著者
藤田 あゆみ 荒武 憲司 皆川 雄郷 西田 武司 田中 仁 友尻 茂樹 原 健二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.811-816, 2010-09-15 (Released:2010-11-09)
参考文献数
11

近年精神科領域では,定型抗精神病薬に代わって錐体外路系副作用の少ない非定型抗精神病薬の使用が目立つようになってきた。これに伴い自殺企図目的で非定型抗精神病薬を含む薬物の過剰摂取により救急搬送される症例が増加してきている。我々は非定型抗精神病薬であるQuetiapineによる急性医薬品中毒を経験した。症例は精神科通院中の40代の女性で,来院時,循環動態不安定で全身性強直性痙攣を伴う意識障害を呈していた。持参された薬剤の空シートからQuetiapine 8,700mgを大量摂取していた可能性が示唆された。Quetiapine単独服用と考えられ,各種の中毒症状を呈していた。服用量は中毒量を超えるものと推測され,初療にて胃洗浄および活性炭投与を行った。輸液療法を施行するとともに集中治療室にて呼吸・循環管理を行い,第3病日に意識レベルおよび全身状態の改善を認めたため退院となった。我々は,来院時の血清,尿などの生体試料を凍結保存し,レトロスペクティブに分析を行うことができた。一般病院の臨床の現場では,通常簡易な尿中薬物スクリーニング検査キットおよび服用歴から急性中毒を疑うが,Quetiapineは簡易キットでは検出不可能である。Quetiapineは2001年に発売された新規薬剤であり,国内外で死亡例の報告も散見されるようになってきている。分析にてQuetiapine同定を行うことで確定診断に至ることができ,また迅速な確定診断が治療方針の決定に有用であることが示唆された。
著者
梶原 健佑
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.499-511, 2004-10-12
著者
前田 奈穂 大坊 郁夫 前田 貴司 岸野 文郎 北村 喜文 高嶋 和毅 横山 ひとみ 藤原 健 林 良彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.457, pp.49-54, 2010-03-01
参考文献数
17
被引用文献数
3

本研究の目的は,非言語手がかりと関係開始スキルの関連について,話者,会話相手,第3者のそれぞれの観点から検討することである.初対面の大学生で同性同士の66人(男性51人,女性15人)を対象に行った会話実験データを以下のように検討した.関係開始スキルについて自己評定,他者評定,第3者評定を測定することで,非言語手がかり(腕の動き,対人距離,相手に顔を向けている割合,単独発言時間,単独発言頻度,単独発言平均時間)との関連について,レンズモデル(Brunswik, 1956)を用いて検討した.その結果,自己評定,他者評定,第3者評定,いずれにおいても,腕の動きと関係開始スキルの間に正の関連がみられた.
著者
山内 賢幸 坊農 真弓 相原 健郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.10, pp.1-8, 2010-03-12

学会の懇親会や結婚式の披露宴などの立食形式パーティーで会話の輪から孤立している人がいる. この会話の輪に入ることが出来ていない状態の人を「孤立者」と呼ぶ.本研究では立食形式パーティーの映像を使いハンドアノテーションを行う.そしてそこから得られたアノテーションデータを用いて孤立者の検出を行う.今回提案する検出手法は会話集団を見つけ,それ以外の人を孤立者とする方法である.人が映像を見て直感的に孤立者と判断したデータと提案手法で得られた結果との比較を行い,どれだけ孤立者が検出できたのかを明らかにする.またその結果から今後の課題についても検討を行う.In this paper, we discuss a hand annotation method for video analysis of a buffet party toward detection of wallflowers. There are often some wallflowers in the banquet or the wedding party. We try to find out the wallflowers thorough understanding various participation roles, ex. speaker, addressee, side participant, by the multimodal analysis of integrating several hand annotation data, i.e., speech, gaze direction body orientation and standing positions. We compare the wallflowers found out by our algorithm and that found out by people's intuitions to investigate the performance of our algorithm.
著者
石原 健司
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.184-187, 2018-06-30 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

脳画像は診断のみならずリハビリテーションでも有用な情報を提供してくれる。ここでは脳画像の読影において基本となる脳部位同定方法の考え方を呈示した。大脳の側面像で脳溝・脳回の名称を覚え, 画像の中でどのように表現されているのかを理解できれば, それらの相互の位置関係から, 手順を踏むことによって目的の構造を同定することができる。そのためには, どの方向の, どの断面で, どのような構造を同定することができるのか, を知っておくことが必要であるが, これは実際の脳画像を繰り返し見ながら習熟するのが唯一にして確実な方法である。
著者
猪原 健
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.195-201, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
18

超高齢社会の進展に伴い,介護を必要とする者かつ口腔機能の低下した者の増加が予測されている.このような患者に対して,通院できないから仕方がなく訪問する,のではなく,生活や人生をサポートするために敢えて積極的に歯科訪問診療を実施し,補綴診療を行う,という考え方が必要となってきている.患者の看取りへの道のりは,大きく3つに分かれるとされているが,歯科として関わりは,看取りへの短期集中,補綴とリハビリ支援,長く支えて義歯使用中止の判断まで実施,など,それぞれ大きく異なり,状況を把握したうえでの適切な判断が必要となる.またその際は,訪問看護師をはじめとする多職種との連携が必要不可欠である.
著者
忠村 一毅 中原 健二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.805-813, 2014-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

自然免疫の受容体は,一般に,出会ったことのない病原体に対しても防御反応を誘導できるよう病原微生物に共通の分子パターンを認識する.ところが植物は,それに加えて強毒の病原体の毒性因子だけを特異的に認識する受容体をもち,これらが連携して病原体の毒性をも進化的に制御していることがジグザグモデルとして提唱されている.また,ウイルスに対してはRNAサイレンシングが自然免疫の役割を担い,同様に連携した自然免疫ネットワークを形成している.これらをカルモジュリン様タンパク質についてのわれわれの成果とともに解説する.
著者
竹本 浩典 榊原 健一
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、オペラ歌手が声量のある良く響く発声を行うメカニズムの解明を試みる。オペラ歌唱では、共鳴器である声道(声帯から口唇までの空間)と、呼気を生成する横隔膜を独特の方法で制御することにより、特有の発声を行っていると考えられているが、声道も横隔膜も直接観察できないため、詳細は明らかになっていない。そこで、まず、オペラ歌唱時の声道や横隔膜の運動を医療用のMRIで動画として撮像し、変位量などを分析する。次に、これらの分析結果に基づいて、声道や呼気の制御が音声に及ぼす影響をシミュレーションでも検討する。そして、これらを踏まえてオペラ歌唱のメカニズムの解明に取り組む。
著者
木庭 顕 桑原 朝子 松原 健太郎 中林 真幸 山本 隆司 加毛 明 金子 敬明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

昨年度に予告したとおり本年度は公共団体の問題に活動を集中した。その集大成は3月にKinch HoekstraとLuca Ioriを迎えて行われた「ホッブズとトゥーキュディデス」に関する研究会であり、事実上の締めくくりとなるに相応しい濃厚な二日間であった。つまり古典古代と近代をまたぎ、また国際間の衝突もテーマであったから国家間の問題、近代国家共存体制外の地域の問題、をも視野に入れた。ホッブズはまさに枢要な交点である。そのポイントで、公共団体立ち上げの条件を探った。ゲスト二人の報告は或る雑誌に翻訳して発表の予定である。また、研究代表者自身、この研究会に至る中で同時並行して一本の論文をまとめ、『国家学会雑誌』に発表した。後者は、このプロジェクトが深くかかわってきた法人理論がホッブズにとって有した意義をも論ずるものである。また、ともに、自生的な団体と深く関係するメカニズムである互酬性を、そのメカニズムの極限的なフェイズをホッブズがいかに利用しつつ克服するか、を追跡した。こうした考えをホッブズはトゥーキュディデス読解を通じて獲得した。彼が同じく翻訳したホメーロスを含め、ギリシャの社会人類学的洞察をバネにしたことになる。こうした見通しは、本研究会が遂行してきた広い比較史的視野を有して初めて持つことが可能になる。その意味では、今回の成果は、公共団体をターゲットとしてきた本年度の活動のみならず、全期間の活動の凝縮点である。付言すれば、教育目的ながら野心的な内容を含む拙著『現代日本公法の基礎を問う』も同一の軌道を回る惑星である。
著者
菅原 健介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.134-140, 1986-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
17
被引用文献数
9 10

Public self-consciousness involves two contrasting attitudes toward self-presentation-exhibitionism and shyness. The purpose of this study was to explore the distinctive motivational states which mediate these two attitudes. This paper consists of two researches. 395 undergraduates (207 males, 188 females) participated in the former study and 452 undergraduates (288 males, 164 females) participated in the latter one. The first study employed a factor analytic technique and results pointed to the existence of the following two motivational states-(1) acquiring praise and (2) avoiding rejection-both of which were positively correlated with public self-consciousness. “Acquiring praise” was also found to be related to exhibitionism but “avoiding rejection” was not. The later was found to be related to shyness. The second study revealed that both motivational states were related to a tendency to seek out and value the experience of participating in a social group. The implications of these findings for theories of self-consciousness and self-presentation were discussed.
著者
大原 健士郎 増野 肇
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.3, no.9, pp.775-783, 1961-09-15

はしがき 精神病をのぞく自殺の要因の研究は,すでに数多くの報告がなされているが,心理学的要因の中でも家庭環境的因子は,とくに重要な要因として学者の注目を集めている。すなわちE. Ringelは,精神病をのぞく650例の未遂者の生活歴を検討し,片方または両方の親を12才以前に失つた者は123例(19%)で,とくに孤児が多く,実母の欠損のほうが問題が多い,とのべ,さらに養育上の問題があつた者は92例(14%)で拒絶的態度と過保護的態度が問題として多く,また同胞間に問題が認められた者は164例(25%)であり,ことにひとり子が81例を占めていた,と報告している。L. M. Moss,D. M. Hamiltonは自殺企図例の60%が片親または両親を若いころ(大多数は青春期に,ほかの者は幼小児期)に失つている,とのべた。彼によれば,この期間に40%は父親を失い,20%は母親を失つていた。Palmerは,25例の自殺企図者について連続的に背景因子を観察し,84%の者が両親や同胞の死亡,不在に直面しており,68%の者が14才前に親を失つていた。また,近親者の死亡は25%以上において結実因子となつていた,とのべている。Teicherは統計的にこの成績を支持した。H. J. Walton,J. Mentは憂うつで自殺を企てた60例の患者と憂うつだが自殺は企てなかつた163例の患者を比較し,14才以前に親を失つた者は前者では46例であり,後者では32例であつたと報告し,自殺企図と親の欠損との関連性を強調している。Wall Jamiesonは,自殺した患者について,以前に受診していた病院で家族歴を調べ,自殺者の1/3に家族問題がかなり強く影響していることを認めた。Zilboog,Reitman,Keelerは,長じてからの自殺衝動を幼児期における両親の死に関する感情の問題としてとりあげた。Keelerは,親が死亡したさいに,11人の子供に生じた反応を研究した。すなわち,抑うつ感情は11人全部にあらわれ,両親への強い愛情を示していた。死んだ両親に再会するという空想は,8名がもち,一緒に死にたいとのべた者が7名であつたとしている。Bender, Schilderは13才以下の子供について自殺を研究し,子供にとつて自殺は,耐えがたい環境を逃がれようとするこころみであり,つねに愛情の喪失から生じている,とのべた。わが国でも加藤は,26例の未遂者中,一方または両親を12才以前に失つた者は5例,養育上の問題がある者10例,同胞間の問題が考えられる者5例を認めている。著者らの報告でも自殺企図者で17才以前に両親または片親を失つた者は対照群に比し,有意差をもつて多く,とくに実母の欠損が影響していた。養育者を調べると自殺企図者のほうに,親が小学入学までのめんどうをみなかつた者が有意差をもつて多かつた。青年層における希死念慮の理由では,家庭事情をあげた者は,大学生8.1%,高校生13.0%,中学生16.5%,未遂者13.0%,となつている。とくに年少者に家庭問題や叱責の影響していることがわかつている。最近の報告では青年層のみならず,老人の自殺においても家庭問題が強く影響をおよぼしていることが明らかにされた。 しかし一方,川畑,勝部は京大生を対象として親の欠損や養育者を調べ,自殺企図者と非企図者との間にほとんど差がないというnegative dataを報告している。Schneidman,Farberowは,対照者に自殺すると仮定して遺書を書かせ,既遂者の遺書と比較した。その結果として,いかにStressによる条件が生活史にあつたとしても,それだけについては,各群の間に差がなく,ひとり子,欠損家庭,家族内自殺などの点でも各群の間に差はなかつた,とのべているが,自殺を研究する学者の間では,家庭環境要因はもつとも重要視すべき部門の一つとされている。
著者
菅原 健介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.184-188, 1984-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
32 48

This study attempted to construct the self-consciousness scale for Japanese based on the scale made by Fenigstein et al. (1975). Twenty six items which may assess individual difference in self-consciousness were made. The factor analysis of the items indicated that there were two main factors. These two factors were similar to the private and the public self-consciousness factors which were found by Fenigstein et al. The scores of the public self-consciousness indicated in this study were found to have positive correlation with both social anxiety (the tendency of avoidance from self-presentation) scale and exhibitionism (the tendency of approach to self-presentation) scale. Implications of self-consciousness scale for research on social behavior was discussed.
著者
藤原 健 伊藤 雄一 高嶋 和毅 續 毅海 増山 昌樹 尾上 孝雄
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.122-134, 2019 (Released:2019-03-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究は,演奏者の重心・重量を用いた演奏連携度の評価を通じて,小集団相互作用における動態をシンクロニーの視点から明らかにすることを目的とする。そのために,プロの演奏者によるコンサート時の合奏場面を対象に情報科学技術を用いて演奏連携度を算出し,これを社会心理学的手法により評価した。具体的には,椅子型センシングデバイスを用いて演奏者の重心移動・重量変化を取得することで身体全体の動きを時系列データとして検出し,短時間フーリエ変換を適用することで時系列振幅スペクトルデータを得た。これについて全演奏者の時系列スペクトルデータを乗算することで演奏連携度を算出した。この演奏連携度についてサロゲート法を用いることで,演奏者間に偶然以上の連携が生じていたことを明らかにした。さらに,コンサート時に取得していた音源を一般の大学生に提示した結果,一部の楽曲において演奏連携度の高い演奏が肯定的な評価を得ることを確認した。行動の同時性や同期性を扱うシンクロニー研究の多くは二者間の相互作用を対象としたものが多い中で,情報科学の技術を導入することで小集団における相互作用ダイナミックスが精緻に測定・検討可能になった点は異分野協同における成果であるといえる。
著者
酒井 厚 菅原 ますみ 眞榮城 和美 菅原 健介 北村 俊則
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.12-22, 2002-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
42
被引用文献数
9 9

本研究では, 中学生の学校適応の諸側面について, 親および親友との信頼関係との関連から検討した。学校適応は, 教室にいるときの気分 (反抗的・不安・リラックス) と学校での不適応傾向 (孤立傾向・反社会的傾向) について測定した。縦断研究に登録されている中学生270名 (13.7歳) とその両親 (母279名; 父241名) を対象に解析を行い以下の結果を得た。1) 親子相互の信頼感において, 子どもの学校適応に影響を与えているのは子が親に抱く信頼感の方であり, 親が子に抱く信頼感は関連が認められなかった。また, 子が親に抱く信頼感に関しては, 母親に対するものばかりではなく父親に対する信頼感も学校適応に重要な役割を担うことが示唆された。2) 親子間相互の信頼感得点の高低から分類した親子の信頼関係タイプによる結果では, 総じて親子相互信頼群の子どもの学校適応がほぼ良好であるのに対し, 親子相互不信群の子どもは学校に不適応な傾向が示された。3) 親友との信頼関係が学校適応に与える影響に関しては, 学校で不適応な傾向にある親子相互不信群において特徴が見られ,「孤立傾向」や「リラックスした気分」の変数では学校への適応を良くする防御要因として働く一方で,「反社会的傾向」の得点はより高めてしまうという促進要因ともなりうることが示された。
著者
相原 健郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.743-754, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
7

本稿は,携帯電話や位置に基づくサービス等で取得される動体データを用いて,その解析に基づく観光動態把握と活用に関して,分析事例なども交えて概説する。まず,観光分析の観点を整理したうえで,携帯電話基地局における動体データ,スマートフォンアプリケーションを用いた動体データ,および,SNSデータ等の性質などを紹介する。次に,観光庁の訪日外客の動態調査で行われた分析事例を紹介する。加えて,分析における問題も指摘する。さらに,目的地性指標を用いた動体データの分析結果を示し,人間の行動モデルの一つであるLevy Flightモデルと一致することを紹介する。
著者
桐山 勉 藤城 享 栗原 健一 川島 順 長谷川 正好 渡邊 彩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.131-136, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

2010 年頃から AI 第三ブームが起こり、特に特許情報業界においても 2015 年秋頃からこの 2 年間で AI に関する注目は急激に加速された。 2017 年に入ると囲碁と将棋において AI が人間の TOP を破り、AI が神業の様だとも言われるようになった。囲碁と将棋の世界では AI が自己対戦を繰り返し、人間なら1000 年以上も掛かる経験を短期間で演習疑似体験して自己啓発をしている。 医療分野ではパラリンピック選手が最先端医療によりEnhanced Humane になり活躍している。これと似たような現象として Enhanced & Augmented Intellectual Property Information Scientist with AI になることを目標とした。AI に関して、Level-1~5の仮目標を設定した。一気に Level-5 に到達することは現実的に難しいので、3~5 年の短期計画と 10 年の中長期計画を仮作成し、3 年計画の研究を開始した。 現在では、深層学習がオープンリソースとして公開されるようになった。 そこで、コンピューター言語の Python を習得した。一方、AI を活用した特許検索システムの利用から始め、疑似体験を行った。初年度として、検索競技大会 2016 の化学・医薬分野の問 2 を「Semantic Search +AI」を活用して、検証した。この研究は PDG 部会の活動として中間発表を行う。