著者
初田 亨 平井 充
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

東京の主要な繁華街である浅草・銀座・新宿・渋谷の建築機能は、戦後から現代において、ショッピングを楽しむエリアの拡大により、飲食店や喫茶店、居酒屋などの分布状況が大きく変化してきていることが確認できた。4つの繁華街に共通していたのは、社交を主とする喫茶店や居酒屋などの施設における、昼と夜の性格による分布が分離してきた変化である。さらに、新宿、渋谷では、ターミナル駅前における多様な機能が混在してきた集積の変化が認められた。
著者
森 善一
出版者
東京都立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では,車椅子生活を送っている方々が特別なインフラのない環境でも,健常者と同等の日常生活を送れるような直立移動システムを開発することが目的である.本移動システムは(1)移動台車,(2)伸縮松葉杖,(3)下肢関節駆動機,の3装置から構成される.これらの3装置のうち,本研究に先立ち申請者は伸縮松葉杖の製作を行っており,また昨年度は,旋回機能を持つ移動台車の製作,および下肢関節駆動機の設計を行ってきた.今年度は以下の研究を行った.1.下肢関節駆動機の製作,および動作確認実験を行った.2.3装置を装着し,椅子からの起立動作を行った.この動作において伸縮松葉杖と下肢関節駆動機の協調動作が必要となり,どちらの装置を主として使用するかは,杖をつく位置や動作シーケンスによりさまざまに取ることができる,昨年までは,杖を体の後方へつき,杖の伸縮駆動力に頼った動作を行ってきたが,例えば電車における長椅子等の場合は,杖を後方へつけないという問題がある.また,動作中に杖がスリップした場合には,転倒する危険をはらんでいる.そこで,今年度は,杖を体の前方へつき,腕の力を利用して,体の重心位置が常に移動台車の上に来るように変更した.実験を通して,ほぼシミュレーション通りの起立動作が実現できることを確認した.また同様の動作手法を階段昇降へも応用し,シミュレーションを通して有効性を検証した.3.これまでは,電源装置や制御装置をシステムの外においていたが,今年度は,それらをバックパックへ収納して背負い,システムの完全自立化を実現した.システムへの通信には,他のPCを用いて無線で行った.4.当初の最終実験目標として,駅から駅への電車を利用した移動を掲げていたが,今年度は,実際の駅(京王線南大沢駅)において,改札の通り抜け動作,およびエレベータへの乗り込み,乗り出し動作を実現した.
著者
本田和也
雑誌
日本歯科評論
巻号頁・発行日
vol.684, pp.181-191, 1999
被引用文献数
2
著者
三谷 篤史
出版者
札幌市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

前年度に購入したユニバーサル顕微鏡を用いて,フィーダ表面およびマイクロパーツ表面をモデル化した。顕微鏡による撮影画像を,画像解析により断面形状を離散データ化し近似する方法を適用した。ここでは,微小物体表面に存在する凸部が半球型であると仮定してモデル化した。フィーダ表面が完全なのこぎり歯であると仮定してシミュレーションを行い,実験結果と比較した。その結果,より複雑なモデルによる近似が必要であることが分かった。また,微小物体の摩擦角を計測することにより,凝着力を検証した。ここでは,仰角を20 deg,ピッチを0.01,0.02,\…0.1mmとしたフィーダ表面を用いて,湿度を変化させた場合の摩擦角を計測した。なお,湿度は40,50,60,70%とした。さらに,湿度が輸送におよぼす影響を実験により検証し,湿度60%において最も高速な輸送が実現できた。これらの結果について,一般的な工場の湿度が作業効率の観点から55?65%に設定されていることから鑑みれば,本実験結果は妥当性の高いものである。一方,フィーダ表面を顕微鏡で観察したところ,フィーダ表面形状は非対称三角波形状をしていることが分かった。すなわち,フィーダ表面は完全なのこぎり歯形状である必要はなく,非対称形状を有していれば対称平面振動による一方向輸送が可能であると考えられる。そこで,フィーダ表面の加工法として,フェムト秒ダブルパルス加工法の適用を検討した。第1パルスによる材料の蒸散と同時に,第2パルスを照射し蒸発粒子を再加熱することで,反跳力は第2パルスの入射角方向にシフトする。これらの作用を利用して非対称表面を加工した。なお,フィーダの材料はステンレスである。ここでは,得られた加工表面を原子間力顕微鏡により計測し,Duty比35%の非対称性が確認された。また,輸送実験を行うことにより,これら加工法の適用可能性を示した。
著者
中本 泰史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,中心星近傍で発生したX線フレアを起源とする星風が原始惑星系円盤に衝突し,衝撃波が発生するという現象をとりあげ,(1)そのような現象が発生するかどうか,(2)発生するとしたら円盤内の物質にどのような影響を及ぼすか,(3)それらの現象を天文学的あるいは隕石学的な手法により確認することができるか,などを明らかにすることを目的とした。そのために,電磁流体力学数値シミュレーションや流体力学,輻射輸送計算,解析的検討など種々の手法を用いて研究を推進した。電磁流体力学数値シミュレーションの結果,円盤上層部に衝撃波が発生することが確かめられた。また,これらの衝撃波はコンドリュール形成やダストの加熱結晶化にとって適当な衝撃波となることも明らかにした。つまり,(a)3AU程度以内ならば,円盤の上空に強い衝撃波が発生してダスト粒子を十分加熱することが可能なこと,(b)X線フレアによって発生した星風は磁場によるコリメーションを受けるため,5AU程度よりも外には影響を及ぼしにくいこと,などがわかった。一方,発生する衝撃波の性質をより的確に理解することが出来るようになり,衝撃波の発生場所,すなわち,ダストが加熱を受ける場所をより具体的に議論することが出来るようになった.このことにより,加熱を受けて結晶化したダストが彗星に取り込まれる可能性について,検討することが可能となった。それによれば,X線フレアに伴って発生する円盤上空衝撃波で加熱・結晶化できるダスト粒子は中心星から5AU程度までのものであるから,彗星中の結晶化ダストがそのようなものであるとすると,なんらかの機構によって5AU以内にあったダスト粒子を彗星形成領(30AU程度)まで運ぶ必要があることになる。ダスト粒子の輸送機構にはいくつかの可能性があるが,今後はそれらの輸送機構の適否を詳しく検討することが必要になるだろう。
著者
安江 恒 藤原 健 大山 幹成 桃井 尊央 武津 英太郎 古賀 信也 田村 明 織部 雄一朗 内海 泰弘 米延 仁志 中田 了五 中塚 武
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

将来予想される気候変動下での国産主要4樹種の肥大成長量や密度変化の予測を目的とし,年輪年代学的手法による気候応答解析を行った。スギ,ヒノキ,カラマツ,ブナのクロノロジーネットワークを構築し,気候データとの相関解析を行った。スギとヒノキについては,ほとんどの生育地において冬~春の気温が年輪幅変動に対して促進的に影響していた。ブナにおいては,比較的寒冷な生育地では,夏季の気温が年輪幅に促進的に影響しており,一方温暖な生育地では気温が制限要因となっていないことが示唆された。カラマツについては,生育地によって年輪幅や密度と相関を示す気候要素が大きく異なっていた。
著者
橋本 洋志 坪井 利憲 大山 恭弘 苗村 潔 天野 直紀 石井 千春 小林 裕之
出版者
東京工科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,日常生活で現れる手の動き(箸や鉛筆の使い方,玉遊び等)を時系列データとして取得し,動きの特徴を表す特徴量を抽出して保存する(アーカイブ(archive)と称す)とともにこの特徴量をハンドガイド(写真参照手に装着して自動制御によりワイヤー型アクチュエータで5本の指を動かす)に送ることにより,ハンドガイドを手に装着した人間に,力覚として手の動きそのもののインストラクションを行えるようにすることにある。本年度では,前年度までの実験結果を基にして,次の成果を得た。● 指関節角度の時系列データに対する主成分分析法により,第1主成分が,動きの巧みさの指標となりうること,また,指関節角度の時系列データのうち,箸使いでは,人差し指と中指の間の角度に対する標本分散が,箸使い上手さの指標となりうることがわかった。● 玉回しでは,親指を含めた3本の指先関節が周期的に動くことが上手さの鍵となることがわかった。また,手の動きに関連して,副次的に次の知見を得た。● 手の力覚を用いて,人間の周囲にある障害物環境を認職できるという視覚の代替感覚を実現できることを明らかにした。● 人間がレクリエーションの一環として太極拳の動作を行うとき,手先の動きが重要であることが判明した。これは上手に動こうとするときの指標として,手先でバランスをとったり,スムーズな動作移行のときに手先反動を用いているためで,人間の動作と手の動きとの関連性に注目することが必要であることがわかった。以上の知見をもとに,指先のみならず手先の動きがしなやかになるようなインストラクションディスプレイのプロトタイプを構築し,臨床実験を通してその高い利便性・使用性を立証した。さらに,指先のモーションアシストデバイスを試作し,指の感覚とその動かし方に関する幾つかの知見を示した。
著者
高橋 英治
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

EU行動計画書の展開を示した。Journal of Interdisciplinary Economics, Special Issue : International Corporate Governance を客員編者(Guest Editor)として発刊した。単著『ドイツと日本における株式会社法の改革--コーポレート・ガバナンスと企業結合法制』において、日本とドイツのコーポレート・ガバナンス改革について詳論した。単著『企業結合法制の将来像』において企業結合のコーポレート・ガバナンスの在り方につき詳論した
著者
増田 正勝 Masuda Masakatsu マスダ マサカツ
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学経済研究論集 (ISSN:03871436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.27-50, 2007-03

I.序論II.パウル・シュピンドラー・ヴェルク社の生成と発展,そして解散III.シュピンドラー・プラン-「共同企業者契約」 1.パートナーシャフトの精神 2.パートナーシャフトの組織 2-1.パートナーシャフト委員会 2-2.パートナーシャフト委員会の構成とその任務 2-3.パートナーシャフト委員会の意思決定 2-4.共同企業者契約諮問委員会 2-5.情報権 3.経営成果への参加 3-1.経営成果の計算と参加方式 3-2.損失参加 3-3.資産参加 4.共同企業者契約の解約IV.シュピンドラー・プランの実践と経営協議会V.シュピンドラーの経営パートナーシャフト思想 1.経営パートナーシャフトの基本思考 2.経営パートナーシャフトと共同決定 3.経営パートナーシャフトと成果分配VI.結論
著者
スピンドラー ジェラルド 早川 勝 ハヤカワ マサル Spindler Gerald Hayakawa Masaru
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.1-10, 2010-03-31

翻訳(Translation)2004年のSE規則は、当初の構想と異なり、枠組み法であって、基本的な骨組みを定めるにすぎず、その肉付けは、EU加盟国の国内法によるため、極端な場合は、加盟国数に相応したSEが存在することになる。当初慎重であったドイツ・オーストリアでは、少しずつSEを創設してきているが、超国家性という特色を生かすというよりも、ヨーロッパブランドという側面を重視している。
著者
福山 透 徳山 英利 菅 敏幸 横島 聡 下川 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究課題では、独自に開発した合成方法論、および独創性が高く高効率的な合成デザインによる、真に物質供給に耐えうる全合成法の開発を目的として、ヘテロ元素を含む高次構造天然物の全合成研究をおこなった。その結果、当研究室で独自に開発した芳香族アミノ化反応を用いることで、デュオカルマイシン、ヤタケマイシンを、不斉CH挿入反応によるジヒドロベンゾフラン環合成法を用いることでエフェドラジンA、セロトベニンを、ラジカル環化反応によるインドール合成法を用いることでストリキニーネ、コノフィリン、アスピドフィチンを、それぞれ合成することに成功した。また独創的合成デザインに基づき、FR901483、リゼルグ酸、モルヒネ、オセルタミビルの効率的合成法の開発に成功した。強力な抗腫瘍活性を有しながらも天然からは微量にしか得ることが出来ないヤタケマイシンにおいては大量合成にも成功し、市場における化合物供給にも耐えうる方法論を確立した。またタミフルについて、その副作用の原因究明のための研究に対して、活性化合物を提供した。セロトベニンの全合成では光学活性試料の合成に成功し、生合成経路におけるラセミ化機構の解明に大きな知見を与えることが出来た。また全合成の達成には至らなかったものの、レモノマイシン、UCS1025A、プラキニジンA、アルテミシジン、アニサチン、レペニンの合成研究を行い、有機合成上有用な知見を得ることが出来た。以上の研究成果が得られたことより、本研究課題の目的を十分達成することが出来たものと考えている。以上のように本研究課題の成果は、有機合成化学を基盤とした幅広い研究分野に対して、大きく貢献することができた。
著者
見舘 好隆 永井 正洋 北澤 武 上野 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.189-196, 2008
被引用文献数
4

学生の「学習意欲」や「大学生活の満足度」は,どのような要因が押し上げているのか.想定される様々な要因を探るアンケートを公立S大学の学生に実施し,その結果から因子分析によって「学習意欲」「大学生活の満足度」に影響を与えていると想定される因子を抽出した.そして抽出された因子間の因果関係を共分散構造分析にて分析した結果,「教員とのコミュニケーション」は「学習意欲」を高め,さらに「大学生活の満足度」にも影響を与えていた.また,「友人とのコミュニケーション」は「大学生活の満足度」にあまり影響を与えておらず,「学習意欲」には関連がないことが示唆された.
著者
石川 勝博
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.145-156, 2005-03

The purpose of this study is to investigate factors related to dysfunctional aspects of cellular phone communication (1) passive interpersonal relationships, (2) restraints, (3) anxiety towards information, (4) escape, (5) lower abilities in verbal expression, and (6) annoyance. In this study I focused on the following factors: Bantsu sentaku (that is, selective answering to telephone calls by using the number display service), affinity to cellular phones, and uncertainty avoidance. A survey was conducted to clarify the relationship between the factors by a questionnaire method during January and February 2004. The subjects were 517 Japanese university students from Ibaraki prefecture. The total of valid responses was 502. Through multiple regression analysis, the following relationships were found. Bantsu sentaku was linked positively to (3) anxiety towards information and (2) restraints. Affinity to cellular phones was linked positively to (2) restraints, 5) lower abilities in verbal expression, (4) escape and (6) annoyance . Uncertainty avoidance was linked positively to (6) annoyance, (1) passive interpersonal relationships, and negatively to (2) restraints. This study concludes that further research on cellular phone communication literacy education is necessary.