著者
尾花 裕孝 古田 雅一
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

食品の放射線照射は、食品の微生物管理や品質保持に効果がある。本研究では、照射時のラジカル反応により脂肪成分が変性して照射特異的に生成する2-アルキルシクロブタノン類(シクロブタノン)を検知指標とする食品照射履歴を化学分析により検知する分析法開発を第一目的とした。加熱溶媒による効率の高い抽出、低温下の脱脂、固相カラム精製を組み合わせた前処理法により、EU公定法ではGC/MS測定までの前処理操作に約2日を要するが、それを7、8時間に短縮することができた。牛肉、豚肉、鶏肉、鮭などにγ線を照射し開発した分析法によりシクロブタノンを分析したところ、すべての試料で、照射線量とシクロブタノン生成の用量一反応関係を確認した。シクロブタノン生成量は試料の脂肪含有量が影響したが、脂肪の多い試料で0.5kGy、少ない試料でも1kGy程度の線量まで検出できる感度であった。加熱加工・調理の影響を検討するために、照射食肉を加工・加熱調理してシクロブタノン分析を行った。その結果一般的な加熱・加工では食品の内部温度は100℃以下でありシクロブタノンは安定であったが、加熱温度を200℃に上げるとシクロブタノンは消失した。従って加熱加工・調理後の照射食肉類の照射履歴も検知可能であることが判った。食肉類の照射は冷凍状態で行われることが多いが、低温時のシクロブタノン生成は室温に比べると少ないことが明らかになり、低温時には元の脂肪酸構成を反映しにくいシクロブタノン生成比率であった。1年の冷凍保存を目安に冷凍保存後も照射の検知ができるかを検討したところ、生肉類ではシクロブタノンは若干減少したが照射検知には支障はなかった。加工食品では生肉類よりも大きく減少する例もあった。また、室温保存と比較すると、冷凍保存の方がシクロブタノンの安定性は高かった。
著者
山本 直樹 下塩 義文 古賀 広昭 徳田 正満
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.100, no.49, pp.1-6, 2000-05-10
被引用文献数
2

本報告は, 2対の非シールド形ツイストペアケーブル間の誘導特性について理論的に検討したものである.各ツイストペアケーブルはグラウンド上で平行2線をらせん状によじったモデルとして考え, 誘導電圧式を求めた.LAN用ツイストペアケーブルを考慮したパラメータを用いて誘導特性を推定した.推定例として, ツイストペアケーブルのよりピッチ, 線路長, 線路高に対する誘導特性を計算により求め, よりピッチと誘導特性の依存性などについて考察した.
著者
佐藤 美佳 古川 裕之 松嶋 由紀子 横井 祐子 宮本 謙一
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.245-250, 2007-03-10
被引用文献数
2 1

In clinical trials,patient name,date of birth,and sex are items of medical information used to refer to patients.Generally speaking,patient names are indicated by their initials.However,there are doubts as to whether patients may remain completely unidentified when initials are used.In this study,we investigated the identification levels of patients through the combination of the above three patient data items in post marketing surveillance data.We also investigated the necessity of items recorded in case registration forms for pharmaceutical companies and medical institutions.We investigated combinations of"K.K"and"Jan.2,1947"which were assumed to relate to the largest populations in the database of patient medical information at Kanazawa University Hospital.The total number of patients in the database with combinations of the above was 358,251.The number of patients with the initials"K.K."was 7,892(1/45),that with the initials"K.K"and"1947"was 173(1/2000),and that with the initials"K.K","1947" and"Jan"was 23,while there were only 4 patients(1/8500)with the initials"K.K.""1947","Jan"and "2".These results indicate that it would be possible to identify patients from the combination of their initials and their date of birth(DD/MM/YY).However,the size of the patient population in each medical institution's database would be an important factor since it would determine the extent to which this could be done.From the point of view of protecting personal information,it is thus necessary to consider whether it is appropriate to use patients' initials and dates of birth based on the size of patient population.
著者
田中 吉則 舛森 直哉 塚本 泰司 古屋 亮兒 小椋 啓 古屋 聖兒
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.554-557, 2010-03-20

(緒言) 経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of the prostate:TURP)後の排尿後尿滴下(post micturition dribble:PMD)の実態を調査した.<br> (対象と方法) TURPを施行した388例に対して術後1年目に尿失禁の有無,頻度,程度,および種類(腹圧性尿失禁,切迫性尿失禁,PMD)を問うアンケート調査を行った.<br> (結果) 有効回答270例中,78例(29%)が尿失禁ありと回答した.60例(77%)は週に1回か2回の尿失禁,72例(92%)はパンツにしみがつく程度の軽度の尿失禁であったが,毎日あるいはズボンを汚すとの重症例も少数に存在した.尿失禁の種類はPMDが48例(62%)と半数以上を占めていた.<br> (結論) TURP後の尿失禁の半数以上にPMDが関与していた.<br>
著者
岡崎 文明 一ノ瀬 正樹 小浜 善信 伊集院 利明 谷 徹 榊原 哲也 杉田 正樹 日下部 吉信 須藤 訓任 赤井 清晃 柏端 達也 塩路 憲一 古田 智久 三浦 要 菊地 伸二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の課題は<西洋古代から現代に至る二千六百年に及ぶ哲学史の統一的理解・再構築は可能か?>である。我々は共同研究を通じて再構築は可能であると結論することができた。これは「実存的歴史観」(vde.渡邊二郎『歴史の哲学-現代の思想的状況-』講談社、1999)によって支えられる。その具体的な姿は本研究グループの各メンバーによって各に示される。研究代表者の見解を要約すれば、西洋哲学史には2伝統、即ち古代ギリシア哲学(=ヘレニズム=善の優位性の思想)の伝統と西洋中世以降の哲学(=ヘブライズム=存在の優位性の思想)の伝統とが存存する。両伝統における「万有の根源の解釈」は根本的に異なる。しかし両者は新プラトン主義(原型)の第2段階「存在者-生命-知性」(三一)を或る仕方で共有することによって相互影響を受け、中世以降に新たな思想を生む。その結果、中世では存在論が、近世では認識論が、現代では生命論、新たな認識論と存在論がそれぞれ中心となった新しい哲学生まれる。中世から現代に至る諸哲学は1セットとして、ギリシア哲学に対峙し得る。その内容は下記の研究成果に示される。我々の研究成果の一部はまず第1の共同研究成果論文集『西洋哲学史の再構築に向けて』(1999)に示される。この外にもメンバー21人の各の研究論文等においても示される。その成果総数は学術論文209本、國内外の学会・研究会口頭発表87回、図書(単著)9冊である。更に平成15年中に第2の共同研究成果論文集『西洋哲学史観と時代区分』を公刊しようとしている。続く第3の共同論文集『現代の哲学-二千六百年の視野において-』は平成15年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)に申請中である。さらに第4の共同論文集『西洋哲学史再構築試論』も平成16年度科究費(研究成果公開促進費)に申請する予定である。以上が研究成果概要である。
著者
鄭 真己 山崎 喜比古
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.20-30, 2003-01-20
被引用文献数
8

「健康職場モデル」の概念を用い,組織特性を含めた労働職場環境特性が,ストレッサーとして労働者の心身の健康,職務不満足及び離職意向に及ぼす影響を検証することを目的とし,国内の情報サービス産業某社の従業員612名を対象に,2001年7-8月に自記式質問紙調査を実施した(有効回答率96.2%).うち,コンピュータ・テクニカルサポートスタツフ488名を最終的な分析対象とした.フォーカスグループを用いて労働職場環境特性の項目を新たに作成し,因子分析の結果から29項目7因子を得,「評価制度の未熟性」「管理方式の未整備」「キャリア・見通しの曖昧さ」を「組織特性」の尺度,「同僚のサポートの低さ」「上司のサポートのまずさ」「作業環境の低い快適性」「仕事の量・質の要求度」を「作業・職場特性」の尺度とした.重回帰分析の結果,「組織特性」と労働者の健康及び離職意向との有意な関連性が認められ,「組織特性」が重要であるという「健康職場モデル」の概念を支持する結果であった.
著者
塚脇 真二 古内 正美 高原 利幸 平吹 喜彦 竹林 洋史 石川 俊之 奥村 康昭 本村 浩之 富田 瑞樹 荒木 祐二 大八木 英夫 ハン プゥ
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

観光産業の爆発的な発展とともに大気や水の汚染、森林の破壊といった環境汚染・環境破壊が顕在化し、遺跡への影響や住民の健康被害が懸念されるカンボジアのアンコール遺跡区域を対象に、大気、水、森林の3分野から総合的な環境調査を2年間にわたって実施した。その結果、同区域の環境汚染や破壊が危機的状況になりつつあることや観光産業との密接な関連があることを確認し、成果をとりまとめ国際シンポジウムとして同国で公表した。
著者
古矢 旬 久保 文明 大津留 智恵子 橋川 健竜 廣部 泉 常本 照樹 酒井 啓子 中山 俊宏 西崎 文子 林 忠行 遠藤 泰生 久保 文明 大津留 智恵子 橋川 健竜 廣部 泉 常本 照樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

現代アメリカの国民意識、国家意識はいかなる要素、要因によって構成され、どのような理由でどのような過程を経て変容してゆくのか、本研究はこの問に対し、歴史、政治、政治思想、外交・国際関係、経済、文化、文学、宗教などの多元的な専門領域を通して接近を図った。それにより、建国期に形成された啓蒙主義的政治理念を主柱として成立したアメリカのナショナリズムが、その後の移民の波によってもたらされた様々なエスニック文化、宗教的観念を取り込みながら、国際秩序の内で次第に重きをなしてゆくプロセスに新しい光を当てることができた。
著者
谷古宇 尚
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

おもに13世紀から14世紀にかけてのゴシック期のフランシスコ会修道院の建築と絵画を取り上げて, これまであまり研究の対象とされなかった修道院参事会室や修道女席, また回廊などに描かれる絵画図像について, 建築的文脈や当時の宗教的・政治的状況を考慮に入れながら考察した。特にナポリのサンタ・マリア・ドンナレジーナ修道院とサンタ・キアーラ修道院, シエナのサン・フランチェスコ聖堂については, 全般的な調査に基づき, 絵画の図像的な意味と建築の役割を明らかにすることができた。
著者
南 範彦 西田 吾郎 吉村 善一 古田 幹雄 夏目 利一 島川 和久
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

Gを位相群、X, YをG-空間とする時、XからYへのG写像全体のG-ホモトピー類全体の集合[X, Y]^Gが空集合で無いための極めて普遍的な障害類として、G空間対X, Yのオイラー類e(X, Y)∈[X_+,S^O*Y]^G_*を定義し、何時これが完全に忠実な障害類になるか(つまり、e(X, Y)が自明なら[X, Y]^G≠0が帰結できるか)など、幾つかの性質を得た。この問題に関しては、現実的に計算しやすい(一般に忠実とは限らない)障害類を原靖浩氏とともに開発した。このような考え方は、Farberによって定義されたロボットアームなどのモーションプラニングの困難度を測るトポロジカル・コンプレクシティーの考察や、また抽象ホモトピー論としてのモデルカテゴリー的な観点からVoevodsskyらのA^1-ホモトピー論や関する幾つかの知見も得るのに用いられた。またHELPを通した特異点論におけるThom多項式の一般化にも着手し進歩が得られた。古田幹雄氏は、適当なコホモトピー群に値を持つ境界のない4次元可微分多様体に対する安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量と違い、境界のある4次元可微分多様体に対する安定ホモトピーSeiberg-Witten-Floer不変量は、Fredholm Universeというproスペクトラムという、代数的位相幾何学での伝統的なMay流のuniverseの手法を用いてcoordinate freeなスペクトラムで表そうとすると対応するuniverseがtwistされたものを用いて表されることに注意した。これは従来の代数的位相幾何学には存在しなかった現象で、極めて興味深い。また、期間中には以下の多くの研究集会を主催し、活発な研究連絡を行った。1.国際会議"International Conference on Algebraic Topology"(2003年07月27日〜08月01日)2.名工大代数的位相幾何学国際ワークショップ03(2003年08月03日〜08日)3.名工大ホモトピー論集会01(計1回),02(計4回),03(計1回),04(計1回)。
著者
江口 信清 藤巻 正己 ピーティ デヴィッド 山本 勇次 村瀬 智 瀬川 真平 池本 幸生 石井 香世子 四本 幸夫 古村 学
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、社会的弱者が、不利益をもたらされがちであった観光現象を逆手にとって、自立化・自律化の途を進み、かつ近代化の過程で喪失してきた自信やプライド、そして「伝統」を回復することはできるのだろうか。社会的弱者の自立的な生き方に観光がどのような意味を持つのかについて、世界の多様な地域の事例の比較分析し、考察をすることにある。比較研究の結果、少なくとも4つの結論を得た。(1) 途上国における社会的弱者は、観光にかかわるだけでは自立しえないであろう。(2) 外部で作られた観光の概念やスタイルと現地の人たちの理解するそれらの間には、しばしば齟齬がある。(3) 自生的なリーダーとこの人物を支えるフォロワー関係の存在が、観光開発の成否やコミュニティの福祉の改善に大きくかかわる。そして、(4) 女性の役割がたいへん重要であるということである。
著者
由井 義通 若林 芳樹 神谷 浩夫 古賀 慎二 宮内 久光 加茂 浩靖 中澤 高志 久木元 美琴 久保 倫子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

労働の女性化の実態を把握するために,労働市場,就業先における労働状況,終業後の生活時間,家族状況などの相互の側面を関連づけながら,労働力の女性化の実態について多面的な解明を試みることによって,経済のサービス化とグローバル化を原因とした労働の女性化について明らかにした。研究の意義としては,労働力の女性化に対して多様な女性就業の実態を捉えるとともに,住宅問題や保育問題を関連させて分析した点である。
著者
石原 道博 世古 智一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.27-32, 2007-03-31

表現型可塑性は、昆虫では翅多型や季節型および光周期による休眠誘導などの現象として一般的に知られ、季節適応にきわめて重要な役割を果たしている。これらの可塑性は異なる季節に出現する世代の間で見られ、季節的に変動する環境条件に多化性の昆虫が適応した結果、進化したと考えられている。しかしながら、これまでの研究は、可塑性が生じる生理的メカニズムについて調べたものばかりが目立ち、適応的意義まで厳密に調べた研究は少ない。表現型可塑性に適応的意義があるかどうかを明らかにすることは、表現型可塑性の進化を考えるうえでも重要なことである。この総説では、イチモンジセセリとシャープマメゾウムシの2種の多化性昆虫を対象に、世代間で見られる表現型可塑性が寄主植物のフェノロジーに適応したものであることを紹介する。シャープマメゾウムシでは、春に出現する越冬世代成虫は繁殖よりも寿命を長くする方向に、夏や秋に出現する世代の成虫は寿命よりも繁殖に多くのエネルギーを配分している。イチモンジセセリでは、秋に出現する世代のメス成虫は春および夏に出現する世代のメス成虫に比べてかなり大きな卵を産む。また、この世代が野外で遭遇する日長・温度条件下で幼虫を飼育すると、他の世代のものよりも大卵少産の繁殖配分パターンを示す。これらの表現型可塑性は、世代間で生活史形質問のエネルギー配分量の割合が変化するものであり、寄生植物のフェノロジーおよび寄主植物の質の季節変化に対する適応と考えられる。
著者
福本 義憲 園田 みどり 中居 実 古屋 裕一 黒子 康弘
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ語圏における第一次大戦期から第二次大戦後にいたる社会文化的なディスクルスの形成と再生産のプロセスを解明するために、研究実施計画に示された枠組みにしたがって、福本、古屋、黒子は社会文化的ディスクルスの形成における「認知的・道具的合理性」および「道徳的・実践的合理性」レベルについての理論的・個別的研究に従事し、中居、園田は「美的・実践的合理性」レベルでの諸現象の研究を行った。研究素材は、1910年から1960年までのほぼ50年間の、ドイツ語圏の各種メディア(新聞・雑誌・文学を含む文字メディア、さらに演劇・歌謡・美術などの芸術メディア、映画・ラジオ・TVなどの技術メディア)に広く渉猟し、その中で上記の理論的枠組みに照らして重要でありかつ時代と地域的特徴をよく表していると思われるものを取り上げて、各人が詳しく分析を試みた。福本は、社会文化的事象のディスクルス分析の理論的考察(「テクスト・ディスクルス・ディスクルス分析」)を行うとともに、第一次大戦前後の権力(Macht)をめぐるディスクルスの形成と再生産の過程を解明するため、特にチューリッヒ・ダダの反市民的ディスクルスの特徴を体現しているヴァルター・ゼルナーを取り上げ具体的かつ詳しく論じた。中居はウィーンのリートの特徴分析を行い、民衆歌謡における社会文化的ディスクルスの形成とその再生産の事情を明らかにした。園田は劇作家カール・ツックマイアーの『ケーペニクの大尉』を取り上げ、「制服」のディスクルス装置を第二帝政期ヴィルヘルム二世統治下のベルリンの時代と地域性と照らし合わせて詳しく論じた。黒子は、メディア現象のエコノミー、自然科学の文化主義的理解、技術的装置と言語の関係などについて、ハーバーマス=スローターダイク論争に即して論じた。その際、黒子は、20世紀の科学技術およびそれをめぐるディスクルスを、ローマ時代に淵源を持つフマニスムスにつながる問題として問い直すとともに、このフマニスムスの問いを発展させ、ゲーテに始まる「世界文学」ディスクルスのもつ社会・経済・文化史的な射程を、マルクス、ブレヒトにおける再編成を通して究明した。古屋は、ベンヤミンのメディア概念の現代的射程をめぐって考察するとともに、マルクス・バウアー『伝達のただ中-ヴァルター・ベンヤミンのメディア概念-』翻訳と注解を行うことで、ベンヤミン研究に貢献を果たした
著者
古川 昌司 大多 英隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.105, no.22, pp.1-5, 2005-04-14

我々は、今までに、ポリジメチルシラン、ポリジエチルシラン、ポリジプロピルシラン、ポリジブチルシラン、ポリジペンチルシラン、ポリジヘキシルシラン、ポリメチルエチルシラン、及びポリメチルノーマルプロピルシラン等、種々の対称及び非対称側鎖を持つ有機ポリシランの分子構造とパッキングについて検討・報告してきた。その結果、分子構造は、同一分子内の側鎖間の立体障害により主に決定されることが分かった。また、1個のシリコン原子に同じ2個の側鎖が結合(対称側鎖)しても、幾何学的には非対称に配置されることが分かった。2個の側鎖が幾何学的に対称に配置されると、立体障害が生じるためである。さらに、主鎖のコンフォメーションがオール・トランスの場合、c軸方向の周期は約0.4nmとなり、メチル基及びメチレン基のファン・デル・ワールス直径と等しくなる。そのため、側鎖(アルキル基)は第2隣接のシリコン原子に結合している側鎖と、うまくファン・デル・ワールス結合する。今回、ポリメチルエチルシラン及びポリメチルノーマルプロピルシラン以外の非対称側鎖を持つ有機ポリシランの分子構造とパッキングについて検討したので、それらの結果について報告する。
著者
古川 昌司 大多 英隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.20, pp.1-5, 2005-04-14

我々は、今までに、ポリジメチルシラン、ポリジエチルシラン、ポリジプロピルシラン、ポリジブチルシラン、ポリジペンチルシラン、ポリジヘキシルシラン、ポリメチルエチルシラン、及びポリメチルノーマルプロピルシラン等、種々の対称及び非対称側鎖を持つ有機ポリシランの分子構造とパッキングについて検討・報告してきた。その結果、分子構造は、同一分子内の側鎖間の立体障害により主に決定されることが分かった。また、1個のシリコン原子に同じ2個の側鎖が結合(対称側鎖)しても、幾何学的には非対称に配置されることが分かった。2個の側鎖が幾何学的に対称に配置されると、立体障害が生じるためである。さらに、主鎖のコンフォメーションがオール・トランスの場合、c軸方向の周期は約0.4nmとなり、メチル基及びメチレン基のファン・デル・ワールス直径と等しくなる。そのため、側鎖(アルキル基)は第2隣接のシリコン原子に結合している側鎖と、うまくファン・デル・ワールス結合する。今回、ポリメチルエチルシラン及びポリメチルノーマルプロピルシラン以外の非対称側鎖を持つ有機ポリシランの分子構造とパッキングについて検討したので、それらの結果について報告する。