著者
池畑 望 伊藤 毅志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3817-3827, 2011-12-15

2007年よりIEEEのCIGシンポジウムの中でMs. Pac-Manの自動操作を競う大会が開かれている.この大会以来,Ms. Pac-Manは,デジタルゲームAIの研究対象として注目を集めつつある.これまでの大会では,知識ベースを用いた古典的な手法によるAIが最も良い成績を収めているが,その性能には限界が見え始めており,知識ベースに代わる新しいアプローチが求められている.そこで,本稿では囲碁で成功したモンテカルロ木探索によるMs. Pac-Manの自動操作システムを実現し,その有効性を検証した.モンテカルロ木探索は乱数によって生成された未来局面についてのシミュレーションを繰り返すことで,専門的知識に頼らずに期待値の高い次の手を求めることができる.性能評価実験ではモンテカルロ木探索による自動操作システムは過去にMs. Pac-Man Competitionに参加したすべてのプログラムよりも優秀な成績を示し,Ms. Pac-Manにおけるコンピュータの世界記録を上回る結果を得た.
著者
長 聡子 伊藤 夏希 出口 敦
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.13, no.26, pp.807-810, 2007-12-20

This study focuses on the street name system for supporting and guiding pedestrians, and aims to clarify the effects and to point out the issues by introducing the system through the social experiment at Tenjin District in Fukuoka City. Firstly, through the questionnaire survey of visitors, shop owners and guides, we evaluate the street name system by analysis their impression. Second, we point out the issues how to name the streets and how to place the signposts. Finally, we propose the methods to improve the street name system.
著者
高嶋 和毅 石原 のぞみ 伊藤 雄一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1217-1226, 2016-04-15

人が魅力的と感じる画像は利用価値が高いが,魅力の程度は人の主観に左右されるため,その定義・抽出が困難である.そこで,人が画像に対して感じる魅力の程度(魅力値)を算出する研究が活発になされてきた.このような研究では,画像の色などの低レベル特徴や画像共有サイトのメタ情報が使われてきたが,主観評価との相関が十分議論されていなかった.そこで本研究では,Web上の主観評価およびメタ情報を用い,主観評価とメタ情報の関係を解析することで,メタ情報に基づく新たな魅力値算出手法を提案する.メタ情報には,画像共有サイト上のメタ情報と,メタ情報の平均値との差を用い,人の感じる魅力である主観評価には,独自に作成したWebアンケートサイトにより大量に収集した評価値を用いた.生成した魅力値算出式による魅力値と主観評価との間には強い正の相関が見られ,魅力値算出式の有効性が示された.
著者
喜田 宏 伊藤 壽啓 高田 礼人 岡崎 克則 河岡 義裕
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

シベリアの水禽営巣地ならびに北海道で採取した野鳥の糞便からインフルエンザウイルスを分離し、シベリアに営巣する水禽が様々なHA亜型のインフルエンザウイルスを保持していることを明らかにした。NPならびにH5HA遺伝子の系統進化解析の結果、1997年に香港のヒトとニワトリから分離された強毒H5N1インフルエンザウイルスの起源がこれらの水禽類にあることが判った。したがって、今後ヒトの間に侵入する新型ウイルスのHA亜型を予測するため、シベリア、アジアを含む広範な地域で鳥類インフルエンザの疫学調査を実施する必要がある。北海道のカモから分離した弱毒H5N4ウイルスを用いて強毒H5N1ウイルス感染に対するワクチンを試製し、これが有効であることを示した。そこで、疫学調査で分離されるウイルスは新型ウイルス出現に備え、ワクチン株として系統保存する計画を提案した(日米医学協力研究会2000、厚生省1999)。中国南部のブタにおける抗体調査の結果から、H5ウイルスの感染は少なくとも1977年から散発的に起こっていたことが判明した。一方、H9ウイルスは1983年以降に中国南部のブタに侵入し、その後ブタの間で流行を繰り返していることが判った。
著者
大坪 昌弘 岩佐 弘一 菅原 拓也 菊地 真理子 伊藤 文武 辰巳 弘 岩破 一博 北脇 城
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.110-116, 2014

【目的】うつ病性障害や不安障害で骨密度(BMD)が低くなるとされるが,その原因は多岐にわたる.閉経後の精神疾患女性においてBMD低下に影響する因子を後方視的に検討した.【方法】本研究は非介入試験である.2009年から2012年の初診患者のうち,大腿骨近位部および腰椎BMDをDXA法により同時測定した閉経後女性165名を対象とした.調査項目は年齢,初経年齢,閉経年齢,エストロゲン暴露期間(年),閉経後期間(年),身長,体重,BMI,分娩回数,喫煙の有無,飲酒習慣,骨折家族歴の有無,大腿骨近位部・腰椎(L2〜L4)のBMD・%YAM値とした.精神疾患の有無によりA群(あり:72名)とB群(なし:93名)に分け,統計解析により比較検討した.【成績】精神疾患(A群)の内訳はうつ病性障害15名,適応障害45名,不安障害12名であった.年齢,初経年齢,身長,分娩回数,喫煙の有無,飲酒習慣,骨折家族歴の有無について両群間に差はなかった.閉経年齢,エストロゲン暴露期間,閉経後期間,体重,BMIはA群で有意に低かった(p<0.01).大腿骨近位部,腰椎のBMD,%YAM値はA群で有意に低かった(p<0.01).大腿骨近位部%YAM値,腰椎%YAM値と有意に関連の度合いの強い変数はともに閉経後期間,体重であった(p<0.01).体重,閉経後期間を調整因子として共分散分析したところ,大腿骨近位部%YAM値,腰椎%YAM値の両群間の有意差は認めなかった.【結論】閉経後女性の骨密度低下は閉経後期間が長いことと低体重と関連するが,精神疾患と骨密度低下との関連はないことが示唆された.
著者
伊藤 誠 稲垣 敏之
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.369-374, 2015-12-05

自動車の運転支援や自動運転の技術開発は目覚ましい.自動車の運転操作は,人間にとっては容易に可能なものである.しかし,自動車は多主体の交通参加者が複雑に関与しあう道路交通システムにおいて移動を行うものであることから,自動化は容易ではなく,少しずつ機能を向上させつつ段階的に進展させざるを得ない.運転支援・自動運転のシステムは,ドライバのニーズにマッチした商品性を訴求しつつ,人とシステムとのインタラクションにおける齟齬が発生しないように慎重に設計されなければならない.本稿では,自動車分野における運転支援システムの安全性に関するヒューマンファクタの課題を示し,それらの課題に対する取り組みの動向の一端を紹介する.自動車と有人宇宙船は大きく異なるが,自動車分野の動向を知ることは有人宇宙船開発に有用と思われる.
著者
熊本 忠彦 伊藤 昭海 海老名 毅
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.167-168, 1994-09-20

我々は,対話によってユーザの計算機利用を支援するシステム(以下,支援システムと呼ぶ)を開発している.ユーザは,何らかの障害/問題が発生したとき,支援システムに助けを求めることができる.支援システムは,ユーザの発話(話し言葉)を理解し,そのときの計算機の状態に合わせて適切な応答を生成する.ある発話意図を話し言葉で表現しようとするとき,その表現方法は多様である.しかしながら,その多様性の多くは,命題情報そのものではなく,モダリティ情報の表現方法に起因しているものと考えられる.従来の意味解析手法は,発話文の命題情報とモダリティ情報を混在して取り扱うため,モダリティ情報の表現において観測される多様性の影響を受けやすい.本稿では,発話文から命題情報とモダリティ情報を個別に抽出し,それらを並列に解析する手法を提案する.但し,抽出されたモダリティ情報を解析する手法はすでに別稿で提案しているので,本塙では,命題情報とモダリティ情報の個別抽出法,および抽出された命題情報の解析手法を提案する.
著者
楳村 春江 和泉 秀彦 小田 奈穂 漢人 直之 伊藤 浩明
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.691-700, 2015
被引用文献数
1

【目的】鶏卵・牛乳アレルギーであった児の除去解除が進み,完全解除が許可された時点における食生活の実態を評価した.【方法】2013年5月~12月の外来受診時に主治医より完全解除を許可された鶏卵アレルギー16名,牛乳アレルギー1名,鶏卵+牛乳アレルギー21名を対象にアンケート調査を実施した.さらに,その中で協力の得られた21名の保護者からは,写真判定を含む3日間の食事調査を行った.【結果】家庭内,外食,買い物においては改善がみられ,保護者の負担は軽減していた.しかし,大量摂取や卵低加熱料理については,未だに症状誘発に対する恐怖感,不安感を持っていた.食事調査の結果からは,一日当たりの鶏卵,牛乳そのものの摂取は過半数の患児が鶏卵1/2個,牛乳100ml以下であり,牛乳アレルギー児は,カルシウムの摂取量が目標量を下回っていた.【結語】除去食生活の長期化による食べないことの習慣化や保護者の不安などが要因となり,多くの患児にとって「真の解除」を得ることが困難である実態が明らかとなった.
著者
伊藤 哲夫
出版者
近畿大学原子力研究所
雑誌
近畿大学原子力研究所年報 (ISSN:03748715)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.19-23, 2012

月刊エネルギー・レビュー「特集」2012年7月号 「原子力教育研究の半世紀」に掲載されたものを, 株式会社エネルギーレビューセンターの許可を得て転載するものである。
著者
村松 成司 藤原 健太郎 伊藤 幹 藤原 健太郎 フジワラ ケンタロウ Fujiwara Kentaro 伊藤 幹 イトウ モトキ Ito Motoki 藤田 幸雄 フジタ ユキオ Fujita Yukio 服部 祐兒 ハットリ ユウジ Hattori Yuji
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.351-358, 2010-03

特徴的なトレーニングゆえに活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレスに強くさらされていると考えられる長距離ランナーの生体酸化ストレス及び呼吸機能・代謝に及ぼす活性水素水の影響について検討した。活性水素水摂取は安静時好中球分画及び絶対数の増加を抑えることから,トレーニングに伴う血中好中球の活性化を抑制または活性化した血中好中球を速やかに正常化する可能性が示された。安静時の血清過酸化脂質の変化より,活性水素水摂取がトレーニング由来の生体酸化ストレス障害を抑え,生体機能の維持に寄与する可能性が示された。酸素摂取量・呼吸商・心拍数の変化から,循環器系及び代謝が向上した可能性が示された。安静時の測定結果より活性水素摂取が生体の抗酸化に寄与する可能性を示す結果が示され,また,運動時の代謝及び呼吸循環機能を向上させ,パフォーマンス向上をもたらす可能性が推察された。This experiment was undertaken to investigate the effect of active hydrogen water ingestion on oxidative stress and respiratory function of university long-distance runners, presumably exposed to active oxygen and freeradical materials induced by their particular training. Seven healthy university students trained for 20 days with 2 liters of active hydrogen water (AHW) per day. We compared blood samples and respiratory function at pre and post experiment. The results obtained suggest the possibility that ingesting AHW may inhibit the activation of neutrophilic leukocytes that occur with exercise training. Further, it is suggested that ingesting AHW appears to normalize an activated blood neutrophilic leukocyte response, because the increases in the ratio and quantity of neutrophilic leukocytes at rest was reduced. The changes in serum lipid peroxide seemed to suggest the possibility that AHW could decrease oxidative stress resulting from exercise and contribute to the maintenance of homeostatic physiological function. Oxygen uptake, respiratory quotient and heart rate results seemed to suggest that respiratory and circulatory functions were improved by ingesting AHW. Results suggest the possibility that AHW ingestion contributed to antioxidant effects during training. Furthermore, AHW ingestion may improve exercise performance through its effects on respiratory, circulatory and metabolic systems.
著者
村田 弥栄子 山本 多恵 大場 郁子 中道 崇 中山 恵輔 太田 一成 宮澤 恵実子 清元 秀泰 上野 誠司 大友 浩志 佐藤 博 伊藤 貞嘉 宮崎 真理子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.357-362, 2012-04-28 (Released:2012-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東日本大震災では,宮城県の広い範囲,特に東部沿岸地域は津波による市街地の流失,電気,上水の供給停止,通信の途絶など,大きな被害を受け,災害拠点病院への救急患者集中,通院手段の確保困難,生活環境の悪化が生じ,被災地外での支援透析を要した.災害支援透析において,被害が大きい依頼側に,通常の臨時透析と同レベルの情報提供を求めることは,災害支援の基本概念に沿わない.また,支援側は,業務増大の中で初診の多数の透析患者の診療を行わなければならないが,過酷な環境から避難してきた透析患者への対応は,平時とは異なる視点が必要となる.そこで,われわれは震災後に多人数の入院支援透析を行うにあたり,災害時透析入院クリニカルパスを作成し使用した.クリニカルパスの運用によって,避難患者の容態把握を共通化,標準化することが可能で,二次避難先への引継ぎにも利用した.過去に例をみない大災害であったが,このクリニカルパスの活用は災害時入院支援透析における診療に有用であったので,ここに報告する.
著者
香川 敏幸 伊藤 裕一
出版者
広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター
雑誌
地域経済研究
巻号頁・発行日
no.14, pp.51-66, 2003-03

労働市場における雇用対策として、職業能力開発が近年脚光を浴びている。一方で、単独で職業能力の開発のみを行っても、失業率の低下につながらないのではないか、という問題をめぐって常に批判されている。そのためこの政策は、地域レベルでのパートナーシップを用いながら運営された場合に、より効率的な政策効果を追及することができる、というのが本研究の問題意識である。そこで以下では、1) どうしてパートナーシップという政策運営の手法が必要なのか、伸縮的な労働市場を前提とする理論的なフレームワークを用いて提示し、2) それが実際にはどのように運営されているのかを、事例研究を通じて明らかにし、3) このパートナーシップに基づく運営の成否のためには、どのような点が重要であるか、について考察する。具体的にケーススタディの対象としたのは、イギリスの若年失業者向けニューディール政策がイングランド北東部のサンダーランドで実施された例である。得られた知見は、以下の3点である。1) 職業能力の開発は、能力の向上した個人が雇用されるような新規雇用が必要であり、そのためには地域レベルでの投資活動と雇用政策がリンクしている必要がある。また、失業という問題は多様な問題を内包しているため、単に雇用主と公共職業サービスだけではなく、地域レベルにおける多様な主体がパートナーとなりサポート体制を作っていく必要がある。2) サンダーランドでは、政策の運営会議がパートナー間で定期的にもたれており、訓練センターなどが共同で設立されている。3) パートナーシップの成功のポイントは、その規模と、パートナー間の信頼関係である。規模に関しては、参加者数が多過ぎないことが重要である。また信頼関係を築いていくためには、特に民間企業の政策参加の負担を減らすために、公的機関が柔軟に対応できるか、という点を挙げることができる。本稿の最後には、今後の職業能力開発の政策の展望と、日本への示唆について触れる。The purpose of this study is to examine a partnership method for development of individual employability. Employment policy that emphasizes on employability has been focused recently. However, it is criticized that increasing employability itself would not decrease a number of unemployment. So, the partnership on regional level could be a key issue to make the employment policy more efficient.The main questions are to understand;1) why the partnership method is desired (theoretical study)2) how the actual partnership has been managed at a regional level (case study),3) and what the key points in order to understand the reason behind the success of the partnership are.The case chosen is the New Deal policy for the young unemployed people at Sunderland in the United Kingdom.The main findings are as follows.1) The development of employability requires the new jobs and thus the partnership with a local investment is necessary. The unemployment is also a complex problem, which requires a participation of various organizations to support the unemployed.2) In Sunderland, the New Deal management meetings have been held regularly, and the training center was created through the partnership.3) The key points for a success of partnership method are a scale of the partnership and a relationship among partners.
著者
山中 千恵 伊藤 遊 村田 麻里子
出版者
日本マンガ学会
雑誌
マンガ研究
巻号頁・発行日
vol.17, pp.76-85, 2011-03

近年「メディア芸術」に重点化した文化政策への関心が高まっており、中でもマンガを扱う文化施設が増えている。しかし、ちまたに流通しているマンガをあえて文化施設に収めること、またそれを人々が見に(読みに)訪れるとはいかなることなのだろうか。本論は、京都国際マンガミュージアムに注目し、2009年度に実施した来館者調査をもとに上記の問いに答えようとするものである。調査の結果、利用者の行動としては、館内でマンガを読んで過ごす図書館的な行動と、展示を見るように館内を観覧するような博物館的な行動に加え、このどちらにも回収できないような行動がみられた。本論ではこの3つ目の行動パターンに注目し、その特徴を分析する。このことを通じて、マンガ文化施設とは、単にマンガをどこかに集めればよい、あるいはマンガの展示を洗練させればよいという発想では捉えきれず、むしろ〈マンガ環境〉に注目した分析が今後必要とされることがわかった。
著者
村田 麻里子 山中 千恵 伊藤 遊 YAMANAKA Chie 伊藤 遊 ITO Yu 谷川 竜一 TANIGAWA Ryuichi
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.95-113, 2012-03

本稿は、宝塚市立手塚治虫記念館を取り上げ、館がいかなるコンセプトのもとに設計・運営されているのか、訪れる来館者がその空間をいかに受容しているのかに注目して行った調査結果を考察するものである。地域活性化・地域振興を掲げたマンガ関連文化施設の一例として、その現状を来館者の行動から詳細に繙き、地域振興という言葉が抱える矛盾や、そもそもマンガを博物館などで扱うことの意義や課題が見過ごされてきた点について分析・考察する。This paper questions the purpose of manga museums intended to promote regional development. This has been at rend for more than 20 years in Japan,an d Tezuka Osamu Manga Museum is one of the earliest museums established for such purpose. Through conducting a visitor survey and analyzing the visitor's movements and attitudes,w e aim to understand what it means to adopt manga in a museum for regional development.