著者
津田 敏隆 堀之内 武 小司 禎教 瀬古 弘 河谷 芳雄 矢吹 正教 佐藤 一敏 川畑 拓矢 國井 勝
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究はGPSや準天頂衛星による衛星測位データを大気科学に活用する「GPS気象学」の一環であり、以下の3課題を実施した。1) 小型低軌道(LEO)衛星を用いたGPS電波掩蔽により、高度分解能と精度が優れた気温・水蒸気プロファイルを解析する、2) GPS掩蔽データと地上GPS観測による可降水量データをメソ数値予報モデルに同化し予報精度向上を評価する、および3) GPS掩蔽データを用いて大気構造・擾乱の時間空間特性を解明する。
著者
松田 博貴 井龍 康文 中森 亨 佐藤 時幸 杉原 薫 佐々木 圭一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本企画調査は,「気候・海洋環境変動に伴いサンゴ礁分布域の北限・南限(「サンゴ礁前線」)は移動する」というモデルに立脚し,琉球列島を調査対象域として,1)「サンゴ礁前線」の移動に基づくサンゴ礁形成の規制環境要因の解明および気候・海洋環境変動の復元,2)種々の時間スケールでの環境変動に対するサンゴ礁生態系の応答,ならびに3)全球的炭素循環におけるサンゴ礁の機能と影響,を解明するための科学提案「第四紀気候変動に対するサンゴ礁の応答」の実現を目的として実施された.企画調査では,国内外関連研究者13名により,現在のサンゴ礁北限近傍に位置する喜界島でのワークショップ(2003年8月),ならびに東京での公開シンポジウム"氷期にサンゴ礁の北限はどこだったのか??-I0DP/ICDP掘削プロジェクト「サンゴ礁前線の移動に基づく氷期・間氷期の環境変動解析」の実現に向けて-"(2004年1月)を通じて,1)様々な生物指標・化学プロキシーからの気候・海洋情報の抽出・解析法の総括,2)仮説検証に最大効率を生みだす最適掘削地点の選定,3)コア試料を補完する検層の選定と検層計画の最適化,4)サンゴ礁性堆積物における掘削ツールと掘削計画の最適化,について,炭酸塩堆積物,造礁生物,地球化学,年代決定などの観点から,多角的に検討を加えてきた.今後は,これらの討議により明らかにされた問題点や技術的課題について検討していくとともに,データ蓄積の乏しい北限域のサンゴ礁ならびに礁性堆積物の調査を継続し,早期の科学掘削の実現を図る.なお本企画調査の成果については,特集号として出版する予定である.
著者
中嶋 康博 荘林 幹太郎 小川 茂男 合崎 英男 高橋 太郎 山田 七絵 佐藤 赳 鄭 暁雲 宋 敏 王 維真
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

メカニズムデザインの手法を用い、中国南西部の湿潤地域と中国北西部の乾燥地域のそれぞれにおいて、農業生産者の土地資源および水資源の利用に対する望ましい政策介入について分析した。分析においては地理情報システムおよびリモートセンシングの技術を活用し、地域の空間的な特徴を内生化した経済モデルの設計を行った。
著者
佐藤 祐一 市田 隆文 原田 武 伊藤 信市 朝倉 均 加藤 仁 橋倉 泰彦 池上 俊彦 川崎 誠治 松波 英寿 幕内 雅敏
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.684-689, 1997-11-25
被引用文献数
2

症例は52歳の成人女性で, 1984年に皮膚掻痒感で発症し, Scheuer I期の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断され, 外来で経過観察されていた. 1992年頃より黄疸が出現し, 1993年3月に当科入院したが, 黄疸の高度進行, 腹水の増加, 肝性脳症の悪化, 肝腎症候群を認め, 血漿交換を含めた内科的治療も奏功しなかった. そこで本人と家族が肝移植を強く希望したため, 正式にインフォームド・コンセントを得て, 1993年10月20日信州大学第1外科へ移送し, 同年11月2日, 長男 (25歳) をドナー (グラフト肝重量402g) とする成人間生体部分肝移植を施行した. その後, 原病の再発とも思われる組織像と, 抗糸粒体抗体, 抗PDH抗体, IgM, ALPの上昇を認めた. 術後約3年半を経た現在, 上述のように血清学的には原疾患の再発が示唆されるが, QOLはよく, 日常生活に支障は生じていない. 一方, ドナーである長男も結婚し, 普通と全く変わらない生活を送っている. 以上PBCに対する治療として, 生体肝移植は我が国で選択されうるべき治療法の一つであり, 今後その推進に力を注ぐ必要があると思われた.
著者
佐藤 大輔 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1773-1782, 2011-11-01

本論文では,閲覧中のWeb上のニュース記事に対する意見を個人のブログから収集し,その本文中の主張部分を抽出して提示するシステムの提案を行う.現在ニュースサイトにコメント欄が用意されているところは少なく,検索エンジンを用いても個人の意見のみを収集するのは容易ではない.そこで個人の意見を述べやすい場であるブログに着目してニュース記事に関連した意見を集め,主張を抽出する.本研究では主張とは意見の中で筆者が強く述べている主観的な部分を指す.開発中の主張提示システムの中で,本論文では主張抽出に焦点を当てる.主張抽出には人手により主張であるとされた文章から形態素解析を利用して特徴的な抽出ルールを設定した.本システムによりユーザはニュースサイトを閲覧すると同時に意見の多角的な見方が可能になり,より深い洞察が得られるようになる.評価実験において人手による正解との適合率を求めたところ70.0%となった.
著者
宇佐美 幸彦 佐藤 裕子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ベルリンの大衆と芸術について、その具体的な例として、ハインリッヒ・ツィレおよびビルダーボーゲンという大衆的芸術活動の特徴をまとめた。ツィレが生涯一貫して風刺画のテーマとして描き続けたのは、彼が「第5階級」と呼ぶ社会の底辺で生きる人々の姿である。ビルダーボーゲンに関しては、グスタフ・キューン社の出版物を中心にその特徴の推移を検討した。この絵物語が20世紀に発展する漫画の先史となっていることは、大衆的芸術研究にとっては重要である。
著者
梨田 智子 今井 あかね 吉江 紀夫 下村 浩巳 羽下 麻衣子 佐藤 律子
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

1.マウス耳下腺において,エズリンがアクアポリン5と共存することを明らかにした。糖尿病NODマウス耳下腺では,これらは共に局在性が変化した。2. 耳下腺ホモジネートから等電点の異なる3つのアクアポリン5を検出した。コントロールマウスではpI 6.0付近のものが主であったが,疾患マウスではpI 8.8付近のものが主であった。すなわち,糖尿病NODマウスではアクアポリン5のリン酸化レベルが低いことがわかった。
著者
佐藤 完 織田 紀代子 長岡 さとみ
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.27, pp.37-42, 2009-03

人間は、必ず死を迎える生き物である。明解な事実であるが、老いを生きる高齢者にとっては避けたい事でもある。お釈迦さまが言われたように私たちは、死ぬ身を生きているのである。介護に係わる人材養成を行っている私たちは、人の生きた証としての終末期を次の世代に紡ぐ視座を模索している。社会福祉法人高田真善会・特別養護老人ホーム報徳園園長の千草は、「生まれた時にその人の死ぬ時は、約束されている」と語る。報徳園では、亡くなると本人の身近な人たちが集い、御院さんによる「枕経」が営まれる。遺族の都合に合わせ、利用者及び職員一同で「お別勤め」を行い、正面玄関より合掌・礼拝を受け見送られる。報徳園に暮らす一人ひとりにとって真に「終の棲家」となっている。一身田寺内町近隣地区における住民の生活に関する意識調査を通して老いのよそおいについて概観する。
著者
佐藤 完 織田 紀代子 長岡 さとみ
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.26, pp.51-59, 2008-03

私たちは、いつの日か人生の役割を終わる。老人福祉施設の利用者の生活を概観しながら「老いのよそおい」ついて考察をする。高齢者福祉について学ぶ学生、大学周辺に住む地域住民、老人福祉施設利用者をトライアングルの関係性について考えを深める。
著者
黒田 寿美恵 佐藤 禮子
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.89-100, 2008-03

本研究の目的は,終末期がん患者が選択する生き方とその本質を明らかにし,生き方を選択する終末期がん患者に対する看護のあり方を検討することである。病名・病状を知っており症状コントロールの良好な終末期がん患者6名を対象に,参加観察法と面接法によりデータ収集を行い,質的帰納的に分析を行った。分析の結果,得られた終末期がん患者の選択する生き方の本質は,1)生命の維持と病状の安定を求める,2)迫りくる死に身を委ねる,3)自己を重視する,4)自らの力を信じる,5)他者を気遣う,6)心理的安寧を求める,の6つに集約された。生き方を選択する終末期がん患者への看護のあり方として,1)病状を正しく認識できるように助ける,2)死と向き合い人生を回顧する患者に寄り添う,3)生きる希望を支える,4)患者の自分らしさを尊重する,5)患者が必要とする医療を提供することが重要である。症例報告国立情報学研究所で電子化
著者
堤 雅恵 佐藤 広美 水田 久美子 山口 健二 好村 朋子 広瀬 春次
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-27, 2007

近年、認知機能を維持したり、不安やストレスを解消したりする方法の一つとして、日記を書く習慣をもつことが推奨されている。しかしながら、仮に日記が高齢者にとって受け入れ難いものとして認識されているならば, 認知機能の維持やストレス解消のための方法とすることは困難であると考えられる。我々が検索した範囲では、高齢者の保健・看護の分野において日記に関する調査は見あたらず、高齢者における日記を書く習慣の実態は把握されていない。そこで今回、高齢者における日記を書く習慣の実態を把握するとともに、日記を書いている人と書いていない人との生活状況を比較した。その結果、多くの高齢者が日記を書く習慣を有しているという実態が明らかとなり、また、日記を書くことが外出や会話の頻度と関連している可能性が示唆された。
著者
野村 恭子 中尾 陸宏 竹内 武昭 山地 清久 佐藤 幹也 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-47, 2007-01-01

帝京大学医学部附属病院を受診し何らかの投薬を受けたすべての外来通院患者34,422名を対象に,ベンゾジアゼピン(BZP)系薬物の処方期間について調査を行った.コンピューター・オーダリング・システムから性別,年齢,BZP,診療科(内科系,外科系,精神科・心療内科系,その他)を抽出し,患者単位のデータベースを作成した(2002年7月から2003年6月).その結果,BZPを処方された患者は5,959名(17%)であったが,投薬期間が4カ月以上の群(長期処方群4,470名)と3カ月以内の群(短期処方群1489名)の臨床学的特徴を比較したところ,長期処方群では短期処方群に比べて男性が多く,年齢が高く,また診療科では内科系とその他の科で長期処方が多い傾向にあった(いずれもp<0.05).BZP系薬物は長期連用で健康障害を与えることが知られており,その処方につき大学病院での教育プログラムが重要である.
著者
堀 泰智 村上 春翔 佐藤 千早 中川 明奈 三浦 弘 菊池 元宏 大浪 洋二
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.37-42, 2010 (Released:2010-11-06)
参考文献数
24

13歳のビーグル犬が腹囲膨満と呼吸器症状を主訴に来院した。胸部X線検査から心拡大が確認され,心エコー図検査から三尖弁閉鎖不全症が診断された。右心房圧は正常であったが,右心室圧は上昇していた(収縮期/拡張末期;69/5.0 mmHg)。血中ANP濃度は正常範囲であったが,血中NT-proBNP濃度は1,583 pmol/Lと高値であった。内科治療としてエナラプリル,トラセミド,メチルジゴキシンを処方したところ,治療後30日目には臨床兆候は改善し,右心室圧も低下していた(収縮期/拡張末期;20/-2.3 mmHg)。また,血中NT-proBNP濃度は1,245 pmol/Lに低下していた。本症例では,右心不全に伴う右心室圧の上昇によって血中NT-proBNP濃度が上昇していたと推察される。
著者
佐藤 圭子 阿部 康二
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、神経細胞の新生が成体脳でも確認され、新しい神経回路付加に関与することが示されている。本研究では、てんかんおよび神経可塑性のモデルであるキンドリングで、発作発展および全般発作反復による神経幹細胞の増殖とmigrationおよび神経可塑的変化を検討した。ラット扁桃核にテタヌス刺激を1日1回加え、BrdUを6-8回目の刺激前に投与した。部分発作群(PS群)、全般発作3回群(3GS群)と全般発作30回群(30GS群)を作成し、BrdUとPSA-NCAMの免疫組織染色を行った。BrdU陽性細胞数は、PS群では、側脳室下帯(subventricular zone : SVZ)で増加したが、海馬歯状回(dentate gyrus : DG)では有意な変化はなかった。また、SVZのBrdU陽性細胞数は、3GS群と30GS群では対照レベルより有意に減少していた。PSA-NCAM陽性細胞数の増加は、3GS群と30GS群でDG、SVZ、梨状葉においてみられたが、PS群では有意な増加は認められなかった。DGにおいて3GS群では対照群の約2倍に増加し、30GS群では陽性細胞数はさらに増加したが、3GS群に比べ有意差は認められなかった。陽性細胞は、対照群ではDGの顆粒細胞層深部に限局していた。3GS群で陽性細胞の顆粒細胞層内への移動や陽性神経突起の伸長が若干みられたが、30GS群ではより顕著となった。一方、側脳室下帯(SVZ)のPSA-NCAM陽性細胞数は3GS群で対照群の約4倍に増加し、30GS群では3GS群に比較し有意な増加がみられた。てんかん脳で新生神経細胞の増殖やmigrationおよび神経可塑的変化が発作活動依存性に誘導されることが示された。また、神経可塑的変化に加え、新生細胞が形成する神経回路が、てんかん脳の機能変化や神経再構築に関与する可能性が示唆された。
著者
小畑 秀文 増谷 佳孝 佐藤 嘉伸 藤田 廣志 仁木 登 森 健策 清水 昭伸 木戸 尚治 橋爪 誠 目加田 慶人 井宮 淳 鈴木 直樹 縄野 繁 上野 淳二
出版者
東京農工大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

本申請課題においては、5年間にわたる研究成果のとりまとめと、研究成果を社会・国民に発信することの2つが目的であった。第一の目的である研究成果のとりまとめにおいては、計算解剖学の目的、研究組織、計画班および公募班それぞれの研究成果(著書・論文のリスト、特許を含む)と共に、計算解剖学という新たな領域としての状況、計算解剖学主催による学術研究集会およびアウトリーチ活動、諮問委員による研究評価、などを含め、研究成果報告書として取りまとめて印刷・製本した。また、同報告書の内容に研究成果をより理解しやすいように一部の動画をも含めてCDも作成した。これらは関係研究機関に配布した。第二の目的である研究成果の社会・国民への発信に関しては、2つの取り組みを行った。一つは、「3Dプリンタで臓器モデルを作ろう!」と題した中学・高校生向け講座である。これは日本学術振興会主催の「ひらめき☆ときめきサイエンスプログラム」の一つとして2014年8月21、22日の2日間にわたって名古屋大学にて開催したもので、CT画像から臓器を抽出し、それを3Dプリンタで打ち出すまでを体験させた。次代を担う世代に計算解剖学の成果の一端を分かりやすく紹介したものである。二つ目は東京農工大学にて開催した「計算解剖学」最終成果報告シンポジウムである。計算解剖学プロジェクトで新たに開発された基礎から応用(診断・手術支援)までの研究成果を関連分野で活躍する研究者・技術者に対して広く紹介した。また、専門的・学術的な立場から計算解剖学の現状評価と今後の方向性や課題を議論し、次のステップへの礎とした。