著者
新美 仁男 佐々木 望 松本 生 首村 紀夫 中村 陽子
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1040-1045, 1976-10-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1

An epidemiological survey on the incidence of chronic lymphocytic thyroiditis in childhood was performed in 11,353 apparently healthy school children in Chiba prefecture, Japan.The present study included 9,416 school children (4,401 boys and 5,015 girls, ages 6-18 yrs) in Chiba City and 1,937 children (744 boys and 1,193 girls, ages 16-18 yrs) in Tateyama City. The first group was selected as a representative of urban area, and the second group was selected as that of seaside area.Children having goiter were selected for testing antithyroglobulin and antimicrosomal antibodies in sera. Final diagnosis of chronic lymphocytic thyroiditis was based on histological specimens obtained by needle biopsies on the antithyroid antibody positive subjects.The overall incidence of chronic lymphocytic thyroiditis in these children was 1.7 per 1,000 children. There was a considerable sex difference in the prevalence. None of the patients were boys. In girls the incidence increased with age : ages 6-12 0.9, ages 13-15 4.6 and ages 16-18 3.1-4.2 per 1,000, respectively. The incidence in the seaside area, 2.6 per 1,000 was not significantly higher than that in the urban area, 1.8 per 1,000. Histologically, all cases were classified as focal thyroiditis.
著者
神谷 貴文 中村 佐知子 伊藤 彰 小郷 沙矢香 西島 卓也 申 基澈 村中 康秀
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

岩石や鉱物に含まれるストロンチウム(Sr)の安定同位体比(87Sr/86Sr)は、これまで主に地質学や岩石学の分野で活用されてきたが、植物は地域基盤である岩石・土壌・水の同位体組成を反映することから、農産物の産地トレーサビリティー指標としても用いられつつある。ワサビ (Wasabia japonica)の栽培地は主に河川最上流部の湧水や渓流水であり、このような立地は、大気降下物や肥料などの人為的な影響が少なく、湧水は各地の地質を直接反映した同位体組成となると考えられる。そこで本研究では、Sr安定同位体比によるワサビの産地判別の可能性を評価することを目的とした。日本の主要なワサビ産地である静岡県、岩手県、長野県、東京都、島根県から計34地点においてワサビ97サンプルおよびその栽培地である湧水・渓流水95サンプルを採取し、微量元素と87Sr/86Srを測定した。その結果、87Sr/86Srは地質の特徴によって異なる値となり、同地点のワサビと湧水の値がほぼ一致することを確認した。第四紀の新しい火山岩地域である静岡県の伊豆・富士山地域では87Sr/86Srがほとんど0.7040以下と最も低い値となり、中生代の花崗岩や堆積岩が分布する長野県や東京都では0.7095以上で高い値となった。このように、87Sr/86Srによってワサビ生産地を判別できることが明らかになった。
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.7-14, 2006-10-27
参考文献数
6

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範疇として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
中村 聡史
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.17, pp.1-8, 2010-07-23
参考文献数
10

近年,様々な分野の新鮮な情報をウェブ経由で即座に手にいれることができるようになった.一方で,こうした情報の氾濫は,ネタバレなどにより視聴や閲覧を楽しみにしているコンテンツの面白さを低減させてしまうという問題がある.本稿では,こうした問題を考慮して,時間ベースでのフィルタリングを行うことにより,楽しみを低減させるようなネタバレ情報をフィルタリングする AntiSpoiler システムを提案する.本提案システムでは,ユーザの指定したプリファレンスに基づき,コンテンツを動的にフィルタリングする.Nowadays, we can obtain various kinds of fresh information from the Web. On the other hand, such fresh information sometimes spoils user's enjoyment. This paper proposes a temporal filtering system called the Anti-Spoiler system. The system changes filters dynamically based on user-specified preferences and the user's timetable. The system then blocks contents that would spoil the user's enjoyment of a previously unwatched content. The system analyzes a user-requested Web content, and then uses filters to prevent portions of the content being displayed that might spoil user's enjoyment. For example, the system hides the final score of football from the Web content before watching it on TV.
著者
中村 友紀 山中 伸弥
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.531-538, 2008-08-01 (Released:2011-04-18)
参考文献数
29

分化多能性をもち,その性質を維持したままほぼ無限に増殖させることができる胚性幹細胞,ES細胞は細胞移植治療や創薬試験系への応用に大きな期待が寄せられてきた.しかし,その作製には受精卵が必要になることから倫理的に慎重な運用が求められ,また他家移植となることから免疫拒絶の制御という問題も抱えていた.これらを回避すべく,真に臨床応用可能な幹細胞の開発を目指し,様々な研究が行なわれている.ここでは,その試みから生まれた人工多能性幹細胞,iPS細胞について,樹立までの経緯とそのインパクト,展望について触れたい.
著者
中村 豪 宇於崎 勝也 根上 彰生 小嶋 勝衛
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.634, pp.2803-2804, 2008-12-30

I am apologize that our study included a non-appropriate part. I will carry on a correction sentence in this paper.
著者
中村 秀明 匂坂 量 阪本 奈美子 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.7-14, 2021-04-26 (Released:2021-05-10)
参考文献数
8

【目的】自動胸骨圧迫装置判断に影響する因子とその使用が静脈路確保(以下,PIVC)に及ぼす効果を明らかにする。【方法】2018年8月1日から2019年2月28日にBANDOメディカルコントロール協議会の4消防本部において記録された心肺停止傷病者に対するPIVC321症例を対象とした。【結果】実施者因子では,救急救命士の年齢が若く,拡大二行為認定経過年数が長いこと。傷病者因子では,年齢が若い,男性に自動胸骨圧迫装置が装着されやすい因子であった。自動胸骨圧迫装置群のPIVC成功率は有意に低く(44.6% vs 62.6%:p<0.05),静脈の性状とPIVC所要時間に関して有意差は見られなかった。キーワード:救急救命士,心肺停止,静脈路確保,静脈路確保成否因子,自動胸骨圧迫装置
著者
中村 秀俊 岩佐 一生 寺井 健太郎 伊達 政道 呉 美枝 北岡 治子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.98-102, 2017-02-20 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18

症例は78歳男性.X-18年に糖尿病と診断され経口血糖降下薬開始.X-4年10月よりメトホルミン750 mgより開始したところ,X年6月頃よりHb 11.5 g/dL,MCV 109 fLと大球性貧血を認めた.同年11月,ビタミンB12 50 pg/mL未満と低値を示し,メトホルミン投与によるビタミンB12欠乏に基づく巨赤芽球性貧血と診断し,メトホルミン中止およびメコバラミン投与により速やかに改善した.メトホルミンによるビタミンB12欠乏の原因として,回腸におけるビタミンB12-内因子複合体のカルシウム依存的吸収の阻害作用などが報告されている.昨今ビグアナイド薬は,2型糖尿病治療において多用されているが,投与開始後遅発性にかつ徐々に進行する大球性貧血をきたす例もあることより,特に高用量を投与する場合は長期にわたり血液像を観察する必要があると考える.
著者
大嶋 清宏 萩原 周一 青木 誠 村田 将人 金子 稔 中村 卓郎 古川 和美
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.345-350, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
14

症例は84歳の女性。認知症のため施設入所中である。某月某日朝,意識障害と40℃の発熱のため近医へ救急搬送された。動脈血ガス分析で低酸素血症と代謝性アルカローシスを認め,気管挿管され当院へ搬送された。来院後の血液検査で高カルシウム血症(13.8mg/dl)あり,胸部CT検査では左下葉に気管支透亮像を伴う浸潤影を認めた。頭部CT検査では明らかな異常所見はなかった。高カルシウム血症により意識障害を呈し誤嚥性肺炎を併発したと考え,入院の上,全身管理を開始した。呼吸に関しては人工呼吸器管理に加え,誤嚥性肺炎に対する抗菌化学療法を行った。高カルシウム血症の原因について精査したが,副甲状腺機能亢進症および悪性腫瘍は否定的であった。長期にわたり乳酸カルシウムおよび酸化マグネシウムが投与されており,これらによりミルクアルカリ症候群に陥り,その結果として高カルシウム血症性クリーゼを来したと考えられた。これら薬剤の投与を中止するとともにカルシトニンおよびビスホスホネートの投与を開始した。その後,徐々に血清カルシウム値は正常化し,それに伴い意識状態も改善した。第5病日には抜管し人工呼吸器から離脱でき,第6病日に紹介元の病院へ転院となった。ミルクアルカリ症候群は,牛乳や炭酸カルシウムのようなカルシウムと弱アルカリ性の吸収性制酸薬の過剰な経口摂取により発症するとされ,以前は消化性潰瘍治療時に認められていたが,その治療の変遷とともに激減した。しかし近年,骨粗鬆症の管理および予防に炭酸カルシウムが頻用されるようになり,再び報告されるようになってきている。とくに高齢者では,上記のような目的で長期間にカルシウム製剤を処方されている例が多く,かつ慢性の便秘に対して弱アルカリであるマグネシウム含有緩下剤を処方されている例も多い。高齢者の高カルシウム血症の際には本症候群の可能性も検討すべきと考える。
著者
中村 雅俊
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
pp.JJPTF_2023-S03, (Released:2023-07-26)
参考文献数
23

ここ20年,特にスポーツ選手がセルフケアとしてフォームローラーを行う場面を多く見る。しかし,その効果については十分明らかになっていなかった。そこで我々は若年者を対象に即時的および長期介入効果の検討,また実際の理学療法現場を想定して損傷筋(遅発性筋痛)に対する効果の検討を行った。その結果,通常のフォームローラー介入では関節可動域は増加する一方,筋硬度の指標である筋弾性率に有意な変化は認められなかった。しかし,振動療法を同時にできる振動付きフォームローラー介入では特に筋腹部分を刺激することで筋弾性率が減少する可能性を示すことができた。また損傷筋に対するフォームローラー介入においても疼痛や関節可動域の改善効果が認められる結果となった。以上より,今後,臨床現場でフォームローラー介入がストレッチングに変わって用いる有用性を示唆することができた。
著者
中村 博昭
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-17, 1995-01-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
121
著者
中村 美香子 野田 正順 村上 隆之 日俣 克一 細谷 誠生 山田 雄司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.229-237, 2004-05-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

(1) 臭素酸カリウムを添加した角型食パン及び山型食パンを調製し,それぞれパン中の臭素酸の残存量を,改良微量分析法(検出限界0.5ppb)を用いて測定した.その結果,角型食パンからは添加濃度13及び15ppmにおいて臭素酸は検出されなかった.一方,山型食パンからは各添加濃度(9,13及び30ppm)においてその添加量に比例して0.5ppb以上の臭素酸が検出された.(2) 臭素酸の分解を促進する製パン工程を明らかにするため,山型食パンの製造工程中における臭素酸の残存量の変化を,ポストカラムHPLC法(検出限界3ppb)を用いて測定した.その結果,ホイロ後,すなわち焼成前までに,臭素酸の残存量を低減した条件下において臭素酸の残存量が検出限界以下になることが認められた.しかし,その条件下では臭素酸カリウムの製パン性に対する改良効果があまり認められなかった.(3) 山型食パン中の残存臭素酸の分布を改良微量分析法(検出限界0.5ppb)を用いて測定した結果,上部クラスト(型に接していないクラスト)に臭素酸が残存していることが明らかとなった.一方,焼成型に蓋をして焼成する角食の食パン類には臭素酸が残存せず,焼成蓋をせずに焼成する山型食パンに臭素酸が残存することが明らかとなった.(4) 山型食パン中の臭素酸残存量を低減するため,各種還元剤(L-アスコルビン酸,硫酸第一鉄,システイン及びグルタチオン)を臭素酸カリウムと同時に添加し,それぞれのパン中の臭素酸残存量をポストカラムHPLC法(検出限界3ppb)を用いて測定した.その結果,いずれの還元剤も臭素酸残存量の低下に効果を示し,特に,L-アスコルビン酸(対粉30ppm以上),硫酸第一鉄(対粉15ppm以上)を同時に添加した場合に効果が高かった.しかし,これらの添加は,臭素酸カリウムの製パン性改良効果にあまり寄与しなかった.(5) 臭素酸カリウムを添加した山型食パン中の臭素酸残存量を低減するため,焼成条件及び焼成型の蓋について検討し,改良微量分析法(検出限界0.5ppb)を用いて残存臭素酸量を測定した.その結果,山型食パンの焼成温度を角型食パンと同じ210°Cにして,16分から33分間焼成したところ,焼成時間が長くなるに従って臭素酸の残存量が低下する傾向が認められた.また,山型食パンを焼成する際に,焼成型に蓋をすることによって,臭素酸の残存量が検出限界以下になることが認められた.(6) 実際の製造所(6箇所)において臭素酸カリウムを対粉12ppm(粉末添加む)とL-アスコルビン酸を対粉5ppm添加した角型食パンを試験的に調製し,改良微量分析法(検出限界0.5ppb)を用いて残存臭素酸量を測定したところ,パン中の臭素酸の残存量は検出限界以下であった.
著者
中村 遼 海老澤 健太郎 奥澤 智子 李 忠翰 関谷 勇司
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.40-47, 2022-12-01

本研究では,Equal Cost Multi-path (ECMP) を拡張することで既存の ECMP の欠点を解消した新しいロードバランス手法を提案する.一般的なハードウェアルータの持つ ECMP 機能はトラフィックをフローごとに複数のネクストホップに分散することができる.つまり ECMP をそのままロードバランサとして利用できれば,専用の機材を導入するのと比較してコスト面,運用面における負荷が少ない.しかし ECMP は,フローのハッシュ値とネクストホップ数によってパケットの転送先を決定するため,ネクストホップとなるサーバの数が増減した場合,既存のコネクションが異なるサーバに届き切断されるという問題がある.本研究では,この問題を解決するため ECMP を拡張した ECMP with Explicit Retransmission (ECMP-ER) を提案する.ECMP-ER は Layer-3 の ECMP を基礎としており,既存の経路制御プロトコルで動作する.その上で ECMP-ER では,ルータが ECMP の経路について,現在のネクストホップに加えて過去のネクストホップ情報も保持する.サーバの増減時に異なるサーバに届いたフローのパケットは,サーバがルータへ再送し,さらにルータが過去のネクストホップを参照して再送することで最終的に適切なサーバへ転送される.本研究では ECMP-ER を P4 スイッチを用いて試作し評価した結果,ECMP では 20% 以上のコネクションが切断される状況においても,ECMP-ER は全てのコネクションを維持したままトラフィックを分散できることを確認した.