著者
上原 健太郎
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.47-66, 2014
被引用文献数
3

<p> 若者の「学校から職業へ」の移行過程をネットワークという視点から論じてきた研究は,ネットワークが若者を支える一方で,そのネットワークの閉鎖性・限定性が若者を職業達成から遠ざけることを強調してきた.こうした機能主義的な説明からは,限られた条件内で若者がいかにしてネットワークを活用し,その創造を図るのかという課題が導出される。<BR> 本稿は,ノンエリート青年という視角から,若者を主体的な存在として位置づけることで上記の課題に取り組んだ。具体的には,沖縄で居酒屋を経営する若者集団の経営実践を記述した。明らかになったことは,(1)地縁・血縁ネットワークを活用して居酒屋をオープンし,(2)そのネットワークはオープン後も活用され,(3)また,イベントの開催などを通じて職縁・客縁ネットワークを創造する側面であった。(4)そして,地縁・血縁・職縁・客縁ネットワークは,かれらの日々の働きかけによって維持されていた。<BR> 以上,若者を主体的な存在として位置づけることで浮かび上がってきたのは,ネットワークを資源化・重層化させながら,職業達成に向けて合理的に取り組む若者たちの姿である。本稿の意義は,従来の研究が看過してきたそれらの側面を実証的に示し,機能主義的説明の問題点を指摘した点にある。</p>
著者
木庭 顕 両角 吉晃 松原 健太郎 原田 央 桑原 朝子 森田 果 金子 敬明 加毛 明 滝澤 紗矢子 岩原 紳作 神作 裕之 太田 匡彦 齋藤 哲志 川村 力
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近代のヨーロッパ・アメリカのみならずギリシャ・ローマ、イスラム、中国、日本の専門家が借財・土地担保・金融等々の社会史的分析をもちより、同時にこれらを(同じく歴史的に多様な)法的な枠組との間の緊張関係にもたらした。そしてそれらをめぐって比較の観点から激しい討論を行った。その結果、現代の信用問題を見る眼と信用問題の歴史を見る眼が共有する或る視座の限界が明らかになった。これは新しい視座の構築方向を示唆する。
著者
相原 健志
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 言語・文化・コミュニケーション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.49, pp.1-15, 2017

序1. 「存在論的転回」の焦点 : 概念創造2. 概念創造の条件3. 概念「創造」という問題 : 主体の弱さから4. 結論と展望
著者
梶原 健嗣
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.1-30, 2021-12-01 (Released:2023-08-22)

水道条例の研究では,その制定の経緯から,公衆衛生と市町村経営原則に焦点を当てた研究が多くなされてきた。しかし,そうした研究の視角では,1911年,1913年の水道条例改正あたりまでしかカバーされず,戦後復興期,高度経済成長期と並ぶ「水道の隆盛期」である大正期以降が視野に入らない。この時期は,水道事業の「脱衛生化」が進むとともに,水道が地方利益化していった時代である。その大正期以降,水道条例の改正論が沸き起こる。改正論は上水協議会とその後継団体・水道協会がリードし,戦後の水道条例改正案も水道協会がリードした。 水道条例では明治初期の公衆衛生問題が,水道法ではその直前の閣議決定の重要性が強調されるあまり,その間の四半世紀の動きが軽視されがちである。 本研究は,その四半世紀にも焦点をあて,水道行政の2つの基本法を中心に,近代水道行政の歩みを考察するものである。
著者
日本PDA製薬学会 電子記録・電子署名(ERES)委員会 データインテグリティ分科会 DI対応進め隊 阿部 いくみ 永田 久雄 荻原 健一 橋本 勝弘 加藤 尚志 橋本 剣一 杉浦 明子 普天間 竜治 高橋 潤 政井 宣興 武田 幸雄 櫻井 國幸 谷川 誠 前田 豊
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.10-22, 2022 (Released:2022-06-22)
参考文献数
6

Although the regulatory requirements for data integrity are appropriately described in the relevant guidelines, the question can naturally be raised on how to afford the industry for their implementation. Hereof, it is worth advancing some proposals for concrete measures of data integrity remediation so that the industry could enforce the compliance without ambiguity in the above regulation specified by the authorities. In this study, we will introduce practical methods for time adjustment, hybrid, and audit trail review in the perspective of data integrity and attempt to share best practices for regulatory compliance regarding data integrity. The study will also detail all the points of time adjustment, hybrid, and audit trail review described at the “DI Remediation Practical Seminar” held in July 2021.
著者
羽石 英里 河原 英紀 岸本 宏子 竹本 浩典 細川 久美子 榊原 健一 新美 成二 萩原 かおり 齋藤 毅 藤村 靖 本多 清志 城本 修 北村 達也 八尋 久仁代 中巻 寛子 エリクソン ドナ
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歌手は自らの身体が楽器であるため、歌唱にかかわる諸器官の動きを視認することができない。本研究では、歌手の身体感覚と実際の現象との対応関係を検証することを目的として、歌手へのインタビューを行い、歌唱技術の要とされる横隔膜の動きを実時間での磁気共鳴画像法(MRI動画)を用いて可視化した。その結果、プロ歌手の制御された横隔膜の動きが観察され、その現象が歌手の主観的な身体感覚の説明とも一致することが明らかになった。また、声道や舌の形状、ヴィブラートにも歌唱技術を反映すると思われる特性がみられた。本研究で提案されたMRIによる撮像法と分析法は、歌唱技術を解明する上で有用な手段のひとつとなりうるであろう。
著者
鈴木 公啓 菅原 健介 完甘 直隆 五藤 睦子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.113-127, 2010-02-20 (Released:2016-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本論文では,見えない衣服である下着の関心の実態と背景にある心理について,下着に対する“こだわり''の観点から明らかにすることを目的とした.研究1では,下着に対するユーザの意識,特に,求める心理的機能の実態を明らかにし,その世代間の違いを検討した.結果,現代女性の比較的幅広い年代(18~59歳)において,下着への強く多様なこだわりが見られることが明らかになった.特に,若い世代は異性との交流場面でこだわりが強いが,決して異性に対する直接的な効果ばかりではなく,自分自身に対する効果を意識していることが示された.研究2では,お気に入りの下着に対する意識を調査し,下着へのこだわりの背景にある心理について明らかにすることを目的とした.その際には,心理的機能がどのような場面,目的で期待されているのか,心理的機能は下着の何が作り出しているのか,心理的機能を期待する背景にどのような欲求や個人要因が関与しているのかについて検討し,下着のこだわりの背景にある心理的機能について,新たな側面から明らかにすることを目的とした.さらに,下着のこだわりの心理モデル構築を目指した.結果,モデルは支持され,下着にも心理的な機能があり,その機能への期待が,下着へのこだわりに結びついているということが明らかになった.中でも,気合いの効果が極めて重要であり,様々な場面でのベースとなっていることが確認された.このことから,幅広い年代の女性が,日常生活において直面する様々な場面において,その場面に取り組み課題を達成するための心理的資源を得るために,それに合わせたお気に入りの下着を選択して着用していることが明らかになったといえる.
著者
藤原 健 伊藤 雄一 高嶋 和毅 續 毅海 増山 昌樹 尾上 孝雄
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.si4-4, (Released:2018-09-08)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究は,演奏者の重心・重量を用いた演奏連携度の評価を通じて,小集団相互作用における動態をシンクロニーの視点から明らかにすることを目的とする。そのために,プロの演奏者によるコンサート時の合奏場面を対象に情報科学技術を用いて演奏連携度を算出し,これを社会心理学的手法により評価した。具体的には,椅子型センシングデバイスを用いて演奏者の重心移動・重量変化を取得することで身体全体の動きを時系列データとして検出し,短時間フーリエ変換を適用することで時系列振幅スペクトルデータを得た。これについて全演奏者の時系列スペクトルデータを乗算することで演奏連携度を算出した。この演奏連携度についてサロゲート法を用いることで,演奏者間に偶然以上の連携が生じていたことを明らかにした。さらに,コンサート時に取得していた音源を一般の大学生に提示した結果,一部の楽曲において演奏連携度の高い演奏が肯定的な評価を得ることを確認した。行動の同時性や同期性を扱うシンクロニー研究の多くは二者間の相互作用を対象としたものが多い中で,情報科学の技術を導入することで小集団における相互作用ダイナミックスが精緻に測定・検討可能になった点は異分野協同における成果であるといえる。
著者
中原 健一 島田 史也 宮崎 邦洋 関根 正之 大澤 昇平 大島 眞 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

株式市場における売買審査業務をより効率的かつ合理的に行うために,定量的に見せ玉を検知する手法を提案する.本手法においては,教師ラベルを使用せずに相場操縦行為中に見られる不自然な取引履歴を発見するため,密度比推定による異常検知手法を用いた.東京証券取引所の上場銘柄の中より無作為に選択され,専門家チームによってラベル付けされた118 件の半日単位の一銘柄取引履歴による検証結果によると,見せ玉が疑われる事例の80%は,モデルが予測した異常度順にソートした事例の上位50%に含まれ,実務で使用されている単純な規則によるスクリーニングの結果と比較して更なる精緻化が達成できていることが示された.
著者
伊藤 隆 菅生 昌高 千々岩 武陽 仙田 晶子 王子 剛 海老澤 茂 大川原 健
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.299-307, 2010 (Released:2010-09-07)
参考文献数
14
被引用文献数
9 10

患者2530例に対する随証漢方治療の副作用を調査した。503例に569件の味の苦情を含む副作用がみられた。甘草含有方剤は2139例に投与され64例(3.0%)に副作用を認めた。年齢は63.4±13.8歳で全体の54.9±18.1歳より高かった。診断の契機となった症候は,血圧上昇45例,浮腫16例であり,低カリウム血症は5例と少なかった。甘草投与量は,34例にはエキスで2.0±1.0(Mean±SD)g/日,29例には煎薬で2.2±1.1g/日であった。両群の投与期間と回復期間に差はなかった。黄芩含有方剤は1328例に投与され13例(1.0%)で肝機能障害を認めた。黄芩は7例にはエキスで2.3±0.5g/日,6例には煎薬で2.8±0.8g/日が投与されていた。投与期間に有意差はなかったが,回復期間はエキス群69.0±52.5日が,煎薬群22.7±16.0日より長かった。副作用例の大部分で初診時の症状の改善は得ており,当初は証に合っていたと思われる。随証治療においても注意する必要がある。
著者
柏原 健一
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.151-154, 2017 (Released:2017-10-14)
参考文献数
23

Patients with Parkinson's disease (PD) may have impulsive–compulsive behaviors, such as impulse control disorder (ICD), dopamine dysregulation syndrome(DDS), and punding. ICD is a disorder characterized by impulsivity, i.e., a failure to resist temptation, urges, or impulses that may harm oneself or others. The ICDs frequently observed in patients with PD include pathological gambling, hypersexuality, binge eating, and compulsive shopping. Punding is a complex, prolonged, purposeless, and stereotyped behavior. The risk factors for developing such behaviors include a younger age of onset of PD and impulsive or novelty seeking characteristics. ICD may also be caused by dopamine agonists, with a higher risk associated with the dopamine D3 receptor subtype. Since behavioral disorders destroy the quality of life of patients with PD and their caregivers, early detection and appropriate management of symptoms are required. Changing or ceasing the use of dopamine agonists is recommended for improving ICD. In order to manage DDS, an improvement of “off” period is required, as well as limiting extra dosing of levodopa.
著者
阿部 利徳 氏家 隆光 笹原 健夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.172-176, 2004-03-15
被引用文献数
5 11

エダマメ9品種および普通大豆5品種を用いて,開花後35日の未熟子実の遊離アミノ酸含量および糖含量の品種間差異,およびこれらの成分がゆで操作により加熱した場合にどのように変化するかを調べた.未熟子実の全遊離アミノ酸含量には顕著な品種間差異が認められた.おいしいエダマメとして知られている白山ダダチャは全遊離アミノ酸は新鮮重1g当たり,11mg含有し,最も多く,含量の少ない品種の約3倍量含有していた.遊離アミノ酸の中で,特に呈味性アミノ酸のグルタミン酸,アスパラギンおよびアラニン含量が多く,この3種の遊離アミノ酸で全遊離アミノ酸の約50%を占めた.白山ダダチャの他,サッポロミドリ,青ばた,かほりが比較的高く,その他のエダマメ品種や普通大豆品種は低い含量であった.また,3分間煮沸水中でゆでた場合,多くのアミノ酸は含量がやや減少した.平均して全遊離アミノ酸は74%に減少した.全糖およびショ糖含量の品種間差異をみると,白山ダダチャが最も多く,新鮮重1g当たり全糖で約47mg,ショ糖では約30mg含有していた.白山ダダチャに次いで,青ばたと秘伝が多く含有していた.3分間煮沸水中でゆでた後のショ糖含量の増減は認められなかったが,全糖含量は平均して1.5倍に増加した.
著者
児玉 謙太郎 岡﨑 俊太郎 藤原 健 清水 大地
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.593-608, 2021-12-01 (Released:2021-12-15)
参考文献数
119

This review article addresses behavioral synchronization between people, which is widely observed in daily communication. In particular, researchers have investigated the social function, cognitive processes, and mechanisms of behavioral synchronization from various perspectives. It is suggested that behavioral synchronization is one of the bases of human communication. However, researchers face difficulties in providing an overview of research on synchronization because previous studies have covered a broad range of topics. Furthermore, these studies have been subdivided and often include their own individually developed theories and methodologies. We categorized a vast range of existing literature into three research approaches to review synchronization studies and related research topics: 1) the social psychology approach, focusing on social factors and effects, 2) the cognitive approach, based on shared representation and predictive mechanisms, and 3) the dynamical systems approach, derived from the self-organization theory. We discuss their commonalities, differences, and mutual connectivity while considering the future direction of synchronization studies.
著者
大橋 嘉樹 柳生 隆視 加護野 洋二 斎藤 直巳 延原 健二 木下 利彦 岡島 詳泰 斎藤 正己
出版者
関西医科大学医学会
雑誌
関西医科大学雑誌 (ISSN:00228400)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.146-149, 1990-06-20 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

In this communication, the present authors have studied on a case of the submissive female partner of induced psychosis, of which her lover was the dominant partner and she developed an identical psychophathology to the partner after having been influenced by his psychotic state.The dominant partner (proband) was 21-year-old male student and he had some delusions of possession, that he was possessed by fox and ox, with ideas of persecution, and he was involved in religious activities. He was suspected as paranoid type of schizophrenia in the psychiatric interview, but the diagnosis was not confirmed because he refused to take either further examinations or psychological testings.The submissive partner, who was a 21- year-old female and working in an insurance company, at first made a tout resistance to his delusional ideas, but she was gradually influenced by her lover's psychotic state, particularly after she became interested in spiritual phenomina. Finally she became to share the delusions and the common ideas with him after their cohabitation for several days. The cohabitation was forcibly discontinued by her father, and she was seperated from him, but her state of possession remained unchanged therafter until her emergency admission to our university hospital. Almost complete remission from her psychotic state was after two months' treatment in our inpatient ward.In the present case, the persistent repetitions of unitary spiritual idea by the dominant partner and the entire dependence due to love relationship of the submissive partner appear to be the most important factors for induction of the psychotic state. Recently, spiritual phenomena have come into nation-wide fashion and a large number of people seem to have special interests in the spiritual world etc., so that the possible prevalence of "spiritually"induced psychoses including folie A deux might be expected more frequently among adolescence in particular.