著者
栃原 裕 LEE Joo-Young LEE Joo-young
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

鳥インフルエンザなどの感染症対策、アスベストの除去作業等で、防護服の着用の機会が増え、多くの新しい防護服が開発されている。一方では、その防護性能の高さから、作業者は防護服着用時に大きな暑熱ストレスを受けることになる。そこで本研究では、比較的容易で判定精度の高い防護服着用時の暑熱負担評価テスト法を開発し、有効で簡便な生理・心理測定手技を提案することを目的とした。本年度は、安静または運動の2条件、防護服3条件、気温2条件(25、32℃)の組み合わせによる12条件の実験を行い、直腸温、赤外線式鼓膜温、皮膚温、発汗量、心拍数、主観的皮膚濡れ率、温冷感等を測定した。本研究から得られた知見を以下に示す。1)暑熱環境における非蒸散防護服着用時の運動条件では、赤外線式鼓膜温が直腸温の変化によく一致し、心拍数や発汗量などの生理指標との相関も高く、深部体温の測定方法としての妥当性が示された。しかしながら、中立気温条件や軽装条件、安静時および回復時には直腸温の変化に追従せず、測定方法の限界が示された。2)主観申告に基づく主観的皮膚濡れ率は、体温変化および心拍数や発汗量とよく一致し、熱理論式により求めた皮膚濡れ率との相関も高かった。この結果から、主観的皮膚濡れ率の妥当性が示され、フィールドテストにおける利便性、測定、計算の簡便性が示唆された。3)平均皮膚温を算出する際の体幹部皮膚温として、安静時には胸部、腹部、背部による差はなかった。しかし、運動時には体幹部皮膚温の分布が一様でなく、腹部では過小評価、背部では過大評価することが示され、3点の平均値、または1点で代表させる場合には胸部を用いることが推奨された。本研究の成果は、新しい防護服の開発や改良の際の標準評価法として利用でき、近い将来、防護服着用時の暑熱負担評価テスト法に関するISO/JIS規格の原案となりうるもので、その社会的意義は大きい。
著者
前田 瑞夫 高原 淳 高井 まどか 栗原 和枝 長崎 幸夫 三浦 佳子 菊池 明彦 松岡 秀樹 北野 博巳 佐藤 縁 熊木 治郎 山岡 哲二 宮原 裕二
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

本領域では、ソフト界面に関わる先導的研究や若手研究者による挑戦的研究を糾合・組織化することにより、ソフト界面が示す新奇現象を解明し、その特性を活かした新機能材料を創出することを目指して研究を進めてきた。その成果は年度ごとの成果報告書・公開シンポジウム等により積極的に発信してきたが、それだけでは領域の全体像が見えにくいのも事実である。この点を補うために領域横断的な共通課題について公開ワークショップを開催することで俯瞰的な見方からの成果発信に努めてきた。この度、5年間の研究を取りまとめることで、新しい学術領域の確立という観点から、研究成果の全体像の公開・普及と内外の関連研究者のより一層の交流ならびに若手研究者の育成に努めた。具体的には、最終報告会として7月に東京大学駒場キャンパスにて公開シンポジウムを開催し、また同時にニュースレター12号を発行し配布ならびにウェッブ公開することで、成果の普及、領域内外の研究者との交流に努めた。また年度末の3月には、領域内の研究発表会を開催し、本領域研究に参画した研究者の互いの交流や成果取り纏め、ならびに今後の活動に関する意見交換を行った。10月には領域代表者の前田が日本化学会にて、また11月には事務担当者の長崎が日本バイオマテリアル学会大会にて、本領域の成果をアピールする招待講演を行ったほか、各研究グループにおいては、各自アウトリーチ活動の継続による国民の理解深化に努めた。一方で、領域ホームページの継続運用により持続的に広報活動を行った。また日本MRSに「ソフトインターフェース研究会」の設置を申請し、今後の継続的発展のためのプラットフォームを構築した。さらには、ソフト界面に関する英文教科書の執筆・編集を引き続き進めている。
著者
有馬 久富 清原 裕 土井 康文
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1.福岡県久山町在住の一般住民を対象に生活習慣病予防健診を実施した。健診では、既往歴・家族歴の聴取、喫煙・飲酒習慣・身体活動度の調査、食事調査、身体計測、随時血圧測定、医師による診察、眼科検診、検尿、血計、血液生化学検査、心電図検査、胸写、骨密度測定などを行った。医師がすべての結果を説明し、適切な事後措置を実施した。2.久山町住民の心血管病発症の有無に関する予後調査を継続して行った。3.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1961年から32年間追跡した成績より、未治療の高血圧と脳卒中発症との関連を検討し、国際高血圧学会で発表した。4.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、至適血圧(<120/80mmHg)に比べて正常血圧(120-139/80-85mmHg)から心血管病発症率が有意に上昇することを明らかにし、日本高血圧学会で発表した。5.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、高感度CRPと冠動脈疾患発症との関連を検討し、日本高血圧学会で発表し、Arteriosclerosis Thrombosis and Vascular Biolog誌に論文公表した。6.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、日本人における心血管病発症予測モデルを作成し、日本高血圧学会で発表した。7.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)における断面調査の成績より、心電図におけるQT間隔とPulse Wave Velosity (PWV)との関連を検討し、Hypertension Research誌に論文公表した。8.国際共同研究であるINTERACT試験の成績より、脳出血急性期の積極的降圧療法が血腫増大を予防しうることを、国際高血圧学会で発表し、Lancet Neurology誌に論文公表した。9.下降圧療法の脳卒中再発予防効果を明らかにした国際共同研究であるPROGRESS試験のサブ解析の結果をKidney International誌およびNeurology誌に論文公表した。
著者
伊藤 たかね 萩原 裕子 杉岡 洋子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,語レベルの言語処理にかかわる心内・脳内メカニズムを明らかにすることを目的として,事象関連電位(ERP)計測の手法を用いた実験を行った。具体的には,複文の特徴を示す複雑述語(サセ使役)および,動詞の屈折を取り上げ,いずれの場合にも規則による演算処理と,レキシコン内のネットワーク的記憶という,質の異なる処理メカニズムが働いていることを示唆する結果を得た。
著者
神田 清子 栃原 裕 飯田 苗恵
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

癌化学療法に伴う味覚識別能の変化に対応した食事ケアを検討することを目的として,次の3研究を施行した.第一に,癌化学療法を受けた入院中の患者45名を対象に治療前・中(4日目)・後(治療後10日目)の甘味・塩味・酸味・苦味についての識別能を試薬滴下法により検査し分析した.第二に,癌化学療法を施行する患者のための病院献立および食事への取り組みについて,全国の病院241施設を対象として郵送法により調査し,有効回答145施設の現況を分析した.第三に,癌化学療法を受けている患者,3事例の味覚識別能および食事摂取状況,食事嗜好を調査し,栄養バランスの評価を行った.結果は次のようにまとめられる.1.甘味・塩味・酸味・苦味のうち癌化学療法の影響を強く受けていたのは塩味であり,識別閾値は治療中敏感になり,治療後は有意に鈍感になっていた.2.癌化学療法を受ける患者のために特別な献立を有している施設は,48(33%)であり,献立の種類は,化学療法食,口内炎食,加熱食などであった.3.味覚識別能と食事の嗜好との関係では,甘味・塩味・酸味の味覚では,味が鈍感になった味覚を主体とする食品を補食する傾向にあった.また,薬剤投与中は,蛋白食品や煮物に対する嫌悪感が認められた.4.化学療法剤が投与されている期間および口内炎の合併は,蛋白質,脂質,炭水化物摂取量を極端に減少させ,熱量は基礎代謝量にさえ満ちていない.以上,癌化学療法を受け味覚に変化をきたした患者の食事ケアとしては,鈍感になった味を少し強化した味付けにする.化学療法剤投与中では,肉,卵,魚類の蛋白食品を少量使用する.治療後は,口内炎の合併がなければ塩味をやや濃くし,麺類など塩分の味付けを集中させる献立を提供する.加えて,食事ケアでは,病院食として化学療法食,口内炎食を確立する必要がある.そのためには栄養士と協力し,組織的な取り組みを行うことが不可欠である.
著者
宮崎 林太郎 塚原 裕常 西村 純 前田 直人 森 辰則 小林 寛之 石川 雄介 田中 裕也 翁 松齢
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.376-386, 2011 (Released:2011-02-08)
参考文献数
8

In order to achieve faceted search in net auction system, several researchers have dealt with the automated extraction of attributes and their values from descriptions of exhibits. In this paper, we propose a two-staged method to improve the performance of the extraction. The proposed method is based on the following two assumptions. 1) Identifying whether or not each sentence includes the target information is easier than extracting the target information from raw plain text. 2) Extracting the target information from the sentences selected in the first stage is easier than extracting the target information from the entire raw plain text. In the first stage, the method selects each sentence in a description that is judged to have attributes and/or values. In this stage, each sentence is represented a bag-of-words-styled feature vector, and is labeled as selected or not by a classifier derived by SVM. In the second stage, the extraction of attributes and values are performed on the cleaned text that does not contain parts of description irrelevant to exhibits, like descriptions for the postage, other exhibits, and so on. In the second stage, we adopt a sequential labeling method similar to named entity recognizers. The experimental result shows that the proposed method improves both the precision and the recall in the attribute-value extraction than only using second-stage extraction method. This fact supports our assumptions.
著者
田近 英一 多田 隆治 橘 省吾 関根 康人 鈴木 捷彦 後藤 和久 永原 裕子 大河内 直彦 関根 康人 後藤 和久 大河内 直彦 鈴木 勝彦 浜野 洋三 永原 裕子 磯崎 行雄 村上 隆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

約25億~20億年前に生じた全球凍結イベントと酸素濃度上昇の関係を明らかにするため,カナダ,米国,フィンランドにおいて地質調査及び岩石試料採取を実施し,様々な化学分析を行った.その結果,同時代の地層対比の可能性が示された.またいずれの地域においても氷河性堆積物直上に炭素同位体比の負異常がみられることを発見した.このことから,氷河期直後にメタンハイドレートの大規模分解→温暖化→大陸風化→光合成細菌の爆発的繁殖→酸素濃度の上昇,という可能性が示唆される.
著者
栃原 裕 KIM TAE GYOU
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

実際の冷凍倉庫内の環境を想定して、冷凍倉庫内の荷役作業が人体の体温調節反応やその他の生理反応にどのような影響を及ぼすかについて実験を行った。8名の被験者とし、気温20℃、相対湿度50%環境下において20分間の椅座位安静の後、マイナス25℃環境へ移動し、10分間の椅座位安静後、10分間の作業を行い(作業なし、9kg荷役作業、18kg荷役作業)、再び10分間の椅座位安静で、計30分間の寒冷暴露とし、これを3回繰り返すものであった。その結果、寒冷作業における労動量が増加することによって熱産生量が増加することが明らかになったが、四肢末梢の皮膚温においては条件間の温度差が現れた。直腸温低下は労動量の増加によって抑制されたが、直腸温変動に対するCounting比の相関では労動作業による急激なCounting比の低下が見えた。直腸温37.2℃においてCounting比は条件18kg荷役作業で一番高く、作業なし、9kg荷役作業の順に低くなったが、36.7℃では条件作業なしが一番高く、9kg荷役作業、18kg荷役作業と低くなり、逆順序になることがわかった。これは直腸温と足趾温との相関でも同様であった。血液成分では、寒冷ストレスに対して血漿ノルアドレナルリン濃度が増加した。本実験結果もこれと同様の結果であった。本実験においては、作業による熱産生の増加により寒冷ストレスは軽減されたため、作業量増加に従って血漿ノルアドレナルリン濃度の増加量が低下したと考えられた。しかし、手作業の巧緻性は重量物の荷役などの労動によってむしろ低下した。したがって、同一時間に対する作業でも寒冷環境下の重量物の取り扱いは、作業能率の低下や荷物の落下などの危険性が高まる恐れがあるため、取り扱い時の作業時間の短縮及び安全上の確保をさらに要すると考えられた。
著者
山原 裕之
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

これまでの研究成果をベースに、より精度の高い行動検知と適切なタイミングでのサービス提供の実現のために以下の項目に取り組んだ。(1)多様なユーザの習慣の違いの影響を受けないように、行動検知アルゴリズム中の閾値にユーザごとに適切な値を自動的に設定する手法。(2)falseサンプルを用いた行動パターン洗練手法。(3)サービス提供の適切なタイミングの決定手法の検討。当初、項目(3)ではなく(4)無線通信機器を活用した家の中での位置情報推定手法とユーザの物体への接触情報を組み合わせた新しい位置情報推定手法に取り組む予定であったが、科研費が申請額より減額されたことで通信機器およびセンサ類の購入が難しくなったため、項目(4)に代わり次年度の研究計画に盛り込んでいた項目(3)を実施することとした。この計画変更に関しては、科研費申請時の研究計画にて報告済みである。全体として、項目(1)および(3)の研究の進展によって研究成果を発表する機会を多く得たため、項目(2)に関する発表が本年度中に間に合わなかった。これに関しては、現在、投稿準備中である。また項目(4)に関して、本年度の研究計画としては扱わなかったものの、特別研究員および科研費の予算外での活動として、パッシブ型RFIDタグを用いた位置・歩行情報取得システムの開発および実験を行った。上記の内容に関して、計5件の論文が採択され、さらに3件の論文を論文誌に投稿中である。当初の計画どおり、CEATEC JAPANおよびTRONSHOWの2つの展示会で研究を展示発表し、研究者のみならず一般の様々な方から多くの有益な意見を得た。また、本研究に関してTV取材を受け、2009年3月25日にNHK総合「おはよう日本」で放送された。研究計画はおおむね予定通り進行した。項目(4)に関しても、研究計画外の活動で進展した。これらの進捗状況から、全体として当初の予定以上の成果が得られたと考えられる。
著者
川村 静児 中村 卓史 安東 正樹 坪野 公夫 沼田 健司 瀕戸 直樹 高橋 龍一 長野 重夫 石川 毅彦 植田 憲一 武者 満 細川 瑞彦 佐藤 孝 佐藤 修一 苔山 圭以子 我妻 一博 青柳 巧介 阿久津 智忠 浅田 秀樹 麻生 洋一 新井 宏二 新谷 昌人 井岡 邦仁 池上 健 石徹白 晃治 市耒 淨興 伊藤 洋介 井上 開輝 戎崎 俊一 江里口 良治 大石 奈緒子 大河 正志 大橋 正健 大原 謙一 奥冨 聡 鎌ヶ迫 将悟 河島 信樹 神田 展行 雁津 克彦 木内 建太 桐原 裕之 工藤 秀明 國森 裕生 黒田 和明 郡和 範 古在 由秀 小嶌 康史 小林 史歩 西條 統之 阪上 雅昭 阪田 紫帆里 佐合 紀親 佐々木 節 柴田 大 真貝 寿明 杉山 直 宗宮 健太郎 祖谷 元 高野 忠 高橋 忠幸 高橋 弘毅 高橋 竜太郎 田越 秀行 田代 寛之 田中 貴浩 谷口 敬介 樽家 篤史 千葉 剛 辻川 信二 常定 芳基 徳成 正雄 内藤 勲夫 中尾 憲一 中川 憲保 中野 寛之 中村 康二 西澤 篤志 丹羽 佳人 野沢 超越 橋本 樹明 端山 和大 原田 知広 疋田 渉 姫本 宣朗 平林 久 平松 尚志 福崎 美津広 藤本 眞克 二間瀬 敏史 前田 恵一 松原 英雄 水澤 広美 蓑 泰志 宮川 治 三代木 伸二 向山 信治 森澤 理之 森脇 成典 柳 哲文 山崎 利孝 山元 一広 横山 順一 吉田 至順 吉野 泰造
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 (ISSN:13428349)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, 2006-03-04
著者
内海 航介 野々村 善民 小林 信行 平原 裕行
出版者
社団法人日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集. D-2, 環境工学II, 熱, 湿気, 温熱感, 自然エネルギー, 気流・換気・排煙, 数値流体, 空気清浄, 暖冷房・空調, 熱源設備, 設備応用 (ISSN:1341450X)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.649-650, 2007-07

rights: 社団法人日本建築学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110006674827/
著者
佐々木 晶 永原 裕子 杉田 精司 山中 千博
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

月岩石・隕石の実験室での反射スペクトルと月・小惑星の天体観測スペクトルには大きな違いがある。観測スペクトルは、全体的に暗く、波長が短いほど反射率が低い「赤化」の傾向があり、輝石やカンラン石に特有の1ミクロンの吸収帯が相対的に弱い。この月・小惑星表面の反射スペクトルの変化は、シリケイト中に含まれる酸化鉄が、ダスト衝突により還元されてナノメートルスケールの金属鉄微粒子となる「宇宙風化作用(Space Weathering)」と呼ばれる過程で天体表面が変成されたためと考えられている。研究申請者のこれまでの研究では、世界で初めてパルスレーザーを用いたシミュレーション実験でこの微小鉄粒子の生成を確認した。これまではサンプルをペレット状に固めるときに均等に圧力がかかるという理由で円形のサンプルホルダーを使用していた。昨年度は微小量サンプルの照射のために、皿状のサンプルホルダーを製作して使用した。本年度は、それを改良して微小量の隕石サンプルを照射できるようにした。また、導入した試料粉砕システムにより、隕石中に含まれる金属鉄も250ミクロン以下に粉砕できるようにした。この結果、これまでの隕石粉末試料照射と比較すると鉄の影響を正確に見積もることができるようになった。「はやぶさ」ターゲット天体のイトカワの反射スペクトルを再現するため、LL・Lタイプの普通コンドライトを中心として様々な隕石試料の照射実験を行った。粉末試料だけではなく、隕石固体表面へのパルスレーザー照射を行い、反射スペクトルの変化が起きることを確認した。岩石表面の色変化の確認は世界で初めてである。
著者
勝原 裕美子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.研究目的:看護管理者が直面する倫理課題を明らかにし、それらの倫理課題にどの程度対処しているのかを明らかにすること。2.研究方法:全国のランダムに選択した500病院を対象とし、同意の得られた140(28%)病院の看護師長総勢1039人を対象に全国調査を実施。472名(46%)から回答が得られた。質問紙は6分野(患者の療養環壌、職員の労働環境、サービスの質、人間関係、臨床教育、専門職としてのモラル)、39項目からなり、それぞれA「自分の管理する病棟で生じる頻度」、B「自分の管理する部署で生じた時の師長としての対応の程度」、C「対応しても不満足が残る程度」、D「自分の勤める病院内で見聞きする程度」の4側面を4段階のライカートスケールにてきくという構成である。3.研究結果:1)対象者の内訳は、女性450名、男性22名。平均年齢48.5才。師長の平均経験年数は8.8年であった。2)セクションAで平均点の高かったのは、1位から順に「人的資源が不足している」「仕事がどのように評価されているのかが不透明である」「サービス残業が行われている」であり、いずれも職員の労働環境に関するものが上位であった。逆に平均点の低い順は、「職員の間で暴力行為がある」「患者から内緒にして欲しいと頼まれた内容を、患者への配慮なしに他言する」「患者・家族から暴力行為がある」であった。3)セクションA, B, C, Dごとに平均点の高い順に並び替え、順位相関を検定したところ、AとC, AとDには非常に高い相関がみられた。また、AとB、BとCには逆相関がみられた。このことより、師長が自分の管理する部署でよく起きていると認知している倫理課題は病院でもよく起きていると認知しており、そのことにできるだけ対処しようとしているが、対処しても不満が残っているということが明らかになった。