著者
大久保 晋
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

スピンフラストレーション系では、相互作用が競合するためマイナーな作用が支配的である場合がある。スピンJahn-Tellerではスピン-格子相互作用により格子を歪ませることになる。本研究ではフラストレーション効果の解明のため、カゴメ格子やパイロクロア格子をもつ反強磁性体におけるスピンフラストレーション効果を、強磁場ESRを用いることで緩和の速いスピンダイナミクスを調べ、格子を変えてもスピンの揺らぎが強く残ることを明らかにした。
著者
六鹿 茂夫 廣瀬 陽子 黛 秋津 佐藤 真千子 小窪 千早 梅本 哲也 吉川 元 上垣 彰 大西 富士夫 西山 克典 小久保 康之 吉村 貴之 中島 崇文 末澤 恵美 服部 倫卓 木村 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

黒海地域の国際関係を歴史、経済、域内国際関係、域外国際関係の4次元から分析し、国際会議をボアジチ大学(イスタンブール)と静岡県立大学にて開催して学際的総合化に努めた。その結果、1.黒海としての地域性、2.地政学的重要性、3.黒海地域の特殊性と地域特有のイシュー(エネルギー、民主化、凍結された紛争)、4.黒海地域の構造とその変動、5.黒海地域と広域ヨーロッパおよび世界政治との相互連関性が明らかにされた。
著者
久保田 優子
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、これまで自明のこととされてきた、植民地朝鮮において「同化」の手段とされた日本語教育の論理について、実証的に解明し、以下の知見が得られた。1.第一次朝鮮教育令期(1911年〜1922年)において、朝鮮総督府は日本語教育により朝鮮人をどのように「同化」しようとしたのかを解明した。その結果、(1)日本語普及の目的は、国語の統一により国家統一を強化することであり、国語(日本語)の趣旨は、コミュニケーションの手段としてよりも、「国民精神の涵養」に重点が置かれていた。(2)総督府が意図した「同化」とは、朝鮮人に「天皇への感謝」の気持ちを持たせ、「実用的」な知識を身に付け、実業に就いて、「勤勉」に働き、役人の命令に従順に従い、「国家に尽す」人間になることであった。(3)「朝鮮教育令」策定に強く関与した、帝国教育会の朝鮮教育方針建議案の策定過程の検討により、内地人の国民統合倫理である「教育勅語」により、朝鮮人をも統合しようとする意図が「建議案」に反映されたことが解明された。2.一方、朝鮮人側の日本語教育の論理解明のため学校史及び『朝鮮日報』を取り上げた。(1)『梨花七十年史』では、日本語教育は不活発で、卒業式や祝祭日にも「君が代」は歌わず賛美歌を歌っていたこと、(2)『延世大学校史』では、総督府に大いに協力的であったこと、(3)「私立普成学校」では、日本語担当教師は朝鮮人を擁護したので朝鮮人に慕われたこと、(4)「私立延喜専門学校」では、1941年「国語常用の徹底」方針を掲げたものの、実際には日本支配に順応しなかったこと、等が解明された。以上により、朝鮮人側において、学校により対応に大きな差があったことが明らかにされた。
著者
久保村 千明 桜井 友子 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.96, no.271, pp.21-30, 1996-09-27
被引用文献数
17

高度な自然言語処理システムは、新語(以下、未知語)を自動的に獲得する能カを備え持つことが不可欠である。このような観点から、未知語獲得能力を有するパーザのプロトタイプシステムを作成した。本稿では、そのシステムにおける3種類の未知語に対する3種類の未知語獲得アルゴリズムを評価するために行った実験とその結果について述べる。新聞・書籍・雑誌・辞書から評価用言語資料を収集し、それを素材としてアルゴリズムを評価したところ、本アルゴリズムの基本的妥当性が確認された。
著者
小久保 美子
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
千葉敬愛短期大学紀要 (ISSN:03894584)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-76, 2005-03

わが国の国語教育は、「言語生活論」が主唱されながらも、「言語能力主義」の主張に押され、長らく教科書教材に依存した詳細な読解中心の実践が展開されてきた。その結果、国語学習は生活から離れたものになり、学習の成果が生活に生きて働くものにはなりえなかった。読解力の低下、読書離れ、想像力の欠如、言葉の乱れ、コミュニケーション不全等々、国語の実態を憂うる声を聴いて久しい。このような現実態を考えたとき、子どもたちの言語生活の向上を企図した国語教育の改善は焦眉の課題である。本稿では、国語教育改善の方途として「言語生活論」を確立すべく、手始めに、言語能力主義の理論的基盤の一つとなった時枝誠記の言語生活論に焦点を当て、時枝の論がダイナミズムを内包する言語生活の実態から離れたものにならざるを得なかった根拠を明らかにしていく。
著者
久保田 紀久枝
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

食品の風味を増強し嗜好性を高める効果を持つ匂い物質を探索した。風味増強のために使われる香辛料のにおい成分やかつお節とコンブを使う合わせだしにおけるコンブのにおい成分に着目した。コブミカン葉を加えたチキンスープではコブミカンの加熱生成香気成分が風味増強に大きく関与することが示され、またバジルの香りには、トマトスープの風味に影響する成分が存在することを確認した。合わせだしでは、味成分のうまみ相乗効果だけでなくコンブの香りも風味増強に関与することが分かった。
著者
瀧口 桂子 松本 園子 富田 恵子 遠藤 久江 森久保 俊満 小林 理
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

<研究目的>核家族化や少子化が進み、地域社会の連帯も失われつつある現在、子育て中の家族が孤立化し、育児不安や養育困難な問題が生じ、児童虐待も深刻な社会問題となっている。本研究は乳児院や児童養護施設などの基幹児童福祉施設が要保護児童の保護や自立支援など従来の役割に加えて、地域社会の家庭養育支援施設としてどのように機能を拡大し、地域社会のネットワークを形成していくことができるか、またその課題を明らかにすることを目的とした。平成9年の児童福祉法改正により新設された「児童家庭支援センター」に焦点を絞り、センターがどのように設置運営され利用されていくかそのプロセスを調査し、地域におけるセンターの役割機能と地域子育て支援ネットワークの実態を明らかにして、これからの児童家庭支援センターの充実発展、さらにセンター制度改革への提言を行う。<研究成果>1.児童家庭支援センター構想とセンター制度が制定された経緯を検証した。2.児童家庭支援センター制度創設から5年間のセンター設置プロセスを明らかにした。児童家庭支援センターが発足して今年度で5年が経過した。平成14年度末現在、全国に36センターが設置されている。そのうち25センター(実質1年以上の活動実績があるセンター)を訪問し、運営方針、活動内容、利用状況、地域の関連機関との連携・ネットワークの形成、今後の課題などを聞き取り調査した。そのほか全国児童家庭支援センター会議で情報、資料収集を行い全センターの状況を把握した。3.児童家庭支援センターは付設されている本体施設の機能を活用し、地域の子育て支援機能を果たしていることは実証できた。しかし地域偏在、センター間の活動内容、利用状況の差が大きいこと、児童相談機関としての位置づけが明確でないこと、本体施設の運営、養護実践自体が厳しい状況下でセンター付置が容易でないことなど、多くの課題が明らかとなった。
著者
楢崎 幸範 田上 四郎 山本 重一 濱村 研吾 力 寿雄 天野 光 大久保 彰人 安武 大輔
出版者
福岡県保健環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北部九州の広域で観測される大気汚染について2010年~2012年の春期を中心に同位体化学を含む環境動態解析及び健康影響評価を実施した。西日本では大気環境が悪化し,春先から梅雨にかけて都市部以外でも空がかすむ現象が頻発した。汚染大気中には化学物質の他,黄砂や花粉が観察された。これらの複合大気汚染が原因で鼻炎の悪化,アレルギー疾患,呼吸器疾患等の増加が懸念された。なかでも,2010年5月20~21日には越境大気汚染物質によると思われる濃い霧に包まれ,視程が悪く鉄道や航空機等の交通機関に支障をきたした。この間,黒色炭素,硫酸塩,鉛,オゾン及びベンゼン等の人為起源成分が高濃度で検出された。この濃霧は1945年のロサンゼルスと同様なメカニズムで発生していたことを突き止めた。また,同時に大気汚染物質に曝された黒い黄砂の存在を明らかにした。
著者
戸波 江二 古野 豊秋 畑尻 剛 小山 剛 栗城 壽夫 近藤 敦 實原 隆志 光田 督良 鈴木 秀美 小山 剛 藤井 康博 上村 都 丸山 敦裕 浮田 徹 古野 豊秋 押久保 倫夫 門田 孝 大森 貴弘 有澤 知子 赤坂 正浩 嶋崎 健太郎 渡辺 康行 根森 健 畑尻 剛 石村 修 中西 優美子 工藤 達朗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

憲法および憲法学が現実の政治や社会に対して、また、他の法学・社会科学の分野に対してどのような規範的な力を発揮しているか、発揮すべきかについて、他分野の研究との交流、憲法の歴史的発展、外国との比較研究を通じて解明した。日本国憲法は、戦後の政治・社会において基本法としての規範力を発揮し、戦後日本の展開を支えてきたこと、民事法、刑事法の分野でも憲法が浸透し、憲法ないし憲法学との相互交流の動きがでてきている。
著者
飯島 治之 久保田 くら
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.425-425, 1980-05-25

東京女子医科大学学会第230回例会 昭和55年2月22日 東京女子医科大学本部講堂
著者
佐藤 英次 浅岡 康 出口 和広 伊原 一郎 箕浦 潔 藤原 小百合 宮田 昭雄 伊藤 康尚 居山 裕一 柴崎 正和 菊池 克浩 久保 真澄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.30, pp.9-12, 2010-07-23

我々はポリマーネットワーク液晶(PNLC)を用いた60インチ型のシースルーディスプレイを開発した。このディスプレイは、TFTパネルと散乱-透過表示を組み合わせた世界初の大型シースルーディスプレイである。また、このシースルーディスプレイとプロジェクタの組み合わせによって実現したカラー表示システムは、他のディスプレイとは一味違うアイキャッチ効果を可能とする。これらのモノクロ表示およびカラー表示のディスプレイは、インフォーメーションディスプレイやデジタルサイネイジ、さらには窓の置き換えのような新しいディスプレイ応用商品への展開が見込まれる。
著者
水谷 令子 久保 さつき 松本 亜希子 成田 美代
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.192-197, 1998-08-20
参考文献数
11

元来すしは魚や肉の貯蔵法の一つで, 魚と飯から作られ, 現在のすしとは違って酢を使用しないで発酵させる。あゆずしは, 三重県では, 宮川(伊勢市)と北山川(紀和町)の流域に伝承されている。あゆずしを調製するのは冬季で, 塩漬けしたアユと冷ました飯を合わせて, 木の桶にきつく詰め, 重石をして30〜40日間熟成させる。通常は正月のご馳走として, 家庭内で消費され, 市販されてはいない。1996年11月下旬に伊勢市大倉町で本漬けされたあゆずしについて, 水分, pH, 塩分, カルシウム量および各種有機酸の量を調べた。結果は次のようである。1) すしあゆ(あゆずしの魚部分)のpHは, 38日間熟成した場合は5.10, 65日では4.10で, 魚と飯のpH差はほとんどなかった。2) 塩漬けしたあゆの食塩濃度(23.2%)は, 5回水洗いすると8.7%まで下がり, これを飯と共に熟成させている間に2.1%まで下がった。3) 塩付けあゆの骨のカルシウム量は55.5mg/g, 38日間熟成したものは25.0mg/g, 65日では16.8mg/gであった。頭部のカルシウム量は65日間熟成すると著しく減少した。4) すしあゆ中の有機酸量は乳酸, 酢酸, コハク酸の順に多かった。これらの酸は, いずれも熟成中に徐々に増加した。すしあゆの乳酸量は65日間の熟成で約26倍に増加した。有機酸量は魚の方が飯より多かった。5) すし桶の上層部に漬けてあったすしは, 桶の中央部に漬けたものより熟成が速かった。また一旦逆押ししたすしを保存すると, その間に熟成は進行し, 食味に変化が生じた。
著者
松本 利恵 米持 真一 丸山 由喜雄 小久保 明子 坂本 和彦
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.135-143, 2006-05-10
被引用文献数
3

埼玉県南西部の産業廃棄物焼却施設が集中して存在していた地域において,1999年7月から2000年7月まで大気沈着物の観測を実施した。その結果,焼却施設群の中心部や風下の地点でnss-Cl^-沈着量が大きくなる傾向を示していた。調査地域に存在する大気汚染防止法の規制対象の廃棄物焼却施設について,経済産業省低煙源工場拡散モデルを用いて採取地点付近のばい煙の相対的な影響度を推計したところ,観測したnss-Cl^-沈着量と比例関係が得られた。この関係を用いて,大気汚染防止法の対象となる民間の産業廃棄物焼却施設,市町の一般廃棄物焼却施設,およびその他の要因に由来するnss-Cl^-沈着量の割合を推計した結果,地点により異なるが,調査した10地点の要因別寄与割合の平均はそれぞれ55%,38%,7%であった。
著者
床谷 文雄 村上 正直 伊達 規子 栗栖 薫子 高阪 章 大槻 恒裕 村上 正直 大久保 規子 長田 真里 内記 香子 栗栖 薫子 高阪 章 大槻 恒裕
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

EU(欧州連合)による経済的、政治的統合の過程が深化し、EU加盟国内の国家法、司法制度の運用に強い影響を及ぼしている。専門家を招聘し、研究会で検討を進めたところ、EU主導による統一的な私法制度の形成に向けた動きが、契約法のみならず、家族法、国際私法においても具体化しつつあることが明らかとなった。EUによる規範形成の効果は、スイス、ノルウェーといった非加盟欧州国へも実質的に及ぶうえ、豪州、ニュージーランドといったアジア・太平洋諸国にも影響し、東アジアでも共通経済圏、共通法形成への胎動がみられる。
著者
竹内 康 久保 和幸 西澤 辰男 姫野 賢治 松井 邦人 丸山 暉彦 前川 亮太 神谷 恵三
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高速で移動しながら連続的にたわみを計測する試験機は, 各国で開発が進められており,それを用いて舗装の支持性能を評価した結果は,舗装の維持管理に活用されつつある。 このような試験機の開発にあたり, 高速で移動する車両により計測されるたわみの特性を把握することを目的として,既存の車両に変位計を取り付け,いくつかの試験路において連続たわみの測定を行った。また,収集したデータを用いて舗装の健全性を評価する方法について検討を行った. 本研究では, 載荷位置直下のたわみと載荷位置から 45cm 離れた位置のたわみの差を用いて,舗装表面付近の健全性を評価する方法を提案し,比較的たわみの大きい健全な舗装に対して FWD 試験で得られるたわみと相関の高い結果が得られることを確認した。