著者
人見 裕江 中村 陽子 小河 孝則 畝 博 井上 仁 仁科 祐子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

グループホームやデイサービスにおける痴呆症高齢者ケアの実態と美容を取り入れたケアの効果について、事例分析、免疫機能、動脈硬化指数、家族に及ぼす美容の効果、およびスタッフをはじめとするケア提供者へ及ぼす影響について検討した。免疫機能、動脈硬化指数では変化が明らかではなかったが、認知症高齢者の表情が豊かになり、言語も増す傾向が示され、スタッフや家族への相互作用があることが示唆された。化粧が及ぼす生理・心理的反応に関する基礎的研究(北川・人見、2006)を行い、手軽にできる口紅について、心理的変化および脳活動・自律神経機能に与える影響について検討した。口紅をつけた結果、これまでの報告にもみられるように、化粧による気分の高揚や積極性の向上などの心理的変化が認められた。しかし、このような心理的変化では、脳活動。自律神経機能には有意な影響を与えないことが示唆された。京都、イスタンブール、ベルリンにおける第20-22回アルツハイマー病協会国際会議に参加し、世界の認知症ケアに関する情報を得た。A老年性痴呆疾患治療病棟における攻撃的行動のある認知症高齢者に対するスタッフの態度とバーンアウト症候群との関係をパイロットスタデイとして調査した。攻撃的行動を否定的に捕らえるスタッフはバーンアウト傾向にあることが示唆され、認知症ケアにおける看護介入の方策、およびスタッフ教育について、検討する必要性が急務であることが示めされた(人見・中平・中村・他、2006)。そこで、大阪および山陰地方の介護施設のスタッフ約1、500人を対象に、調査研究を行った。また、代替療法を用いた介入研究を地域の病院における療養型治療病棟や特養において実施し、本人だけでなくスタッフおよび家族への波及効果がある傾向が示された。今後、全国の痴呆症ケアに関わる病院や施設および事業所等に勤務するスタッフの態度とバーンアウト症候群との関係を明らかにし、介護提供者の教育システムを構築に関する示唆を得ると共に、提言をする予定である。
著者
森 定雄 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 高田 かな子 杉本 剛 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 杉谷 初雄 大関 博 中橋 計治 日比 清勝 大谷 肇 中村 茂夫 杉浦 健児 田中 鍛 荻原 誠司 勝野 保夫 大久保 哲雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.95-101, 1996-01-05
被引用文献数
10 6

SEC専門部会傘下26測定機関でサイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の分子量の共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)4種類, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種類である.較正曲線作成用標準試料を配布し, 試料溶液の濃度, 注入量を規定するとともに, クロマトグラムベ-スラインの引き方を統一し, 又較正曲線は3次近似とした.その結果, かけ離れた数値を棄却した場合の相対標準偏差(RSD)はPSでは数平均分子量で13.7〜15.8%, 重量平均分子量で5.0〜5.8%.PMMAではそれぞれ11.9〜13.3%, 10.9〜11.3%であった.前回のラウンド口ビンテストと比較し, RSDが改善された様子は認められなかったが, 測定条件の不備による, 大きくかけ離れたデータがなくなった意義は大きい.RSDが改善されなかった理由の一つはベースラインに引き方の統一が完全でなかったことである.異なる検出器を使用した場合, 又異なるメーカーの標準試料を用いた場合, RSDが大きくなるようである.
著者
久米 出 波多野 賢治 中村 匡秀 柴山 悦哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.37, pp.1-8, 2015-03-05

逆回し (back-in-time) デバッガはプログラムのトレース (実行履歴) を記録して過去の状態の参照を可能する機能を有しており,デバッグに於ける診断のあり方を根本から変える可能性を秘めている.しかしながらその機能を有効に活用するためには,作業者が膨大なトレースの中から適切な実行時点を指定し,その状態の正不正を判定しなければならない.こうした指定や判定は作業者自身のプログラム理解に大きく依存している.オブジェクト指向プログラミングはプログラムの再利用性や拡張性が向上させる反面,コードの理解を困難にする傾向が指摘されている.我々はこうしたオブジェクト指向プログラムに固有な問題を解決するために,外挿診断法 (diagnosis by extrapolation) という手法を提案し,それを実現する逆回しデバッガを開発中である.本手法は指定された時点の実行文脈を,作業者の既知の情報を用いて抽象化する事によって,問題解決を実現する点に最大の特徴を有している.本論文では実用的なプログラムのデバッグ事例を通じて逆回しデバッガが実装すべき機能と手法の有効性の評価方法を考察する.
著者
中村 泰三
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.312-318, 1961-08-30 (Released:2009-04-28)
参考文献数
5
著者
金丸 友 中村 伸枝 荒木 暁子 中村 美和 佐藤 奈保 小川 純子 遠藤 数江 村上 寛子 Kanamaru Tomo Nakamura Nobue Araki Akiko Nakamura Miwa Sato Naho Ogawa Junko Endo Kazue Murakami Hiroko カナマル トモ ナカムラ ノブエ アラキ アキコ ナカムラ ミワ サトウ ナホ オガワ ジュンコ エンドウ カズエ ムラカミ ヒロコ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.63-70, 2005-06-30
被引用文献数
2

本研究は,慢性疾患をもつ学童・思春期患者の自己管理およびそのとらえ方の特徴と影響要因を明らかにし,看護援助に有用な枠組みを構築することを目的とし,Patersonのmeta-studyの方法を用いて26文献を分析した。その結果以下のことが導かれた。慢性疾患の学童・思春期患者の自己管理のとらえ方には,「本人の望む生活」と「疾患の理解・適切な療養行動」のギャップの大きさが影響していた。ギャップが大きな患者は,生活と療養行動の両者を大切なものと考え葛藤を感じており,ギャップが小さい患者は肯定的・葛藤のないとらえ方であり,ギャップが不明瞭な患者は受け身・不確かにとらえており,「疾患の理解・適切な療養行動」を受け入れられない患者は,否定的にとらえていた。葛藤を感じている患者は,親や友達からのサポートを得て「主体的・問題解決」の自己管理を行っており,療養行動を適切に行いながら本人らしい生活を送っていた。肯定的・葛藤のない患者のうち親や友達からのサポートを得ている患者は,時間の経過により自己管理に慣れ療養行動を適切に行っていたが,親や友達からのサポートが不足していると,「受け身・逃避・否認」の自己管理となり,不適切な療養行動によって症状が悪化したり生活に不満をもっていた。受け身・不確か,または否定的にとらえていた患者は,親や友達からのサポートが不足しており,「受け身・逃避・否認」の自己管理となり,不適切な療養行動によって症状が悪化したり生活に不満をもっていた。「本人の望む生活」と「疾患の理解・適切な療養行動」のギャップの大きさと,親・友達からのサポートをアセスメントし,看護援助を行っていく重要性が示唆された。The purpose of this study was to investigate the characteristics of self-care and associated perceptions among Japanese school-aged children and adolescents with chronic conditions and influencing factors, and to develop a framework for effective intervention, analyzing 26 articles using meta-study. The following results were obtained: 1) Perceptions of school-aged children and adolescents with chronic conditions were affected by size of the gap between 'The daily life desired by the child' and 'Performing self-care properly'. Children displaying a large gap experienced conflict, those with a small gap were no conflict, and those with an unclear gap were passive and uncertain. Children denying 'Performing self-care properly' were negative. 2) Children who got support from parents and friends could live as they wished, continuing self-care properly with or without conflict. 3) Children with an unclear gap and children denying 'Performing self-care properly' were unable to get support from parents and friends, and were unsatisfied with their life and displayed poor self-care. Assessments of size of the gap between 'The daily life desired by the child' and 'Performing self-care properly', and support from parents and friends appear important.
著者
中村 征樹
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、研究不正問題が国際的にももっとも早い時期に「問題化」された米国の事例に着目し、研究不正行為が研究者コミュニティのみがかかわる問題としてではなく、科学者コミュニティの外部(社会)にとっても重要な問題として認識され、研究不正への取り組みが開始し、研究者倫理が生成・制度化してきた経緯を明らかにした。また、1990年代以降の研究倫理問題の国際化の進展についても明らかにすることで、研究者倫理の国際比較を行い、米国における「研究者倫理」の生成プロセスの特質を浮き彫りにした。
著者
二宮 博義 中村 経紀
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1065-1073, 1988-10-15

SD系ラットにN-Methyl Nitrosoureaを投与して乳頭状腺腫を誘発させ, 線腫の血管系を立体的に観察した. 方法はアクリル系樹脂を左心室より注入して樹脂鋳型標本を作成し走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した. さらに別のラットには墨汁を注入し透明標本を作成しSEM所見と対照した. 組織学的には, 腫瘍は立方あるいは円柱形の上皮細胞群からなる胞巣と, その周囲の豊富な結合組織で構成されていた. 胞巣には腺管構造や小嚢胞腔の形成が認められ, 増殖の著しいものでは上皮細胞は乳頭状に増殖していた. 腫瘍に向かう血管は直線的で, 正常な血管に認められ血流調節機能を有するintra-arterial cushionは認められなかった. 腫瘍に進入した血管は分校を繰り返し胞巣の外周にカプセル状に密な血管網を形成していた. 胞巣内の毛細血管は太く多数のヘアピン状のループを形成していた. このループを形成する毛細血管には盲端に終っていたりコブ状に突出したものも観察された. こうした所見は腫瘍に特有な血管の新生像であると考えられた. また, 一部の血管には鋳型の表面が粗造で血管壁の脆弱性あるいは透過性の亢進を思わせる所見も観察された.
著者
中村 彰彦 石田 卓也 鮫島 正浩 五十嵐 圭日子
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.59-65, 2015-02-28 (Released:2015-03-05)
参考文献数
7

Structural analysis including hydrogen position is important for estimating the reaction mechanism of hydrolases. We applied neutron and X-ray structural analysis to a mysterious β-1,4 glucanase from a fungi Phanerochaete chrysosporium (PcCel45A). The joint analysis of neutron and X-ray structures showed that PcCel45A utilizing an imidic acid form of asparagine residue as a general base instead of typical acidic residues.
著者
中村 久美 今井 範子 牧野 唯
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.709-720, 2011-11-15 (Released:2013-09-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

We investigated how closets, which are considered to play a key role in establishing storage styles, are currently being used in homes.The ownership ratio of closets is 83%, which is an extremely high percentage. Most closets have an area smaller than a four-tatami-mat room, with the majority being located in bedrooms. When there is only one closet, it is used for various purposes such as storing seasonal goods, less frequently used non-daily goods, expendable supplies and clothing. Closets that accommodate household goods and those that store both household goods and non-daily goods are especially popular. In homes with two closets, they are generally used in one of two ways: one in which both are used for storing non-daily goods, the other in which non-daily goods are stored in one and household goods are stored in the other.The key to whether closets can be properly managed as storing systems largely depends on whether they are suitably located according to the type of goods to be stored in them, their location in the home and regular management of the goods stored in them.
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-84, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall

1 0 0 0 IR 研究ニュース

著者
平岡 秀一 塩谷 光彦 狩野 直和 川島 隆幸 川上 厚志 牧野 淳一郎 中村 栄一 磯部 寛之 尾中 敬 岡 良隆 上野 啓司 島田 敏宏 小間 篤 東山 哲也 濱口 宏夫 清水 裕子
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.4-12, 2002-09-17

金属イオンを自在に並べる/有機ケイ素化合物におけるケイ素の配位数の制御/小型熱帯魚ゼブラフィッシュの変異体を用いた遺伝子ハンティング/GRAPE-6とゴードン・ベル賞/フラーレンの基礎n学て妬くナノバイオテクノロジー/赤外線衛星観測と衛星冷却望遠鏡/やる気を起こさせる神経メカニズム/有機分子ナノ構造のシリコン基板上への自己組織化形成/植物の受精のしくみを解き明かす/酵母生細胞の時空間分解ラマン分光/マカク細胞の加齢に関する研究
著者
宮森 恒 中村 聡史 田中 克己
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG18(TOD28), pp.59-71, 2005-12-15

本稿では,ウェブ上の実況チャットを利用することでテレビ番組のメタデータを自動的に抽出する手法を提案する.実況チャットは,テレビ番組と同期して視聴者によって書き込まれるウェブ上の掲示板である.番組実況チャットのデータを,利用者全体あるいは特定の傾向を持つ利用者のデータ集合として扱い,チャット上に表れる特徴的な表現を認識処理することで,番組の盛り上がり場面や,視聴者の嗜好・興味に沿ったリアクションなど,視聴者視点に関連するメタデータを効率良く抽出できる.実験の結果,提案方式により,視聴者の反応の大きさや喜び,落ち込みなどの感情度数などのメタデータを効率良く抽出できることを確認した.また,提案方式で得られるメタデータを利用した番組視聴システムを実装することにより,シーンのランキング表示やダイジェスト生成など視聴者視点を反映した多様な番組視聴へ応用可能になることを確認した.
著者
中村 元弘
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.551-567, 1985-09-25
被引用文献数
1

前報において, 白金箔によって仕切られた同一鋳型内に同時に異種合金を鋳造, 接合させるテクニックを紹介し, 20K金合金, 白金加金および金銀パラジウム合金における接合部付近の組織構造について報告した.今回は, 陶材焼付用金合金, 金銀パラジウム合金およびNi-Cr合金での接合領域を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察するとともに, X線マイクロアナライザーにて分析した.陶材焼付用金合金では, 前報で観察した20K金合金, 白金加金に近く, ほとんど拡散していないような像を呈していた.拡散の見られた元素はAuで, その深度は1μm程であった.金銀パラジウム合金では, 前報同様白金箔に対し偏析を示した.拡散していた元素はCuであり, その深度は6μm程度であった.Crown-Bridge用Ni-Cr合金も白金箔に対し著明な偏析を示し, Mnを中心にCuやNiが最大18μmの拡散を示した.また白金箔側からの拡散も見られ, その値は最大で100μm程に及ぶものもあった.