著者
三和 治 平岡 公一 松原 康雄 小林 捷哉 遠藤 興一 濱野 一郎
出版者
明治学院大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、高齢化社会の進行に伴ない今後、一層、必要とされるであろう在宅サービスを中心とする社会福祉供給システムにおいて、福祉行政機関とりわけ福祉事務所が、どのような組織機構をもち、またどのような運営方針の下に日常業務を遂行し、他の行政機関や民間社会福祉組織・団体などとどのように協力連携しているのか、また福祉事務所の現業員等の職員の専門性の水準がどの程度であり、その職員の行う援助活動にどのような問題があるのか、などを課題に、それらの状態、問題の把握と要因を実証的に調査研究し、それらへの対応に資することを目的に設定され実施された。わが国社会福祉行政機関の中核を占める福祉事務所の動向は、文献資料、現地調査によって、全体的に依然、社会福祉行政の重要部分を占めているものの、生活保護中心のもの、6法担当のものなどと多様化を示し、名称も同様に多様化している。専門性の指標としての社会福祉主事資格の取得率も停滞傾向を示している。所の運営方針も上級庁のそれによっている場合が多いように見られている。福祉事務所改革を行った岡山県、青森県、新潟県の各福祉事務所或いは福祉部門及び社会変動の激しい千葉県、市福祉事務所現業員を対象とした現業員の意識調査は、福祉事務所活動を現業員の立場からみようとしたものであるが、現業員の専門性に関わる意識、資格取得率に県、市による差が見られ、これらの関連性は今后の検討課題として残された。また福祉処遇についても県、地域による差があるが、それが現業員の状況に依拠するか、どうかは尚、慎重に例えば事例研究などを開いて検討したい課題である。福祉事務所改革は、積極的な意図、管轄地区の人変動などによる影響も少なくないなど単純ではない。それらは今後、他の地方自治体を対象として検証を要する課題としたい。
著者
松原 康介
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、シリア内戦によって多大な戦災を受けた歴史都市アレッポを対象に、その戦災状況を把握し、これまでの日本の都市計画協力の実績を踏まえて、戦後の復興計画のための実践的な策定体制を構築し、大型案件への接続を目指したものである。戦災状況は、中東都市多層ベースマップシステムを活用し、現地からの情報提供に基づき明らかにした。また、アレッポ及びベイルートやハマー等の復興計画史から保全と近代化のバランスのとれた計画論の必要性を明らかにした。更に、JICAダマスカスプロジェクトの経験、日本の復興計画の実態調査、シリア人大学院生の教育活動、各支援者・団体との意見交換等を通じて復興計画原案の策定体制を整えた。
著者
萩原 康子 西田 昌司 Yasuko HAGIHARA Masashi NISHIDA
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.33-50, 2013-06-20

女性ホルモンのエストロゲンの増減が引き起こす皮膚の変化として、表皮の再生能力(ターンオーバー)の変化が挙げられる。従来、エストロゲンが増加すると皮膚細胞の増殖が促進し、ターンオーバーが早まると考えられてきた。しかし、皮膚のターンオーバーは、基底層での細胞増殖、有棘層でのケラチン(K10)合成、顆粒層での細胞死(アポトーシスとネクローシス)、角質層での蛋白分解酵素(KLK8)による切断というように、表皮を作る各細胞層に特徴的な分子機構が存在しているにもかかわらず、細胞増殖以外に及ぼすエストロゲンの効果については解明されていなかった。そこで、エストロゲンが表皮ターンオーバーにどのように関与するかを調べるため、胎児ラット表皮由来細胞株で作成した培養モデルにおいて、代表的なエストロゲンである17βエストラジオールが、ターンオーバーの各過程にどのような影響を及ぼすかを検討した。17βエストラジオールは、培養表皮細胞の細胞増殖とK10合成、細胞死、KLK8活性の何れをも促進した。またエストロゲン受容体阻害剤ICI182780を添加すると、17βエストラジオールによって促進した細胞増殖とアポトーシス、KLK8活性が抑制されたことより、これらの過程は細胞内のエストロゲン受容体を介して起こって居ることが明らかとなった。さらには植物エストロゲンであるイソフラボン類のダイゼインを用いて同様の検討を行ったところ、細胞増殖とアポトーシス、KLK8活性が促進されることも確認できた。これらの知見を総合すると、女性ホルモンが表皮細胞の生成、成熟、剥離のいずれにおいても重要な役割を果たし、表皮ターンオーバーの促進に関与していることが明らかになった。また、ダイゼインがエストロゲンと類似の効果を示したことにより、イソフラボンを含む食事を摂取することによって、閉経時における女性ホルモンの減少を補充することが出来る可能性が示唆された。
著者
石原 康宏
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

化学物質の中には、胎児期に曝露すると成長後の行動異常を引き起こすものがあることが分かっている。着目すべきは、これら化学物質の多くがエピゲノムに影響し得ることである。また、脳内の免疫細胞であるミクログリアがスパインやシナプスの貪食を介して発達期の神経回路網の形成に関わることが明らかになりつつあり、ミクログリアと行動異常との関連が議論されている。これらの背景から、本研究では、『化学物質はミクログリアの遺伝子発現を長期的に変化させ、その結果ミクログリアが活性化し、異常な神経回路網が形成される』との仮説を検証する。本年度は試験物質として、まず、胎児期の曝露によりヒトおよび実験動物(マウス、ラット)で成長後の行動異常が確認されているバルプロ酸を使用する。妊娠マウスをバルプロ酸に曝露させたところ、成長後の仔の空間認知機能と社会相互作用が低下し、反復行動を示した。バルプロ酸の胎児期曝露は、発達期のミクログリアを過剰に活性化し、シナプス数を減少させた。このシナプス数の減少は一過的であり、成長後のシナプス数は、コントロール群とバルプロ酸曝露群でほぼ同数であった。以上の結果より、胎児期のバルプロ酸曝露は発達期のミクログリアを活性化することが明らかとなり、また、発達期に活性化したミクログリアは、発達期におけるシナプスの減少や成長後の行動異常に関与する可能性がある。来年度以降、ミクログリア活性とシナプス減少、行動異常との相関を明らかにし、ミクログリア活性化メカニズムを追及する。
著者
藤原 康弘
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.32-42, 2015-08-31 (Released:2017-10-19)
被引用文献数
1

I analyzed regulations and systemic burdens that act as barriers against the conduction of innovative drug/device development and against the promotion of high-quality clinical research and trials. Taking into account the wide range of these issues, I will propose a plan that will allow for both the promotion of innovation, clinical research, and clinical trials and the maintenance of the national healthcare system. By urgently completing this process of comprehensive systems-based planning, I hope to realize futuristic medicine (precision medicine and personalized medicine), which allows for genetic information to be used freely while maintaining the structure of the national health care system.
著者
小泉 幸道 上原 康浩 柳田 藤治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.592-597, 1987-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
5 19

比較的高価格で販売されている特殊食酢類11点の,一般成分,無機成分,遊離アミノ酸,有機酸について分析を行い,製品間の比較を行うと共に,普通の米酢とも比較を行い品質について検討した.(1) 一般成分については各成分共,製品間の差は多少みられたが,普通の米酢とあまり変わらなかった,しかし,沈でん物が発生している製品が多く,カラメルを添加して黒酢を強調している製品もみられた.(2) 無機成分については,ナトリウムが多く,次いでカリウムやマグネシウムであった.(3) 遊離アミノ酸については,含量の多いアミノ酸はアラモン,ロイシン,リジン,バリン.グリシンであった.全アミノ酸量は,56.9~362.6mg/100mlで普通の米酢よりは多いが,比較的含量は少なかった.原料や製造法による影響は大きいと思われる.全アミノ酸に対する必須アミノ酸の割合は,殆どが45~50%であった.(4) 酢酸を除いた有機酸については,乳酸の含量が一番多く,次いでピログルタミン酸であった.比較的高価格で販売されている特殊食酢類は,品質と価格に問題があると思われる.
著者
熊原 康博
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.334, 2013 (Released:2013-09-04)

1.はじめに 発表者は,太平洋戦争直後に撮影された縮尺2万分の1米軍空中写真の地形判読により,群馬県南東部の太田市東部から桐生市西部にかけてのびる活断層(太田断層)を発見した.本発表では,地表踏査および,群列ボーリング調査,トレンチ掘削調査の結果を報告する.また,本断層の最新活動時期や地盤災害の痕跡の時期や分布から,本断層が818年(弘仁九年)の起震断層である可能性についても議論する.本研究は文部科学省による「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の支援を受けた.2.断層変位地形 本断層は、渡良瀬川の西側に沿って認められる南-北走向~北西-南東走向の少なくとも長さ18kmの活断層である. 断層の南部では,断層崖を境に利根川起源の中位面(館林面),扇状地面,旧利根川の河道が,東側低下の変形を受けており,その変位量は古い地形面ほど大きいことから累積的な変形が示唆される.断層崖の幅が100mに達する撓曲変形をなすことや,断層上盤側で盛り上がる地形が認められることから,西傾斜の断層面をもつ低角な逆断層と想定される.利根川左岸までは館林面の変形を指標として,本断層を認めることができるが,右岸は利根川の浸食/堆積が著しく,本断層の南延長については不明である. 断層の北部は,渡良瀬川の向きと断層の走向がほぼ平行になるため,河食崖と断層崖との区別が困難であった.八王子丘陵の東縁沿いでは,丘陵を開析する谷の谷口に小規模な扇状地が形成されている.これらの扇状地は南東側低下の撓曲変形を受けていることが,写真判読からは認定される.ただし現在では土地改変が進んでいることから詳細は不明である. 3.群列ボーリング調査 太田市龍舞において,断層に直交する測線で5本の群列ボーリング調査を行った.その結果,下部の礫層上面を指標とすると約4.3m,浅間板鼻黄色軽石(YP:13~14ka降下)を含む砂層上面を指標とすると2m程度の東側低下の高低差が断層崖直下で認められた.これは,礫層堆積以降少なくとも2回の断層変位が認められること,YP以降に最新活動があったことを示す.4.トレンチ掘削調査 ボーリング調査と同地点で,断層崖を横切るトレンチ掘削調査を2回実施した.トレンチ壁面からは,傾斜する2つの地層とそれらをアバットする水平な地層が認められた.傾斜する下位の地層(A層)は,上部にYPを含むラミナをもつ砂層であった.YPを鍵層として地層の傾斜の変化をみると,トレンチ西側で水平であったYPが東(崖基部)に向かって徐々に傾斜が急になる.また,A層の上位にはYPの傾斜と同じ程度の傾斜である腐植質粘土層(B層)も認められ,14C年代値の内最も若い年代はAD540-650である.一方,B層を覆う水平な地層(C層)も認められ,浅間Bテフラ(As-B: AD1108降下)を含み, 14C年代値の内最も古い年代はAD770-980年であった. 一般的に腐植質粘土層は水平堆積することから,B層が断層変位を受けた地層、C層を変位後の地層とみなした.最新活動の時期は,両者の14C年代値からAD540-980といえる.最新活動の垂直変位量は少なくとも1.2m以上であるが,B層の上部が欠落しているため,正確な量は不明である. 5.古地震の記録,周辺の地盤災害の痕跡との関係 トレンチ掘削調査で得られた断層活動の年代からは,本断層が、『類聚国史』の記事に記された,関東地方における818年の大地震の起震断層の候補となりうる.また,群馬県南東部や埼玉県北部では,噴砂・地割れ跡など強い地震動が生じたことを示す地盤災害の痕跡が多くの考古遺跡から報告されてきた.この地域は,榛名二ッ岳渋川テフラ(Hr-FA)とAs-Bの降下範囲であるため,噴砂・地割れの発生年代を両テフラ降下間(6世紀初頃~1108年)に限定され,早くから818年の地震との対応が指摘されていた.これらの古代の地盤災害は,本断層から20km以内に分布し,本断層の活動に伴って発生した可能性を示唆する.6. 太田断層で発生する地震の予測 太田断層の全長(長さ18km)から,断層全体が一度に活動した場合,M6.9程度の地震が発生することが予測される.ただし,利根川右岸の埼玉県北部でも,古代の噴砂・地割れ跡が多数認められることを考えると,さらに断層が南へ延びる可能性は高い.そのため,地震の規模もさらに大きくなると予想される. 本断層の活動履歴について検討する.YP以降に断層活動があったことは確実である.最新活動の垂直変位量が1.2m以上である一方,YPを指標した場合,その量は約2mである.したがってYP以降の断層活動が1回か2回かは厳密には明らかにできない.ただし,中位面のその量は3~4mと小さいことから,活動間隔は長いものと考えられ,YP以降に1回の可能性が高い.
著者
山森 光陽 萩原 康仁
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.555-568, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

クラスサイズパズルと呼ばれる, 学級規模が児童生徒に及ぼす影響を検討する研究群で一貫した結果が得られない現象が見られる背景には, 学級規模と学級規模以外の要因との交互作用の存在が考えられる。学級編制基準は学級規模のみならず, 学年学級数の多少も決定するため, 本研究では学級規模の大小, 学年学級数の多少及びこれらの組合せによって過去の学力と後続の学力との関係に違いが見られるかを検討した。そのために, 小学校第4, 6学年4月に実施された国語の学力調査得点についての67校分の2時点のパネルデータに, 対象児童が第4, 5学年時に在籍した学年の学級数及び学級の児童数を組合せ, 階層的線型モデルを適用した分析を行った。この結果, 過去の学力調査得点が低かった児童について見れば, 学級数の多い学年で小規模な学級に在籍した児童の方が, 学級数の少ない学年で小規模な学級に在籍した児童と比べて後続の学力が高いといった学力の底上げが見られた。この背景について, 学級規模と学年学級数によって異なる学級の質, 学年学級数によって異なる教師同士の協同による教材研究等の頻度の点から考察した。
著者
岩崎 敬二 石田 惣 馬場 孝 桒原 康裕
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1-4, pp.67-81, 2017-11-27 (Released:2018-01-11)
参考文献数
50

Mytilus trossulus Gould, 1850 is a mytilid bivalve with a boreal distribution in the northern Pacific Ocean, northern Atlantic Ocean, and Baltic Sea. The distribution of M. trossulus in Japanese waters was hitherto believed to be restricted to the northernmost island of Hokkaido. However, we discovered dry specimens and dead shells of this species on the northern and central Japan Sea coasts of Honshu Island. Specimens were collected before 1936, before 1948 and in 1951 from Shikaura, Fukui Prefecture (35°56´N, 135°59´E), and were archived at the Fukui City Museum of Natural History as "Mytilus edulis Linnaeus 1758". Dead shells with rotten soft bodies were collected from the Kisakata sandy shore, Akita Prefecture (39°12´24˝N, 139°53´40˝E) on March 29, 2014. In addition, we found old records of the nonindigenous congener M. galloprovincialis Lamarck, 1819 in molluscan lists that were published in Akita, Niigata, Ishikawa and Fukui Prefectures from the 1930s to 1950s. This species was introduced to Japan before 1932 and appears to have been infrequently confused with M. trossulus. In 2007, 2010 and 2014, we conducted field surveys in the regions where the dry specimens and dead shells had been collected but found no M. trossulus specimens. In view of the results of the field surveys and water temperature regime in its distribution range, we believe that the dry specimens and dead shells had drifted from the more northerly Japan Sea coasts of Russia or Hokkaido. The old records of M. galloprovincialis in the molluscan lists may indicate the actual occurrence of the nonindigenous species during the early years of its invasion in Japan.
著者
大角 欣矢 花岡 千春 塚原 康子 片山 杜秀 土田 英三郎 橋本 久美子 信時 裕子 石田 桜子 大河内 文恵 三枝 まり 須藤 まりな 中津川 侑紗 仲辻 真帆 吉田 学史
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近代日本の洋楽作曲家第一世代を代表する作曲家の一人、信時潔(1887~1965)に関する音楽学的な研究基盤を確立するため、以下の各項目を実施した。①全作品オリジナル資料の調査とデータベース化、②全作品の主要資料のデジタル画像化、③信時旧蔵出版譜・音楽関係図書目録の作成、④作品の放送記録調査(1925~1955年のJOAKによる信時作品の全放送記録)、⑤作品研究(特に《Variationen(越天楽)》と《海道東征》を中心に)、⑥明治後期における「国楽」創成を巡る言説研究、⑦伝記関係資料調査。このうち、①から⑤までの成果は、著作権保護期間内の画像を除き原則としてウェブにて公開の予定。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
25

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
野原 康弘 Yasuhiro Nohara 桃山学院大学経営学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 = St. Andrew's University Journal of Christian Studies (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
no.44, pp.1-42, 2009-02-20

In UK, the death of Elizabeth II automatically should place her son Charles, Prince of Wales, on the throne. There should be no difficulty at all as to who inherits the crown; no civil strife between her children, Charles, Anne, Andrew and Edward. In the past, however, this peaceful state of crowning was not common, on the contrary, coronations often led to bloodshed; the first in succession to the throne did not always manage to mount the throne. When King Edward the Confessor died childless in 1066, a question, who should succeed the throne, occurred naturally. Edgar, who was the grandson of King Edmund, was one, Norwegian-Danish King Harald was also one, and Guillaume, the Duke of Normandy was another. Nevertheless Harold, the son of Earl Godwin, took a drastic measure: he had two services on the same day; King Edward's burial and his own coronation, which was extremely unusual even at that time, and which eventually aggravated the matter. The above three people appealed Harold's coronation. Edgar, however, was regarded too small to succeed the throne. King Harald from Norway invaded the north of England and occupied York temporarily but was finally defeated by newly crowned King Harold at the Battle of Stamford Bridge. Guillaume with a stronger claim against Harold was different from the two. He was waiting for the good time for a battle with Harold. Guillaume was born in 1027 at Falaise in Normandy, France, as an illegitimate child of the sixth Duke Robert of Normandy. King Edward's mother, Emma, was from Normandy, and Guillaume and King Edward were relatives. Guillaume made an invasion at Pevensey with a great fleet of warships in 1066. As is well-known, he completely beat King Harold's army at the Battle of Hastings. Nevertheless, it was more than two months before he crowned himself as William the Conqueror, King of England. This summer, I visited cities and towns in Normandy which were related to Guillaume, and also drove along the south-eastern coast of England. This means that I tried to follow the steps of Guillaume's conquest of England.
著者
篠原 康男 前田 正登
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.15096, (Released:2016-08-29)
参考文献数
39
被引用文献数
1

This study aimed to clarify the composition of the phases (acceleration, full sprint, and velocity endurance) in the 50-m sprint as performed by elementary school students, focusing on changes in running velocity. The subjects were 169 boys and 178 girls in the first to sixth grades of elementary school, who performed a 50-m sprint from a standing start. Running velocity was measured using a laser distance meter, which was synchronized with a video camera that recorded the entire sprint. It was found that the running time of the total sprint was significantly shorter and that maximal velocity was significantly higher for higher-grade than for lower-grade students. The distances of the acceleration phase and full sprint phase were significantly longer for higher-grade than for lower-grade students, but there was no significant difference in the duration of these phases by grade. However, both the distance and duration of the velocity endurance phase were significantly shorter for higher-grade than for lower-grade students. Step length in the acceleration, full sprint, and velocity endurance phases was longer for higher-grade than for lower-grade students. However, step frequency at each phase tended to be almost equal or slightly lower for higher-grade than for lower-grade students. The SL index for higher-grade boys tended to be higher than for lower-grade boys. However, for girls, there was little difference in the SL index at each phase for second-grade students or above. Taken together, the results indicate that the velocity endurance phase comprises the majority of the 50-m sprint when performed by lower-grade students. However, for higher-grade students, the velocity endurance phase is shorter due to the relative increases in the acceleration and sprint phases. This suggests that the distance of the acceleration and full sprint phases affects the distance and duration of the velocity endurance phase.
著者
岸本 泰士郎 吉村 道孝 北沢 桃子 榊原 康文 江口 洋子 藤田 卓仙 三村 將 Taishiro Kishimoto Michitaka Yoshimura Momoko Kitazawa Yasubumi Sakakibara Yoko Eguchi Takanori Fujita Masaru Mimura
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

Most of the severity ratings are assessed through interview with patients in psychiatric filed. Such severity ratings sometimes lack objectivity that can lead to the delay/misjudgment of the treatment initiation/switch. A new technology which enables us to objectively quantify patients’ severity is needed. We here aim to develop a new device that analyzes patients’ facial expression, voice, and daily activities, and provides us with objective severity evaluation using machine learning technology. This study project was accepted by Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) and will launch this year. The background of the study purpose and methods will be presented.
著者
上原 康雄
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.13-30, 2007-03-31

映画は19世紀末のルミエール兄弟のシネマトグラフを起源として、110年の時間が経過した。今日の映画界において、歴史と社会と風土と人間を一体として、壮大な映画を制作する監督の一人にテオ・アンゲロプロスがいる。彼のテーマはギリシアの現代社会の動向、民族、移民、国境、家族の絆、人間疎外など幅広い。そしてギリシア人独特な神話、叙事詩、悲劇を映画に取り入れ、現代と過去を融合させる。演出手法は徹底したリアリズムであるが、ユーモアとペーソスを滲ませ秀逸である。彼は映像をあくまでも実写の迫力で描き、その絵画的な美しさは比類がない。映像表現は1シーン=1カット、360度パン、移動ショット、オフシーンの重視により、「現在と過去の同一画面での描写」「現実と幻想の共存」など斬新な表現で映像空間を構成する。そしてギリシア独特の演劇と演舞が哀愁をこめた音楽と共に演じられる。この研究ノートではアンゲロプロス監督の「再現」から「エレニの旅」を分析し、我々の映像制作の参考にしたい。
著者
津田 侑 藤原 康宏 上原 哲太郎 森村 吉貴 大平 健司 森 幹彦 喜多 一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-8, 2011-03-10

Web サービスのユーザの傾向を調査するさい,利用ログのデータマイニングが主流である.これはユーザの行動の傾向を捉えるには有効であるが,行動の意図や意識といったユーザ心理を捉えることは困難である.そこで本研究では,定量的・定性的,両方の側面からアンケート調査や観察・インタビューといったエスノグラフィの手法を用い,インターネット生放送を中心としたユーザ行動の心理を分析する.Using data minings such as analysing logs on web-based services is in mainstream in order to survey users' trends on the services. This is efficient for analysing users' behaviors but is unefficient for analysing users' psychological factors, for example, intentions of their behaviors, decision-marking for their bihaviors on the services. In this research, the authors analyse users's psychological factors and their behaviors on the internet live-broadcasting services. The methods are a web-based survay and ethnographical methods - questionnaire, observation, and interview.
著者
住元 宗一朗 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1800-1811, 2011-11-01

近年増加したコンテンツ投稿型SNSでは日々膨大にコンテンツが増え続けるため,嗜好には合っているもののユーザが見逃してしまうようなコンテンツは少なくない.また,多くの推薦技術では精度を重視するあまり,その推薦結果に面白みがないという課題がある.本論文では,主に音楽,イラスト,詩等の創作者向けであるコンテンツ投稿型SNSにおける未知性,意外性を考慮した推薦手法について述べる.未知性に関しては,質の高いコンテンツを投稿する投稿者(有力投稿者)に注目し,コンテンツの質を確保しつつもロングテールのテール部分に属する,ユーザがまだ知らないコンテンツを推薦する.意外性に関しては,多くのコンテンツ投稿型SNSで利用されているFolksonomyを利用する.以上の二つの推薦部からなる推薦エージェントを提案し,イラスト投稿型SNSであるPixivの実データを用い,未知性,意外性に関する評価実験を実施した.その結果,推薦リストの6割に未知性,意外性のあるコンテンツが含まれ,本研究の有効性が確かめられた.
著者
塚原 康子
出版者
東京芸術大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.戦後の変化の前提となる戦前の軍楽隊と宮内省楽部の活動状況を調査した。(1)明治初年に創設された陸海軍の軍楽隊は、明治後期には独自の教育システムを作り上げ、大正・昭和期には管弦楽(明治末から導入)を通して東京音楽学校や当時の楽壇と関係を深めた。太平洋戦争末期に大幅な増員がなされたため、戦後には異例に多くの人材が軍から民間に転ずる結果となった。このうち海軍軍楽隊については、海軍歴史保存会編『海軍史』別巻「軍楽隊史」にまとめた。(2)明治7年から雅楽と西洋音楽を兼修した宮内省楽師は教育や管弦楽演奏などを通じて楽壇と交流し、大正・昭和期には楽家(世襲の雅楽専業家系)出身者にも西洋音楽に専心する者が現れた。2.戦後の音楽活動に関する聞き取り調査(海軍軍楽隊出身者4名、宮内省楽部出身者2名)を行った。(1)軍楽隊出身者は、戦争直後には進駐軍相手のバンド、最盛期にあった映画音楽の制作などに引く手あまたの時期があった。しかし、占領の解除、世相の鎮静化に伴ってこうした一時的な需要は急速に縮小し、その後は、オ-ケストラやジャズ・バンドで活動する者、音楽大学や初等中等学校の教員として活動する者(戦後の学校や民間での吹奏楽の普及に貢献した)、東京消防庁音楽隊・警視庁音楽隊・自衛隊の各音楽隊などに入隊した者、など音楽的適応力により分化した。(2)楽部定員は50名から25名に半減し、雅楽の演奏形態などに直接の影響が生じた。昭和21年には、昭和10年代に楽師となった当時20-30代の若い楽師のほとんどが楽部をやめ、民間での雅楽の指導・普及、オ-ケストラなどの西洋音楽楽壇へ転身した。この結果、戦死した人々と併せてこの世代の雅楽伝承者が欠落し、これまで楽家を中心に旧来の伝承形態を保ってきた雅楽界は、新しい事態を迎えることになった。今後、さらに聞き取り調査を重ね、その結果を来年度の『東京芸術大学紀要』に発表する予定である。
著者
直原 康光 安藤 智子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.12-25, 2020 (Released:2022-03-20)
参考文献数
51
被引用文献数
3

本研究の目的は,別居・離婚後の父母葛藤や父母協力が,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛を媒介して,青年・成人の心理的適応に与える影響を明らかにすることであった。6歳から15歳までに父母が別居し,母親と同居することになった現在18歳から29歳までの男女275名を分析対象とした。別居・離婚後の父母葛藤や父母協力,父親との交流が,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛や現在の心理的適応に影響を及ぼすという仮説モデルに基づき,男女で多母集団同時分析を行った。分析の結果,別居・離婚後の父母葛藤は,子どもの葛藤受け止め,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛を表す「自己非難」や「子どもらしさの棄却」を媒介して,自尊感情や抑うつ・不安との関連が認められた。また,別居・離婚後の父母の協力は,「父との交流実感」や「母の情緒的サポート」を媒介して,「自己非難」や「子どもらしさの棄却」との負の関連が認められるとともに,自尊感情や抑うつ・不安との関連も認められた。最後に,男女で有意差が認められたパスについて,それぞれ考察を行った。