著者
秋本 鈴史
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
Journal of the Faculty of Letters, Kobe Shoin Women's University = 文学部篇 : JOL (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-15, 2015-03

ここに紹介するのは、大正8 年から昭和3 年までの大阪の芝居の絵入役割番付43 種である。本学図書館に寄贈するにあたり、目録と共に資料の紹介を行い、近代歌舞伎や近代演劇などの研究資料として活用されることを願う次第である。本稿では次の3 つの側面を中心にして紹介する。第1 はこの時期、東京の歌舞伎界が歌舞伎座を中心に災害で混乱していたことであり、第2 は近松門左衛門の200 年忌の記念行事の時期にあたることである。さらに第3 として歌舞伎と大衆演劇・活動写真(映画)などとの関係などについても考えたい。The Forty-three kinds of Kabuki Banzuke of Osaka with pictures, from 1919 to 1928, which are all donated to the University Library by the author, are discussed in this article. The discussion focuses on the three facets of the situation surrounding the Banzuke. First, the period between 1919 and 1928 was an era when the Tokyo kabuki scene was still struggling in the chaos after the Kanto Earthquake. Second, the period conincides with the two hundred-year memorial of Chikamatsu Monzaemon, a prominent playwright in the Edo period. Finally, one could analyze the Banzuke in the light of the relationship between kabuki and the popular theater or movies.
著者
大坂 洋
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.603-632, 2015-03

松尾匡氏は一般読者向けの新書を含めて,極めて活発な執筆活動をしているマルクス経済学者である。本稿は,松尾匡氏とかわした議論をもとに,従来見過ごされがちであった松尾疎外論の論点を明確化し,その分析にふさわしい枠組みを提案する。
著者
渡辺 哲矢 西尾 修一 小川 浩平 石黒 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.86-93, 2011-01-01
被引用文献数
2

遠隔操作型アンドロイドロボットを操作する際,触覚フィードバックがないにもかかわらず,ロボットの身体に触られると自分に触られたように感じることがある.類似の現象として,身体への触覚刺激に同期して身体以外への物体に触覚刺激を与えている様子を観察させると,身体感覚の転移が生ずる「Rubber Hand Illusion」が知られているが,触覚刺激を伴わない身体感覚の転移についての研究事例は少なく,特に対象物を遠隔操作する際の転移に関する報告はこれまでない.本論文ではアンドロイドの遠隔操作時に身体感覚の転移が実際に生じているのかを検証した.その結果,アンドロイドと操作者の動きが同期した場合に,触覚刺激を与えなくても,身体感覚の転移が生ずることが分かった.
著者
高田 英一 桑野 典子 森 雅生 関 隆宏 関口 正司 高森 智嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、我が国におけるIR及び内部質保証の在り方に関する研究である。この研究で、内部質保証を支援するIRのための人材の教育カリキュラムとデータベースの活用に関する研究も行った。また、IRによる内部質保証の実質化の支援の状況を把握するために、国立大学を対象とするアンケート調査を実施した。調査の結果、IRは内部質保証の支援を十分に実施していないことが分かった。今後は、IRは、個別の課題の調査分析にとどまることなく、全学としての内部質保証システムに位置付けて活用することが重要といえよう。
著者
山下 英明 立石 慎治 大森 不二雄 永井 正洋 林 祐司 椿本 弥生 松河 秀哉 渡辺 雄貴 松田 岳士 高森 智嗣 柳浦 猛
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,高等教育機関の教学データを一元的に管理・分析し,教職員によって学生指導に活用されることを目的としたIRシステムを開発,評価した.具体的には,学生の留年可能性を早期に発見し,指導に役立てるための留年判定モデルを運用するシステムを開発した.留年判定モデルでは,ソフトマージン・サポートベクターマシンを採用し,機械学習ライブラリを用いてスタンドアロンのPC上に実装した.過去の学生データを用いて留年を判定し,予測精度の確認と教員による評価を受けた結果,留年予測の精度は93%であり,判定結果の理解度も高かった.一方で,表示されるデータの解釈やインタフェースについては課題が残された.
著者
岡田 聡志
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、高等教育機関内の教育改善に資するデータの収集・分析・報告を担うIRの機能に着目し、特に医学領域を事例として、機関別質保証と分野別質保証との関係性およびその中でのIR機能のあり方を明らかにすることを目的としたものである。研究の結果、1)機関別質保証と分野別質保証の関係性は、前者から後者へ重心が移行しつつあること、2)分野別質保証におけるIR機能については、各専門領域・専門職関連団体の各種の取り組みが、IR機能の標準化と効率化の役割を果たすという相補性が確認されること、3)日本の分野別質保証が、卒後から卒前へではなく、逆向きの方向で進展している特質が明らかになった。
著者
福間透 著
出版者
春陽堂書店
巻号頁・発行日
1940
著者
杉本 希映 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.289-299, 2006-09-30
被引用文献数
2

本研究では,「居場所」の心理的機能の構造とその発達的変化について検討した。「居場所」の心理的機能の構造を分析するために,自由記述により得られた居場所の選択理由と先行研究を検討して作成した尺度を用いて,小・中・高校生を対象に調査を行った。その結果,「居場所」の心理的機能には,「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」の6因子があることが明らかとなった。「居場所」を他者の存在により,「自分ひとりの居場所」「家族のいる居場所」「家族以外の人のいる居場所」に分類した結果,小学生では「家族のいる居場所」,中・高校生では「自分ひとりの居場所」が多いことが明らかとなり,発達段階により選択される「居場所」が異なってくることが示された。この3分類により心理的機能の比較分析を行った結果,それぞれの「居場所」の固有性が明らかとなった。
著者
小谷 元子
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.348-364, 2002-10-25 (Released:2008-12-25)
参考文献数
65
著者
粟津 俊二 阿野 奈津美 斎藤 友香
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学人間社会学部紀要 (ISSN:18800009)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.111-119, 2008-04

都市圏の通勤電車の7人掛けロングシートに設置されているスタンションポールが、座席選択に与える影響について検討した。20代の男女63名に質問紙を配布して調査したところ、スタンションポール横の座席が選択されやすいこと、また性差があり女性の方がスタンションポール横の座席を選択しやすいことが示された。スタンションポールは空間を十分に分節するものではないため、主観的な空間分節が座席配置に影響すると考えられる。今後、知覚心理学やリーダーシップとの関連を考慮した研究を展開する必要があろう。
著者
河原崎 里子 杉村 乾
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.95-99, 2012-04-01 (Released:2012-06-14)
参考文献数
27
被引用文献数
3 5

山菜やきのこは誰もが採集できる森の恵である。これらの利用と生育環境条件との関係は必ずしも十分には明らかにされていない。本研究では, これらを個人が採集したり, または, 団体 (個人以外の企業や自治体など) が広報・販売等で利用したりすることの地域性と生育環境との関係性を把握した。インターネット検索エンジンを利用し, 全国133市町村を対象に所定キーワードを与え, ヒット件数とその内容から各地の採集頻度を表す指標を算出した。この指標を市町村の人口, 森林面積, 気温, 積雪日数などで説明する重回帰モデルで解析した結果, 年平均気温が低い, または, 積雪日数が多い地域で山菜, きのこともに採集頻度が高いことが示された。また, 個人は天然林面積が大きなところで採集するのに対し, 団体ではその傾向は見られず, 様々な森林を利用していた。個人は景観が美しい場所で採集し, 採集をレジャーと捉える傾向があるのに対し, 団体は確実な採集のため対象の種の生育適地で採集すると考えられた。
著者
飯田浩史 岡崎博樹 上林憲行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.221-223, 2011-03-02

現代には過去・現在・未来を表す様々なツールやサービスがあふれているが,現代人はスケジュールに振り回され時間に管理されている.この時間に管理されるという立場ではなく,様々な出来事に対して予定を待つ喜び,思い出から懐かしさを抱いてもらえるようにする.そこで本研究では様々な面で表現・開発の自由度が高いiPhone上で,過去・現在・未来を混在させたタイムサービスを作成した.このサービスではシャボン玉の色や大きさで予定を直観的に把握できるバブル型と,今までのように入力した予定を一覧表示できるリスト型の2つのユーザインターフェースを実装している.