著者
廣瀬 雅代 Partha Lahiri
出版者
統計数理研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

小地域推定の現場でよく用いられている経験的最良線形不偏予測量(EBLUP)に対する研究を行った.具体的には, 数値実験を用いて近年提案された複数のEBLUPの性能比較を行い, 先行研究より広いモデルのクラス下においてEBLUPを用いた非現実的な予測値発生回避法の理論的保証を与えた. さらに, EBLUPの予測精度指標に対する非現実的な推定値の発生回避法や信頼区間法の改良も行った.
著者
宮下 和士 三谷 曜子 綿貫 豊 米崎 史郎 服部 薫
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

北方海洋生態系を広く回遊し,摂餌を行っている海鳥や海棲哺乳類などの高次捕食者をモデルとして,様々な計測機器や分析によりモニタリングを行った.各種において回遊や摂餌生態は個体・地域によって様々であり,このような違いが繁殖成功や生残を左右する可能性が考えられた.また,高次捕食者の生態を通じて,海洋生態系の変動を捉えることができた.今後もモニタングを続けていくことで,我々の目には見えにくい海の中での生態系変動を把握することができるようになるだろう.
著者
西岡 健一 南 知惠子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ICTはビジネスへ直接的に影響を与えるのではなく、他の組織内外のリソースを働きかける間接的な機能を持ち、価値を創出する。ICTの「統合」機能は、オペレーションの効率性と生産性の向上、情報交換の正確性とタイムリー性を実現する。「協同」機能は、組織的な協同関係を実現し、促進、モニター、コントロール、ガイドするという役割を果たしている。さらに、ICTには情報集約的なサービスを管理する能力があり、「高度な分析処理」を実現化させる。これら3つのICTのイネーブリング機能から、「ビジネス・プロセスの発展」と、「イノベーティブなビジネスシステムの創出」つまり狭義のサービス・イノベーションが起こることになる。
著者
金子 知適
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究課題では,コンピュータの人工知能の判断力が,高度に訓練された人間の判断力に匹敵しうる分野を対象に,コンピュータプログラムを用いて人間の判断を支援する手法を研究を行なった.具体的には,囲碁や将棋において,コンピュータプログラムがMinMax探索を行なって得た評価値やモンテカルロ木探索をもちいて得た勝率として提示した判断と,人間の熟達者の判断との差について研究を行なった.
著者
茂木 一司 宮田 義郎 苅宿 俊文 上田 信行 福本 謹一 阿部 寿文 熊谷 保宏 大泉 義一 稲庭 佐和子 郡司 明子 下原 美保 刑部 育子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本伝統文化, 身体とメディアなどを活用したアートワークショップ(型学習)が現代の多元的共生社会に実現に有効なことが実証できた。美術、音楽、ダンス、演劇など(広義の)アートワークショップ(型学習)で起こるコミュニケーションやコラボレーションは単なる方法(手法)ではなく、自己表現と他者理解を促し、ヒトの学び(学習)を根源的に能動的に変化させ、創造的思考力(Creative thinking)を育てる。
著者
野田 政樹 山下 照仁 二藤 彰 田村 正人 川口 奈奈子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本基盤研究においては、骨粗鬆症の病態生理学の基礎となる骨芽細胞・破骨細胞の研究を展開した.その結果、本研究による現在までの骨吸収に関する研究領域の成果としては,カルシウム向性制御因子である副甲状腺ホルモン、ビタミンDやTGFβを含むホルモンおよびサイトカインによって制御されるオステオポンチンのノックアウトマウスを作成し(Journal of Bone and Mineral Research,1998)、このマウスにおいては、閉経後骨粗鬆症モデルを作成すると、骨吸収が明らかに抑制されることから、オステオポンチンが骨粗鬆症の成立の上で重要な促進的役割を持つ分子であることを発見した(Proceedings of the National Academy of Sciences U.S.A.,1999).更に、骨形成領域の研究の成果としては,骨芽細胞機能の制御の分子機構を解析し、新しいBMP制御分子TOBが、特異的に成体の動物の加齢後期において骨の形成の制御に関わることをin vivoで明らかにし(Cell,2000)、Smadの下流におけるCbfaの発現制御の機構(Journal of Biological Chemistry(JBC)1998)、ビタミンDによる抑制性の転写制御因子Idの発現阻害のメカニズム(JBC,1997a)、helix-loop-helix型転写因子Scleraxisの機能の制御(JBC,1997b)、骨・軟骨系の分化に際してのHMG型の転写因子の制御メカニズム(JBC,2000)を発見した。骨粗鬆症において重要な上記のような骨吸収および骨形成に関わる破骨細胞ならびに骨芽細胞の機能の平衡維持のメカニズムの研究領域の成果としては、老化に関わる制御分子、Klothoの機能(Endocrinology,2000;Journal of Endocrinology,2000)、ウィルスの発現系によるKlothoの遺伝子の制御機構(Journal of Gene Medicine,2000)を解明した。さらに本研究の成果として、この重力などのメカニカルストレスがオステオポンチンとKlotho遺伝子がを介する制御(Journal of Experimental Medicine,2001)(Journalof Endocrinology,2001を明らかにした。本基盤研究A(2)の遂行により、骨粗鬆症においてて骨形成・吸収・平衡バランスと老化の3つの主要な局面において中枢的な役割を持つ遺伝子を現在までの研究で解明し、個々の遺伝子の機能の解析に成果を上げた(英文原著39件,国際学会発表57件,受賞13件)。
著者
井田 喜明 田中 良和 西村 太志 小屋口 剛博 谷口 宏充 岡田 弘
出版者
兵庫県立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本特定領域研究の目的は、火山爆発の素過程や発生機構について学術的な理解を深め、火山災害の軽減に寄与することである。その基礎として、火山爆発の性質を詳細に調べるために、「火山探査移動観測ステーション」が開発され、火口近傍での観測や試料採取、機器の設置を遠隔操作で行うことが可能になった。広帯域地震計や空振計などを用いた観測が、小爆発を繰り返す複数の火山で実施され、爆発に先立って特徴的な膨張や収縮が存在することがつきとめられ、爆発直前に進行する物理過程が明らかにされた。地下のマグマの上昇過程については、室内実験や理論的な考察によって、脱ガスやマグマ破砕の機構が究明された。また、シミュレーションによって、噴火の爆発性を決める原理が見出され、地殻変動の加速性がそれを予測する手段になりうることが示された。地表で進行する爆発現象については、火口から噴出する噴霧流の3次元シミュレーション手法が開発され、噴煙や火砕流を生む物理過程が究明された。また、爆発強度のスケーリングや、爆風に伴う衝撃波のシミュレーションなど、火山爆発の影響を見積もる有力な手法が得られた。本領域の各分野にわたる研究成果を基礎に、噴火現象に関連する各種の知見やデータを集めて、データベースが構築された。このデータベースは、現象の体系的な理解に役立つ。また、本領域で開発された計算コードと合わせて、噴火過程の総合的なシミュレーションをする基本的なツールになり、噴火や火山災害の予測に寄与する。噴火現象の評価や予測のためには、WEBサーバーを用いた合議システムも開発され、専門家の合議を迅速かつ能率的に進めることが可能になった。火山爆発に関する知識を広く普及する目的には、一般向けの講演会が催され、観測や野外実験の一部が公開された。また、研究成果を平易に解説する一般向けの書籍が出版される。
著者
吉本 和生 中原 恒 佐藤 比呂志
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,小型・低消費電力の強震動観測システムの開発,地震波形データ取得のための地震観測,波形データの解析による関東平野の大深度地盤構造の推定,及び大規模な堆積盆地構造と長周期地震動の関係に関する以下の研究を実施した.①乾電池で動作する小型・低消費電力の強震動観測システムを製作した.②関東平野北東部の計11地点での臨時地震観測を実施した.③地震波干渉法により地下構造の時間変化を検出した.④地震波干渉法に基づいて近地地震波形を解析し,地震基盤までの地盤構造を詳しく推定した.また,大深度地盤構造モデルを構築し,関東平野北部における長周期地震動(ラブ波)の励起の特徴の説明に成功した.
著者
鈴木 賢 高見澤 磨 石塚 迅 坂口 一成 宇田川 幸則 崔 光日 川島 真 石井 知章
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

国家と市場の間の市民社会に射照することにより、中国の権威主義的政治と市場経済という組合せが、いかなる構造によって接合されているかを解明した。民間組織は意図的に不安定な法的地位におかれ、自主的活動空間を偶然的にしか与えられず、社会は政治に飼い慣らされている。共産党が国家、市場ばかりか、社会にまで浸透し、国全体を覆い尽くす存在として君臨し続けている。しかし、悪化する環境、労働、差別、弱者、食品安全の問題など、政治制度と経済システムの軋みは、外部不経済となって拡大し、有効な処方箋の提示が急務である。政治の民主化によるミスマッチ解消というシナリオはなお見通せず、宛てなく徘徊を続けている。
著者
上田 しのぶ 黒田 雅彦 高梨 正勝 大野 慎一郎 土田 明彦
出版者
東京医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中ではエキソソームによって運ばれている。また、がん幹細胞は現在の治療法では残存し再発や転移を起こす可能性がある。我々はがん幹細胞に結合する分子をエキソソーム膜上に発現させ、がん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAをエキソソーム中に取り込ませて血中に投与することで、がん幹細胞を標的とした治療法を確立できると考えた。乳がん細胞のEGFRに結合するペプチド(GE11)を発現させたエキソソームにlet-7aを内包させ (let-7a/GE11エキソソーム)、担がんマウスに尾静脈接種すると効率よくがん細胞へ到達し増殖抑制効果を示した。
著者
栗田 萌
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、近年グラフェンなどで実現されるディラック電子のようなゼロギャップ半導体において、電子相関の効果で新奇の量子相が出現する可能性を探るべくVMCを用いた計算を試みた。スピン軌道相互作用が無い場合でも、ゼロギャップ半導体の対称性が電子相関により破れて系がトポロジカル絶縁体になる可能性があり、これがトポロジカルモット絶縁体と呼ばれる系であり本研究の課題である。計算はハニカム格子系で行い、これにオンサイトのクーロン相互作用Uおよび周辺サイトとのクーロン相互作用V1,V2を導入した。その結果、今までの平均場での研究と比べてトポロジカルモット絶縁体の領域は他の秩序相に潰されてしまい、大きく制限されてしまうことがわかった。しかし、ハニカム格子上の六角形の対角線上のホッピングパラメーターをコントロールすることでトポロジカル絶縁体のオーダーパラメーターが残りそうな領域を現在見いだしている。理論的にはフェルミ速度が小さいほどトポロジカルモット絶縁体になりやすく、VMCによる数値計算の結果、フェルミ速度を従来のハニカム格子の10%程度にまで小さくすることでトポロジカルモット絶縁体が安定する領域を見つけ出すことが出来た。この研究に関する投稿論文は現在執筆中である。また、スピン軌道相互作用が存在する一般的なハミルトニアンのシュレディンガー方程式を解くための変分モンテカルロ法の開発を行った。そのベンチマークとして変分モンテカルロ法にてキタエフ模型の解を求めた。従来使われていた変分関数では、キタエフ液体の基底状態をうまく表現することができなかったため、我々は波動関数に射影演算子をかけて解の精度を上げることに成功した。24サイトおよび32サイトの模型においてエネルギー誤差0.1%程度の波動関数の構成に成功した。この研究の成果は現在Physical Review誌に投稿していて、審査中である。
著者
大山 太 小島 善和
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、大災害時に医療サービスを展開する災害医療チームが、被災地で活動する際に使用するコミュニケーション手段を、特定小電力無線レピーターによって確立するシステムを研究した。その結果、太陽光発電を利用した独立型の中継器が完成した。このシステムを使用すれば、市町村規模での活動に十分利用できることが確認できた。
著者
柴崎 亮介
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

GPSに加え多数の測位衛星システムが2020年までにサービスを開始する。位置情報の重要性は一層重要になる。たとえば、自動車の走行ルートに従って課金することができれば、柔軟な料金政策が可能になるだけでなく、料金所などの建設費用、混雑費用などを削減できる。しかしながら、位置情報の重要性が向上するにつれ、偽の位置情報を利用して課金を免れるなどの「位置騙し」が行われる可能性がある。そこで認証された位置情報を既存のインフラの大幅な改良や新規開発なしに生成する方法を開発した。具体的には、我々はGPS(QZSS)信号のリザーブビットに認証レファランス信号(RAND:Referance Authentication Navigation Data)を新規に定義して挿入、送信することで、それを受信して測位を行うケースには、真正な位置であることを証明できる。これは現行のGPSの信号構成に影響を及ぼさない。それをシミュレータを利用して実証した。なお衛星を利用して実証実験は地上からの信号送出のための地上局システム改良が間に合わず、実現できなかった。
著者
三浦 秀士 津守 不二夫 長田 稔子 姜 賢求
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

粉末冶金によりヘテロ組織ネット構造を実現し,焼結合金鋼の超強靭化を図った.引張特性を調査し,最も引張特性に優れる最適な組成(6mass%Ni-0.4mass%C),焼結条件(1250℃×1h,真空)熱処理条件(960℃×30min溶体化後油焼入れ,200℃×1h焼戻し,Ar)を見出し,ヘテロ組織形態の最適化による超強靭な特性(最大引張強さ2040MPa,伸び8%)を得た.さらに,疲労強度は焼結鍛造鋼に匹敵する650MPaを示した.また組織観察の結果を有限要素法に反映してシミュレーションを行い,ヘテロ組織の優位性を確認した.
著者
大西 琢朗
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,多様な論理の妥当性を統一的に説明しうるような「二元論的/双対的な意味のモデル」を,「証明論的意味論」の立場から確立することである。平成26年度はこの目的に照らして(1)「推論のパラドクス」に対する証明論的意味論の立場からの解明,および(2)「様相演算子としての否定」にかんする形式的研究,を行った。(1)について:推論のパラドクスとは,演繹的推論の正当性 (説得力があること) と有用性 (新しい知識の獲得を可能にすること) という2つの特徴のあいだには衝突があるのではないか,という問題である。本研究では,この問題にかんするマイケル・ダメットの議論を批判的に検討し,論文「間接検証としての演繹的推論」として発表した。そこではまず,彼の枠組みのなかでも特に「検証可能性」という様相的な概念に注目し,それが彼の議論においてほんらい意図されている役割を十分に果たせていないということを明らかにし,次に,オルタナティブな推論モデル,すなわち(二元論的/双対的な)「双側面説」をベースにしたモデルを提示し,それがダメットの枠組みの欠陥をある仕方で解消できる,と論じた。(2)について:否定演算子を,いわゆる可能世界意味論によって定式化される様相演算子と捉える研究伝統に対し次のような寄与を行った。第一に,様相としての否定を形式化するシークエント算(ディスプレイ計算)の体系を構築した。第二に,「自己双対的」な否定は「不可能性」と「非必然性」という二種類の否定的様相を同一視することで得られる,ということを明らかにした。これにより,従来の研究で構築されてきた枠組みのなかに含まれていた,いくつかの不自然な点を解消することができた。この研究成果は学会・研究会で口頭発表した後,Australasian Journal of Logicに投稿し,現在,修正の上掲載可という査読結果を得ている。
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科研費の給付を受けている期間中に2回の学会発表と3本の論文という形で、Scott FitzgeraldのThe Great Gatsby, Herman Melvilleの”Bartleby, the Scrivener,”Jack London のThe Assassination Bureau Ltd.についての考察を発表した。これまでにすでに発表してきた6本の論文を加えた計9本の各論をまとめる形で2018年秋に一冊のまとまった単著として出版の予定であり、本研究計画中は当該期間においてのみならず、より長期的なスパンにおいても多大な成果をあげたと言える。
著者
小笠原 法子
出版者
東邦大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ストーマ(人工肛門)を保有した人とその家族の「折り合い」を明らかにすることを目的とする。ストーマ保有者11名とその家族7名にインタビューを実施した。ストーマ保有者とその家族に共通していたのが「しょうがない」という言葉であった。「しょうがない」とは、他によい手段がないと思えることである。「折り合い」とは、諦め・妥協ではなく、ストーマ保有者とその家族が最も大切にしていることを守るためには他に手段がなかったと思えることである。
著者
松永 佳世子 矢上 晶子 佐野 晶代 中村 政志
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、グルパール19S(GP19S)を含む特定の洗顔石鹸の使用者に新規な即時型コムギアレルギー患者が大規模に発生し、社会問題化した。本研究では、最初に、GP19S特異IgE抗体を指標とした検査法を構築した。これは、重症度を反映し、予後評価にも有用と考えられた。また、患者血清IgE抗体を用いた免疫学手法により、小麦グルテンやGP19Sの製造工程サンプル、GP19S以外の加水分解コムギ(HWP)との結合性を評価し、GP19S特異IgE抗体のグルテンへの交叉反応が症状誘発機序であること、GP19Sの抗原性は酸加熱処理の工程で生じたこと、一部の他HWPにも類似抗原が含まれること、を特定した。
著者
小早川 誠
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

外来化学療法中のがん患者の精神症状評価システム開発をめざし、看護師によるつらさと支障の寒暖計と精神科医による症状評価システムの実施可能性について検討した。外来化学療法中のがん患者130名に調査を行い、強い精神的つらさを示した38名のうち、6名が精神科医による面接を希望した。残り32名のうち、半数はその後の寒暖計調査で閾値を下回った。対象者において精神的支援の潜在的ニーズはあり、一部の対象者には介入効果があったと考えられる。
著者
京極 博久
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

最近の研究から, 核小体を除去(脱核小体)した卵核胞期(GV期)の卵母細胞は, 正常に成熟するが, 受精後の前核期の核中に核小体は形成されず, 胚は2~4細胞期で発生を停止することが示された。正常な前核期胚の核中に形成される核小体は, 卵核胞期(GV期)の核小体と同様に緊密な形態をしている。2細胞期以降, この緊密な卵母細胞型の核小体の周囲から体細胞型の核小体が形成され始め, 胚盤胞では完全に体細胞型の核小体となる。本研究では, 前核中の核小体が, それ以降の胚発生に必須であるかを前核から核小体を除去することによって調べた。また, 脱核小体した前核期胚から発生した胚に核小体が再形成される可能性を探った。まず, 顕微操作により雌雄両前核から核小体を除去した後, 体外で発生させ, 胚盤胞への発生率を調べた。また, 2細胞期へと発生した胚を移植することによって産仔への発生を調べた。GV期で脱核小体した胚は発生しなかったが, 前核期で脱核小体した胚は正常に胚盤胞へ発生し, 胚移植により正常な産仔となった。次に, 核小体の形成を確認するために, GFPタグのついた卵母細胞の核小体に特異的な蛋白質NPM2のmRNAを用いたライブセルイメージングと体細胞の核小体に特異的な蛋白質(B23, UBFなど)に対する抗体を用いた免疫蛍光染色を行った。前核期で脱核小体した胚は, 卵母細胞型の核小体なしに, 発生過程で体細胞型の核小体を形成した。以上の結果から, 卵母細胞型の核小体は前核期以降の胚発生に必須ではないこと, 卵母細胞型の核小体がなくとも胚は体細胞型の核小体を形成することが明らかとなった。