著者
佐藤 達雄 久保 深雪 渡邊 清二
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.77-82, 2003-06-01

キュウリにおいて,サリチル酸含量の分析ならびに全身獲得抵抗性(SAR)関連遺伝子CuPi1の発現解析により,熱ショックがSARを誘導することが示唆された.キュウリ22品種を2001年7月23日から9月14日まで,ガラス室において換気窓を密閉することにより最高45℃,1時間の熱ショックを与えながら栽培レ葉中サリチル酸(SA)濃度をキャピラリー電気泳動装置で測定した.熱ショックによるサリチル酸含量の増加が18品種で認められた.しかしSA含量と,クロロフィル蛍光測定法による高温感受性の間には相関が認められなかった.熱ショックで誘導されたSAがSARのシグナル伝達物質として作用することを証明するため,RT-PCR法により遺伝子CuPi1の発現を解析したところ,CuPi1のmRNAは熱ショック処理の後,発現した.CuPi1はサリチル酸や病害感染によって誘導されるSAR関連遺伝子である.以上のことから,SARは化学的誘導因子や病害感染だけでなく,熱ショックによっても誘導されることが明らかになった.
著者
白井 克彦 林 良彦 平田 裕一 久保田 淳市
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.706-714, 1985-07-15
被引用文献数
3

日本語文の構造は 文の構文的・意味的な構造に大きく関わっている.よって 日本語文の処理を行う場合 その係り受け構造を明らかにすることが重要である.計算機により日本語文の係り受け解析を行う研究は広く行われているが そのために必要な知識の獲得・構造化を半自動的にかつ適応的に行うための研究は少ないように思われる.本論文では テキストデータに対する分析から直接的に以後の成長の核となる初期辞書データベースを構成する方法 および成長のための学習機能について検討した.この辞書データベース中では 単語はその係り受け特性に基づいてクラスタリングされ 分析対象としたテキスト中の単語間の係り受け関係は クラスタ間の係り受け可能関係として抽象化されて記述される.本辞書データベースは 実験文解析システムESSAYによる文解析に適用され その評価を受ける.さらに 解析が不成功である文において そのネガティブな状況より獲得される情報を用い 学習構造化の処理を受ける.このように 言語要素(単語等)の使われ方に基づいて知識の獲得を行うため 対象世界における拘束を緩やかに含んだ形の知識を得ることができる.また辞書データベースという記述的な形で構造化を行うため それ自身インクリメンタルに成長することが可能となった.
著者
大久保 英哲
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-14, 2009-06-30 (Released:2009-11-05)
参考文献数
24
被引用文献数
3 1

The French military assistance advisory, which visited Japan in 1867, placed emphasis on “development of the body” as basic training for soldiers, and actually gave instructions for this purpose. The textbook used for this instruction had never been identified, but as a result of reviewing Mokuba no Sho (“the book of the wooden horse”, published around 1867) written by Hayashi Shojuro (1824–1896), their interpreter, it was found that this is a translation of the part describing wooden horse exercises in the French manual of army gymnastic exercises, “Instruction pour l'enseignement de la gymnastique”, which was the gymnastics textbook brought to Japan by the French military delegation. In addition to the 200-page text, a total of 18 pages of figures illustrating 33 pieces of gymnastic apparatus and exercises using them, and a plan of an outdoor apparatus gymnastics field with apparatus for 200 to 300 people are attached.The “Instruction” continued to be studied mainly by the army. On the other hand, the Ministry of Education established the taiso denshu jo (Physical Training Institute) in 1878, and invited the American medical doctor, George Adams Leland (1850–1924), to conduct research there. Through his study, the Ministry of Education selected light gymnastics as the most suitable method for the Japanese school physical education system, and it became popular nationwide around 1885 as alumni of the Physical Training Institute spread throughout Japan.In 1883, however, the Ministry of Education instructed the implementation of hohei soren (infantry training) and heishiki taiso (military exercises) for secondary schools in addition to the normal gymnastics. This marks the introduction of the French gymnastics, employed by the army, into school physical education.As we can see, the French military assistance advisory's visit to Japan at the end of the Edo Period and the “Instruction” they brought with them, were quickly followed by the establishment of the Japanese army gymnastics system. Along with the implementation of infantry training and military exercises around 1885, it also left clear traces in the formulation of the modern Japanese physical education system.
著者
久保 幸弘
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

GPSに代表される衛星測位システムでは,衛星から送信される擬似ランダム符号や搬送波の位相観測値を用いて,衛星,受信機間の距離を測定(測距)し,受信機座標を求める.従来,受信機単独でその絶対座標を求める手法は「単独測位」と呼ばれ数m程度の誤差を持つとされている.本研究では,この誤差要因を,1.電離層・対流圏の影響,2.衛星の軌道誤差,3.サイクルスリップ,4.移動体の動的モデル,の4つに分類し,その各々についてより正確な数式モデルを構築(GRモデル;GNSS Regression equation)し,観測データからこれらを同時に推定することにより,測位精度の向上を図った.また,サイクルスリップに関しては,測位演算アルゴリズムにおいて使用されるカルマンフィルタのイノベーション過程を監視し,カイ2乗検定,尤度比検定に基づく検出手法を提案した.さらに移動体の動的モデルに関しては,移動体の速度を一次のマルコフ過程,加速度を一次のマルコフ過程,躍度を一次のマルコフ過程と仮定するモデルをそれぞれ構築し,精度の検討を行った.また,測位に用いる衛星の選択手法として,衛星の仰角による重み付け,観測残差の絶対値による衛星選択アルゴリズムを構築し,上述の高精度単独測位アルゴリズムに導入し,測位計算プログラムを実現した.それらの結果,実証実験においては,本学所有のNovAtel社製受信機および国土地理院殿の電子基準点で得られた観測データ等を用い,静止点において常に約50cm程度の精度で受信機座標を得ることが可能であった.
著者
森 英樹 右崎 正博 大久保 史郎 森 正 大川 睦夫 小林 武
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

平成4年度は、3年間にわたる本研究の最終年度であったため、2年間の成果をふまえ総括的な検討をおこなった。すなわち、日本を含む先進資本主義国の従来の憲法学における議会制民主主義と政党制の理論史的枠組みを検討し(1年目)、各国の集中的検討による普遍性と固有性を析出し、あわせて日本の現状分析をおこなう(2年目)という研究成果にもとづき、日本の政治文化状況のもとで政党への国庫補助の妥当性にかんして一定の結論をみちびき出した。具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、ニュージランドの各国における政党国庫補助の現状分析と、それを支え、あるいは批判する理論状況を検討したが、その結果みえてきたのは、各国における大衆社会の進行による議会制民主主義の形骸化、それにともなう選挙戦の変容などの共通点とともに、その背景にある各国の議会制民主主義の歴史の偏差であった。これらの成果をふまえ、日本で進行中の「政治改革」による選挙制度改革と政党国庫補助導入の動きを批判的に分析した。かくして、日本の「政治改革」を、先進資本主義諸国で共通に進行する新たな統治戦略としての政治改革との連動性のなかに位置づけることができ、日本固有の政治風土のなかで、いかに国民主権と民主主義を実現することが可能かについての共通の認識をうることができた。
著者
田村 毅 市村 彰英 加藤 吉和 岸田 泰子 久保 恭子 中村 正 田崎 知恵子 倉持 清美 及川 裕子 伊藤 良子
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

子育て家族の追跡調査から、子育て家族システムの特徴、特に里帰り出産、祖父母の役割について明らかにした。また、海外在住の子育ての課題について明らかにした。児童虐待が発生する家族システムの特徴とそれを支援する福祉システムの困難さと課題について明らかにした。ジェンダーの視点から男性が子どもを虐待するメカニズムを解明し、虐待関係にある家族への支援の方策として父親グループ活動のプログラムを開発した。
著者
久保 隆文 荻田 信二郎 笹本 浜子 川合 伸也 荻田 信仁郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、(1)アカマツ(Pinus densiflora)の不定胚形成細胞(ECs)誘導および不定胚形成、(2)スギ(Cryptomeria japonica)の不定胚形成とその制御要因、(3)プロトプラスト化、細胞融合による体細胞雑種作出と植物体再生系、(4)FLORICAULA/LEAFY遺伝子と相同性を持つスギ由来のCjNdly遺伝子の単離と解析、について検討し、多くの成果を得ることができた。(1)未成熟胚から誘導されたアカマツのECsの継代には、1250mg/l濃度のL-glutamine及び1000mg/lのPVPを添加したmDCR培地が、不定胚の形成には30μMのABA、6%のマルトース、及び10%のPEG8000を添加したmDCR培地が効果的であった。(2)カラマツ、エゾマツ、スギ培養細胞の組織形態観察と内生アミノ酸のHPLC定量により、各培養細胞特異性が分かった。この結果を受けて外生アミノ酸を適宜改変することにより、難培養スギにおいて不定胚からの植物体再生系が確立できた。すなわち、内生アミノ酸量をモニターすることで細胞の分化特性解析・評価および、高分化性細胞の早期選抜ができると結論した。(3)微小培養シャーレを用いたプロトプラストアッセイ手法によってカラマツ、スギのプロトプラストの単離・最適培養条件が早期に検索できた。また、プロトプラスト中の微量内生植物ホルモン量を定量することによって培養条件検索の効率化が可能になった。さらに、針葉樹プロトプラストの融合可能、カロース特殊繊維の形成条件を明らかになった。(4)花芽分化に関与する転写因子をコードする遺伝子族FLORICAULA/LEAFY familyと相同性を有するスギ(Cryptomeria japonica D, Don)の遺伝子CjNdlyの単離と解析を行い、CjNdlyは被子植物においてFLORICAULA/LEAFY familyが花芽分化に重要な役割を果たすのと同様な機能を裸子植物であるスギにおいても果たしていると推察した。
著者
岩居 弘樹 久保田 美生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

iPhoneやiPadのような小型情報端末はコンピュータ環境のない教室でもICT活用アクティブ・ラーニングを効果的に実現できる。従来型のCALLシステムの機能に機動性と創造性を備え、外国語学習環境を大きく変える可能性があることが明らかになった。小型情報端末は単なる電子教材の提示やビデオ・音声の再生装置ではなく、ビデオ撮影や編集、ナレーション付きスライドショー作成などの課題制作、学生自身による外国語音声の確認、学生との双方向コミュニケーションなどを実践しその効果を確認することができた。
著者
西久保 浩二
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

少子化が深刻化するわが国において、仕事と生活との調和を図ろうとするワーク・ライフ・バランスの必要性が社会的に注目されている。様々な制度、政策が求められているが、その有効性を検証するためのワーク・ライフ・バランスそのものの状態を測定する方法が確立されて来なかった。本研究によって開発、検証された従業員自身の主観的、自覚的評価に基づく測定尺度によって、労働時間等の客観的指標だけでは捉えられない、精神的、肉体的、経済的、時間的という総合的なアプローチによる状態測定が可能となった。
著者
狩野 充徳 岸田 裕之 勝部 眞人 妹尾 好信 高永 茂 伊藤 奈保子 本多 博之 西別府 元日 中山 富廣 有元 伸子 竹広 文明 古瀬 清秀 フンク カロリン 三浦 正幸 久保田 啓一 野島 永 瀬崎 圭二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

多くの伝承・伝説に包まれた世界遺産・厳島は、人間社会の傍らで、人びとの暮らしとともにあった。無文字時代には、原始的宗教の雰囲気を漂わせながら、サヌカイト・安山岩交易の舞台として。有史以後には、佐伯景弘らの創造した伝説を原点に、中世では信仰と瀬戸内海交通・交易の拠点として、近世では信仰と遊興の町として、近代では軍事施設をもつ信仰と観光の町としてあった。そして、それぞれの時代に、多くの伝承・伝説が再生産されていったのである。
著者
久保田 忠実
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1747-1748, 1989-03-15

製造業では、国内市場の成熟,ニーズの多様化など市場構造の変化、急激な円高,人件費の高騰など経済環境の変化、通信の高度化,マイクロエレクトロニクスの進歩などの技術革新の環境下で生産効率の追求,商品の市場競争力アップ等様々な課題を抱えている。A社ではこれらの課題に対して販売力・顧客対応力の強化からアプローチしてCIMシステムを構築した。当社が受託した開発においてどのような取り組みでこれに応えたかを述べる。
著者
柳川 秀雄 小早川 信一郎 片山 康弘 杤久保 杤久保
出版者
東邦大学
雑誌
東邦醫學會雜誌 (ISSN:00408670)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.291-298, 2004-09-01

目的:光学部エッジデザイン,支持部の形状がそれぞれ異なるシリコーン製眼内レンズ(IOL)を用いて,後嚢混濁面積の差異,後嚢への水晶体上皮細胞(LEC)の遊走の程度について比較検討した。方法:白色家兎(51羽)に4種類のIOLを嚢内移植した。IOLは全てキャノンスター社製で,スリーピースでラウンドエッジ(3PRE)のAQ2013Vとシャープエッジ(3PSE)のAQ310NV,ワンピースでラウンドエッジ(1PRE)のAA4203Fとシャープエッジ(1PSE)の改良型IOLの4種類である。超音波摘出術施行3週間後に眼球を摘出し,後嚢混濁面積の解析,LECの観察を行った。結果:AQ2013V群,AA4203F群のそれぞれの混濁面積はAQ310NV群や改良型IOL群に比べ有意に大きかった。1P両群で,支持部におけるLECの増殖抑制が認められた。また,3PRE群や1PRE群のほぼ全眼に,IOL後面へのLECの遊走が認められたのに対し,3PSE群や1PSE群では遊走抑制が認められた。結論:シリコーン製IOLにおいて,シャープエッジデザインのものは後発白内障抑制に効果が期待できる。シャープエッジの1P型IOLは,(1)支持部におけるLECの増殖抑制と,(2)エッジにおけるLECの遊走抑制が期待でき,後発白内障抑制に効果的であることが示唆された。
著者
正岡 寛司 藤見 純子 嶋崎 尚子 澤口 恵一 西野 理子 大久保 孝治 白井 千晶
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、19世紀・20世紀半ばまでの重量型資本主義の基盤を第一次エネルギー供給の面から下支えしてきた石炭鉱業の経済史的ならびに社会学的な意義と特殊性、そしてその発展と終焉過程とを緻密に記述することを目的としたものである。あわせて、それを比較歴史的な記録資料として利用可能な状態で保存する。具体的には以下の5点の作業をすすめ、成果をえた。(1)旧常磐炭砿株式会社磐城砿業所(福島県いわき市)で就労した労働者の職業キャリアの大規模なミクロ・データの構築。(2)入社から退社にいたるまでの個別砿員の職業を中心として各種キャリアの時系列データの分析。(3)磐城砿業所の閉山にともない解雇された労働者の炭砿での職業キャリアと閉山後に形成した職業キャリアとの連結と、その分析(非自発的職業中断の影響)。(4)炭砿で就労した経験をもち、かつそこを解雇された元炭砿労働者たちの職業生活から離脱過程のデータの構築と分析(解雇経験後の職業キャリアと引退後生活)。(5)以上の諸ミクロ・データをデジタル化したうえで、大規模ミクロ・データの公共利用。上記作業の結果、昭和30年代の「採解簿データ」(約80,000件)をデジタル化し、6,459名の入社から退職にいたる職業キャリアの大規模なミクロ・データを構築した。他方、4,209名の離職者の89%にあたる3,747名の追跡調査を終えた(調査終了1,427名(34%)、調査不能879名(21%)、死亡確認(34%)1,441名)。彼らの閉山後の職業キャリアデータと入社から退職までの職業キャリアデータとを連結し、生涯職業キャリアデータを構築した。これらの生涯職職業キャリアデータを用いて、非自発的職業中断の影響、解雇経験後職業キャリアと引退生活の分析をすすめ、その成果を報告書にまとめ刊行した。本研究で構築した大規模ミクロ・データについては、HP上でその一部を公開した。
著者
高野 邦彦 尾花 一樹 和田 加寿代 田中 武 久保田 智紀 佐藤 甲癸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.56, pp.7-10, 2002-08-30
被引用文献数
3

動画ホログラフィは,自然な立体感が得られる電子式立体ディスプレイ実現のための技術として期待されている.特に白色再生法は,表示像のカラー化に応用するという点で有効であると考えられる.これまでに3枚のLCDパネルを用いたカラー再生法が検討されている.しかし,表示素子が複数になることからカラー再生時に重要となるRGBの回折光の位置調整機構が複雑になっていた.それに対して本手法では回転式カラーフィルタによりカラー再生に必要となる波長光を時分割抽出し,これと同期させた,単板式DMDパネルにRGBのCGHを時分割形成してカラー立体像の表示を行った.そこで,本稿ではDMDパネルを用いた再生法について採り上げ,一灯の白色光源と単板素子でカラー立体像表示装置の構成が可能となることを示し,装置簡略化への可能性を提案する.
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 金子 昌弘 柿沼 龍太郎 森山 紀之 江口 研二 森 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.576, pp.77-82, 2003-01-16
被引用文献数
2

我が国の部位別がん死亡率の第一位は肺がんであるため,その死亡率減少を目的とした肺がんCT検診に大きな関心が寄せられている.これは同一被検者の撮影日時が異なる2つのCT画像を用いて比較読影を行い,経過観察することにより早期肺がんの診断をしている.この問題点は,読影の準備と大量の画像を読影することが,専門医に大きな負担となることである.この問題点を解決するため,同一被検者の複時相間の画像データを検索し,対応する画像同士の体軸方向の位置を合わせる処理が必要となる.本研究では集検用CT画像データを用いて,肺容量の経時変化の解析を行い,その結果に基づいて画像位置合わせアルゴリズムを作成,有効性を示す.
著者
大久保 和彦
巻号頁・発行日
2002-03

Supervisor:林 幸雄
著者
佐藤 信 河合 知子 久保田 のぞみ 佐藤 信
出版者
市立名寄短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

現在、日本の学校給食は、成長期の多くの国民が経験するところとなっており、その食習慣形成に大きな影響を与えている。近年では、地元産や国内産食材料を使用する取り組みがすすめられている。牛肉も例外ではなかったがく2001年9月に日本国内で初めて発生したBSE(牛海綿状脳症)牛の結果、学校給食の現場では使用自粛などの対応を余儀なくされた。本研究はこうした状況の下で、和牛産地と乳用種肉牛産地を対象として、2001年前後における学校給食の地元産食材料、とりわけ牛肉およびその加工品の使用実態を明らかにし、今後の地元産食材料導入にあたっての諸条件、課題を実証的に明らかにすることを目的とした。その結果、次の諸点が明らかとなった。1.BSE問題の発生後、全国の約60%の学校給食が、牛肉および牛肉加工品の使用を自粛するようになった。もともと、1996年のO-157問題を契機として、学校給食現場では食品安全対策を強化していたとそこで、BSE問題後も迅速な対応をとった。しかし、使用自粛については地域によって強弱があった。2.ブランド和牛で知られる岩手県M地域においては、BSE問題が発生した直後、農協や自治体、獣医の協力の下でいち早く安全宣言を出した。乳用種肉牛産地の北海道においても、牛肉やその加工品など国産への切り替えが行われたが、その度合いは他の県よりも小さかった。学校給食関係者と地域農業との継続的な結びつきがこうした対応をもたらした。3.これからの学校給食に関わる栄養士は、地元産食材料を利用するための、生産者や農・漁協等との交渉・調整能力等が必要であるとともに、現場で食品安全問題が発生した際に迅速に対応できる能力も必要である。
著者
奥田 裕規 久保山 裕史 鹿又 秀聡 安村 直樹 村松 真
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.144-150, 2004-05-16
被引用文献数
3

ボーダレスな資本と商品の移動は,地域の処置能力を超えてエントロピーを増大させ,身の回りの環境に重大な影響を及ぼす。この間題は,木材利用の分野に関していえば,地域で使う木材は地域で賄うという「住宅用木材の自給構造」を成立させることで解決できる。金山町では長伐期大径木生産を目指した林業経営により多様な金山杉製材品が安定的に供給され,町内の製材所,森林組合で生産された金山杉製材品を使い,金山大工の手で「金山型住宅」を建てる「住宅用木材の自給構造」が成立している。この成立要因として,金山町民の多くが「金山型住宅」の立ち並ぶ伝統的な景観を評価し,「金山型住宅」を建てたいと思っていること,金山町には住宅建築と金山杉製材品の地場利用を結びつける町民,金山大工,設計事務所,製材所,森林組合,森林所有者からなる「金山型住宅建築ネットワーク」が形成され,金山大工ができるだけ金山杉を使って「金山型住宅」を建てようとしていることをあげることができる。