12 0 0 0 OA 心の闇の側面

著者
大隅 尚広 大平 英樹
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.2-14, 2010-07-31 (Released:2011-09-01)
参考文献数
94
被引用文献数
1

This review summarizes empirical findings that have shown affective deficits of psychopathy. Previous studies have accounted for a failure of moral socialization in individuals with psychopathy in terms of low levels of fearfulness and empathy that may lead to an attenuated ability to inhibit deviant behaviors in response to punishments and distress cues from others. Both low-fear and low-empathy hypotheses have implied that a neural basis of psychopathy is a dysfunction of amygdala, a brain region of the center in affective processing. However, the affective dysfunction of psychopathy can also be associated with adaptive behaviors to maximize gains and minimize losses in some situations. Hence, we propose that psychopathy is one side of humans to shape a selfish strategy if necessary.
著者
林 凌
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.107-124, 2018 (Released:2019-06-30)
参考文献数
23

1960年代日本においては, チェーンストアの急拡大という小売業界の構造変化が生じた. この時期ダイエーや西友などの小売企業は, 全国各地に相次いで店舗を立地した. その結果「安売り」を基盤とした大量販売体制が日本においても生起したのである.流通史研究はこうした小売業界の構造変化において, 商業コンサルタントとでも呼びうる職能集団が重大な役割を有していたことを指摘している. だがなぜ彼らは, それまで否定されていた様々な経営施策を肯定的な形で取り上げたのか. この点について, 既往研究は充分な説明を加えているとは言い難い.本稿では消費社会研究の知見を分析の手がかりとして, 当時「商業近代化運動」に取り組んでいた商業コンサルタントの「安売り」をめぐる言説に着目し, 以下のことを解明する. 第1に, 商業コンサルタントが「商業近代化運動」において「安売り」を肯定的に取り上げた際に, 「安売り」と「乱売」が「大量生産―大量消費」の枠組みから弁別されていたということを説明する. 第2に, こうした「安売り」という施策の重要性を訴える主張が, 当時の経営学の導入と密接に結びついていたということを説明する. そして第3に, こうした「安売り」をめぐる彼らの実践が「消費社会」の到来という予期を原動力にしており, そのため「消費者」への貢献という規範が, 「安売り」という具体的施策と結びつく形で当時強く示されていたことを明らかにする.
著者
榊原 充隆
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.67, pp.1-23, 2016-12-20 (Released:2018-02-10)
参考文献数
105

カメムシ亜目は半翅で,口吻をもつことが最大の特徴だが,このほかにも臭くて集合性をもつ等の一般的なイメージがある.害虫管理の面から考察すると,吸収口を持ち,外部消化をおこなう性質は動植物の収量・品質に悪影響をもたらすことを意味する.嗅覚を情報交換や防除手段の基礎とする性質は,そのにおいを嫌うものには不快害虫になり,群れていればさらに嫌われる.そして,カメムシが半翅を持つことはその多様性,すなわちヒトにとっての害虫種群の豊富さ・防除手法の煩雑さにつながる.カメムシ類には同翅亜目同様,音響交信する種が多いことはあまり知られていないカメムシ亜目の特徴だが,音響や視覚,触覚接触といった情報交換が求愛行動に組み込まれているカメムシの性質は,フェロモン利用によるカメムシ類防除を困難にしている一因と思われる.
著者
大谷 真理子 大谷 道輝 野澤 茜 松元 美香 山村 喜一 小茂田 昌代 江藤 隆史
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.39-43, 2012-01-20 (Released:2014-11-13)
被引用文献数
3

塗布量および塗布回数の違いによる保湿剤の効果を客観的に評価するために,人工乾燥皮膚を用いて検討した.ヒルドイド®ローションおよびヒルドイド®ソフト軟膏を1日1回朝0.5,2および3 mg/cm2あるいは1日2回朝および夜の入浴後2 mg/cm2を14日間アセトン/エーテルおよび水で処理した前腕部の屈側の人工乾燥皮膚に塗布した.角層水分量は塗布1,2,5,6,7,8,9,12,13および14日後に経時的に測定した.塗布量による比較では,ローション・軟膏とも電導度に有意差はなかった.塗布回数による比較では,1日2回はローション・軟膏ともにほとんどの測定時点で1日1回と比較して電導度が有意に高かった.本研究により,ヒルドイド®製剤では1日1回よりも2回塗布した方がより効果的であることが示唆された.
著者
角甲 純 中村 陽一 西 智弘 高木 雄亮 松田 能宣 渡邊 紘章 笠原 庸子 合屋 将 小原 弘之 森 雅紀 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.33-42, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
44
被引用文献数
1

【目的】慢性進行性疾患患者の呼吸困難に対する送風療法の有効性について検討する.【方法】医中誌,Cochrane Library, EMBASE, MEDLINEを用いて,2019年10月23日までの期間に報告されたすべての文献について検索を行った.また,2020年6月30日と2021年12月7日に,PubMedを用いてハンドサーチを行った.適格基準は,1)送風療法を扱う無作為化比較試験,2)対象者の年齢が18歳以上,とした.除外基準は,1)重複文献,2)学会発表,とした.【結果】110件中10件が採用され,そのうち5件についてメタ解析を行った.送風療法は標準化平均値差−1.43(95%信頼区間−2.70~−0.17; I2=94%;異質性のp値<0.0001)であり,呼吸困難を有意に改善した.【結論】慢性進行性疾患患者の呼吸困難に対して送風療法は有効であることが示された.
著者
櫻井 一美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.21-28, 2020 (Released:2020-08-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The ice cream, also known as King of Sweets, gives you deliciousness, fun and peace of mind. Ice cream market size in Japan expanded steadily during the late Showa period, supported by the expansion of the population and the high growth of the economy. However, it had shrunk significantly over the past 10 years in the Heisei period, and then it has expanded again and still continues the present day. This V-shaped recovery is explained by factors in fields such as logistics, sales, production, marketing, and research and development. We also introduce big hit ice cream products in the Heisei period and discussed the challenges of the ice cream industry in the Reiwa period.
著者
片岡 佑介
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.44-64, 2017-01-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
40

【要旨】本稿の目的は、新藤兼人監督作『原爆の子』(1952)と関川秀雄監督作『ひろしま』(1953)のテクスト分析を通じ、両作品がいかに「無垢なる被害者」の像を生み出しているのかを明らかにすることにある。両作品はGHQ/ SCAPによる映画検閲の解除後、間もなく同一著書から製作された原爆映画であるために、これまでも比較考察がなされてきたが、従来研究は主題や製作過程、受容の観点から両作品を対照的なものと位置づけてきた。これに対し本稿は、両作品に共通する演出方法とジェンダー化された無垢の表象とに着目する。より具体的には、宝塚少女歌劇団の同期であった乙羽信子と月丘夢路がそれぞれ演じる白いブラウス姿の女教師による歌唱シーン、及び音楽のサウンドブリッジを契機に過去を想起する白血病の少女によるフラッシュバックシーンなどの場面を精査し、両作品の差異をこれらの場面での演出上の差異に由来するものとして新たに意味づける。そして両作品の語りの構造において、それぞれ画面に繋留されない女教師の歌声と沈黙する白血病の少女が主要な役割を果たしていることを浮き彫りにする。本稿では、明治以降の国民国家形成期における音楽の社会的機能にも目を配りつつ、両作品が映像と音声で構成される映画の媒体的特質に依拠した対照的な演出方法を用いながらも、しかし、共に原爆の「無垢なる被害者」と戦後の理想的な国民国家像とを構築していることを解き明かす。
著者
藤岡 祐介 安井 敬三 長谷川 康博 高橋 昭 祖父江 元
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.634-640, 2009 (Released:2009-12-07)
参考文献数
27
被引用文献数
9 8

意識障害と痙攣で発症した重症熱中症の47歳,男性症例.意識障害の改善後,高度の無為・無欲,体幹失調等の小脳性運動失調症候がみられた.急性期の頭部MRI拡散強調像(DWI)にて小脳皮質に,ADC値の低下をともなう異常高信号がみられた.発症約2カ月後,体幹失調,構音障害は改善したが,四肢の測定障害はむしろ悪化した.MRI(DWI)上の異常高信号は消失したが,小脳は萎縮傾向を示し,脳血流シンチグラフィでは小脳歯状核部の血流低下が増強した.DWIでの異常高信号は,高体温による小脳Purkinje細胞の細胞性浮腫を捉えた可能性があり,その後の小脳萎縮の出現や後遺症の有無について注意深く検討する必要があることを示している. 本症例では急性期に酒石酸プロチレリンを使用し,無為・無欲に対する有効性を確認した.熱中症後の無為・無欲の改善を期待し試みられるべき治療の一つであると考える.
著者
中井 誠一
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.67-75, 2019-10-01 (Released:2019-10-24)
参考文献数
22

人口動態統計では「熱中症」という用語を用いた死亡統計の分類はなく,「傷病および死亡の外因」の中に,1994年までは「過度の高温(E900)」,1995年以降では「自然の過度の高温への曝露(X30)」と「人工の過度の高温への曝露(W92)」の項目があり,これらが外因としての暑熱による死者数と考えられる.厚生労働省 の広報資料においても「自然の過度の高温への曝露(X30)」を熱中症による死亡数とすると掲載されている.しかし,「損傷,中毒およびその他の外因の影響」の中に,1994年までは「熱作用(N992)」と「熱および光の作用(992)」,1995年以降は「熱及び光線の作用(T67)」の小分類として,熱射病や日射病などの熱中症の具体的な症状が示されているので,T67が傷害の性質としての熱中症死者数に相当すると考えられる.本研究ではこれらの統計分類について熱中症に関連する死亡数を比較した.1994年までは統計分類による死亡数に顕著な差は認められなかったが,1995年から2017年まではT67がX30よりも高値で,X30にW92を加算するとT67と X30+W92との差は小さくなった.これらは外因のコードであるE900が1995年以降ではX30とW92に分割して表示されたことが原因と考えられる.暑熱による死亡数を示す場合,自然の過度の高温による死亡数(原因による分類)を示すよりも,傷害の性質による死亡数を用いることが妥当と考えられ,熱及び光線の作用(T67)による死亡数が我が国における熱中症死亡数を示していると考えられる.
著者
楠見 孝
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.6-15, 2014 (Released:2015-04-25)
参考文献数
30
被引用文献数
5

ホワイトカラーの熟達化と,それを支える実践知(暗黙知)の構造,その獲得について認知心理学の知見に基づいて論じた.そして,ホワイトカラーに質問紙調査を実施し,マネジメントの暗黙知の獲得は,管理職経験年数,経験学習態度,批判的思考態度,類推,省察,職場内の暗黙知と形式知の知識変換が関与していることを示した.最後に,個人学習と組織学習の相互作用が実践知の獲得を促進し,管理職への熟達を導くことを議論した.
著者
木村 聡
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.128, no.8, pp.33-58, 2019 (Released:2021-09-02)

従来、ワシントン軍縮会議後の問題は、その後の海軍における統帥権独立の問題や海軍軍令部の独立問題、大臣人事の問題に注目が集まり、条約に対する具体的な対応策については十分に議論がなされなかった。本研究はその後の海軍の在り方に影響を与えたとして、連合艦隊の常置化とその役割の変遷を取り扱う。 海軍という組織は、軍政を掌る海軍省と軍令を掌る軍令部の二元組織と解釈されるが、正確には、軍政権と統帥権の並立の下に、最高機関として海軍大臣、艦隊・鎮守府の司令長官、海軍軍令部長(軍令部総長)が存在するという構造である。そして、艦隊司令長官や鎮守府司令長官の役割は指揮統率であった。 それが、ワシントン条約への対応策として精兵主義の方策がとられた。連合艦隊はその中で常置化された。これにより、海軍の主兵力が連合艦隊に一本化され、さらに連合艦隊司令長官の平時における権限や役割が明確に規定された。こうして連合艦隊は、非常時に指揮権を統一するための組織から、平時から海軍の指揮統率と実戦部隊の軍政を、その施行のみならず計画までも担う恒常的な組織へと変化した。 戦争の危機が認識されると連合艦隊の規模は急激に拡大した。そこで連合艦隊司令部とその麾下の各艦隊の司令部とが分離し、司令部は後方での全体の作戦指導と戦線の統合を担うようになる。軍令部と機能を同じくした連合艦隊司令部は、海軍中央で問題視される一方で、麾下の艦隊指揮官との間にも精神的に距離が生じるようになった。この結果、海軍の戦争指導は、後方での戦争指導を行う大本営海軍部、後方にあって作戦を練り、その指揮を執る連合艦隊司令部、そしてその戦場で戦う各艦隊や部隊の三者からなる遠心的な三重構造となった。 連合艦隊はワシントン条約後の常置化以来、その性質を全く異なるものに変化させ、それは海軍全体の組織の在り方にも影響を与えた。
著者
今村 智陽 中野 英之
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.48-52, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
8

ピンホールカメラには焦点距離に応じて最も鮮明な投影像が得られる最適口径が存在することが知られている.本研究では最適口径の存在をデジタルピンホールカメラを用いて検証するとともに,焦点距離と分解能の関係を明らかにした.更に,これらの実験結果を踏まえて焦点距離4 m超のピンホールカメラを作製し,月面クレータの撮影を試みたところ,月面クレーターを撮影することに成功した.
著者
吉田 至孝 宮野 廣
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.15-19, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

東京電力福島第一原子力発電所の津波対策が不十分であったことが指摘され,裁判でその責任の有無が争われている。本検討では,裁判の中での議論には関与せず,純学術的観点から主に4事故調(国会,政府,民間,東電)報告書の内容を精査し,わが国および東電の津波対応に関する事実関係をまとめ,考察した。加えて,話題となっている国土庁と気象協会が作成した津波浸水予測図,津波高さ15.7mの試算とその予防効果,地震本部の長期評価などについても検討するとともに,得られた知見を紹介する。
著者
澤野 美智子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.588-598, 2013-03-31 (Released:2017-04-03)
被引用文献数
1

Studies on Korean families have discussed the role of Korean women caring for their families from the viewpoints of the patrilineal system, patriarchy and Confucian culture. They have looked at situations in which Korean women must care for their families in an environment of male supremacy situations, and stress the importance of the extended 'sidaek' family (i.e., the husband's parents, siblings and relatives). However, in situations where women become ill-although they once cared for their family, they now need caring themselves-or can or will not answer to the family's demands, the family members must change and reconstruct their respective roles of caring. In my research, I have clarified how women and their families in Korea reconstruct their caring by taking care of each other, as the women, who had been expected to care of their own families, face illness themselves. Women's breasts are symbols of sexuality and motherhood. In Korea, the breast is not only viewed as attractive and full of feelings, but also as the repository for negative feelings. In that country, too, there is a disease called 'hwa-byung,' which is a culture-bound syndrome caused by such accumulated negative feelings as anger or dissatisfaction. Korean people think that diseases, not just 'hwa-byung,' are caused by the accumulation of negative feelings in the body. Connecting those factors, they believe that the cause of breast cancer is an accumulation of negative feelings related to their families. Married female breast cancer patients in Korea, in particular, tend to connect the cause of their illness with the self-sacrifice caused by pressure from their husband or the extended 'sidaek' family. They recognize that the burden of caring they had borne was caused by self-sacrifice, and view it is as related to the cause of their illness. Therefore, they start to place more priority on their own desires, and come to value their own importance in family life, so as to cure their illness or prevent a relapse of the cancer. The women attempt to cure their disease through the act of 'hanpuli' (dispelling), namely, by expressing their feelings or doing acts of self-improvement that could not be carried out while they were busy caring for their families. They begin to involve their families in their 'hanpuli,' which in turn changes the nature of care in the family. The patients deal with their husbands and extended 'sidaek' family members in different ways. While their husbands must strive to help out with household chores and show more understanding, the patients avoid contact with their extended 'sidaek' family so as to reduce their stress. That may lead us to think that the women perhaps do not view their 'sidaek' relatives as part of the family. Such observations differ from the conclusions of past studies on Korean families, which have emphasized the importance of the extended 'sidaek' family. The family is reconstructed in such a way that positive support is given to each member of the family.
著者
濱田 信夫 藤田 忠雄
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.51-61, 2001-03-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
39
被引用文献数
2
著者
田村 綾子
出版者
一般社団法人 日本産業精神保健学会
雑誌
産業精神保健 (ISSN:13402862)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.74-78, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
8

2018年の障害者雇用促進法の改正施行により,精神障害者が身体・知的障害者と同様に雇用率の算定基礎に位置づけられた.障害者権利条約の理念に基づき,雇用者には,障害を理由とする差別の禁止や合理的配慮の提供が求められており,精神障害者の合理的配慮の適切な提供のためには,雇用者及び職場の上司等が社会モデルに則り障害者の個性や能力を活かせる環境作りや調整を行う必要がある.また,精神障害者(メンタル不調者等を含む)への支援を適切に行うことは,精神障害者の就業を通じた自己実現に繋がる.その際,障害者が自身の精神疾患や障害の特性を理解して対応できるようになることと併せて,仕事に求めるものや職務内容及び力量を認識し,職場上司や支援関係者との対話に参加できることが重要である.これらを支援するために精神保健福祉士等の専門職を含む支援関係者には職場内外での連携が求められる.
著者
中野 貴元
出版者
日本会計史学会
雑誌
会計史学会年報 (ISSN:18844405)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.39, pp.17-30, 2020 (Released:2022-07-05)

江戸幕府が倒れたのち,天皇を中心とする近代国家化を目指した明治政府にとって,中央集権体制を確立し,迫りくる西欧列強の脅威に備えることが急務であった。その新政体の結集する核として天皇が据えられるが,皇室が保有する財産に対していかに会計を行うかが問題となる。明治期当初においては政府会計の一部とされていたものが,その後政府会計とは別に皇室会計制度を制定し,独自の発展を遂げた。本稿はこれら皇室会計の制度の変遷を概観し,その内容を明らかにする。