著者
樋口 輝久
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

これまでに行われた歴史的ダムの保全・改修の事例を調査し、ダムの形式ごとに特徴、問題点を整理した。さらに、保全・改修の方針、手法をもとに、a)堤体補強,b)嵩上げ,c)凍結融解防止,d)用途変更,e)残置,f)形式変更,g)付属設備の改修の7項目に分類し、個々の事例を紹介し、それぞれに対する評価を行った。特に歴史的価値が失われてしまった事例に対しては、採るべき適切な保全方法について言及した。
著者
辻 延浩 佐藤 尚武 宮崎 総一郎 大川 匡子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

これまでに開発してきた睡眠学習プログラム(指導案)をデジタルコンテンツ化し、そのWeb学習教材の有効性と活用性を検討した。Web教材については、画像等に関わる5項目と、内容等に関わる5項目で評価した。いずれにおいても高い評価が得られ、睡眠教育に対して有効な活用が期待できると考えられた。また、睡眠教育プログラムを滋賀県下の学校園に広めることを目的に、教員が睡眠の科学的知識を習得し、幼児・児童・生徒の基本的な生活習慣の確立に向けて睡眠の教育を展開させることのできる教員の研修プログラムを考案し実践した。その結果、幼稚園の教師ならびに保護者から高い評価を得ることができた。一連の睡眠教育研修プログラムは教師の研修成果を高めるとともに、子どもたちの生活習慣を改善するのに有効であることが確かめられた。
著者
藤原 花 (鷲谷 花)
出版者
明治学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は主に関西方面のアーカイヴスでの資料調査を行い、京都文化資料館で、戦時期の南京親日政権の成立を題材とする「大東亜映画」の未映画化シナリオ(東宝、1943年頃)の所蔵を確認したほか、戦時期・占領期日本映画に関するいくつかの未公開資料を発掘した。資料調査の傍ら、青弓社より2012年に刊行予定の単著『戦争と《コスチュームプレイ》-《他者》を扮演する日本人-』(仮)の執筆準備を進めた。2011年2月12日にソウル・漢陽女子大学にて開催された韓国日本学会第82回学術大会にて口頭発表「日本戦争映画における「兵士の歌声」-『五人の斥候兵』から『ビルマの竪琴』まで-」。戦時期から戦後に至る日本の戦争映画における「合唱する日本兵」のイメージの反復について、戦時期から戦後にかけての国民歌運動との関連性を含めて論じた。また、2011年3月に米合衆国・ニューオーリンズで開催されたThe Society for Cinema and Media Studies 2011 Conferenceにて、パネル"Recycling the 'War Propaganda Apparatus' : Rethinking the (Dis-) Continuity of Wartime Film Genres in Japan"に参加、口頭発表"Soldiers in the Performing Arts' in Wartime and Postwar Japanese Cinema"。ここでは大戦期にルース・ベネディクトをはじめ米国戦時情報局調査等によって指摘された戦時期日本映画の「反戦的傾向」と、戦後日本の「反戦映画」との連続性を、日本の戦争映画に登場する兵士の「犠牲者としての英雄」像に注目しつつ論じた
著者
木下 秀雄 嶋田 佳広 上田 真理 武田 公子 名古 道功 吉永 純 根本 到 瀧澤 仁唱 布川 日佐史 嵯峨 嘉子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

SGB2の実施状況に関する多面的調査を計画通り実施し、2011年には給付受給者自身に対する直接インタビューを行った。2010年ドイツ連邦憲法裁判所基準額違憲判決について、移送決定を行った担当裁判官であるヘッセン州社会裁判所判事のボルヒャート氏との意見交換を行った。2010年9月23日に、ドイツ・ダルムシュタット大学で日独比較研究シンポジウムを持ち、成果を、W. Hanesch, H. Fukawa, Das letzte Netz sozialer Sicherung in der Bewahrung, 2011, Nomos, 319として公刊した。
著者
札野 順 飯野 弘之 山本 凉市 堀 幸夫 松原 洋 LUEGENBIEHL Heinz 西村 秀雄 HEINZ Luegenbiehl CLARK Scott
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.高等教育や企業などの違いを越えて、倫理教育・研修を行う上で、Plan-do-check-actといういわゆるPDCAサイクルを持った「価値共有プログラム」という概念が有効であることを提案した。2.「Ethics across the Curriculum(以下EAC)」、すなわち、カリキュラムを通して行う科学技術倫理教育の可能性に関して総合的な検討を行ない、1)金沢工業大学が平成16年度から実践するカリキュラムの具体的内容、2)EACの歴史、理論、応用、評価、3)倫理教育を専門科目と統合する方法とその問題点、4)技術者教育と人文科学を再統合する試み、6)大学全体での倫理に関する測定と評価を行う方法、8)倫理的ジレンマ解決能力の測定と評価の方法、などに関する具体的な成果を挙げた。3.原子力産業に関連する企業、研究組織などを中心に、技術者や研究者が持つ「価値」群を明確化するためのアンケート調査を実施した結果、学協会が示す価値群と優先順位などについて差があることがわかった。4.実効性のある企業倫理プログラムに不可欠な要素(倫理綱領、トップのコミットメント、教育・研修、ヘルプラインなど)を抽出した。5.技術倫理教育のための教材を開発し、教科書および視聴覚教材を作成した。(平成16年度開講の放送大学科目「技術者倫理」)6.科学技術倫理プログラムを構築する上で、今後、最大の課題となるのは、プログラムの実効性を測定する手法であることを確認し、具体的なツールとして、学習者のベスト・ワーク登録するe-portfolioや倫理的価値判断能力を測定するための手法ethics rubricなどの有効性について検討した。7.今後、科学技術倫理を国際的・学際的に研究するための組織、Ethics Crossroads Centerの基本構想を練り上げた。
著者
澤田 いずみ 丸山 知子 吉野 淳一 今野 美紀 片倉 洋子
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

I.研究の目的夫婦間暴力を受け夫と離別した女性の心身の健康状態を明らかにし、暴力が女性の健康に与える長期的な影響とヘルスニーズを明らかにすること。II.研究方法1.質問紙調査1)対象:過去に夫婦間暴力を背景に民間のシェルターに援助を求め、現在は夫と離別して生活している女性100名。2)調査の内容:(1)身体・精神症状32項目、(2)IES-R、(3)Zungうつ病自己評価尺度、(4)受診状況と受診ニーズ、(5)基本的属性、(6)暴力の被害状況、(7)生活習慣を尋ねた。3)回収結果:調査用紙の回収数は67部(回収率67.0%)であった。2.聞き取り調査1)対象:1次調査の参加者で面接への同意が得られ、離別後3年以上を経過していた20名。2)面接内容:20名のうち14名に夫と同居中、別居した直後、現在での健康状態とヘルスニーズについて1〜2回の半構造化面接を行い、逐語録を作成し内容分析を行った。III.調査結果質問紙調査の結果、夫と同居中、約8割の女性が抑うつ状態を体験していたが、夫からの暴力により受診行動が制限されていた。離別後では、約5割の女性が「憂うつな気分」「眠れない」「疲れやすい」などの症状を"まあまあ"又は"かなり"感じており、約3割の女性に軽度以上のうつ状態、7割の女性にPTSDが疑われる状態であることが示唆され、健康に問題を自覚している女性のうち約5割が暴力と関係していると認識していた。心身症状は離別期間の経過に伴い減少するものもみられるが、個人差が大きく顕著な統計学的な関連を認めなかった。面接調査においては、暴力によるソーシャルサポートの分断や経済的困難などの生活基盤の脆弱性や、暴力の影響を受けた子どもの健康状態が、女性たちの健康状態の回復に影響していることが示唆され、離別後の親子を総合的に支援することが必要と考えられた。今後は、健康状態の個別性の背景と回復の過程を明らかにする予定である。
著者
細江 達郎 青木 慎一郎 細越 久美子 糸田 尚史 小野 澤章子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

青森県下北半島出身者(昭和39年中卒者)の職業的社会化過程に関する追跡調査の一環として、現住地面接調査(有効面接数47)・質問紙調査(有効回答数125)を実施した。その結果、老年期移行期は都市周辺地域居住型と出身地域回帰型に分けられ、後者は対象者の50歳台時点での予測(40%以上)とは異なり少数であった。前者は、都市周辺地域社会内で生活基盤を形成してきたものが多く、再適応が比較的安定している一方で、都市不安定就労を継続し出身地域とも交流に欠ける者も少なくない
著者
加藤 尊秋
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,原子力発電のリスクが発電所の周辺地域で受け入れられる条件を探り,既存の発電所立地地域での住民の心理的負担を軽減させる方策を考察することを目的とし。ケーススタディとして新潟県の柏崎刈羽原子力発電所を対象とした。平成19年度の実施内容は,以下である。1)発電所の操業に伴うさまざまな経済的利点が市町村によって異なることに着目し,その大きさと発電所のリスクに対する補償としての認知度の関連を,既存の社会調査(2005年度実施)の結果をまじえて検討した。その結果,公共的な資金の流入が大きな市町村では,発電所のリスクが補償されたとみなす人の割合が高まることがわかった。ただし,当該資金が補償として十分であると考える人は,1人あたりの額がもっとも大きい刈羽村でも最大限にみて4割にとどまることがわかった。この結果は,「日本原子力学会和文論文誌」に掲載された。2)柏崎刈羽原子力発電所から15km圏内の住民を対象とした訪問面接形式の社会調査をもとに,原子力発電所のリスクおよび原子力防災に対する住民の認知内容を調べた。とくに,発電所から2.3km圏(柏崎市の重点的な対策区域),10km圏(国や県の対策の基本となる緊急時計画区域),15km圏(明示的な対策区域の外)に分け,住民の認知内容を分析した。この結果は,日本リスク研究学会で発表されるとともに,「化学工学」に関連する論考が掲載された。3)上述の社会調査のデータを用い,発電所の経済的利点の認知と防災意識の間にみられる関連性について検討した。
著者
上原 真人 吉井 秀夫 森下 章司 阪口 英毅
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、古墳とその副葬品の検討を通して、古墳時代前期における対外交渉の具体的な様相とその歴史的意義を明らかにすることを目的とした。具体的には、中国や朝鮮半島と関係が深い副葬品が発掘され、古墳時代前期を代表する前方後円墳として知られている、大阪府茨木市所在の紫金山古墳を主たる研究対象としてとりあげることにした。まず、紫金山古墳の墳丘規模と構造を明らかにするために、墳丘の測量調査と発掘調査をおこなった。その結果、墳丘の全長は約110mであり、前方部と後円部はそれぞれ2つの平坦面と3つの斜面からなり、斜面には葺石が葺かれていたことが明らかになった。また、出土した埴輪の検討によって、紫金山古墳の築造時期が古墳時代前期中葉でも新しい段階に当たると推定することができた。さらに、北側くびれ部から出土した翼形の鰭がつく円筒埴輪は、大阪府松岳山古墳で出土した鰭付楕円筒埴輪と形状が類似しており、古墳時代前期における地域間関係を明らかにするための新たな手がかりを提供した。次に、1947年に発掘調査された、後円部竪穴式石槨から出土した遺物の整理作業をおこなった。まず、全ての遺物の実測と写真撮影をおこない、出土遺物の全容を明らかにした。次に、出土鉄製品に付着した有機物の材質、竪穴式石槨内の赤色顔料の成分、出土石製品石材の産地について、自然科学的な分析・検討をおこなった。さらに、鉄鎌・甲冑・又鍬・銅鏡・筒形銅器・腕輪形石製品・貝輪についての考察を進め、当時の対外交渉や地域間関係の様相を明らかにするための新たな知見をえた。本研究により、紫金山古墳が、古墳時代前期の対外交渉を考古学的に研究する上で重要な古墳であることを明らかにすることができた。今回の研究成果は、日本の古墳時代研究のみならず、同時代の東アジア世界各地における考古学的研究に、少なからず寄与することができるであろう。
著者
金澤 直志
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、Predictable Input/Outputの概念に基づく英語教育プログラムをコンピュータのオンライン上に開発し、その有効性を実証することである。Predictable Input/Outputに基づくコンピュータ上の英語教育教材を開発し、それを授業および家庭で実践することで英語に触れる時間が増し、教育現場が抱える「学生の学力差」を少しでも埋めることができればと考える。
著者
木村 政司 渡辺 政隆 荒俣 宏 長谷川 善和 石川 良輔 マルセル グンタート クロード クーン DR. ジョージ マクガヴァン
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

科学がすべての人にひらかれ、科学を「楽しむ」「伝える」「考える」「共有する」から、「関わる」「つながる」「広がる」ことへと日本の科学コミュニケーションのあり方が変化してきたことに貢献した。「科学する心」を育て、人生を豊かにする智の創造に大きく貢献し、個人の幸福を考えるだけでなく持続可能な社会の幸福を考えることができる科学の絆が、子どもたちに託せる未来を築くことが可能になる。その答えが、欧米の博物館の科学と芸術が融合した文化にあった。
著者
森嶋 彌重 伊藤 哲夫 古賀 妙子 近藤 宗平
出版者
近畿大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

チェルノブイリ原発事故が発災災生し、3年を経過した。日本本土のほぼ中央に位置する琵琶湖生態圏における放射性核種の動向および経時変化について観察した。(1)琵琶湖水については、表層水1m^3を採取し、検出された放射性核種は半年後以降Cs-137のみとなり、ほぼ1/10以下で平衡行状態を示し、現在は事故以前の濃度0.2mBq/1に減少した。(2)湖泥のCs-137の深度分布は表層土より10〜20cmで最高値を示し、その濃度は粘土成分の多い所で高く、場所により2倍の変動を示した。このCs-137は、チェルノブイリ原発事故以前の放射性降下物による影響が大きいと思われる。これはチェルノブイリ事故の降下物中のCs-134/Cs-137比が1/2であるが、Cs-134の沈着が少ないことより推測される。(3)琵琶湖に生育している生物には、3年後でもCs-137が検出され、その濃度はブラックバスの肉部で0.5Bq/kgとなり、半年後の最高値2.0Bq/kgに比べ、約25%と経時的に減少している。(4)水草中のCs-137濃度は、夏に低く、冬に高い傾向を示しながら徐々に減少していく。これは冬季は枯れて芽体で越冬し、夏には生長して生物学的希釈を生じるものと思われる。(5)湖水中のCs-137濃度に対する生物中の濃度比を濃縮係数とすると、ブラックバス、モロコ、ブル-ギルは1000〜4000コイ、フナは200〜1000、貝は100〜170と低かった。原発事故などにより放出される核分裂生成物の生態圏への影響を知る上で指標生物としては濃縮係数の大きい生物が望まれるが、ブラックバスなどが有効であると思われる。
著者
山崎 正勝 菅 耕作 日野川 静枝
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

(資料収集)今回、新たに入手した文書としては、米国ではロスアラモス研究所関係、英国ではO.フリッシュ、R.パイエルスの第二メモ、仏国ではジョリオ・キュリ-関係のものが代表的なものである。このうち後二者は、本研究でわが国では初めて入手されたもので、原爆問題をそれぞれの国の科学者たちがどのように考えていたかを知るうえで重要な文書である。また、日本の資料にもついても、GHQ関連の文書を入手した。(資料分析)(1)上記資料の入手により、シラ-ドら米国科学者と、仏、英の科学者の原爆に体する対応の共通性と相違点が明らかにされた。(2)シカゴ大学治金研究所の成立過程については、従来不明な点が多かったが、原資料の分析を通じて幾つかの重要な側面、例えば、同研究所が軍事研究所であったにもかかわらず、大学附置となったことによって、それまでの大学内の自治的な研究慣行が維持された、などが明らかにされた。(3)ロスアラモス研究所での原爆の研究開発過程についても、技術的開発過程を追うことによって、ウラン爆弾とプルトニウム爆弾の開発の競合の基本的過程が明らかになった。その中でとくに重要な点は、初期の砲撃型プルトニウム爆弾、スインマンの開発の挫折とその放棄で(44年夏)、これによって対独使用が技術的に不可能となり、対日投下が決定的となったことが示された。
著者
高埜 利彦 武内 房司 安藤 正人 保阪 裕興
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

中国・韓国・ベトナムのアーカイブズ制度について、相互交流を通して学んだほか、アメリカのアーカイブズ学研究・教育の特質を、テキサス大学教授を招聘して学び理解を深めた。また日本国内各地にあるアーカイブズ(文書館)の現状視察をするとともに、歴史的な史料保存機関として真宗高田派本山専修寺門跡(三重県津市)の所蔵史料調査を行い、日本のアーカイブズ制度の特徴を検討し、他国との比較を行う中でその特質を把握した。
著者
碇 浩一 海塚 敏郎 井上 豊久 亀口 憲治 横山 正幸 藤山 正二郎 と 廷良 イスラブル ユソフ アサン トホティサ 三本松 正敏 木舩 憲幸
出版者
福岡教育大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1. ウイグル民族と日本の子どもの生活環境の比較研究分析・検討を教育学、心理学、障害児教育、社会教育、精神医学、文化人類学等の観点から行い、研究発表(日中教育文化研究会シンポジウム、家族心理学会、日本生涯教育学会等)及び研究成果(北大路書房「いじめのない世界」他)としてまとめた。2. 中国中央民族大学及びウイグル自治区新彊師範大学・新彊教育委員会からの研究者を日本(福岡)に迎え(平成10年11月4日から11月15日の12日間)、セミナーの開催、中国側の研究者を中心とした日本の子どもの生活実態調査を実施した.3. 日中両国の研究者による共同研究会及び共同作業により、子どもの生活環境に関する総合的分析を行った。4. 平成11年3月10日調査研究成果を、はじめにでは「子ども・家族・老人」,第1部では「幼老共生-ウイグル社会における乳幼児の養育環境-」など「子どもと老人」,第2部では「ウイグル民族と日本の中学2年生の生活環境の比較研究」など「ウイグル社会と子どもの生活」,第3部では「生活環境の変容から見た中国ウイグル族と日本の子どもの家族観」など「家族」,第4部では「パネルディスカッション・子どもと老人」など「研究会とシンポジウム」,付録・調査研究の経過では研究活動概要・研究業績・研究者名簿・統計資料・関連新聞記事を報告書にまとめた.
著者
家田 修 佐々木 隆生 仙石 学 池本 修一 渡邊 昭子 中島 崇文 中澤 達哉 石田 信一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では環境問題をも含めて公共財としてとらえ、総合地球環境学研究所との連携により、文理協働型の議論を行った。この結果、従来の政治共同体を基にした地域設定による圏域の設定を超えて、環境に基づく圏域(環境広域公共圏)が現在問題になりつつあることが本研究の成果として明らかになった。また住民へのアンケート調査の結果として、想定していたよりも人々の社会的な流動性は高くなく、地域コミュニティの役割が以前よりも重要になっていることが新たな知見として判明した。
著者
高橋 義雄
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

わが国のプロ野球チームの経営が俄かに脚光を浴び、経営危機とともに経営情報が公開された。そのため急遽わが国のプロサッカークラブの企業統治を同じ日本のプロスポーツであるプロ野球と比較するために、スポーツビジネスの研究者でもあり、福岡ソフトバンクホークスの取締役である小林至氏および営業担当者を訪問し、現状の課題をヒアリングした。次に、クラブが熱心な顧客であるサポーターに対する情報交換の場である湘南ベルマーレのサポーターズカンファレンスにオブザーバー出席し、そこで交換される情報とお互いのコミュニケーションについて参与観察し、同社社長、強化担当者との意見交換を実施した。サポーターカンファレンス時にクラブが実施した意識調査は入手の確約を得た。東海地区3クラブ(名古屋グランパスエイト、ジュビロ磐田、清水エスパルス)の試合会場にて実施された。本調査結果は、2006年1月の第3回日本フットボール学会にて発表した。本報告はスポーツ・体育関連の雑誌に投稿予定である。また地元企業主導型のガバナンスの事例である(株)アルビレックス新潟の広報および地元営業を担当している職員にヒアリング調査を実施した。湘南ベルマーレ同様、地元企業主導型のJクラブの地元協賛企業への対応について情報を得ることで、地元企業の経済効果などシナジー効果の提案が必要であることが明らかになった。そのほか名古屋グランパスエイト事業部担当者へのヒアリングから大企業が親企業となるJクラブの課題が浮き彫りにされた。最後に英国プロクラブ経営の近年の流れであるサポーターズトラストの動向をおさえるために、サポーターズ・ダイレクト事務局長から適宜メールにて情報交換を実施した。
著者
藤井 義久
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、児童生徒の「キレやすさ」と「学校嫌い」を客観的に測定できる尺度を開発し、その尺度を用いて、問題行動を生み出すメカニズムを解明するとともに、「キレやすさ」と「学校嫌い」との関連性について分析することである。まず、大学生162名を対象にして、「友達関係」、「教師関係」、「怠学感情」という3つの下位尺度、計24項目から成る「大学生版学校嫌い尺度」を開発した。そして、その尺度を用いて、大学生における学校嫌い水準は特に小学校時代の経験が大きく影響していること、学校嫌い水準と怒り水準との間には密接な関連性のあることなどを明らかにした。次に、小学生(1〜6年生)708名を対象にして、項目分析及び因子分析等、様々な統計解析手法を用いて、「怒り感情」、「攻撃行動」、「生理的反応」という3つの下位尺度、計16項目から成る「児童版キレやすさ尺度」及び「怠学感情」、「学業不安」、「教師関係」、「友達関係」という4つの下位尺度、計20項目から成る「児童版学校嫌い尺度」を開発した。そして、それらの尺度を用いて、家庭において音楽を聴いたりお風呂に入ったりするといったリラクレーション時間の長い児童ほど学校嫌い傾向の強いこと、「学校嫌い」と「キレやすさ」は密接に関連していて特に教師関係や友達関係における何らかのトラブルによる学校嫌い傾向の強い生徒ほどキレやすい傾向のあることなどを明らかにした。さらに、中学生(1〜3年生)442名を対象にして、「敵意」、「興奮」、「生理的反応」という3つの下位尺度、計16項目から成る「中学生版キレやすさ尺度」及び「怠学感情」、「劣等感」、「友人関係」という3つの下位尺度、計22項目から成る「中学生版学校嫌い尺度」を開発した。そして、それらの尺度を用いて、分散分析の結果、「キレやすさ」と「学校嫌い」との間には密接な関連のあること、重回帰分析の結果、学校嫌い傾向の強い生徒は特に両親に対する怒り水準の高いことなどを明らかにした。以上の研究を通して、児童生徒の「キレやすさ」と「学校嫌い」を多面的にかつ客観的に測定できる尺度が開発され、それらの尺度には一定の妥当性が備わっていることを示した。また、発達段階を問わず、一貫して「キレやすさ」と「学校嫌い」との間には密接な関連があり、両者を一緒に研究していくことの重要性が浮き彫りになった。さらに、問題行動の形態がどうであれ、人間関係における何らかのトラブルが児童生徒の問題行動を生み出す最も大きな原因であることが判明した。今後は、本研究で開発された様々な尺度の信頼性、妥当性の検証及び問題行動を生み出すメカニズムについて更に詳細に分析していきたいと考えている。
著者
藁科 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

産地分析で最も重要なことは、原材産地を明らかにし分類することである。(1)玉類碧玉産地では、石川県小松市産玉材の中に女代南B遺物群に一致する原石群に小松・菩提一那谷群および女代南B遺物群と少し組成の異なる菩提-1群を確立した。また、花仙山原産地では面白谷地区産碧玉で面白谷瑪瑙群、くらさこ地区産碧玉でくらさこ群、横屋堀地区産碧玉で横屋堀-1群、また、白色風化群、緑色凝灰岩群などを作成した。会津坂下産碧玉でも新たに原石群を作り、現在日本全国で29個の碧玉・凝灰岩群が整備されたことにより、碧玉・緑色凝灰岩製の玉類の精度の高い産地分析ができるようになった。また、未定C群が弥生時代前期、古墳時代前期など時代変化の初期に使用される傾向が見られ、未加工玉材、剥片の出土が見られず、韓国製管玉が伝播した可能性が高く、韓国の情報を収集していたところ、釜山市近郊に碧玉の原産地が存在する可能性が明らかになった。今回の分析で香川県の遺跡及び大阪府紫金山古墳から未定C遺物群の使用が明らかになった。また、北海道留辺蘂の黒曜石原産地でケショマップ1群および2群の露頭が確認された。また、水和層測定で、北海道の遺跡の後期旧石器の水和層年代が20、000〜30、000年BPであった。北海道の遺跡で土器編年より約2,000年古くでる原因は、薄片法と光干渉法で測定した結果に差がなく、古く出る原因は黒曜石遺物の埋土温度に関係している可能性が推測された。
著者
栗田 宣義
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

実験群たるローティーン女性ならびに統制群たるハイティーン女性全般においてファッションとメイクへの意気込みと傾倒は大きく、当初予想していたアーケードゲームの影響に加えて、とりわけ女性ファッション誌を中心とするマス媒体のもたらす培養効果は無視しえなく、それらを担い手とした社会化によって「ファッション系統」と呼ぶべき、好みのファッション誌と好みの化粧服飾がリンクした選好の類型が生成、保持されていることが統計的に確認された。