著者
藤川 真樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.68, pp.227-234, 2000-07-25

PKI(Public Key Infrastructure)の整備、電子政府・電子役所の設立に伴い、公的機関へ提出する申請書類が電子化され、インターネットを用いた申請手続き(住民票の発行等)が一般化することが予想される。しかしある程度専門知識が要求される申請手続き(自動車の新規登録や特許の申請等)は、専門知識を有する代理人に申請手続きを代行させることが望ましく、そのためのシステム整備が必要である。そこで本稿では電子委任状を用いることにより公的機関等への申請手続き(自動車登録、特許等)を本人に代って代理人が代行できるシステムを提案すると同時に、実用化への一考察を述べる。It is expected that improvement of the PKI (Public Key Infrastructure) and establishment of the electronic Government brings an electronic application form and generalization of application procedure using internet. However, there are a number of application procedures that needs technical knowledge (application for patent, new registration of automobile, etc). In this case, it is desirable to commit these procedures to expert, and necessary to improve the system environment. This paper proposes an application procedure system using electronic letter of attorney, and also describes a consideration in practical use.
著者
上田 佳代
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、黄砂の健康に対する急性影響を評価するために、長崎において、越境汚染の指標である黄砂飛来と救急外来受診との関連について明らかにすることを目的とした。予備調査として、文献レビューおよび、福岡における呼吸器疾患のデータを用いた解析を行い、それらの結果を論文として学術雑誌に投稿した。文献レビューにおいては、黄砂の健康影響に関するエビデンスが十分でなく、今後の課題として論じた。本調査として、平成22年度には、長崎市救急実態調査の救急搬送データ、長崎市内の5か所から得た大気汚染物質濃度データ、を用いた解析を行ったところ、SPM濃度上昇により、呼吸器疾患による救急搬送との間に有意な正の関連を認めた。一方、黄砂の健康影響評価にあたり、黄砂日について異なる指標を用いた解析を行った。目視による黄砂判定を用いた解析では、救急搬送の前日、2日前、3日前が黄砂日であった場合のリスクは上昇し、救急搬送当日から3日前までの間いずれかの日に黄砂日があった場合の救急搬送リスク変化率は、4.3%(95%CI : -0.7,9.5)であった。ライダー観測による黄砂消散係数に基づいて判定された黄砂日における救急搬送リスクを評価するために、高度120mにおける黄砂消散係数の値が閾値(0.13/km)を越えた日を黄砂日とし、非黄砂日に比較した黄砂日の救急搬送リスクの変化率を算出したところ、黄砂曝露による救急リスクは10.2%(95%CI : 0.6,20.6)上昇したことを見出し、黄砂消散係数を用いた黄砂判定による健康影響評価の有用性を明らかにした。さらに、後方流跡線解析の結果により黄砂日を分類し、救急搬送リスクの大きさについて比較したところ、工業地帯を通過した黄砂粒子の曝露により、救急搬送リスクが上昇する可能性を示した。
著者
福島 甫
出版者
東海大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本研究申請時に比べ物質輸送モデルの研究が進み、黄砂降下量が一定精度で推定できるようになったこと、また衛星データが蓄積され、「年々変動の解析」がやりやすくなったことを勘案し、研究の重点を「鉄供給源と見なされている黄砂の沈着量と植物プランクトン量(衛星によるクロロフィル濃度推定値)」の関係の解析に移した。併せて東アジア域における大気汚染に関連する指標として、過去12年間にわたる日本近海におけるサブミクロン粒子の増減傾向に関する衛星データ解析を行った。(1)北太平洋における黄砂沈着量分布とクロロフィル濃度の関係に関する解析九大・竹村俊彦らのエアロゾル放射伝達モデルSPRINTARSによる最近13年間の北太平洋黄砂沈着量データと、MODIS・SeaWiFSデータによるクロロフィル濃度データの比較解析を北緯20~69°における北太平洋域の各小海域(緯度・経度各4°幅)について行った。黄砂沈着量とクロロフィル濃度については月間平均値・週間平均値(1・2週間の時間遅れ含む)どうしの直接的な相関を見いだすことはできず、年度内に成果としてまとめることはできなかった。しかし解析を通じて新たな着想が得られたので、引き続き解析を続ける予定である。(2)日本近海における小粒径エアロゾル増加傾向の解析1998~2009の期間の日本近海におけるSeaWiFSデータの独自再解析を行い、Aqua/MODISデータと重複する期間については両者の解析結果がよく一致すること、さらにこの間の小粒径粒子の割合が2006年頃を境に増加から減少に転じることを確認した。SPRINTARSによるモデル計算結果および「立山におけるサブミクロン粒子の体積濃度」の時系列データとの比較検討に関して本特定領域研究のA01班内の九大・鵜野および名大・長田と討論し、共同の成果としてとりまとめつつある。
著者
柳田 健太 小野 良平 伊藤 弘 下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.643-646, 2004-03-31
被引用文献数
4

Today, people have paid more attention to scenery in Japan. Scenery from trains is not exception. Some local governments mention about scenery from trains in their issue of landscape planning, though they are only statements without detailed plan. The aim of this study is to analyze characters of scenery from trains by comparing impressions on movies and a series of still pictures of scenery from the same train. The results are 1) scenery which locates 200-300 meters away showed more differences of impressions between movies and a series of still pictures of scenery, 2) scenery of cities showed more differences in 'perception of three dimensions' and 'changes', 3) scenery from trains is easily affected by surroundings. From these 3 results, some guidelines about diverse scenery from trains, which are urban, natural, and ever with train stations, can be proposed.
著者
江口 弘久 谷原 真一 中村 好一 柳川 洋
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(1)各県ごとの患者把握率Gは、疾病の種類に関係がない。(2)小児人口あたり突発性湿疹発生には地域変動がない。以上の仮定を設定し、小児あたり定点数地域格差および年末年始、連休などの受診への影響を調整した患者報告数の都道府県格差を比較するモデルを構築した。このとき、サーベイランスで報告されている定点あたりの患者数をPとすると、その県での小児人口あたり患者数T1とのあいだには、P×(定点数)=(小児人口)×T1×Gの関係が成り立つ。よって定点あたり患者数Pは、P=(小児人口)×T1×G÷(定点数)と表すことができる。突発性湿疹の定点当たりの患者数をESとすると、小児人口あたり患者数T2について、同様に、ES×(定点数)=(小児人口)×T2×Gであるから、ES=(小児人口)×T2×G÷(定点数)と表すことができる。よって、各都道府県についてP/ES=T1/T2となる。仮定から、突発性発疹の発生率T2は地域差がない定数としたので、P/ESの値を比較することで、地域格差を検討することが可能になる。実際に突発性発疹の定点あたり患者数を分母に用いた数値による検討では、麻疹の場合、1995年の北海道東北地域では第5週〜20週にかけてほぼ一定の値を示し、特続的な麻疹患者発生が考えられた。1996年では近畿、四国地域に前後の週と比較して著しく高い値が観察された週が存在し、サーベイランスシステムにおけるデータ入力ミスの可能性が考えられた。九州地域では福岡県で定点あたりの患者報告数では他の県と比較して高くなっていたが、この指標では大きな格差は認められなかった。各都道府県の小児あたり定点数の地域格差が是正されたために地域格差が観察されなかった可能性がある。
著者
森田 健一
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.53-59, 2008
参考文献数
24

It is called "Proustian phenomenon" to recall our memory triggered by odor. The aim of this research is to clear the situation when Proustian phenomenon is occurred, and how we experience during the Proustian phenomenon. One hundred and eleven students participated individually. They were asked to fill in a questionnaire and post it in a box. As results, major four situations when Proustian phenomenon occurred were founded; they were triggered by nature odor, odor of one's family or house, odor of one's special person, and one's impressive odor. For the experience, we can see Proustian phenomenon from five perspectives; the affection, the psychic distance between now and then, the feeling of connection between the odor and the memory, unexpected feeling, and the feeling of wonder and impression. Moreover, the relation between Proustian phenomenon and flash back experience and Proustian phenomenon and Deja Vu experience were indicated.
著者
胎中 千鶴
出版者
目白大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、近代における「国技としての相撲」をめぐる現象と言説について、これまで相撲史において言及されることが少なかった植民地・占領地など、いわゆる「外地」との関係性という視点から考察を試みた。その結果、「国技」成立の歴史的・政治的背景や帝国ナショナリズム分析、外地における「国技相撲」の実態解明について、多くの点が明らかになり、一定の成果を得た。
著者
川野 徳幸 大瀧 慈 原田 結花 小池 聖一 大瀧 慈 小池 聖一 原田 結花 原田 浩徳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

(1)セミパラチンスク核実験場近郊住民を対象にアンケート調査及び証言収集調査を実施した。3年間で計459件のアンケート及び252点の証言を回収した。(2)従来収集したアンケート回答結果を用い、地区住民の核実験体験及び体験と被曝線量・爆心地からの距離との相関を検討した。同地区住民の核実験体験の有無は、爆心地からの距離に左右されている可能性が極めて高いことを明らかにした。(3)セミパラチンスク地区在住骨髄異形成症候群(MDS)患者の遺伝子変異を解析し、AML1変異が被曝線量依存性に高頻度であることを明らかにした。
著者
福本 安甫
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.107-112, 2010-03

We studied the relationship between the feelings of burden at work including its factors and quality of life (QOL) among the staff working in day care institutions where elderly people staying at home commute to. We examined a total of 111 people. In addition to asking their attributes, we placed to them a questionnaire consisting of 6 items related to their feeling toward work and 15 items to BAQL (Basic Quality of Life Scale).The survey produced the following results : 1. 20.7% of them had feelings of burden heavily, 18.0% of them slightly, while 61.3% to a certain extent; 2. The feelings of burden had more relation to their age than their working conditions (p < 00.05); 3. People with the feelings of burden had a higher sense that their work was hard and too much of a bother (p<0.01); 4. The feelings of burden were related to QOL (p<0.05), especially to physical condition and psychological sense of stability (p<0.01), as well as feeling of comfort, intercommunion and pleasure (p<0.05). From these results, we could guess that the feelings of burden tended to depend on thephysical condition at work and the degree of psychological sense of stability apart from the fact that pleasure and intercommunion were not interactively working. As QOL of the personnel might have a direct influence on users, a support system was thought necessary to achieve psychological sense of stability.
著者
佐藤 彰一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研究着手の出発点であるトゥールのサン・マルタン修道院長アゲリクスのみならず、12月30日の聖人として5世紀のトゥール司教ペルペトゥスについての記述が含まれていることを明らかにした。中世の聖人祝日暦の系統を大きく二分するものとして、「アドン祝日暦」(860年)と「ウズアルドゥス祝日暦」(865-870年)がある。より広く参照されたウズアルドゥスの聖人祝日暦では、ペルペトゥスは4月8日が祝日とされているから、本写本がアドンの聖人祝日暦の系統に属する蓋然性が極めて高いことが明らかになった。
著者
佐藤 亨 奥田 良二 稲垣 伸一 佐藤 郁
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は19世紀におけるアイルランド移民について、大西洋をはさんだ4地域(南北アイルランド、アメリカ合衆国、カナダ)を取り上げ、多くの移民を送り出した「移民大国」アイルランドの移民前夜の状況、そして多くの移民を受け入れた「移民国家」カナダとアメリカ合衆国両国におけるアイルランド移民の影響を、さらには移民たちが外国に定住した後に祖国アイルランドに与えた影響を、歴史的・文化的・宗教的に検証し、「移民大国」と「移民国家」の内実を相互関係のうちに探求したものである。具体的には次の3点において明らかにした。(1)南北アイルランドにおける移民排出の歴史的背景についての考察(2)北米大陸にアイルランド移民が及ぼした社会的・文化的影響についての考察(3)移民を通してみたアイルランドと北米大陸の両地域の相互関連性についての考察。本研究の対象は大西洋をはさむ4地域であり、下記のように4人の研究者がそれぞれ一つの地域を担当する。南アイルランドからの移民(奥田良二)、北アイルランドからの移民(佐藤亨)、アメリカ合衆国への移民(稲垣伸一)、カナダへの移民(佐藤郁)。以上が担当地域であるが、研究方法や一次資料として用いたテキストは、統計(数値)をもとにした分析もあれば、詩や小説などの文学テキスト、あるいはソングなど多岐にわたる。なお、各研究者によって地域分担が決まっているものの、地域を横断するものが移民であるゆえ、南・北アイルランド担当者が北米大陸について、そして北米大陸担当者が南・北アイルランドについて言及した場合もある。また、本研究の成否は、各地域の研究を有機的に関連付けられるかどうかにかかっており、次の3点の具体的な作業を前提としたものである。(1)各地域についての先行研究(二次資料)の収集・読解(2)各地域における現地調査、及び一次資料の収集・読解・データベース化(3)研究者間の日常的な情報交換と定期的な研究会の実施。
著者
大平 哲也 服部 司 佐藤 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.293, pp.9-14, 2009-11-12

サイバーエージェントが展開する「Ameba」は650万人の会員ユーザーを集めるブログを中心とした国内最大規模のインターネットサービスであるが、ユーザー数に比例して日々蓄積されるデータがブログ記事のテキストデータで30GB/月(2009/10月現在)を超える膨大なものになっている一方、社内でのデータ解析やその再利用が遅れていた。対策の一環として、2009年1月に研究開発を行う組織(インキュベーションラボラトリー)を新設し、社内に蓄えられた膨大なデータの解析と、解析結果を基にしたコンセプトアプリの開発ならびに現場への応用を進めている。その一例として、ブログサービス内でのトレンドワードの解析を実施している「Keyword Tracker」と、汎用的なspamフィルタリングプラットフォームとして構築を進めている「spamフィルターAPI」について、採用している技術的なアプローチの紹介とデータを解析してみて得られた結果ならびに知見の報告を行う。
著者
梅田 恭子 内藤 祐美子 野崎 浩成 江島 徹郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.69-72, 2008
参考文献数
4
被引用文献数
3

先行研究によりWeb日記を書き続ける理由が自己表現よりもコミュニケーションにあることが明らかになっている.我々は読者を限定しない一般的なWeb日記とSNSのように読者が限定されるWeb日記によるコミュニケーションの形態には違いがあると仮説を立てた.まず本稿では,大学生を対象にSNSと先行研究のWeb日記の結果を比較し,大学生のSNS利用にはどのようなコミュニケーション形態があるのかを検討した.その結果,SNSでは実際の友人との交流を目的としたWeb日記によるコミュニケーションがあることが示唆された.