著者
今井 健仁 中村 友紀 丸橋 佑基 中野 隆
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.9-15, 2019

<p>ヘアカラーリングで用いられる主要なブリーチ成分における,メラニン顆粒の分解パターンの違いについて透過電子顕微鏡による毛髪横断面観察から調査した。過酸化水素を共通成分とし,アンモニアおよびモノエタノールアミンでは毛髪中心部寄りのメラニン顆粒から分解され,炭酸塩および過硫酸塩では毛髪外周部のメラニン顆粒から分解されるという逆の挙動を示した。これらの違いは,メラニン顆粒は毛髪外周部に多いという分布特性のほかに,ブリーチ成分の毛髪浸透性とメラニン顆粒に対する酸化分解力の違いも関係していることが示唆された。また,アンモニアと炭酸塩を併用すると毛髪全体にわたってメラニン顆粒が均一に分解され,より効率的にブリーチ性能が発揮できる可能性が示唆された。</p>
著者
一棟 宏子 萩原 美智子 金 貞仁 崔 在順 中野 迪代 若井 希水子 イチムネ ヒロコ ハギワラ ミチコ KIM Jungin CHOI Jeasoon ナカノ ミチヨ ワカイ キミコ Hiroko ICHIMUNE Michiko HAGIWARA Jungin KIM Jeasoon CHOI Michiyo NAKANO WAKAI.Kimiko
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.121-136, 2007-03-20

本研究の目的と方法 韓国ソウル市内の分譲アパート5団地を訪問し、管理方式の実情把握と問題点を考察するために、2005年9月、2006年3月、2006年8月、アパート管理に携わる団地の住宅管理所長(住宅管理士)、住宅代表役員、住宅管理会社社長にインタビュー調査を実施した。結果と考察 韓国では70年代以降、共同住宅が短期間に大量建設された結果、伝統的な住宅様式である戸建住宅数を大幅に上回り、今では住宅ストックの6割以上を占めている。住戸の国民住宅規模は85m~2で日本と比べて広い。供給は分譲アパートが中心で、高層化した大規模団地が多く、多様な住戸規模と平面型が混在している。韓国の管理方式の特徴は、(1)管理に携わる職員の人数が多く、その役割分担は所長、管理事務職、設備系技術職、清掃員、警備員で、警備員の多さが目立つ。(2)建物のメンテナンスは従来20年程度で建替えてきた経緯があり、住民の管理に対する意識は低い。住宅法施工以来、住民の関心は建替えからリモデリングへと移っている。(3)管理を推進する住民の代表役員は立候補や推薦で決められる。全区分所有者による総会開催義務はなく、役員以外は管理に携わる義務もないため役員のなり手不足で、 代表役員の定員に欠員があるまま運営される団地がみられた。(4)韓国の管理方式は、設備中心で日常管理の質は一定程度確保でき、問題解決に機動性が発揮される反面、住民全体の合意形成の手続きが省かれたために、長期計画の展望を持ちにくく、住民自身の管理に対する役割意識が醸成されにくい状況がみられる。
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
浅井 芳江 濱田 稔夫 鈴木 伸典 中野 和子 谷井 司 泉谷 一裕
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, 1983

背部正中部,鎖骨上部,肋骨部,前脛骨部,肘頭,膝蓋部などに褐色の色素沈着を生じた19歳から36歳の男2例,女11例,計13例について臨床的,病理組織学的に検討を行った. 臨床的には,比較的若いやせ型の女性に好発し,癈埠は無いかあっても軽度で,色素沈着は前記の骨の直上部皮膚に限局するものが多く,一部の症例では上背部,頚部に及んでおり,その性状はびまん性,表面平滑で角化傾向は示さない.病理組織学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数の melanophage を認めたが炎症性細胞浸潤は極く僅かであった.アミロイド染色では全例にアミロイドの沈着は認められなかった. このような症例の記載は成書にはみられないが,臨床的には特異であり,1つの entity と考えたい.原因はなお不詳であるがその一因として,当該部ではその直下に骨が存在し,皮下脂肪が少ないことも相まって,慢性刺激,摩擦,圧迫などの機械的刺激を受けやすいことが挙げられる.併せて皮膚アミロイドーシスの中,特に臨床像が類似する macular amyloidosis との関係について考察を加えた.
著者
館農 勝 中野 育子 白木 淳子 館農 幸恵 金澤 潤一郎 白石 将毅 河西 千秋 氏家 武 齊藤 卓弥
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1403-1411, 2018-12-15

抄録 近年,ADHDの診断を求めて精神科を受診する者の数が増えている。今回,ADHDの診断補助ツールとして活用可能な25項目から成る質問紙を開発した。質問紙はHokkaido ADHD Scale for Clinical Assessment in Psychiatry(HASCAP)と名付け,0点から4点の5件法で回答を求めた(100点満点)。ADHD群104名(平均63.4±15.8点)と健常対照群361名(平均27.5±17.5点)の結果から,感度,特異度を求め,カットオフを設定した。その結果,HASCAP合計点45点で,感度83.7%,特異度83.1%であった。今度,さらにデータを集積し,より実用的な質問紙にしていきたいと考える。
著者
坪井 康次 中野 弘一 筒井 末春
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.143-150, 1995-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Many patients with depression visit at the department of psychosomatic medicine. It is characteristic of these patients that their symptoms are milder than the patients in psychiatry and they have more somatic symptoms than psychological. The therapeutic approach to depression may have to be modified by the patients' psychological status, because the genesis of depression is varied and depression is a heterogeneous disorder. We studied the features of these patients and their therapeutic procedures in our department of psychosomatic medicine. Eighty percent of all first-visit patients had depressive disorders (classified by DSM-III-R), and 30.2% of them were major depression, 11.8% were dysthymia and 58% not otherwise specified (NOS). The severity of depression was milder. The recent general adaptation function (GAF) of major depression was lowest in the three subtypes of depressive disorders, even though the mean GAF score of major depression was 55.4. The comorbidity of somatic disorder shows a high rate. Forty percent of patients with depressive disorders have functional somatic disorders, such as irritable bowel syndrome, migraine, tension type headache, hypertension etc. As to pharmacotherapy, many of the patients with depressive disorders in our department of psychosomatic medicine, received plural drugs such as antidepressant, anxiolytics, sulpiride, hypnotics. Antidepressants were prescribed most frequently in the major depression group. Anxiolytics and sulpiride were used commonly in all groups. As to the reason why anxiolytic and sulpiride were prescribed frequently, we have concluded that these phenomena raised from those usual antidepressants need the long period of time before main effects appear and they have various undesirable side effects. The selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) are developed and emerging already as a new class of antidepressant in USA and Europe. The SSRIs have equivalent efficacy to standard antidepressant treatment such as the tricyclics, but with improved safety, a more acceptable side-effect profile and reduced risks with overdosage. Treatment expectations will be raised and a broader spectrum of patients will be able to receive treatment.
著者
鍬塚 寿 中野 信吾 進藤 和彦 松尾 喜文 徳永 毅
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.924-938, 1969-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
58

1) A case of adrenal feminizing syndrome due to adrenocortical adenomatous hyperplasia in a 27-year-old man is reported. This case is regarded as the first case caused by adenomatous hyperplasia in the world.2) The symptom was associated with gynecomastia, hypoplastic genitalia and hypertension. Enlargement of the right adrenal gland was proved by the tomography with pneumoretro-peritoneum.3) The urinary 17-KS and 17-OHCS excretion level reviewed within normal range and/or slightly lower than the normal. Androsterone was significantly decreased and dehydroepiandrosterone was increased out of fractions of urinary 17KS. Estrogen and pregnanediol were elevated. Among the fractions of urinary estrogen, estriol was increased. Urinary 17KS, 17-OHCS and estrogen excretions did dnot respond to ACTH-test, dexamethasone-test, metopirone-test or HCG-test, suggesting that secretionn of the adrenocortical hormone in this case is independent of the hypophysis.4) The right adrenalectomy was carried out and the removed specimen measured 3.0×2.5×2.0 cm and weighed 18 g. The histological diagnosis was adenomatous hyperplasia of the adrenal cortex and no sign of malignancy was detected.5) Postoperatively, the urinary 17-KS, 17-OHCS and the fractions of 17-KS were unchanged, however estrogen returned to normal level and pregnanediol showed to be lower than the pre-operative level.6) No change of clinical symptoms was noticed after the adrenalectomy, but significant improvement appeared by androgen therapy. A plastic operation for hypospadias was carried out. The hypertension in this case was difficult to control by antihypertensive agents, however the blood pressure was, controlled by the drugs within normal range after adrenalectomy.7) It is suggested that the biosynthesis of adrenal androgen in this case may pass the way from pregnenolone to androstenedione via progesterone besides the way via dehydroepiandrosterone.8) Clinical symptoms, findings of X-ray films and results of hormonal examinations of the cases of carcinoma, adenoma and our case were reviewed. Differential diagnosis from the testicular feminization and the problem of hypospadias were discussed.
著者
三冨 博文 中野 弘雅 勝山 直興 伊東 宏 小川 仁史 柴田 朋彦 山田 秀裕 尾崎 承一 米山 喜平
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.208-213, 2010-06-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は74歳女性.平成10年に関節リウマチと診断し,当科で入退院を繰り返していた.平成20年4月上旬より労作時呼吸困難が出現.その後,呼吸困難は徐々に増悪し,4月25日に即日入院.入院時,頻脈,頻呼吸あり.胸部Xpと心臓超音波検査より心タンポナーデと診断し心囊穿刺を施行.心囊水の検査結果よりタンポナーデの原因をリウマチ性心外膜炎と診断し,メチルプレドニゾロン40mg/日を開始.その後,心タンポナーデの増悪なく6月3日に退院となった.
著者
遠藤 有美 小松 賢一 福井 朗 小林 恒 中山 勝憲 中野 靖子 木村 博人
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.313-318, 1996-12-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

他臓器の悪性腫瘍が顎・口腔領域に転移することは比較的まれである。顎骨への転移性腫瘍の原発臓器は, 乳房, 肺, 副腎の順に多く, 口腔領域に初発症状を呈する転移性肝細胞癌はきわめてまれである。今回, 著者らは, 下唇の知覚麻痺を初発症状とする下顎骨への転移性肝細胞癌の一例を経験したので臨床経過ならびに文献的考察を報告する。患者は59歳, 男性で, 歯科, 麻酔科, 耳鼻科, 神経内科を経て, 当科を紹介された。X線所見で4に近接する骨に, びまん性の骨吸収像を認めた。下顎骨より採取した生検標本の病理組織学的所見で下顎骨の転移性肝細胞癌の診断を得た。肝癌が口腔領域に転移した場合の初発症状として, 腫脹, 出血が多いとされていたが, 1957年から1996年における下顎骨に転移した肝細胞癌の報告では27症例中5症例に, 三叉神経の知覚麻痺を認めた。さらに50歳代の男性に多く, 発生部位としては下顎骨体部と下顎枝に多いことが明らかとなった。
著者
中野 常男 橋本 武久 清水 泰洋 杉田 武志 三光寺 由実子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,不正会計・財務に関連する歴史的事件を取り上げ,それぞれの事件が持つ歴史的意義を分析した。対象となる国,時代はイギリス(南海泡沫事件,東インド会社),オランダ(チューリップ狂事件),フランス(ミシシッピ会社事件),アメリカ(公益事業会社規制)と様々で,それぞれ歴史的重大性を持つ事件である。それぞれの事件において会計の持つ役割は決して主導的なものではないが,不正会計の事件においては会計の持つ道具性が強調されたことを明らかとした。
著者
中野 等
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

豊臣政権の基本政策である「太閤検地」は、一般にもよく知られた概念である。理解の大枠は1950年代の太閤検地論争の延長線上にあり、主として土地制度史上の問題として位置づけられている。しかしながら、近年はその定義についても揺らぎが生じており、その評価については抜本的な見直しが求められている。しかしながら、太閤検地は第一義的に統一政権が国土の実態を把握し、その生産力を一定の基準で評価・掌握しようとしたものであって、「国家史」的な観点から論ずるべき性格のものと考えられる。そこで本研究は、従前の土地所有論的な観点からではなく、政権の目指す「国制」を踏まえ、「国家史」的な立場からの再定義をおこなう。
著者
山本 寛人 田中 健一 山下 俊介 浮田 昌一 中野 博史 白沢 楽 冨谷 茂隆 小寺 正明 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P19, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

電子エネルギー損失分光法(EELS)から得られたスペクトルデータの解析手法について報告する。EELSは電子線を試料に照射し、透過した電子線に磁場をかけて分光し、エネルギー損失から試料の状態を推定する分析手法である。提案手法では、EELSスペクトルデータに2種類の前処理を適用し、主成分分析による解析を行った。ドライエッチング時のダメージの状態把握および、GaInN量子井戸におけるインジウム含有量の推定結果について報告する。
著者
松村 雅史 中野 剛 西原 一嘉 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.231, pp.37-42, 1998-07-31
参考文献数
18

本研究では、バイオリン音生成時の運動パラメータと生成音の音響的性質の関係を調べるために、運弓、弓圧を総合的にコンピュータ制御可能なバイオリン音生成システムを試作した。まず、本システムでは、10-40cm/sの速度で運弓している場合において、2.5gWの精度で弓圧力が制御可能であることを示した。次に、音階制御機構部についての基礎実験として、弦を押さえる荷重と発生音のスペクトルの関連を実験的に調べた。バイオリン音のスペクトルで倍音生分とそれ以外の成分の比mを特徴パラメータとし、弦を押さえる荷重(100-400gW)との関係を測定した。その結果、荷重が小さい場合、mの値は小さく、聴覚的印象も悪いが、荷重を大きくするとmが急激に高くなり、聴覚的印象も良くなる傾向が示された。
著者
中野 伸一 西野 勝 河井 孝文 村上 和秀
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.171-177, 2018 (Released:2018-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

夏から秋にかけて作付けする露地野菜においては,短時間強雨や台風に遭遇しやすく,圃場の冠水による被害は大きい.ここでは,レタスを冠水処理し,その時期と時間の影響や品種の違い,湛水後の液肥かん注による生育の回復効果について検討した.冠水処理の時期と時間の違いについて,レタスの生育ステージが結球前(葉齢13程度)までの生育前半の影響が大きく,12時間までの冠水処理では結球重が小さく,24時間の冠水処理ではすべて枯死した.一方,生育後半の結球初期(葉齢18程度)12時間までの冠水処理では,結球重への影響は小さかったが,収穫前(葉齢35程度) の冠水では,泥の付着により商品性が低下した.8月下旬播種作型における品種の違いについて,‘ハミングチャウ’は湛水処理による結球重の低下がなく,優れた耐湿性を示した.湛水後の対策として,実際の台風接近に合わせて,結球前(葉齢16程度) と結球初期(葉齢18程度) の2回の6時間湛水処理した区に対して,尿素の50倍液50 L・a–1を株元に施用すると,結球重が12%,球体積が33%大きく,無処理区と同等となり,事後対策として有効と考えられる.