著者
喜々津 仁密 奥田 泰雄 神田 順 河井 宏允
出版者
国土技術政策総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では,竜巻による突風危険度に関する各種の評価を行うことを目的として,屋内型の竜巻発生装置を設計・製作した.そして,同装置を活用して低層建築物を想定した風圧模型実験を行うとともに,建築物への飛来物の衝突の様子を実験的に再現した.また,実験結果に基づいて屋根に作用する突風荷重モデルを構築し,荷重の大きさと建築物側の開口条件等との関係を明らかにした.
著者
南 憲一
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.23-44, 2011-03-20
被引用文献数
1

意思決定は、Simonにより「プログラム化しうる意思決定」と「プログラム化しえない意思決定」に分類される(Simon,H.A.,1977pp.45-49)。Ansoffは、企業における意思決定を、戦略的な意思決定、管理的な意思決定、日常業務的な意思決定の3つのカテゴリーに分類して示している(Ansoff,H.I.,1988pp.4-9)。島田は、組織を意思決定のネットワークと捉え、企業における意思決定の連鎖を(社長、部長、課長の分類で)公式組織における目標の展開として捉えている(島田達巳=高原康彦、2007pp.50-51)。また、意思決定のプロセスをSimonは、情報活動、設計活動、選択活動、再検討活動として示している。一方、白井とBarabbaはビジネスモデルの創造や評価にシミュレーションを適用する方法を提案している(白井宏明、2001pp.8-10、Barabba,V., et al.,2002)。本研究では、経営における特に「プログラム化しえない意思決定」の支援ツールとしてシミュレーションを用いることを提案する。具体的に、経営教育におけるビジネスゲームでのシミュレーションの適用例を、島田の意思決定の連鎖とSimonの意思決定のプロセスに合わせて示す。そして、Simon、島田の問題解決のプロセスを実習において適用した効果について考察する。
著者
岩田 彩志
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英語における音声放出動詞の移動用法には、motion-describingタイプとmotion-inducedタイプの2種類があることが判明した。motion-describingタイプでは、動詞の表わす事象と移動事象の因果関係は移動様態動詞と根本的に同じである。一方motion-inducedタイプでは、経路が動詞の意味に含意されており、enterのような経路融合動詞と同じ特性を持つ。
著者
大谷 雅夫 YANG K. YANG Kunpeng
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

二十二年度の主たる実績は、科学研究費補助金「和漢聯句の研究」(基盤B、代表大谷雅夫教授)における討議をもととして『看聞日記紙背和漢聯句訳注』を臨川書店より2011年2月に刊行したことである。代表者大谷雅夫、研究分担者楊昆鵬はともに研究会に常に出席するとともに、訳注執筆を担当した。次に、楊昆鵬は、前年度に引き続いて、近世初期の和漢聯句作品資料の翻刻と紹介を進め、慶長九年(1604)後陽成天皇主催の和漢千句を取り上げ、「慶長九年和漢千句翻刻と解題」(中村健史と共著)として『京都大学国文学論叢』(第25号、2011年3月、85-111頁)に掲載した。この千句は近世初頭の堂上和漢聯句の第一次資料であり、当時の和歌・連歌また漢文学などの研究にも資することの多いものである。そのような重要な資料を新たに学界の共有財産となしえた功績は小さくないと考えられる。楊昆鵬は、さらに俳文学会第六十二回全国大会(2010年10月16日、徳島四国大学)において「和漢聯句にみえる友情の連想」という題で研究発表を行った。本発表は和漢比較文学の視点から、友情を最大の主題とする漢詩文と、あまり正面から友情を詠う事のない和歌・連歌という異なる文学の伝統が、和漢聯句においてどのように接触し、結合したかを検討するものである。友情をめぐる連想に、歌や俳諧と同じ付合文芸でありながら、和漢聯句にはそれら歌俳に見られない独自な特徴のあることが見いだされるという楊昆鵬の発表は、新発見を含むものとして高く評価された。楊は、本発表を基に論文を執筆し、現在学術雑誌に投稿中である。
著者
越智 裕之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.102, pp.97-102, 1997-10-28
参考文献数
9
被引用文献数
2

本稿では、今後ますます進歩する半導体技術にふさわしいFPGAアーキテクチャの将来像として、Field Programmable Accumulator Array (PA)を提案する。これはFPGAの基本セル中のLUTをALUに量き換えたものである。主な応用を固定語長の数値処理に特化することにより、高速化、高集積化、コンパイルや再構成の容易さなどを狙う。現在のテクノロジで実現可能な第1世代のFPAAチップの試作経過や、近い将来に浮動小数点演算対応、DRAM混載の第3世代FPAAによって非ノイマン型の新たなスーパーコンピューティング向きアーキテクチャが誕生する可能性についても言及する。This paper proposes the Field Programmable Accumulator Array (FPAA) as an FPGA architecture in a near future. Each cell in an FPAA has an ALU, while each cell in an FPGA has LUTs. FPAAs are useful especially for numerical processing, and we can expect higher-speed, higher-density, easier compilation, and less time for reconfiguration compared with FPGAs. This paper also reports on the first-generation FPAA chip which the author is currently designing, and discusses the possibility of the third-generation FPAAs which has hundreds of floating-point ALUs and on-chip DRAM to establish a new style of supercomputing.
著者
波平 宜敬 BEGUM Feroza
出版者
国立大学法人琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は、光ファイバ中に多数のエアホールを規則正しく配列した構造を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)の最適設計を昨年度の研究成果を発展させる形で研究を実施した。光パルスの群速度が波長(色)によって異なる波長分散特性が、広い波長域1.25μmから1.61μmで、平坦(フラット)の特性0+/-1.15ps/(mm.km)で、かつ同時にPCFを実用化する際の重要なパラメータの一つである閉じ込め損失が小さい(10-10dB/m)先端的なPCFを数値解析用パソコンを用いて、昨年度の研究成果を発展させたより最適な設計を行った。また、光波の実効的な光パワー分布を表す実効断面積(Aeff)が小さい(7μm^2)PCFの最適設計も行った。これは高非線形PCFと呼ばれており、波長1.55μmで、非線形定数(n2/Aeff)が大きい(35[Wkm]^<-1>)もので、通常の光ファイバの3倍も大きく、フェムト秒ファイバレーザ等の短光パルスをこの高非線形PCFに入射すると、連続光スペクトルが発生する超広帯域のスーパーコンティニューム(SC)光源をOCTを用いて眼の3次元画像等の実用化が期待できるものである。OCTの波長帯は、0.8μm,1.0μm及び1.3μmの光源が求められているので、非線形シュレーディンガー方程式を用いて、設計した高非線形PCFに、短光パルスを入射した時に発生する超広帯域スーパーコンティニューム(SC)光のスペクトル波形のシミューレーションを行った結果、高非線形のPCFが最適設計できた。
著者
関口 翔太
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

細胞質一核間の物質輸送は、核膜に存在する多数の孔(核膜孔)を通して行われている。この核膜孔は、細胞膜と共に遺伝子導入における障壁として存在し、このために効率的な遺伝子発現が行えないことが知られている。したがって、細胞膜や核膜孔を効率的に通過するマテリアルの作製及びその通過メカニズムの解明は、遺伝子導入における重要課題とされている。本研究は、これまで申請者が作製してきたナノ微粒子をツールとして、細胞膜や核膜孔を通過するマテリアルを作製し、それらの通過メカニズムを解明することが目的である。研究計画にしたがって、目的であるナノ粒子の核移行性の付与とそのメカニズム解明を達成することが出来た。本年度は更に、遺伝子導入におけるもう一つの障壁である細胞膜を通過するマテリアルの作製を行った。細胞膜は脂質二分子膜で構成されており、その内部が疎水性空間になっていることが知られている。しかしながら、ナノ粒子は一般に親水性であるため、この膜を通過することができない。そこでナノ粒子に、親水性、疎水性の双方に親和性のある両親媒性を付与することで膜の通過が可能になると考えた。作製した両親媒性ナノ粒子は、細胞膜のモデルとして知られているリボソームを、膜陥入によって通過することが分かった。この現象は実際の細胞膜でも観察され、両親媒性ナノ粒子は細胞内に効率的に取り込まれることが分かった。この粒子の細胞膜通過性とこれまでの成果である粒子の核移行性を合わせることができれば、遺伝子導入や核酸医薬へ応用する上で有用な手段となる。この成果は、現在論文としてChemical Communications誌に投稿中である。(S. Sekiguchi et al., Chem. Commun. 2013, in submission)
著者
小林 義雄
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.31-44, 1975-08-25

高所における有酸素作業におよぼすビタミンEの単独効果を検索するために, 男子12が名高さ4,500mに相当する低圧室での自転車エルゴメーターによる作業テストに参加した. 二重盲検法によって, 1日1.200mgのビタミンEとプラセボが6週間投与され, 続く6週間に両者はスウッチされて投与された. 同一最大下作業時の酸素消費量(Submax Vo_2)と心拍数, 回復期の酸素消費量と静脈血乳酸値および, つづく all-out ridingによる最大酸素摂取量(max Vo_2)等がビタミン投与の効果を測定するパラメターとして用いられた. 6週間にわたるビタミンE投与の結果, max Vo_2は14%増加した. さらに最大下作業にもとづく酸素負債および静脈血中の乳酸値はそれぞれ20%と17%低下した. これらの諸結果から, ビタミンの大量投与は急性低圧環境における有酸素作業成績を高めるのに効果的に働いたものと考えられる.
著者
平塚 良子 黒木 邦弘 端田 篤人 橋本 美枝子 滝口 真
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、多様な領域で実践するソーシャルワーカーの事例を活用して多面的・多角的実 践分析モデル(PDA モデル)の開発を行った。モデルの体系的な構造は、実践行為の7次元統 合体を基本に実践内容群とクリティカル思考の援用を試みた実践評価群とからなる。部分的に 検討課題が残ったが、既存収集事例及びソーシャルワーカーによる実験的適用では実用の可能 性が高いと確認できた。 加えて方法優位の発想から実践行為全体の把握への転換が明示できた。
著者
小松原 良平 吉澤 徹
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1817-1822, 1989-10-05
被引用文献数
8 3

Fringe scanning is introduced to the grating, projection system for profiling which has been developed to capture three-dimensional shape of the objective. This revised system can give more dense measuring points and elliminate the influence of the surfacial pattern of the specimen. The final measurement is realized with the error ratio of 0.005 to the covering range. Some discussions are also made on the conventional fringe scanning method using a sinusoidal grating, and a trial with liquid crystal grating, instead of interference fringes, has proved to be applicable to the fringe scanning method.
著者
山本 和重
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、戦時応召者とその家族への処遇について、アジア太平洋戦争期を対象に検討を行った。日中戦争期にその特権性が問題となっていた応召官公吏等に対する職場からの給与補給は、当該期には人事及び経理での位置づけが明確になるなど、特権性がより強化されたことが明らかになった。また一般応召者に対する軍事扶助法による扶助については、地域の「軍事扶助台帳」の分析から、アジア太平洋戦争末期に扶助対象が制度上の「家」から現実の家族生活に劇的に移行している事実が明らかになった。
著者
打矢 匡 柏 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1122-1125, 2001-11-01
参考文献数
4
被引用文献数
25

スーパコンピュータは数T FLOPS/数百GByteの性能をもつに至っている.本研究では, 汎用的電磁界解析法であるFDTD法についてMPIを用いて並列型スーパコンピュータに対応した並列化を行い, その実行性能を調べた.
著者
斎藤 義夫
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究では,異機種の知能化機器で構成された加工セルを対象として,セル内での協調作業の分析を行うとともに,協調制御を実現するために知識獲得方法の獲得および学習機能の付与を試みた.また,具体的に画像処理装置とロボット加工セルよりなるシステムを実際に構築し,木材の加工を行い,自己学習の実現を目標に研究を行った.その結果,下記に示すように多くの新しい知見を得ることができ,所期の目的を満たす研究成果があげられた.1.協調制御に関する知識獲得過程の分析と自己学習機能の検討:個々の知能化レベルにより具体的な協調動作は異なり,事前に獲得した知識レベルの状態が重要な因子となる.そこで,知識工学や心理学など幅広い分野の成果を集め,知識獲得と自己学習の過程を分析し,学習過程において重要となる概念形成の構築を試みた.具体的には,「図面,図形に対する類似性の概念構築に関する研究」として,概念形成の自動学習方法について新しい提案を行った.2.協調制御加工セルの試作と自己学習の実現:ロボットとビジョンシステムで構成された加工セルのプロトタイプを試作し,これを用いて知識獲得による自己学習の実現を試み,運用面での問題点について検討を行なった.実際に,「ロボットビジョンシステムによる木版彫刻加工の最適化」を試み,知能化機器が自分及びセル内の他の機器の知能化レベル(レディネス)に対応して作業内容を分解し,それぞれに適した内容として実行することを行った.ここで,各工程で獲られた新たな知識を自分自身に取り込む過程を繰り返すことにより,自己学習を行ない,実際の協調作業に適したセルとして成長することを目標とし,その実用化における問題点を明らかにすることができた.
著者
上田 博 梶川 正弘 早坂 忠裕 遊馬 芳雄 菊地 勝弘 和田 誠 ソラス M.K.
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

北極域の気候変動や水循環を解明する上で、ポーラーローを含む北極低気圧の発生・発達過程と北欧北極圏やノルウェー海上での水蒸気輸送や雲、降水粒子の形成過程を明らかにするために、地上リモートセンサーを用いた現地観測を行なった。1999年1月から4月までスウェーデン・キルナで現地のスウェーデン宇宙物理研究所の協力を得て気象観測用Xバンド鉛直ドップラーレーダーのデータを取得した。得られたデータを解析した結果、スウェーデン・キルナ地方の降水はスカンジナビア山脈の影響を強く受け、空気塊の斜面上昇による山岳性降水やノルウェー海上を北上する低気圧に伴う上層の前線からの弱い降水と山脈の強制上昇の影響を受けた下層雲との相互作用によって降水が増強されている様子が観測された。また、1999年10月にノルウェー海の中央に位置するベアー・アイランドのノルウェー気象局の観測所、スピッツベルゲン島・ニーオルセンの国立極地研究所の観測施設に出かけ、北極圏の低気圧に関する資料やデータを収集した。また、その際に簡易気象観測機器を設置して北極圏の低気圧に関してのデータを取得した。これらのデータは厳冬季を含む北欧北極圏やノルウェー海上での雲や低気圧の構造・発達過程、水循環・輸送過程が明らかになり、ポーラーローを含む北欧北極圏での気象擾乱の構造や水・エネルギー循環を明らかにするための基礎データとなることが期待される。
著者
藤井 勝 佐々木 衞 首藤 明和 小林 和美 魯 ゼウォン 奥井 亜紗子 高井 康弘 福田 恵 竹内 隆夫 橋本 泰子 樫永 真佐夫 長坂 格 日下 渉 黒柳 晴夫 北原 淳 橋本 卓 油井 清光 白鳥 義彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、東アジアの地方社会を「地方的世界」という観点から、地方社会の形成の論理、現代的な変化の特質、そして今後の発展の可能性や課題を明らかにした。東アジアの地方社会では村落と都市(町)は対立しているのではなく、歴史的文化的伝統の上に成り立つ両者の有機的な関係が形成されてきた。そして、それに立脚して「地方的世界」が存在してきた。したがって村落はもとより、地方都市(町)、そして両者の関係の繁栄や再生こそ、地方社会、延いては東アジア自身の豊かな発展に不可欠であることを明らかにした。
著者
行成 正昭
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.178, pp.42-43, 1998-10-10
参考文献数
2