著者
塩谷 捨明 野村 善幸 星野 貴行 酒井 謙二 片倉 啓雄 仁宮 一章
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、東南アジア各国の乳酸菌研究者及び菌株のデータベースを構築することによって、乳酸菌の実用化に向けた相互利用・共同研究を促進させることを目的としている。平成16年度には次年度に向けた予備的な調査を行った。そして平成17年度は「海外調査」ともに「データベース作成とデータ登録」を行った。本研究では、ベトナム、マレーシア、フィリピン、モンゴル、インドネシア、タイにおける大学及び研究機関を中心に訪問し、調査を進める一方、研究者への協力を依頼した。なかでもインドネシアで開催されたアジア乳酸菌学会では多数のアジア乳酸菌研究者の集まる中、本調査の趣旨説明と協力要請を行うことができた。また、日本生物工学会では、韓国、タイ、ベトナム、フィリピンより乳酸菌研究者を招聘しシンポジウムを開催し、乳酸菌研究の相互理解をさらに促進することができた。以上より、合計約30名の研究者情報、および、30株程度の乳酸菌株情報が得られた。一方、各国の乳酸菌研究者及び菌株データを集計・整理するためのデータベースの作成に当たっては、充実すべき調査項目等を議論した上、フォーマットを決定した。データベースについては、ホームページ上にてアクセス・入力可能なフォームを完成させデータ入力準備完了となった。東南アジアの乳酸菌研究者情報に加えて、国内の研究者ならびに乳酸菌株情報を登録した。現在、データベースには、350超の菌株情報とその所有者等の情報が登録されている。
著者
島倉 省吾 葛谷 光隆 鎌数 眞美恵 吉田 徹也 奥田 恭之 津久美 清 福士 秀人 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.209-216, 1984-12-15

家禽及び野鳥の大腸菌による感染症については多くの報告がある。しかし,愛玩鳥における報告は少ない。著者らは,1982年4月から1983年12月までの間に愛知県内の某卸売業者へ輸入され,輸入後3週間以内に斃死した愛玩鳥911羽を検査した。これらの愛玩鳥は,ヨーロッパ及び北米以外の世界各国から輸入され,特にアジア及びオセアニアからのものが大半を占めていた。大腸菌は,検査した911羽中345羽(38%)の肝臓,肺臓及び肺から純粋に分離された。分離大腸菌191株についてOK血清型別をした。病原大腸菌OK血清では,01:K51に3株,025:K1に4株,0119:K69に2株,0125:K70に7株及び0148:K[○!+]に1株,計17株が,アルカレッセンス・ジスパーOK血清では,01:K1に1株,02:K1に17株及び04:K3に3株,計21株,合計38株(20%)が血清型別された。腸炎毒産生性は,LTを139株及びSTを61株について調べた両画毒素共にその産生性が確認された菌株はなかった。191株について薬剤感受性を調べたが,155株(81%)が耐性で,この155株のうちTC耐性をもつ菌が153株あった。なお,単剤耐性菌は84株,多剤耐性菌は71株で,単剤耐性菌の検出数が多かった。愛玩鳥由来大腸菌の血清型別及び毒素原性について調べた報告は極めて少ない。これらの愛玩鳥は捕獲後,人の生活環境で感染し捕獲,輸送などのストレスが発症,斃死の誘因となったものと考えられた。従来わが国では報告されていない血液型の病原大腸菌が検出され,公衆衛生及び家畜衛生の両面から深く憂慮されるから,今後愛玩鳥の衛生管理に格段の留意を要する。
著者
倉鋪 桂子 末次 聖子 平井 由佳
出版者
鳥取大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度の実施事項1.研究の対象および方法二ケ所の介護老人福祉施設から軽度の認知症でアクティビティへの意思を表明できる者10名を選び、研究の承認を得た。研究者二人で8月〜12月の間、週2回施設を訪問した。対象者一人について1回1〜1.5時間を用いた。2.研究経過および結果第1期(8月-9月)「対象者の意思表出がない」時期「今最もしてみたいこと」について話し合ったが利用者の意志表示はなかった。「施設のスタッフは忙しい」とか、「叱られる」などの発言があった。第2期(10月-11月)具体的な意思表出された時期A:ソ連の捕虜収容者の生活を懐かしみ、写真集や記録書を頼りに言語障害があるがロシア語を思い出したり、当時を生き生きと話す。B:「定期的に外出したい」に対し、利用者の日課と人材(職員やボランティア)、健康状態から実行可能な計画をたてて外出ができた。C利用者:「揚げたてのテンプラ」「自分用のコーヒー缶」など食に対する興味が強い。嚥下困難があるためSTの介助でてんぷら、すし、あんぱん等を摂取できた。第3期(12月)積極的な行動が現れた時期C:家族関係が複雑で、妻・息子とも交流は無かったが「孫に会いたい」と言われ、関係者の努力で孫の面会を得られ、それにより家族との関係回復も出来た。D:クリスマス会の最後に利用者代表で感謝の言葉を述べた。それまでは催し物に受動的であった。3.男性利用者のアクティビティ・ケア男性は団体行動より個別の行動を好んだ。男性利用者のアクティビティには、本人の施設入所に対する「肯定感」「施設生活への存在感」を確認する必要がある。それには、彼らが施設の生活にどれだけ主体的に行動をしているかが重要であった。一方施設のスタッフも食事・入浴等個人の好みには気遣うが全体生活にアクティビティとしての主体的な行動の理解が乏しかった。今後、男性利用者自身が生活の企画や自らの組織つくりへの参画が必要と考える。
著者
田崎 修 杉本 壽 嶋津 岳士 朝野 和典 鍬方 安行 小倉 裕司 塩崎 忠彦 松本 直也 入澤 太郎 室谷 卓 廣瀬 智也
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

救命救急センターにおいて、挿管患者に集中して「先制攻撃的接触予防策」を導入したところ、挿管患者だけでなく病棟全体のMRSA院内感染が減少した。救命センター入院早期(24時間以内)におけるMRSA院内感染のリスクファクターは、挿管、開放創の存在、抗生剤投与、およびステロイド投与であった。Neutrophil extracellular traps(NETs)は喀痰中において、呼吸器感染症に対して速やかに発現し、感染症が軽快すると減少した。NETsは感染症のみならず非感染性の高度侵襲にも反応して血中に発現した。今後、NETsの臨床的意義の解明が必要である。
著者
荒川 忠一 佐倉 統 松宮 ひかる 尾登 誠一 飯田 誠 山本 誠 松宮 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

日本においても風車普及の方向性が明確になってきた。本研究においては、将来の大規模な風車導入に備えて、景観に適合しその地域のメッセージを発信できるヴァナキュラー性に根ざしたデザインを提言してきた。さらに、本研究の方向性を生かして、東京都臨海風力発電所が「東京らしさ」をメッセージにして2003年3月に運開することになった。はじめに、洋上風車などの新しい環境条件を導入し、エネルギー経済シミュレーションを行った。京都議定書の遵守などの条件を加えると、50年後にはエネルギーの8%を風車がまかなうことが要請されること、そのとき、日本においては1MWの風車が10万台導入する必要性があることを示した。高さが80mにもおよぶ大型風車を大量に導入するためには、景観適合のみならず、地域の文化や情報を発信できるデザインの必要性を訴えるとともに、いくつかの地域でデザインの試作を行った。海岸地域、田園地域、そして東京を対象とした。海岸地域では防風林の松のイメージ、あるいは小型風車にマッチングしたデザインなどを創作した。風況調査により、東京湾中央防波堤埋立地に風車に適した風があることを見出し、その成果を受けて大学院生の都知事への提言から、短期間で風車建設の事業が行われた。本研究において、「東京らしさ」をテーマにした様々なデザインや付帯設備を提案し、日本科学未来館のキュレータらとの社会学的な検討を加えた。最終的には、デザイナーの石井幹子氏を指名して緑と白の2色による世界初のライトアップを実現し、またインターネットで回転状況を配信する仕掛けを構築した。本研究の一環によるこのような実践は、新聞各紙の熱心な報道をはじめとして、社会的に評価を得ていること、また風車の今後の導入加速の方法となりえることを示した。本研究のさらなる発展として、日本らしい風車つまり海洋国日本の特徴を最大限に生かした超大型洋上風車の早期実現を提案していく。
著者
戸倉 和 比田井 洋史 平田 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

レーザ光を水存在下で固体に照射すると固体表面で加熱されるばかりか,高温の水との反応や水が分解されて生じるラジカルと気体との反応が期待できる.本研究ではこのような反応を期待し,立方晶窒化ホウ素(cBN)の水熱加工を行なおうとするものである.そこで脱気した超純水,メタン,水素,酸素を溶存させ水,これにエキシマレーザ光(193nm),アルゴンイオンレーザ光,YAGレーザ光を照射して,ポリクロメータで活性種の発生状態を測定するとともに,写真により発光を観察した.その結果,水の構成元素ラジカルの生成を確認するとともに,メタンを溶存させた水では水面に膜が生成されることを見いだした.この膜の性質を調査し,粒径20nm程度の超微粒子から構成される網目構造の炭素膜であることがわかった.このことは炭素系超微粒子合成の道を開くものとして期待できる.これと平行して,大粒の単結晶cBNおよび窒化ケイ素に水中でエキシマレーザ光および可視光のアルゴンイオンレーザ光を照射した.窒化ケイ素では試料から離してエキシマレーザ光を照射しても表面にエッチング模様が現れた.これは上で述べた水の活性種によるものと考えられる.また,cBNにアルゴンイオンレーザを照射すると,アンモニアの発生が確認できるとともに,空気中での照射による形態とは異なる表面が得られた.これは高温で水との反応による化学作用と理解でき,水熱加工への展望が開けたものと理解できる.これら水雰囲気での一連の照射実験では飽和水蒸気中でのレーザ光照射も行った.エキシマレーザを飽和水蒸気圧下で照射した場合,照射容器であるアクリルが瞬時に曇ってしまった.これは生成された活性種によるアクリルとの化学反応が生じたものであり,レーザクリーニングへの知見を与えるものである.
著者
朝倉 政典
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

代数的サイクルと混合モチーフについて研究している。混合モチーフは数論的代数幾何学における壮大な構想であり、理論として確立されたあかつきには、代数幾何学のみならず整数論へも数多くの深い応用をもつことが期待されている重要な分野である。しかし多くの優れた研究者の努力にも関わらず、混合モチーフはいまだ定義すらない極めて研究の困難な分野でもある。私は特に複素数体上の混合モチーフの理論を確立することを目的として研究してきた。これまでに、数論的ホッジ構造という概念を導入し、代数曲面上の0-サイクルや、代数曲線のK群についてのブロック予想について研究してきた。本年度の研究では、代数曲線のK群に関して新しい方向へ踏み出していった。より詳しく説明すると、これまで研究によって代数曲線のK群の研究にはベイリンソン・ホッジ予想が鍵となることが分かっているが、その予想を管状近傍型多様体に対して一般化することを試み、肯定的な結果を得ることができた。但し、予想そのものは未だ解決されておらず今後の研究の進展が待たれる。更にこの研究から派生する問題として、クレメンス・シュミット完全列に関する研究結果を得た。これは既に投稿済みであり掲載が決まっている。
著者
朝倉 政典
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

昨年度より代数的サイクルと混合モチーフについて研究している。混合モチーフは数論的代数幾何学における壮大な構想であり、理論として確立されたあかつきには、代数幾何学のみならず整数論へも数多くの深い応用をもつことが期待されている重要な分野である。しかし多くの優れた研究者の努力にも関わらず、混合モチーフはいまだ定義すらない極めて研究の困難な分野でもある。私は特に複素数体上の混合モチーフの理論を確立することを目的として研究してきた。これまでに、数論的ホッジ構造という概念を導入し、代数曲面上の0-サイクルや、代数曲線のK群についてのブロック予想について研究してきた。本年度の研究では、代数曲線のK群に関して更なる研究結果を得ることに成功した。より詳しく説明すると、これまでK群の元を扱うときにその元のサポートに条件がついていたのであるが、その条件を弱めることができた。鍵となるのはベイリンソン予想であるが、これについてネーター・レフシェッツ型の定理を、斎藤秀司氏と共同で証明することができた。これらの研究結果は、論文として執筆中である。また多くの研究集会、セミナー等においても講演した。特に本年度は、フランスのフーリエ研究所における研究集会において講演する機会を得た。
著者
加藤 徹 倉島 栄一
出版者
宮城県農業短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、地球温暖化が積雪地河川の融雪流出へ及ぼす影響の予測を試みたものである。研究対象流域としては、東北地方の名取川水系大倉ダム流域(宮城県)と北陸地方の小矢部川水系刀利ダム流域(富山県)である。地球温暖化が融雪流出へ及ぼす影響をみるため、気温上昇による両ダムにおける月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出高、流域の積雪水量および消雪日等の変化によって検討した。なお、地球温暖化シナリオとしては、気温上昇に伴う降水量増加を考慮したものをシナリオI、気温上昇を全く見込まないものをシナリオIIと設定した。その結果の概要は、下記のとおりである。"(1)"気温上昇に伴い、降水のうち降雪となる割合が小さくなり、積雪水量が小さくなる。また、融雪時期や流域の消雪日も早まる。そのため、融雪流出の早期化と減少化が顕著となる。"(2)"月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出等はいずれも融雪最盛期の4月、5月には減少し、逆に3月、2月にやや増加して平滑化される。"(3)"気温上昇に伴う降水量増加を見込んでいるシナリオIよりも降水量増加を見込まないシナリオIIの総流出高、融雪流出高等が大きく減少する。"(4)"大倉ダムと刀利ダムとの比較では、気温上昇に伴う総流出高、融雪流出高の減少割合には大きな差異が認められないが、流出高そのものの減少は刀利ダムの方が大きく、大倉ダムの2〜3倍となる。"(5)"以上のように、地球温暖化は、積雪地河川の融雪流出へ大きな影響を及ぼすことが予測される。
著者
鎌倉 真音
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究は、有形文化資源の3次元デジタルアーカイブデータの利活用について、データの計測作業と取得データを用いた解析と考察を通して、その有効な方法や今後の展開、可能性について3ヶ年で考察、検討するものである。最終年度である本年度も昨年度に引き続き、特に有形文化資源のデジタルデータの利活用に関して、考古学、美術史学、建築史学、など多分野にわたって具体的な解析や活動を通して研究を遂行した。主に、以下の2点に着目して研究を行った。(1)カンボジア、アンコール遺跡バイヨン寺院の大きな特徴である尊顔に関して、3次元デジタルアーカイブデータを用いた解析による考古学的考察を行った。12世紀に寺院を建立したとされる王(ジャヤヴァルマンVII)の坐像顔面デジタルデータと寺院尊顔の類似度等を検証する解析、アンコール遺跡群の中でもバイヨン期の寺院にだけ存在する尊顔の制作背景について考察を行った。解析、考察の結果は、バイヨン期の寺院建立の歴史等を明らかにし、多分野横断型研究の結果としても極めて重要なものとなる。(2)3次元デジタルアーカイブデータを用いた具体的事例をもとに、従来では文化資源そのものに対して行ってきた利活用活動を、デジタルデータの特長に着目し、広く文化資源全般にわたってデータとして利活用していく、プロセスデザインを行っている。サーバなどに蓄積されるばかりの文化資源デジタルアーカイブデータを有効に利活用するために、(1)のように具体的な対象を用いた解析、考察を行い、同様に様々な対象に対しても適用していくことは有意義である。本研究の成果は、国内外を問わず文化資源における保存・デジタルデータ化・利活用に関する俯瞰的な考察を可能にし、文化資源を基軸とする多分野にわたる研究領域での具体的研究プロセスモデルの提案につながる。とりわけ国土も狭く、資源にも乏しい日本国において、あらゆる文化資源を有効な手段で保護、保全、保存、そして活用していくことは極めて重要である。
著者
倉門 浩二 大石 哲也 長谷川 隆三 藤田 博 越村 三幸
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-150, no.12, pp.1-8, 2010-07-28

近年,インターネットの普及に伴って,膨大な文書を閲覧することが可能となり,適切な文書を探すために検索エンジンを利用する機会が多くなっている.しかし,検索エンジンを利用しても,求める情報を得ることが難しい場合も多い.本研究は,Wikipedia のリンク情報やカテゴリ構造を解析することで,検索クエリの関連語を抽出し,検索結果の適切なリランキングを行うことを目的としている.
著者
豊倉 賢
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

回分式攪拌槽内で硝酸鉛水溶液と硫酸水溶液を反応させることにより硫酸鉛微結晶を生成させる実験において、種晶存在下での溶液中の鉛イオン濃度低下速度と成長させた結晶の粒径分布との関連について以下の知見を得た。均一粒径の種晶を粒径分布を保ったまま成長させるためには、種晶の成長に伴う溶液中の鉛イオン濃度低下速度が過飽和度の一乗で相関できるような過飽和範囲で成長させることが望ましいという成果を得ている。この実験の操作では原料の全てを一気に混合したが、この方法では反応初期の混合状態が悪く得られる結晶の粒径分布幅は広くなった。また再現性についても問題があった。そこで新たに、反応液を制御して供給されるように考案したダブル・ジェット装置を用いて、硫酸鉛微結晶の生成実験を行った。(この操作法は、Controlled Double-Jet法と呼ばれている。以下CDJ法)本実験では、反応溶液である硝酸鉛および硫酸ナトリウム両水溶液を別々の供給管を通して、攪拌されているゼラチン溶液中に供給し反応晶析を行った。均一粒子を得るために、核発生を短時間で終了させ、その後に供給される原料は結晶成長のみに使われるように操作した。まず均一微粒子の生成に適した反応条件について検討を行った。反応溶液濃度、槽内の操作濃度(pPbまたはpSO_4)、酢酸添加量を変化させて実験を行ったところ、反応溶液濃度0.1mol/l、供給速度10ml/min、酢酸濃度1.74*10^<-1>mol/lの場合で、操作濃度pPb=2,3、pSO_4=2,3において長径15μm以下のひし形板状晶が得られた。pPb=3、pSO_4=2では、時間が経つにつれて新たな核の発生により槽内結晶総個数は著しく増加したが、pPb=2では結晶数は一定であり相対分布幅が約15%の長径6μm以下の均一な単分散微粒子が得られた。以上よりCDJ反応晶析法は硫酸鉛の均一微結晶生成プロセスとして、有効であると考えられる。
著者
福 知栄子 倉知 桂子 若林 敏子 内本 充統
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

岡山県内ファミリーサポートセンター依頼会員調査からセンター活動の活用状況や期待および課題を捉え、さらに全国アドバイザー調査からはセンター活動の支援状況や支援プロセスおよび今後の課題等を把握した。また、事例を通して地域子育て支援活動としてセンター活動が果たすコーディネート機能について検討した。依頼会員は、子育てへの安心感(緊急支援)を得ることやワークライフバランスを図るために登録をしている。提供会員には、子どものケア・ニーズへの対応とともに、親のニーズへの対応も期待している。地域住民参加型の子育て支援ネットワークづくりへの依頼会員の貢献が今後の課題である。アドバイザー調査からは、センター活動がひとり親、障害のある親、外国人の親等多様な家族を支援する実態がみえる。支援活動の質を左右するマッチング場面のアドバイザー同席は半数である。提供会員研修には、手どもの育ちや応急手当等と子育て不安への理解等親関連の内容も含まれる。センターが地域関連機関との間で情報交換をするのは、保健所や保育所が最も多く、次に子育て支援センターや主任児童委員等である。個別ケース支援の連携もあり、アドバイザーのコーディネート機能による地域連携活動として、くらしが不安になる離婚前後での支援や親の精神的不安が強い時期の支援等の事例がみられる。今後の課題は、提供会員の量的拡大と質的向上、関連機関との連携の充実、アドバイザーの知識・技術の向上等である。適切で柔軟なコーディネートができるアドバイザーの質的向上のための研修体制・スーパービジョン体制の確立が重要である。子育て家族が抱える課題を共通理解し、地域で子どもと家族を支援するチームとして支援者と親が協働で活動することが今後のセンター活動の展望を切り開く。
著者
間々田 孝夫 水原 俊博 寺島 拓幸 廣瀬 毅士 朝倉 真粧美 呉 金海 野尻 洋平 遠藤 智世
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は東アジアを調査地域として、グローバル化する消費文化についてアメリカ型への画一化と非アメリカ的な多様化の実相を理論的、実証的に明らかにしようとするものである。2007~2008年度の期間、将来的な東アジアでの本格調査を見据えて東アジア地域の消費文化について文献の検討をとおした理論研究をおこなった。また、こうした理論研究をふまえて国内(首都圏)では大規模質問紙調査を実施して一定の成果をあげた。
著者
新井 学 倉田 佳明 磯貝 哲 高橋 信行 橋本 功二 平山 傑 土田 芳彦 村上 裕子 辻 英樹 井畑 朝紀 成田 有子
出版者
北海道整形外科外傷研究会
巻号頁・発行日
2010

肘頭骨折を合併した小児上腕骨外顆骨折の2例を経験した。【症例1】7歳男児,遊具から転落受傷し,上腕骨外側顆骨折はJacob 分類stageⅢ,肘頭骨折は2mmの転位であった。両骨折に対し観血的骨接合術を施行した。【症例2】4歳男児,ソファーから転落受傷し,上腕骨外顆骨折はJacob 分類stageⅡ,肘頭骨折は転位がわずかであった。右上腕骨外側顆骨折に対し観血的骨接合術を施行した.肘頭骨折は保存的加療とした。2症例とも骨癒合が得られ可動域制限なく経過良好である。肘頭骨折に上腕骨外側顆骨折が合併する受傷機転として,肘関節伸展位で内反および外反力が関与し,上腕骨外側顆骨折を合併した肘頭骨折は比較的稀であるが,見逃されると機能障害を残すため認識しておくべき損傷形態である。
著者
倉賀野 志郎 玉井 康之 笠間 浩幸 奥山 洌 高嶋 幸男 明神 勲
出版者
北海道教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本教師教育に関する研究では、教師の成長を教師の体験性と理論の相互作用としてとらえ、その上で、教師の体験を(1)自然体験による自然科学的認識、(2)社会体験による社会科学的認識、(3)生活体験による生活科学的認識の3つに分類して経験を提供した。(1)の自然体験では、ゴミ袋バルーン作りによる自然の不思議発見学習を行った。(2)の社会経験では、地域の産業学習として、酪農体験学習、鮭の養殖・捕獲・加工の体験学習、羊毛製造体験学習、を行った。生活体験では、郷土料理作りとその意味学習を行った。これらの体験学習によって、教師の教材の説明の幅が厚くなり、実感のこもった内容説明ができるようになることが明らかになった。また、体験の数が少なくても、深い実体験をすることによって、他の分野の説明にも応用が効くようになったことが明らかとなった。
著者
小野寺 淳 出田 和久 平井 松午 藤田 裕嗣 小田 匡保 礒永 和貴 大島 規江 川村 博忠 倉地 克直 杉本 史子 三好 唯義 小野田 一幸 種田 祐司 野積 正吉 青木 充子 尾崎 久美子 中尾 千明 橋本 暁子 横山 貴史
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

オランダ、ライデン大学図書館にはシーボルトが収集した21鋪の手書き彩色の国絵図が所蔵されている。21鋪の国絵図を高精細画像で撮影し、国内の類似の国絵図と詳細に比較分析した結果、21鋪の基図は慶長図1鋪、寛永図6鋪、正保図と寛文図14鋪であることが明らかになった。対となる国絵図がある一方で、基図の作成年代も個々に異なる例が多く、シーボルトの手書き彩色国絵図の入手先は複数あったと想定される。