著者
服部 英雄 井上 聡 細井 浩志 橋本 雄 柳 哲雄 櫻木 晋一 金谷 匡人 竹田 和夫 土居 聡朋 楠瀬 慶太
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

時間法や航海技術を非文字知(民衆知・暗黙知)の視点で調査・分析した。時間には季節(日の出・日の入り)に無関係の絶対時間(定時法)と季節によって変わる相対時間(不定時法)とがある。不定時法が自然発生的で多用された。航海技術については、地形や潮流を知悉した航海術や漁撈法を調査・分析した。中世紀行文に記された港津発着の時間を手がかりに、当日の潮流、潮力、人力、風力を分析した。
著者
山下 智也
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、本研究の実践現場である、日常的な子どもの遊び場・立ち寄り場「きんしゃいきゃんぱす」の活動に力を注いだ一年であった。「実践的研究」の名を掲げ、実践を展開しながらそこから見えてくる知見を研究へと昇華させていく取り組みに挑んでいるからこそ、実践現場自体が魅力的でなくてはならない。毎日の活動を繰り返す中で、その都度出会う出来事に向き合い、課題を乗り越えながら、それを記録へと落としていく作業を行なってきた。その結果、本研究に大いに関連する重要なエピソードを数多く得ることができたとともに、研究の理論化に当たって欠かすことのできない視点を得ることができたことも大きな収穫である。そのように、実践を展開しながら得られたエピソードを元に詳細な分析・解釈を行ない、それによって導かれた知見を立体化させるかたちで、本研究のテーマである「子ども参加」に関しての理論化を試みてきた。具体的には、「子ども参加」場面で野大人-子ども関係の出現・変容過程のモデル図の作成である。それらの成果を学会で発表し、多くの研究者と議論を交わすことを通して、本研究の深みが増し、より充実した理論化へのステップを踏むことができたと考えている。本年度後半においては、それらの成果を博士論文にまとめるというかたちで執筆作業に終始した。博士論文の構想枠組みは完成し、軸となるエピソードの選択とその分析はほぼ終了したことから、来年度前半には博士論文が完成する見込みである。
著者
佐藤 邦明
出版者
島根大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

黒ボク土、マサ土、森林褐色土の水質浄化能と、それらへの木炭、鉄、有機物の添加による水質浄化機能の強化を、水質・土壌分析によって評価した。また、水質浄化前後での微生物群集構造の変化をPCR-DGGE法を用いて調査した。各資材を4000ccカラムに詰め集落排水処理施設への流入汚水を水道水で5倍希釈したものを原水とし、127L/m^2/日の負荷量で浄化実験を行なった。有機物分解能では、黒ボク土とマサ土で高く、平均除去率が90%以上であった。窒素除去においては、黒ボク土>マサ土>森林褐色土の順で硝化反応が進みやすかった。また、有機物の添加によって脱窒が促進された。リンについてはどのカラムからもほとんど流出せず、高い処理能力を示した。PCR-DGGEの結果では、水質浄化前後も変わらず、すべての資材から検出されたバンドが大部分であったが、浄化後の黒ボク土のみから検出されたバンドもあった。また、マサ土では土壌のみよりも、資材を添加した土壌でバンド数の増加がみられた。多段土壌層法による水質浄化において装置内部の水移動及び段数と処理能力の関係を調査した。幅50cm、奥行き10cmのアクリル水槽に、土壌層、通水層ともに5cmの高さで、土壌層が1〜6段の装置を6基作成した。上記汚水を3倍希釈し、1000L/m^2/日の負荷量で浄化実験を行なった。最下層の通水層に仕切りを付け、土壌層からの流出水と、土壌層間の通水層からの流出水を分けて採取した。BODは土壌層下からの流出水の濃度が低く、また3段以上の装置では除去率が90%以上であった。リンについても土壌層下からの流出水の濃度が低くかった。このことから有機物及びリン除去では、土壌層での透水性が重要であった。窒素除去では、初期にはアンモニア吸着により除去され、時間とともに硝化、脱窒反応が進行した。土壌層下で硝酸が低く脱窒が進みやすかったと考えられた。
著者
伊藤 陽子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでTALENをはじめ人工ヌクレアーゼの活性評価としては、培養細胞や受精卵を用いたin vivoアッセイが広く用いられてきた。しかし、in vivoアッセイのみではTALENタンパク質の性質を十分理解するのは困難である。そこでまず、活性のある組換えTALEN・TALEタンパク質を調整し、in vitroでのTALEN活性評価系を確立し、super-active TALENはDNA結合活性が高いことを明らかにした。更に、構造生物学的実験も行い、TALEタンパク質の高活性化機構を詳細に調べた。この様なin vitroでの活性評価は、更なる人工ヌクレアーゼ応用研究に貢献できると思われる。
著者
池田 聖
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,カメラが高速移動,高速回転する環境下において,画像処理により安定にカメラの位置・姿勢を推定する手法の開発である.上記の環境に対し,本研究では,予め多眼の全方位カメラで取得した全方位動画像から環境の三次元点群モデル生成し,加えてジャイロ等のセンサを併用してロバスト性を高めることが研究の目的であった.これら手法の開発にあたり,高速移動・高速回転する高解像度全方位動画像の正常取得を第1の課題として画像取得システムの構築を行った.平成19年7月に長島スパーランド・スチールドラゴン2000等の複数のアトラクションからの撮影に成功し,取得した全天球動画像は,平成19年8月25日から9月2日にかけて国立科学博物館で開催された『上野の山発旬の情報発信シリーズ第14回「バーチャル⇔リアリティ〜見て聴いてさわって冒険体験〜」』において一般公開され,加えて同施設内の全天球ディスプレイ『シアター360』で関係者のみの公開実験を行った.カメラの位置・姿勢推定では,カメラにジャイロセンサを併用することにより,画像に生じるモーションブラーの効果を予測し,モーションブラーが発生する状況においてもカメラの位置・姿勢を推定することが可能であることを確認した.また,三次元モデルの生成では,全方位カメラとGPSの併用により,都市レベルの広い範囲の環境を三次元モデル化することに成功し,16km/hで移動するカメラの画像を処理できることを確認した.
著者
岩瀬 正典 北園 孝成 久保 充明 清原 裕 康 東天 大隈 俊明 土井 康文 佐々木 敏 神庭 重信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

糖尿病治療の目標は糖尿病患者の予後をできるだけ健常者の予後に近づけることである。そのためには糖尿病患者と健常者を比較する疫学研究が必要である。我々は福岡県内の糖尿病専門施設に通院中の糖尿病患者5131人(福岡県糖尿病患者データベース研究、追跡期間5年間 追跡率97%)と耐糖能正常者を含む福岡県久山町住民3351人(久山町研究)からなるデータベースを構築した。本研究期間では生活習慣(早食い、食物繊維・マグネシウム摂取量、運動、飲酒、喫煙、睡眠時間、うつ症状、生活習慣スコア)、2型糖尿病患者の膵島自己抗体、2型糖尿病感受性遺伝子、重症低血糖、慢性腎臓病、癌、遺伝子―環境相互作用について報告した。
著者
村瀬 延哉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ピエール・コルネイユの中・後期の戯曲を検討し、作劇法の特質と変遷を明らかにした.所謂四大傑作に比して、それ以後特に1660年頃までの作品に目立つのは、ロマネスクなものへの強い志向である.つまり、作者は、傑作悲劇の長所である人間心理の正確かつ迫真の描写を犠牲にしても、観客を驚愕、感嘆させるストーリーの展開、山場の設定にドラマツルギーの重点を置いた.その典型的な例が『ロドギュンヌ』であって、最終幕の毒杯の生み出す視覚的サスペンス等によって大成功を収めるが、登場人物の心理面には明らかな不自然さが存在した.また、『ニコメード』などのフロンド期の作品では、こうしたロマネスク性に加えて、現実の事件、人物を作中て暗示する時事性が、観客の好奇心に大いに訴えた.劇壇復帰作となる『エディップ』においても、自由意志の尊厳を認めるコルネイユ的世界と宿命の悲劇であるオイディブス伝説の間に存在する本質的な矛盾を、悲劇を,サスペンスをメインに据えた娯楽作品に仕上げることで解消し、成功を博した.晩年の特に『オトン』以降の作品では、「政略結婚劇」とでも呼ぶべき構成が主流を占めるようになり、先祖返りつまり初期喜劇の手法への回帰現象が見られる.また、一種のリアリズム志向が『ソフォニスブ』、『オトン』等で顕著となる.加えて最晩年の作品に至ると、ラ・ロシュフーコーの『箴言集』を思わすペシミスティックな世界観が戯曲を支配するようになって、それが作劇法にも影響を与える.古典演劇理論の観点から言えば、コルネイユは「真実らしさ」より「真実」を重視する異端派である.彼はこうした立場に立つことで、『ロドギュンヌ』など中期作品でのバロック的異常美の追求や、後期作品におけるリアリズムの追求を正当化しようとした、と考えられる.
著者
和田 信 明智 龍男 柳原 一広 大西 秀樹
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

外来にてがん化学療法を受ける患者の必要としている支援(ニード)を把握するため、質問票を用いた調査を行った。SCNS-SF34(ニード評価尺度)、EORTC QLQ-C30(QOL 評価尺度)、HADS(不安抑うつ評価尺度)の各日本語版を含む質問票に対し、埼玉医科大学国際医療センター通院治療センターで222 名、名古屋市立大学外来化学療法室で216 名の患者から、有効な回答を得た。
著者
柏崎 直巳 伊藤 潤哉
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

哺乳類生殖細胞の超低温保存は,実験動物・家畜における効率的な遺伝資源の保存やヒト生殖補助医療技術として重要である.さらに,未受精卵の状態で効率よく超低温保存することが出来れば,体外受精あるいは卵細胞質内精子注入法に用いる際,雄の遺伝的背景が選択可能になることから,極めて重要な技術になると考えられる.しかし,初期胚と比較して未受精卵の超低温保存は,加温後の卵の発生能は著しく低下してしまうことが知られている.本研究では,新規凍害保護物質であるカルボキシル基導入ポリリジン(COOH-PLL)を用いて,マウス未受精卵の超低温保存の改良を試みた.ガラス化保存した加温後の卵は,生存率においては高い値(90%以上)を示し,体外受精後の前核形成率においては, 20%(v/v) ethylene glycolおよび10%(w/v) COOH-PLL(E20P10区)で高い割合(約70%)を示した. 2細胞期率においてもE20P10区は高い割合(約70%)を示した.以上の結果から,マウス未受精卵の超低温保存においてもCOOH-PLLは凍害保護物質として有効であることが初めて明らかにされた.
著者
櫻井 健志
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

昆虫の超高感度な性フェロモン受容の分子機構の解明を目的とし、カイコガを対象として性フェロモン受容に関与することが報告されている性フェロモン受容体、フェロモン結合タンパク質、Sensory neuron membrane protein-1(SNMP1)の解析を行った。その結果、性フェロモン受容細胞の匂い応答特異性はフェロモン受容体のみによって決定していることを明らかにした。また、アフリカツメガエル卵母細胞発現系においてSNMP1がフェロモンへの応答を上昇させる作用があることを見出した。
著者
前田 英樹 長田 佳久 鈴木 清重
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、映像の鑑賞者が被写体の身体動作を表現する動画像系列を視聴した際にどのように美しさを認識するか検討することであった。実験的研究の結果より、各動画像提示の開始と終了時に画面枠が被写体を遮蔽する割合に応じて鑑賞者の知覚する事象が変化することが示唆された。画面枠の被写体遮蔽率に起因する被写体の未完了動作に応じて、動画像間に見え方のまとまりが生じる。この動画像間の知覚的群化(動画像群化)が、身体動作表現の映像美に影響すると考えられた。
著者
奥野 拓 伊藤 恵 大場 みち子
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ソフトウェア開発においては多くのドキュメントが作成される.しかし,ワードプロセッサ等で作成した場合,トレーサビリティの低下,メンテナンスコストの増大という問題が発生する.この問題を技術文書向けの XML 標準である DITA を導入することにより解決している.ソフトウェアドキュメントを DITA の構成要素であるトピックとして記述するために, 標準的なソフトウェアドキュメントの構造化モデルを作成し, トピック粒度の検討を行った.また,意味的な関連性によりトピックを検索する手法を構築し,DITA に基づいた統合ソフトウェアドキュメンテーション環境を汎用ウェブ CMSを拡張して構築した.
著者
片岡 良浩
出版者
九州歯科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

今回、変形性顎関節症の病態解明のため、培養滑膜および軟骨細胞を用いた実験を行った。ヒト軟骨細胞株に対して、炎症性サイトカインとして腫瘍壊死因子(TNF-α)を添加して培養を行ったところ、マトリックスメタロプロテアーゼであるMMP-13の遺伝子発現が有意に増強した。この誘導系に対して、高分子量ヒアルロン酸を添加したところ、TNF-αによるMMP-13遺伝子の発現は有意に抑制された。一方、インターロイキン17(IL-17)は、滑膜肉腫細胞株に対して、MMP-3の発現を亢進した。ヒト顎関節滑膜細胞には、IL-17受容体が同定され、IL-17の関節内のターゲット細胞であることが示唆された。
著者
宮野 悟 角田 達彦 稲澤 譲治 高橋 隆 石川 俊平 小川 誠司 曽我 朋義
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

システムがんの円滑な計画研究の遂行と、計画・公募研究間の有機的な連携を推進した。毎年、班会議、総括班会議、及び外部有識者による諮問委員会委員を開催し、研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行った。情報・データ解析系と実験系との研究マッチングをサイトビジット形式で行い、研究支援を行った。アウトリーチ活動としては、ニュースレターを計12発行し、ホームページ、及び多くの論文のプレスリリースを活用して研究成果を社会へ発信した。一般、中学生、高校生を対処とした公開講演会を7回開催した。また、毎年、ソウル国立大学癌研究所の主催するシンポジウムを通して国際交流を深めた。
著者
宮原 三郎 湯元 清文 廣岡 俊彦 河野 英昭 リュウ フイシン 渡辺 正和 吉川 顕正
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中性大気の変動と電離圏変動の関係を,九州大学中層大気大循環モデルで得られたデータと九州大学が展開している全球的な地磁気観測データや,中性大気再解析データを用いて研究を行った。成層圏突然昇温の後に顕著な電離圏電流の変動が起こることが,観測データとモデル計算によって明らかとなった。また,成層圏突然昇温の後に電離圏電流が流れる高度領域の温度が全球的に降下することがモデルにより明らかとなった。この原因は半日大気潮汐の急激な変動によることも解明された。中性大気変動にみられる超高速ケルビン波の変動による電離圏電流の変動は赤道から低緯度域に限定され,大気潮汐波変動によるに変動の25%以下であることが判った。
著者
高橋 大輔
出版者
足利工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は「固体ヘリウム4に発現する低温物性異常が転位運動のみで理解できるか」の問題提起のもと,以下の手法で実施された。(1)転位運動による固体弾性変化がねじれ振子の共鳴周波数変化に与える影響の有限要素法を用いた定量的評価。(2)定常回転下における剪断・体積弾性率の直接測定。結果,(1)により固体弾性変化がねじれ振子の周波数変化を定量的に説明することが明らかになった。しかし,(2)より回転下の弾性率にねじれ振子実験で観測された回転数依存性を持つ固体ヘリウム4物性量の“量子化”は観測されなかった。本研究により,転位運動は固体ヘリウム物性異常のすべてを説明しないことが明らかになった。
著者
宇野 力 平田 賢太郎 鈴木 正明
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

統計的な推測の問題の中には、あらかじめ定めた標本の大きさでは解決できないものがある。例えば、ある母集団の平均に対する信頼度95%の幅一定の信頼区間を構成する問題がそれに該当する。この場合には、標本の大きさを確率的に与える逐次標本抽出法により問題を解決できる。本研究では、分散の下限情報が与えられたとき、二段階法という推定方式の性能を評価することに取り組み、先行研究よりも精確に評価する理論を構築できた。
著者
齋藤 佳菜子
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012

IL-17は、癌周辺の炎症と血管増生を誘導することで癌細胞の増殖を促進する反面、細胞傷害性T細胞の活性化を介して腫瘍抑制的にも作用する。一方、癌の転移におけるIL-17の役割は殆ど明らかになっていない。癌の転移は「浸潤能の獲得」「浸潤」「血管内流入」「血中での生存」「血管外流出」「遠隔組織での増殖」のステップからなる。申請者はマウス乳癌自然転移株4T1をIL-17欠損マウス乳腺内に同所移植したところ、著明に肺転移が抑制されることを見いだした。そこで、本研究ではIL-17が転移のどの相に影響するか調べるために、4T1細胞を野生型およびIL-17欠損マウスにそれぞれ静脈内移入した。その結果、両群で生存に差を認めなかった。このことより、IL-17の肺転移促進作用は転移形成の早期(血管内流入まで)に何らかの作用を及ぼすと考えられた。次に、転移形成の早期段階での腫瘍環境について調べるために、担癌14日目および21日目に腫瘍組織を摘出し、コラゲナーゼ処理にて単細胞に分離し、フローサイトメトリーを用いて腫瘍浸潤細胞を解析した。その,結果14日目の時点で野生型とIL-17欠損マウスではCD11b+Ly6C+単球とCD11b+F4/80+マクロファージの比率が異なり、IL-17欠損マウスではF4/80マクロファージへの分化が遅れることが示唆された。21日目では両群ともF4/80+マクロファージが大部分を占めていた。また、腫瘍局所に浸潤するリンパ球を解析したところ、14日目の時点で1L-17欠損マウスにおいて明らかにFoxp3+制御性T細胞の浸潤が減少していた。同時に、所属リンパ節と脾臓細胞を解析したが、腫瘍局所と同様の結果が得られた。申請者は腫瘍浸潤マクロファージに着目し、このマクロファージの表面マーカーを解析した。その結果、IL-17欠損マウス腫瘍に浸潤するマクロファージは野生型に比べてCD206(mannose receptor)の発現が低く、class II発現が高く、よりM2マクロファージの性質を帯びていることが示唆された。これらの結果から、IL-17は腫瘍局所において、M2マクロファージへの分化を促進することで転移を促進する機序が示唆された(第71回日本癌学会学術総会ポスター発表)。
著者
鈴木 健司 松田 康伸 山際 訓
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、クローン病患者のQOLを著しく損なう原因である腸管狭窄症に対する新規治療法として、究極の分子標的治療と呼ばれるRNA干渉技術を用いたsiRNAの腸管粘膜下注入療法を、動物実験モデルに対する実験により開発した。研究成果として、消化管狭窄症の原因遺伝子に対する特異的RNA干渉薬「STNM01」によるクローン病狭窄症新規治療法をステリック再生医科学研究所と共同で確立し、平成24年1月より第I相臨床試験を開始するための基礎データを得ることができた。
著者
菊池 聡
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

適応的な機能持つ認知バイアスの影響によって疑似科学や超常現象への信奉が強化されるという仮説を、実験的方法と質問紙法で検証した。その結果、確率的な現象に対するコントロール幻想と超常信奉の一部に正の関連性が示されたが、課題や対象群により、結果は一貫したものではなかった。また、高校生では科学への好意的な態度が超常現象信奉と正の関連があったが、学校教員では負の関係になることが示された。これらの結果を批判的思考の教育現場に還元するために書籍にとして出版した。