著者
武上 成比古 橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学工学部研究報告 (ISSN:13467867)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.101-110, 2005-03

日本の河川流域は山林に覆われているから、降雨はすべて地下浸透し、これが浅層地下水帯を形成し、河川流況を維持している。この考え方は、降雨と流出の時間遅れ、低水時の流況維持、大雨後の豪雨による土石流発生等の、日本の河川の流況特性によく照合している。この山地浅層地下水帯の水源涵養の水理は、平地における浅井戸揚水の水理と同じであるが、ただ急勾配斜面のため、上流側が地下水面に、下流側が河川への流出となる地下水帯全体の流動といえる。流出モデルの場として考えた場合、雨水は、まず地下水面を形成し、地下水流動の領域を作り、下端の湧水放流となる。この境界条件に囲まれた領域では、流れの関数は地層の浸透係数にそのポテンシャル勾配を乗じたポテンシャル流となる。運動式は層流としての一次関数であり、連続の式と連立して解けば領域の流速分布の解が得られる。有限要素法においては、要素別の重心点の流動ベクトルとして解を求めている。この報告ではその計算手法を発展させ、まず要素別のポテンシャル値分布から等ポテンシャル線を分級別に検索し、次に、その上、下流一組のポテンシャル線間での浸透流量計算から、ポテンシャル線群それぞれの等流量点を検索し、結果として、領域での地下水流動の連続条件を満たす、流線網図を描く手法を開発した。
著者
千葉 景子 坪井 秀行 古山 通久 久保 百司 二井 啓一 寺本 章伸 大見 忠弘 宮本 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス
巻号頁・発行日
vol.104, no.337, pp.21-22, 2004-10-08

Si基板を安定に保つためには表面の水素終端が最も有効であり、様々な薬液を用いた表面処理が行われているが、半導体表面上での化学反応は未だ不明な点が多い。そこで本研究では、シリコン表面の終端水素がラジカルなどによって説離する過程を量子化学的に検討した。その結果、表面近傍におけるラジカル種の存在によって容易に終端水素が説離することが明らかになった。
著者
古城 美穂 奥脇 雪絵 千葉 景子
出版者
北海道社会保険病院
巻号頁・発行日
2005-11-30

終末期癌患者の最期には、緩和困難な苦痛が存在し、最期の手段としてセデーションが行われることがある。今回、終末期に持続的セデーションを行った胃癌患者の妻と積極的に関わりそれを振り返ることで、妻がどのような思いを抱いているのか理解を深める事ができた。セデーションを決断する家族にとって自分が意思決定をした責任の重さや後悔の念は重くのしかかり、常に悩み揺れ動く気持ちを持っている。私たちは家族を含めたQOLを考慮しながら、患者にとっての苦痛の意味を家族がどう感じているかを理解する、またあらゆる場面で生じる家族の揺れる気持ちを肯定しながら、セデーションの中止という選択もあることをふまえ時期を逃さず支援していく、という役割が必要である事を学んだ。
著者
朝比奈 泰彦 古川 政司
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.429, pp.967-986, 1917-11-26

著者等は3・オキシ、オルト、トルイール酸をJacobsenの處方に從て製り其性質等に於て追補する所あり且ヒドラングノールの加里熔融により生するクレソチン酸と全く同一なるとを確定せり
著者
上田 豊 中尾 正義 ADHIKARY S.P 大畑 哲夫 藤井 理行 飯田 肇 章 新平 山田 知充 BAJRACHARYA オー アール 姚 檀棟 蒲 建辰 知北 和久 POKHREL A.P. 樋口 敬二 上野 健一 青木 輝夫 窪田 順平 幸島 司郎 末田 達彦 瀬古 勝基 増澤 敏行 中尾 正義 ZHANG Xinping BAJRACHARYA オー.アール SHANKAR K. BAJRACHARYA オー 伏見 碩二 岩田 修二
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1.自動観測装置の設置と維持予備調査の結果に基づき、平成6年度にヒマラヤ南面と北面に各々2カ所設置したが、各地域におけるプロセス研究が終了し、最終的には南面のクンブ地域と北面のタングラ地域で長期モニタリング態勢を維持している装置はおおむね良好に稼働し、近年の地球温暖化の影響が観測点の乏しいヒマラヤ高所にいかに現れるかの貴重なデータが得られている。2.氷河変動の実態観測1970年代に観測した氷河を測量し、ヒマラヤ南面では顕著な氷河縮小が観測された。その西部のヒドン・バレーのリカサンバ氷河では過去20年に約200mの氷河末端後退、東部のショロン地域のAX010氷河では、ここ17年で約20mの氷厚減少、またクンブ氷河下流部の氷厚減少も顕著であった。地球温暖化による氷河融解の促進は氷河湖の拡大を招き、その決壊による洪水災害の危険度を増やしている。3.氷河変動過程とその機構に関する観測氷河質量収支と熱収支・アルビードとの関係、氷河表面の厚い岩屑堆積物や池が氷河融解に与える効果などを、地上での雪氷・気象・水文観測、航空機によるリモート・センシング、衛星データ解析などから研究した。氷河表面の微生物がアルビードを低下させて氷河融解を促進する効果、従来確立されていなかった岩屑被覆下の氷河融解量の算定手法の開発、氷河湖・氷河池の氷河変動への影響など、ヒマラヤ雪氷圏特有の現象について、新たに貴重な知見が得られた。4.降水など水・物質循環試料の採取・分析・解析ヒマラヤ南北面で、水蒸気や化学物質の循環に関する試料を採取し、現在分析・解析中であるが、南からのモンスーンの影響の地域特性が水の安定同位体の分析結果から検出されている。5.衛星データ解析アルゴリズムの開発衛星データの地上検証観測に基づき、可視光とマイクロ波の組み合わせによる氷河融解に関わる微物理過程に関するアルゴリズムの開発、SPOT衛星データからのマッピングによる雪氷圏の縮小把握、LANDSAT衛星TM画像による氷河融解への堆積物効果の算定手法の確立などの成果を得た。6.最近の気候変化解析ヒマラヤ南面のヒドン・バレーとランタン地域で氷河積雪試料、ランタン周辺で年輪試料を採取し、過去数十年の地球温暖化に関わる気候変化を解析中である。7.最近数十年間の氷河変動解析最近の航空写真・地形図をもとに過去の資料と対比して氷河をマッピングし、広域的な氷河変動の分布を解析中である。8.地球温暖化の影響の広域解析北半球規模の気候変化にインド・モンスーンが重要な役割を果たしており、モンスーンの消長に関与するヒマラヤ雪氷圏の効果の基礎資料が得られた。
著者
八村 広三郎 赤間 亮 矢野 桂司 遠藤 保子 西浦 敬信 崔 雄 古川 耕平 阪田 真己子 李 亮 中村 美奈子 丸茂 美惠子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

モーションキャプチャ技術などを利用して,無形文化財のデジタル・アーカイブと,そのデジタルデータを利用して,動作解析,動作認識,コンテンツ制作などに利用するための広汎な研究を行った.具体的な成果は,複数演技者による舞踊動作における同期現象の解明,祇園祭山鉾巡行の記録とVR再現,仮想ダンスコラボレーション,身体動作データベースと身体動作の類似性に基づく,データ検索手法,舞踊譜Labanotation を用いた舞踊動作の記録と動作の再現のためのシステムLabanEditorの開発.また,これの能の仕舞動作への適用.ストリートダンス身体動作の教育支援システム,などである.
著者
佐古 愛己
出版者
佛教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

古代都城平安京から中世都市京都への変貌は、従来、京域内の変化に関しては、律令制的都市支配制度の形骸化、解体による治安の悪化や都市民による巷所の形成など、権力の弱体化や不在が中世都市の形成に繋がったとする視角が主流であった。本研究では、度重なる御所の焼失や頻繁にみられる天皇や上皇などの居所の移動(移徙)が、院政期に次々に実施される新宅(内裏・里内裏や院御所)造営と密接に関連しており、さらにその背景には、造営を請け負う受領をめぐる人事との関係がみられる点を明らかにして、当該期の政治・経済・人事制度に関連する構造的な問題の存在と、権力者により積極的に中世的都市の構築が図られていた側面を指摘した。
著者
馬場 彰子 鄭 紹輝 松永 亮一 井上 眞理 古屋 忠彦 福山 正隆
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.384-389, 2003-12-05
被引用文献数
2

西南暖地向けに育成されたダイズ新品種サチユタカの生育特性を明らかにするため,フクユタカと比較しその乾物生産特性について調査を行った.両品種を2001年7月9日および2002年7月4日に播種し,生育,乾物生産,収量および収量構成要素を測定した.その結果,サチユタカはフクユタカに比べて開花期,成熟期ともに早く栄養成長量は小さかったが,収量には有意な差はなかったため,粒茎比が高くなった.葉面積指数(LAI),個体群成長速度(CGR),地上部全重,茎重については開花期まではサチユタカの方が高かったが,開花期以降サチユタカではあまり増加がみられず,最大値はフクユタカのほうが高かった.なお,両品種の光合成速度,純同化率(NAR)には差異はみられなかった.一方,莢実重は,サチユタカでは増加開始時期は早いが成長速度には両品種間に差はみられなかった.茎重は成熟期に近づくにつれて減少した.さらに,茎中の非構造性炭水化物含有率は開花期においては両品種に差がなかったが,成熟期に近づくにつれて大きく低下し,その低下率はサチユタカで65%,フクユタカで40%であった.これらのことから茎中に蓄積された炭水化物が子実肥大期に莢実に再転流されたことが考えられた.以上の結果から,栄養成長量の小さいサチユタカがフクユタカに匹敵する収量を得られたのは,開花までの成長速度がやや高く,栄養成長の停止が早いため栄養成長と生殖成長の間の同化産物の競合が弱く,さらに茎中の非構造性炭水化物の再転流が多いことで同化産物の利用効率が高まったためであると考えられた.
著者
磯野 宏秋 古賀 一夫
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.224-230, 1982-02-05
被引用文献数
4

本報では衝撃によって接触面をすべらそうとするときの静摩擦係数を衝撃摩擦係数μiと呼び, その測定法を提案している.測定装置は垂直な六角柱(試験片)の軸に関して対称であり, その六角柱の両側面を長方形板(試験片;せん断応力波を直角に反射して圧縮応力波に変えるスリットが開けてある)の端面で押し付ける.μiは各試験片にねじで締結したホプキンソン棒に生じた応力から理論的に計算する.μiの信頼性はηが1に近いことによって確かめる.ηとは実験と理論で求めた装置各部の応力によって計算される衝撃エネルギーと伝ぱエネルギーの比である.研削した炭素鋼同士の試験片を対象にμiを測定し, その結果, 本測定法は信頼性が高く, またμiは一般に知られた動摩擦係数より小さいことを明らかにしてしいる.
著者
古井 陽之助 島崎 眞昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.49-50, 1992-09-28

アプリケーション内部の並列性を活用しマルチプロセッサで実行することによって処理効率向上を図る並列処理技術は、現在最も盛んに研究されているテーマの一つである。本研究では特に共有メモリ型マルチプロセッサ・マルチユーザ・マルチジョブ環境に議論の焦点を絞る。マルチユーザ・マルチジョブ環境でプロセッサ間の負荷分散を図るにはOSによるスケジューリングが必要であり、オーバーヘッドが非常に大きい。逆に、負荷分散を犠牲にして処理の粒度を相対的に大きくすることによってオーバーヘッド削減を図ると、システム全体の効率は上がるがジョブごとの処理効率は逐次処理のそれに近づいてしまう。このような状況をある程度解消する方法として、マルチプロセッサをクラスタ化し、OSはクラスタ単位のスケジューリングのみ行なうようにして、クラスタ中にあるプロセッサのスケジューリングはアプリケーション自身に任せることでオーバーヘッドを抑える、という方式が考えられる。本稿では、クラスタ化された共有メモリ型マルチプロセッサでdoall型ループの並列処理を行なった場合の実行効率をシミュレーションによって評価し、クラスタ化方式の可能性を論じる。
著者
古川 智章 溝端 竜也 東野 武史 塚本 勝俊 小牧 省三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.380, pp.99-104, 2010-01-14

映像コミュニケーションサービスが発達する今日,その1つとしてモバイルインターネットアクセスを利用したTV電話サービスがある.しかし,無線LANのような無線アクセスでは,無線リソースの逼迫に起因するサービス品質の劣化に対して,品質保証が必要となる.その指標として客観品質評価値があり,TV電話サービスには客観品質評価方法として,ITU-Tで標準化された評価手法G.1070がある.本稿では,背景トラヒックによる無線帯域の逼迫時における,映像トラヒックのパケットロスと客観品質をG.1070を用いて実験的に評価する.また,パケットロスと送信ビデオビットレートのトレードオフ,さらにビデオビットレートとフレームレートの関係に着目して,帯域逼迫時における映像品質を最大化するビデオビットレートとフレームレートの最適値について検討する.
著者
谷古宇 尚
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道生涯学習研究 : 北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要 (ISSN:13466283)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.123-132, 2003-03

This article treats of Russian artists in Sakhalin of various descents and two recently published Japanese novels, whose stories are set in the ex-Japanese territories.
著者
古瀬 幹夫
出版者
一般社団法人日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.229-233, 2000-07-25

Tight junctions, the most apical component of intercellular junctions, play pivotal roles in epithelial barrier by sealing the intercellular space. Very recently claudins were identified as the major molecular components of tight junction. Claudins not only work as adhesion molecules but also form tight junction strands probably by their polymerizing activity in the plasma membranes. Identification of claudins has enabled us to examine the molecular mechanism of epithelial barrier and permeability.