児期・児童期の引っ込み思案に関する最近の研究を概観した。まず、研究で用いられているsocial withdrawal, solitude, shyness, inhibitionなどの用語及び具体的な測定方法から引っ込み思案のとらえ方を整理した。次に、乳児・幼児期の縦断的研究を中心に、乳児期の抑制が幼児期の遊び場面での一人行動に至る道筋に関与する、気質や養育スタイルに関する知見をまとめた。また、幼児期から児童期にわたる長期縦断研究を含む児童期の研究から、引っ込み思案が学校での不適応へとつながる軌跡及びそのつながりに関与する要因について検討した。最後に教育への示唆を述べた。
著者
高垣 マユミ 中島 朋紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.472-484, 2004-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

本研究は, 小学4年生を対象とした一斉形態の理科授業の協同学習において,「知識の協同的な構成が生じている場面においては, どのような相互作用がみられるのか」また,「そのような相互作用を教室において生じさせる要因は何か」について検討することを目的とした。授業の構成は, ブリッジングアナロジー方略 (Clement, 1993) を教授的枠組みに据え, 学習者の既有知識から出発した「話し合い活動」による協同的探求を中心とし, 解釈上の疑問や問題点を検証する場として実験・観察を位置づけた。理科授業の協同学習における発話事例の解釈的分析から, 以下の結果を得た。1) 知識の協同的な構成には,「個別的」VS.「統合的」の二項対立的な相互作用のスタイル間の揺さぶりによる組織的変化が必要であることが示唆された。2) 科学の基礎概念についての対話者間の解釈上の違い, 及び,「アナロジー」,「可視化」という具体的事象の理解を深める道具立てにより,「操作的トランザクション」の対話が生成され, 相互作用の組織的な変化が生起することが見出された。
著者
古賀 千種 深津 智恵美 田中 薫樹
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-11, 1979-12-30

食品の嗜好性に影響を与えている因子が性格特性とどのような関係にあるかを,18歳〜20歳の女子学生169名を対象に調べた。嗜好因子の分析は松村のテストを用い,これにより嗜好指数を算出した。性格検査はモーズレイ性格検査(MPI)及び顕現性不安テスト(MAS)を用いた。更に肥満度をBroca指数により算出しこれと嗜好指数との関係,またBroca指数と性格特性との関係を検討した。その結果は下記のように要約される。1)性格特性一嗜好指数外向性得点の高い者ほど嗜好指数が高い傾向がみられた。すなわち外向性の者ほど食物に対して順応性や弾力性があることを示している。神経症的傾向の高い者ほど嗜好指数が低い。すなわち神経症的傾向の高い者ほど特に献立や調理についての知識や学習不足の傾向にあることがうかゞわれる。不安度と嗜好指数との間には関係は見られなかった。2)嗜好指数-Broca指数有意な相関は得られなかった。3)Broca指数ー性格特性外向性,神経症的性向および不安度とBroca指数との間には有意な関係は得られなかった。
著者
今井 小の実
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.77-95, 1999-06-30

In 1926, "Boshi Fujyo Hou Seitei Sokusinkai" was established by Sirou Fukushima who was the chairman of "Fujyo Shinbun". It was the first movement body in Japan which aimed at enacting a public assistance law for mothers and children. The paper is a part of a study which will clarify the process of enacting "Boshihogo hou" (1937) from the view point of the movement. That is, I assume that the starting point of the movement was the controversy known as "Bosei Hogo Ronsou" (1918-1919). In this controversy, Raityou Hiratsuka and Waka Yamada, influenced by Ellen Key, feminist thinker in Sweden, insisted on thoughts of maternal protection. I assume the thoughts developed into the movement, and as the result, the law was enacted even though it had a phase which was utilized for the purpose of securing human resourses during the war. Therefore, this paper intends to demonstrate "Inherent Relevancy" between "Bosei Hogo Ronsou", following the genealogy of thoughts of the maternal protection and "Boshi Fujyo Hou Seitei Sokusinkai".
著者
大口 健志 石山 大三 水田 敏夫 林 信太郎 佐藤 比呂志 石川 洋平 佐藤 時幸
出版者
秋田大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.脊梁山地,出羽山地,男鹿半島域などに分布する台島-西黒沢期火山-堆積岩相について層位学・火山地質学的研究を行った結果,つぎのことが明らかになった;(1)新庄盆地北端部の模式地に露出する及位層から台島型に属する可能性の高い植物化石が発見され,さらに,秋田県南部の層序との連続からしても及位層の大部分は台島層に対比できること,(2)東北日本内帯における台島-西黒沢期末期の生層位学的対比基準面として扱われ,同時異相と考えられていた須郷田層と大森層は,互いに上(大森層)・下(須郷田層)関係にあり,石灰質ナンノ化石分帯のNN4-5帯に須郷田層が対比されること,(3)秋田一庄内油田域に伏在する西黒沢期玄武岩類は須郷田層の形成期間内に急激に噴出したこと,(4)寒河江川流域の大規模珪長質火山作用は大森層と同様,NN6/5境界以降に出現した陥没域で始まったこと,(5)男鹿半島の台島層(藤岡,1959)は下位から上位へ,帆掛島石英安山岩,館山崎玄武岩,館山崎緑色凝灰岩,台島層主部に4分され.広域火砕岩である帆掛島部層を不整合に被う館山崎玄武岩部層以降を台島層として扱うのが妥当であること。2.背弧海盆拡大期に活動した砂子淵層玄武岩類の層相解析から,多量のマグマ水蒸気爆発起源の火砕物質によって特徴づけられる砂子淵層は,乾陸から半深海性の海進にともなう堆積環境下において,当時の汀線付近で継続的に行われた火山作用によって形成されたものであることが判明した。3.北鹿・黒鉱鉱床形成期前後の玄武岩類と,砂子淵層玄武岩類は共通した岩石化学的性質を示し,back arcbasaltと類似している。黒鉱鉱化溶液の生成には玄武岩類からの金属元素の抽出が寄与したらしい。砂子淵層および新潟平野・七谷層の水冷玄武岩のrim部における発泡度は,由利原油・ガス田のものとくらべて低い。
著者
今村 祥子 住田 和子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.73-80, 1993-08-20
被引用文献数
3

From an overall and environmental education point of view, this study will consist of three reports, ultimately, to develop guidelines and curricula for more substantial consumer education. Through human ecological philosophy of Ellen H. Richards, this first report approaches ecological consumer education by examinations on `consumer education' concepts and its historical background. The aim of ecological consumer education is to nourish citizens who can create an ecological life. There is need to expand our own concept of consumer education through an eco-centered philosophy.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1920年09月03日, 1920-09-03

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1924年02月29日, 1924-02-29

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1927年11月04日, 1927-11-04
著者
柴谷 篤弘
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-34, 1992-03-30

日本各地のミドリシジミ類については,各種について特異的な領域占有性活動時期が明らかにされている.そのいちじるしい特徴は,同時同所では通常一つの属のなかで2種またはそれ以上が活動することが見られないということである.例外はハヤシミドリシジミがウラジロミドリその他と共に活動することであるが,これらの2種では,領域占有性は弱いようである.日本海の対岸にも, Favoniusを主とするミドリシジミが多く分布し,日本に産しないものも近年記載されている(F. korshunovi Dubatolov & Sergeev, 1982 ; F. macrocercus Wakabayashi & Fukuda, 1985 ; F. aquamarines Korshunov & Sergeev,1987). 私は1988年夏沿海州の昆虫調査に参加して,いくつかの地点でFavoniusの活動を観察することができた.その一部は直接の採集によって同定することができたが,他は高い木の梢をめぐる飛翔のため,確認・同定ができなかつた.しかし飛翔の特徴,大きさのほか,時おりの卍飛翔によって,それらがミドリシジミ♂の活動であることは確実と思われる.この報告では同定した種についての観察結果を表2に示し,またそれに部分的にしか含まれていない観察を,図2-6に示した.後者は,ウスリースク北方20kmのGornotayozhnaya山地林業試験場附近(標高約170m)で2日間にわたっておこなった定点観察計数の結果である.その場所の写真は図1と図7に示される.ここでは大部分のFavoniusらしいチョウの計数は,直接採集によって確認したものでなく,理論的枠組みのなかでの解釈の可能性を与えるにとどまるものである.この結果を通じて,沿海州でのFavonius♂の日周活動は,日本での観察結果とほぼ一致することがわかった.とくに日本に産しないF. korshunoviと思われる種類で,日本のエゾミドリシジミF. jezoensis (Matsumara,1915)と同様,16時(日本時間)前後に活動することがわかった.この点で午前に活動するといわれるF. macrocercusとは別種であるようにおもわれる.ほかに, Gornotayozhnayaで早朝9時-11時(夏時間;同経度の日本時間にして7時-9時)に活動する未同定のミドリシジミがいるらしいことを見た.ほかにオオミドリ,ジョウザンミドリ,ハヤミミドリ,ウラジロミドリについては,日本の活動時間とほぼ一致するが,ジョウザンミドリは日本のものよりすこし遅れるようである.いずれにしても2種のFavoniusが同時同所で領域占有飛翔をするという積極的な証拠は見られなかった.Gornotayozhnayaの観察では, Favoniusのほかにすべてのチョウの定点での活動を記録し,図2-6にその結果を示した.この場所は尾根のモンゴリナラ林に沿った切りひらきで,特にチョウの多いところではないが,ここに示した結果で見ると,日本における選ばれた径路でおこなった最近の観察例よりも,明らかにチョウの数が多いことが示された.観察地点を離れた,流れに沿った平地では,チョウの数ははるかに多く,ソ連邦での観察例(Belyaevほか,1989)と比較しても,沿海州のチョウの個体数・多様性は,日本の標高の低い都市付近の緑地で一般に見られるよりは,ずっと高いと考えられる.この報告は,日本で知られていることを,立ちいって書きこんでいるが,これはもちろん海外の研究者に対して,同様な観察をよびかけるためのものである.日本で蓄積してきたこのような観察が,アジア各地はもとより欧米各地の報告にも見られないことは,「観察」が,理論負荷的であること,つまり結果を先どりする理論によって観察が生まれること,そしてこの理論は,うたがいもなく今西錦司によってはじめられた「棲みわけ」理論が,チョウの「飛びわけ」概念に拡張されたためであることを示唆する.これを今西理論が日本の生態学に正の寄与をしなかったのではないかとする,最近の論調のなかでどう評価していくかは,今後の発展次第であろう.
著者
石岡 学
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-12, 2009

本研究の目的は,戦前期の小学校における職業指導を対象とし,適職決定・就職先決定における論理・実態の分析を通して,そこにいかなる教育的眼差しがあったのか,またその教育的眼差しにはいかなる意味・機能があったのかを明らかにすることである.これは,移行問題が「教育問題」化していく過程で学校がいかなる主体的役割を果たしたのかを解明するうえで,きわめて重要な課題である.第1章では,上記の研究課題の背景・意義について述べた.第2章では,適職決定のプロセスにおける教育的眼差しとその機能について明らかにした.学校において主流となったのは「消極的指導」というあり方であった.その背景としては,求人市場の状況や適性検査への疑義に加え,児童の「可塑性」「弾力性」を重視する「教育的観点」があった.こうした「消極的指導」においては児童の「自発性」や「自己省察」が重視されていた.その理由としては,新教育的主張との連続性に加え,指導者側の責任回避という側面もあった.第3章では,就職先決定のプロセスにおける教育的眼差しとその機能を解明した.小学校が自ら求人開拓・就職斡旋を行うことは原則からの逸脱であり, 「職業精神の涵養」を重視する立場の小学校からは批判された.しかし,職業紹介所の弱体性などの現実的状況ゆえ,それは全否定されえないものであった.このような小学校における求人開拓・就職斡旋という営為は,保護者からの信頼に応えるためなどという理由づけもあって,職業紹介所のような「事務的な処理」とは異なる「教育の仕事」として積極的に肯定されてもいた.第4章では,本研究で明らかとなった知見をまとめ,総合考察を行った.The purpose of this study is to clarify the meaning and the function of the educational view in the decision of suitable occupations and places of employment for students, focusing on the vocational guidance of primary schools in the prewar period. This is very significant to examine what kind of role schools played in the process of regarding transition as a problem of education. Section 1 explains the background and the significance of this study. Section 2 clarifies the educational view and its function in the process of the selection of suitable occupations for students. The results are as follows : "Negative guidance" became the mainstream in the way of guidance of primary schools. The dominance of negative guidance was according to the situation of the job market, the doubts about vocational aptitude tests and "educational view" that regards the trainability and the flexibility of students as important. "Initiative" and "reflection on one's self" by students were also regarded as important in the "negative guidance". In the background, there were not only the continuity to the assertion of "Shin-Kyoiku (New Education)" but also the purpose to evade guides' responsibilities. Section 3 clarifies the educational view and its function in the process of the selection of places of employment for students. Teachers who made much of the "cultivation of spirits of enterprise" were critical of helping students to find jobs by schools, because it was the departure from the principle. However, it couldn't be entirely denied due to the imperfect system of the employment agencies. Teachers who had helped students to find jobs thought it positive. The logic was that they had to come up to the expectations of students' parents, and also that it was the "duty of education" which was different from the "businesslike management" as the employment agencies. Section 4 is a summary and discussion.
著者
北村 彰 竹俣 一也 直江 伸至 南出 章幸
出版者
金沢工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、生徒・学生が地域にいながらその発達段階に応じて1)職業観・勤労観、2)技術者倫理観・環境倫理観、3)共同作業をするためのコミュニケーション能力を育むことができる地域連携キャリア教育システムを開発するための調査である。平成18年度は以下の通り実施した。(1)大学生に対するキャリア支援体制についての調査金沢工業大学におけるキャリア支援体制について調査し、本研究で企画しているキャリア教育システムの展開の規模を検討した。求人情報からその会社の情報を得るには限界があることが分かった。また、インターネット上の就職活動サイトはある程度自分のキャリアデザインができている者でないとその活用が難しいことが分かった。(2)キャリア教育支援システムの構築就職を希望する生徒・学生と求人を募集する企業とがWeb上で情報交換しながら、生徒・学生が自らの就きたい職業を見つけていくシステムを構築した。ある程度の匿名性を保ちながら公開を原則として運用できるようになっている。インターネットの特性を生かし,地方の大学生が別の地方の企業と情報交換する場合に効果を発揮するシステムである。そのため,本システムの運用は地域に密着した潜在求人の発掘に効果が期待される。また、やりたい仕事と希望している会社とが一致しない場合に早期退職者が発生するが、本システムの運用はこのような事態を回避することに貢献するものと思われる。
著者
新谷 奈苗 高尾 文子 中村 百合子 田村 友則 Shintani Nanae Takao Fumiko Nakamura Yuriko Tamura Tomonori シンタニ ナナエ タカオ フミコ ナカムラ ユリコ タムラ トモノリ
出版者
広島国際大学医療福祉学部医療福祉学科
雑誌
広島国際大学医療福祉学科紀要 (ISSN:18802486)
巻号頁・発行日
no.4, pp.111-121, 2008
被引用文献数
2

近年、職場においてストレスからくる心理的な負担を原因として精神障害を発症する労働者数が増えている。本研究では働きやすい職場づくりに向けての基礎資料とするために、A社全社員の職場におけるストレス評価をおこない、生活および仕事上の要因と、ストレスによる心身反応との関連を明らかにすることを目的とした。一方、ストレス対処能力を高める要因についても検討した。その結果、ストレスによる心身反応をおこさないために、生活上の要因として「睡眠の質」に着目することが重要であり、仕事上では「労働時間の適正化」「人的コミュニケーション」「働きがい」が重要であった。またストレス対処能力向上には、「睡眠の質」「仕事の適正度」「仕事のコントロール」「働きがい」「人的コミュニケーション」が関連していた。
著者
矢崎 智浩 三須 俊枝 中田 洋平 本井 滋 小林 剛 松本 隆 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.471, pp.401-406, 2010-03-08
参考文献数
10

時系列データから興味のあるイベントを自動的に検出する問題は,信号処理やパターン認識,画像処理など,様々な分野に現れる.本研究グループでは,これまで,サッカー動画像データから抽出された選手位置情報に基づく時系列データをもとに,ベイズ隠れマルコフモデルによるイベント検出アルゴリズムを構築してきた.しかし,隠れマルコフモデルでは状態が滞留する確率として「幾何分布」が仮定されるため,必ずしもふさわしくない場合があった.隠れ状態の状態滞留確率を改善することでイベント検出性能に対する向上の余地があったため,本稿では,状態滞留確率をより柔軟に表現可能な「一般化隠れマルコフモデル」によるアルゴリズムを構築し,イベント予測性能の向上を目指す.また,提案アルゴリズムの効果をJリーグのサッカー動画像データを用いて検証する.
著者
原口 強 中田 高 島崎 邦彦 今泉 俊文 小島 圭二 石丸 恒存
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.306-314, 1998-08-10
参考文献数
3
被引用文献数
7 13

未固結堆積物を定方位で連続的に採取する方法として独自に考案・開発した地層抜き取り装置と, 建設現場ですでに確立している鋼矢板打ち込み工法を組み合わせた定方位連続地層採取方法を提唱する.本方法の原理は, 2つに分割したサンプラーを2段階に分けて地層中に差し込んで地盤中で閉合した断面を完成させ, それを同時に地盤から引き抜くことにより, その間に挟まれた地層を定方位で採取する方法である.本方法は, 活断層調査の現状における様々な問題点を克服するために開発されたもので, 2つの事例(糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層と東京都旧江戸川)を示す.糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層では幅35cm, 厚さ12cm, 深さ約11mの連続する定方位地層断面を2本採取し, 急傾斜する地層を切る小断層がとらえられた.東京都旧江戸川では水深5mの川底から深さ約9mにわたって完新世の軟弱な未固結堆積層を幅30cmの地層断面として採取し, 縦ずれ量約25cmの連続する正断層状の地割れを含む地層断面を採取した.これらの採取結果から本方法が, 軟弱な未固結堆積物の定方位連続地層採取方法として広範に有効であることが明らかとなった.