著者
水野 貴秀 川原 康介 山田 和彦
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.250-256, 2012-07-05

小惑星探査機「はやぶさ」は小惑星イトカワとの往復を果たして,2010年6月13日,オーストラリアウーメラ砂漠に帰還した.小惑星表面の貴重なサンプルが入った再突入カプセルは,大気圏突入後,再突入カプセルが発するUHFビーコン信号を追跡するビーコン追跡システムによって捕捉追尾され,再突入後約1時間で発見された.ビーコン追跡システムは地上4箇所に設置された簡素な電波方向探査局とヘリコプターで構成された柔軟性の高いシステムで,「はやぶさ」プロジェクトでの再突入カプセルの回収成功により,重量リソースの少ない数十kgクラスの小型再突入カプセルの回収手法として,本システムが有効であることが実証された.本報告は,カプセル回収に用いられたビーコン追跡システムを紹介し,電波方向探査局の配置やヘリコプターによる捜索等の運用結果について解説している.
著者
伊藤 詩乃 田中 佑岳 狩野 芳伸 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.AI30-G_1-9, 2016-11-01 (Released:2016-11-22)
参考文献数
22

In recent years, the digitization of medical and health data including clinical data, health diagnostic data, medication log data have been made rapidly. One potential application using electronic medical and health information is to develop a system to make a medical diagnosis according to the contents recorded in the electronic medical data and the appropriate patient information. The task of understanding the condition of the patient and making precisely the diagnosis is hard to be automated and requires the high degree of expertise. Toward a final goal to construct a medical diagnostic support system, as its pilot study, we attempt to build a question-answering program that automatically answers the medical licensing examination. The national medical licensing examination is the form of multiple-choice test and contains a wide variety of problems. There is a type of problems to answer the appropriate disease name among multiple choices given the patient information and test results as a problem statement. We aimed to develop the program to answer this type of questions. By the development of such question-answering program that automatically answers the medical licensing examination, we revealed the fundamental issues and essential difficulties in the information processing of the medical data, and finally constructed the foundation for conducting disease diagnosis support with patient information. In this paper, we developed a question-answering program and actually performed the answering for some problems in 107th and 108th out of national medical licensing examination. We carefully examined and analyzed the results and problems that could be answered correctly and problems that were given incorrect answers, and proposed the improvements to build a more accurate program.
著者
坂本 信道 西村 慎太郎 三ツ松 誠 鈴木 喬 柏原 康人 小山 順子 中川 博夫 小林 健二 三野 行徳 有澤 知世 恋田 知子 荒木 優也 太田 尚宏
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.50, pp.1-16, 2018-01-24

●メッセージ平安時代人の散歩――国際化と辞書――●研究ノート明治27年の長塚村大字渋川の人びと――原発事故帰還困難区域の歴史資料を読む――平田国学と和歌●書評ブックレット〈書物をひらく〉2入口敦志著『漢字・カタカナ・ひらがな 表記の思想』ブックレット〈書物をひらく〉5恋田知子著『異界へいざなう女 絵巻・奈良絵本をひもとく』●トピックス「ないじぇる芸術共創ラボ NIJL Arts Initiative」について第10回日本古典文学学術賞受賞者発表第10回日本古典文学学術賞選考講評バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書群の調査と活用 ローマでのくずし字講座と講演会の開催について大学共同利用機関シンポジウム2017 「研究者に会いに行こう!――大学共同利用機関博覧会――」平成29年度「古典の日」講演会第41回国際日本文学研究集会総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況●表紙絵資料紹介武蔵国多摩郡連光寺村富沢家文書「諸用扣(留)」
著者
森下 雄太 宮地 利明 上田 丞政 清水 満 濱口 隆史 藤原 康博 林 弘之
出版者
日本放射線技術学会 = Japanese Society of Radiological Technology
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 = RADIOLOGICAL TECHNOLOGY (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.587-590, 2008-05-20
参考文献数
13
被引用文献数
2

The purpose of our study was to assess the mechanical effect on tattoo seals and eye makeup caused by a spatial magnetic gradient in the magnetic resonance imaging (MRI) system. Seven kinds of tattoo seals and three kinds of eye makeup, i.e., mascara, eye shadow, and eyeliner were used. On a 3.0-Tesla MRI, we determined these deflection angles according to a method established by the American Society for Testing and Materials (ASTM) at the position that produced the greatest magnetically induced deflection. Eighty-five percent of the tattoo seals showed deflection angles greater than 45 degrees of the ASTM guidelines, and the mascara and eye shadow showed over 40 degrees. This was because these contained ferromagnetic pigments such as an iron oxide, but those translational forces were very small owing to slight mass. However, it is desirable that these should be removed before MRI examination to prevent secondary problems.
著者
松多 信尚 杉戸 信彦 後藤 秀昭 石黒 聡士 中田 高 渡辺 満久 宇根 寛 田村 賢哉 熊原 康博 堀 和明 廣内 大助 海津 正倫 碓井 照子 鈴木 康弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.214-224, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

広域災害のマッピングは災害直後の日本地理学会の貢献のあり方のひとつとして重要である.日本地理学会災害対応本部は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震直後に空中写真の詳細な実体視判読を行い,救援活動や復興計画の策定に資する津波被災マップを迅速に作成・公開した.このマップは実体視判読による津波の空間的挙動を考慮した精査,浸水範囲だけでなく激甚被災地域を特記,シームレスなweb公開を早期に実現した点に特徴があり,産学官民のさまざまな分野で利用された.作成を通じ得られた教訓は,(1)津波被災確認においては,地面が乾く前の被災直後の空中写真撮影の重要性と (2)クロスチェック可能な写真判読体制のほか,データ管理者・GIS数値情報化担当者・web掲載作業者間の役割分担の体制構築,地図情報の法的利用等,保証できる精度の範囲を超えた誤った情報利用が行われないようにするための対応体制の重要性である.
著者
海原 康孝 天野 秀昭 三浦 一生 長坂 信夫 石田 房枝
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.695-699, 1999-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1

うつぶせ寝育児が顎顔面歯列の形態や咬合に与える影響について,歯科的検討が行われている。本研究では側貌頭部エックス線規格写真分析により,乳児期にうつぶせ寝で育てられた小児の乳歯列期における顎顔面形態について検討し,日本小児歯科学会の標準値と比較した結果,以下のような傾向が認められた。1)男子はS-Nが大きい傾向が認められ,女子はS-N,N-Me,A'-Ptmが大きい値を示した。2)Facial angleが小さく,Y-axisが大きい傾向が認められた。3)プロフィログラムからは,特に男子において下顎の後退傾向が認められた。以上より,うつぶせ寝で育てられた小児の顎顔面形態は,前脳頭蓋底および顔面高さが長く,下顎が後退する傾向が認められた。
著者
宮田 翔平 赤司 泰義 林 鍾衍 呉 楊駿 田中 勝彦 田中 覚 桑原 康浩
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.257, pp.11-20, 2018-08-05 (Released:2019-08-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

建築物の熱源システムにおいて,設計性能を発揮できなくなる要因である不具合を明らかにする不具合検知・診断は非常に重要である。本研究は物理モデルと機械学習により熱源システムの不具合検知・診断を行うことを目的とする。本報では未知の不具合を有する熱源システムを対象として,機械学習の一手法である畳み込みニューラルネットワークによる不具合検知・診断を試みた。そのための学習・テストデータとしては,該当システムに対する詳細なシミュレーションにより 6 種類の不具合状態を再現し,適切なラベルをもつように作成されたデータベースを利用した。十分な学習データ量を用いることで高い精度で検知・診断できることを確認した。
著者
松原 康介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.945-952, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
22

シリア第二の都市アレッポは、アレッポ城を中心にヘレニズム時代のグリッド型街路とイスラーム時代の稠密な街路網が複合して形成された旧市街を擁する。2011年以降の内戦による被害が大きいアレッポでは、戦後復興にあたって日本等の国際協力に基づく都市計画が必要とされることが期待されている。本研究では、た日本人計画家・番匠谷堯二が中心となって策定された1973年の「アレッポ旧市街空間整備計画」の計画思想と計画技術、方法論を計画図書及び関連資料から明らかにした上で、計画図と古地図との比較による妥当性を検証し、本計画の計画論的特徴を明らかにすることを目的とする。2章では、番匠谷の参画など、本計画の歴史的経緯を既往研究も踏まえて明らかにする。3章では、本計画の主要な一次資料である雑誌記事「アレッポ旧市街空間整備計画」の全テキスト・図版を対象に内容の注釈を行い計画的特徴を明らかにする。4章では、注釈から見いだされた特徴の一つである「進化型計画」の、番匠谷のそれまでの計画論との関連を議論する。5章では、主として計画図を当時の旧市街地図と対比する作業を通じて、本計画の妥当性を明らかにする。。
著者
水野 貴秀 川原 康介 山田 和彦
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.250-256, 2012-07-05 (Released:2017-12-27)
被引用文献数
2

小惑星探査機「はやぶさ」は小惑星イトカワとの往復を果たして,2010年6月13日,オーストラリアウーメラ砂漠に帰還した.小惑星表面の貴重なサンプルが入った再突入カプセルは,大気圏突入後,再突入カプセルが発するUHFビーコン信号を追跡するビーコン追跡システムによって捕捉追尾され,再突入後約1時間で発見された.ビーコン追跡システムは地上4箇所に設置された簡素な電波方向探査局とヘリコプターで構成された柔軟性の高いシステムで,「はやぶさ」プロジェクトでの再突入カプセルの回収成功により,重量リソースの少ない数十kgクラスの小型再突入カプセルの回収手法として,本システムが有効であることが実証された.本報告は,カプセル回収に用いられたビーコン追跡システムを紹介し,電波方向探査局の配置やヘリコプターによる捜索等の運用結果について解説している.
著者
森下 雄太 宮地 利明 上田 丞政 清水 満 濱口 隆史 藤原 康博 林 弘之
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.587-590, 2008-05-20 (Released:2008-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

The purpose of our study was to assess the mechanical effect on tattoo seals and eye makeup caused by a spatial magnetic gradient in the magnetic resonance imaging (MRI) system. Seven kinds of tattoo seals and three kinds of eye makeup, i.e., mascara, eye shadow, and eyeliner were used. On a 3.0-Tesla MRI, we determined these deflection angles according to a method established by the American Society for Testing and Materials (ASTM) at the position that produced the greatest magnetically induced deflection. Eighty-five percent of the tattoo seals showed deflection angles greater than 45 degrees of the ASTM guidelines, and the mascara and eye shadow showed over 40 degrees. This was because these contained ferromagnetic pigments such as an iron oxide, but those translational forces were very small owing to slight mass. However, it is desirable that these should be removed before MRI examination to prevent secondary problems.
著者
藤原 康宏 大西 仁 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-134, 2007
被引用文献数
7

近年の教育評価の研究では,学習の場面と独立した評価ではなく,学習の場面に埋め込まれた評価が試みられている.その方法の1つとして,学習者同士が評価を行うことが有用であることが知られている.相互に学習コミュニティメンバー全員の評価をすることは,メンバーの人数が多くなるにつれて困難になるため,評価すべき相手を選択する必要が生じる.その選択方法を考えるために,評価する学習者が,評価対象となっている学習者からも評価されるか否かにより評価が変化するかについて実験を行った.その結果,お互いに評価しあう方が甘い評価を行う傾向があり(「お互い様効果」),お互いに評価しあわない方が教員の行った評価に近いことが分かった.そこで「お互い様効果」を除去し合理的に評価すべき相手を選択し,相互評価を容易に実施できるツールを開発し,その評価を行った.学生と教員による評価の結果,相互評価をさせる場合に有効であることがわかった.
著者
上原 康雄
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14, 2004-12-24

2001年からデジタルハイビジョン放送が開始された。デジタルハイビジョンは縦横比(16 : 9)の安定したフレーム、高画質、高音質、マルチ画面、双方向、データ放送など多機能なメディアである。この方式は現行のテレビでの視聴覚体験や映像表現の技法を根本から変えはじめている。大画面の迫力ある映像、CD並みの優れた音質は臨場感にあふれている。技術的には画質、音質とも劣化がなく、CGとの合成もしやすく、映画などでも幅広く活用されている。私はNHKにおいて、デジタルハイビジョン・大河ドラマ「北条時宗」のTD(技術責任者)を担当した。この経験をふまえ、作品制作の意義およびハイビジョン制作での課題を考察する。
著者
榊原 康文 伊藤 詩乃 田中 佑岳 佐藤 健吾 洪 繁 狩野 芳伸 Yasubumi Sakakibara Shino Ito Yugaku Tanaka Kengo Sato Shigeru Ko Yoshinobu Kano
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

Toward a final goal to construct a medical diagnostic support system, as its pilot study, we attempt to build a question-answering program that automatically answers the medical licensing examination.
著者
田代 和浩 川村 隆浩 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_58-3_69, 2014-07-25 (Released:2014-09-25)

近年,多数のアイドルグループが人気を博しており,知名度や社会での影響力が大きくなっている.それに伴い,これらのアイドルの画像をポーズごとに分類し,鑑賞したいというニーズがアイドルファン内で高まっている.本研究は,アイドルのポーズを分析し,ユーザーに代わって分類してくれるエージェントを提案する.提案手法は大きくポーズ推定とポーズ分類の2つの処理に分かれている.ポーズ推定によって取得できる画像内人物の体のパーツ位置情報を特徴ベクトルとし,ポーズ分類によって8つのクラスへと画像を分類する.ポーズ分類の際,分類精度をより高めるため,Human Pose Guide Ontology(HPGO)を提案する.HPGOは人体構造に関する制約条件を内包し,ポーズ推定で得られた体のパーツ位置情報に補正を加えることで,分類精度を高める働きをする.評価実験により,提案手法の有用性を示し,実験結果について考察を行う.
著者
福永 晃太 藤原 康博 圓崎 将大 小味 昌憲 平井 俊範 東 美菜子
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
pp.2023-1378, (Released:2023-08-07)
参考文献数
24

【目的】Voxel-based quantification (VBQ) smoothingは,Montreal Neurological Institute標準空間上の定量画像に対する平滑化方法の一つである.VBQ smoothingは,組織境界の定量値の変化を抑制する特徴をもつが,脳の緩和時間マップに適用する際に緩和時間の変化をどの程度抑制できるかは明らかになっていない.本研究の目的は,緩和時間マップに対するVBQ smoothingの有用性を明らかにすることである.【方法】健常者20名を対象に2D multi-dynamic multi-echo sequenceを用いて脳を撮像し,緩和時間(T1値,T2値,プロトン密度)画像を取得した.緩和時間マップのカーネルサイズを1から6 mmまで変化させてVBQ smoothingとGaussian smoothingを適用し,脳組織を対象に平滑化後の緩和時間の変化を評価した.【結果】VBQ smoothingを適用した緩和時間マップは,Gaussian smoothingと比較して平滑化による緩和時間の変化が小さかった.また,カーネルサイズの増加に伴う緩和時間の変化は,Gaussian smoothingと比較して小さかった.そのため,VBQ smoothingは,緩和時間マップに対して平滑化を行う場合,Gaussian smoothingよりも緩和時間の変化を小さくできることが示された.【結語】VBQ smoothingは,平滑化による緩和時間の変化を抑制でき,緩和時間マップに対して有用な平滑化方法である.特に緩和時間が大きく異なる組織が隣接する領域で有用性が高い.
著者
小泉 昂也 折原 良平 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦 Takaya KOIZUMI Ryohei ORIHARA Yuichi SEI Yasuyuki TAHARA Akihiko OHSUGA
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.9, pp.1363-1371, 2018-09-01

人や企業は様々な条件下で最適な行動を取るのだろうか.取らないのであればそれはなぜか.その原因を求めることは,実際の個人・企業等の理解を大きく助ける.また,ゲーム理論はスポーツや経済学そしてその他の社会科学の理解に大きく関わってきた.本研究は比較的データが集めやすく混合戦略を適用できるサッカーのPK戦に注目し,独自の確率を考慮した利得表を作成した.その利得表を用いてPK戦におけるキッカーの最適戦略を求め,最適戦略と実際の戦略とのズレを明らかにした.そのズレの原因を求める為にデータセット内の各データ項目についての確率分布を比較するというアプローチをした.データはインターネット動画サイトより収集した,プロ選手による2001年〜2017年の間の世界各国のPK戦150試合(計1539人分)を使用した.実験結果として,最適戦略と実際の戦略との間にズレが存在することが分かった.またそのズレには国籍・スコア差の関与が示唆された.その結果から,サッカーPK戦における最適戦略と実際の戦略との間におけるズレの原因を推定した.本手法はスポーツ分野以外への応用も期待できる.
著者
伊藤 創 仲 潔 岩男 考哲 藤原 康弘
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、構文レベルにおける日・英語の事態描写の違いに焦点をあて、日本語を母語とする英語学習者が、母語での事態描写のあり方に即した形で英語表現を構成できるような、より自然で低負担、効率的な英語学習法を提案しようとするものである。そのために、学習者・教科書データ、英語・国語教科書・教材の分析から、1)日本語母語話者の英語に見られる構文的な特徴、2)それらが日本語のどのような事態把握・描写に基づいているか、3)どのような過程でその描写の「型」が形成されるのか、を明らかにする。その上で、4)日本語母語話者の事態把握の型を生かした形で英語表現が産出できるような教材試案を作成、その効果検証を行う。