著者
河野 啓子 後藤 由紀 畑中 純子 野口 多恵子 吉川 悦子
出版者
四日市看護医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

産業看護職に必要なコンピテンシーとして、「自己成長する力」、「産業看護の本質を貫く力」、「チーム力を高める力」、「戦略立案・業務遂行する力」、「人・部門・組織間を調整する力」、「人の成長をサポートする力」、「創出する力」といった7つのコンピテンシーが開発された。これらは本来の産業看護活動を行う上で不可欠なものであることから、産業看護職の資質を向上させるためには、これらのコンピテンシーを育成するための教育が必要である。そこで、教育のあり方を論じ、教育内容、教育方法、教育システムについて一定の方向性を見出した。
著者
趙 伯陽 桜井 陽平 柴田 清澄 吉川 史隆 友田 豊 水上 元
出版者
Japanese Society of Food Chemistry
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.42-47, 2014-04-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
14

ナスのヘタは尋常性疣贅(イボ)の治療に伝承的に用いられている。また、ナスのガク片部のエタノール抽出物が尖形コンジローマの治療に有効であったことが報告されている。そこで、ナスのエタノール抽出物の各種ヒト腫瘍細胞株に対する細胞致死活性を調べたところ、ヒト卵巣ガン由来の細胞株であるHRAに対して細胞致死活性を示し、その効果はガク片部からの抽出物が可食部からの抽出物よりも強かった。この抽出物から活性に基づく分画を行うことにより、2つの細胞致死活性成分9-oxo-(10E, 12Z)-octadecadienoic acid (9-EZ-KODE)および9-oxo-(10E, 12E)-octadecadienoic acid (9-EE-KODE)を単離・同定した。9-EE-KODEは、9-EZ-KODEの約10倍高い細胞致死活性を示した。また、9-EE-KODEの細胞致死活性を各種細胞株を用いて比較したところ、HRAに対して他の細胞株よりも約5倍強い活性を示した。ナスのガク片部の9-EE-KODE含量は可食部よりも高かった。
著者
吉川 徹朗 上田 恵介
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

シキミという樹木の種子は猛毒をもつにもかかわらず、ヤマガラという鳥によって運ばれていることがわかっている。本研究では、この特異な相利関係がヤマガラの体内微生物に及ぼす影響を明らかにする。特に、シキミ種子に含まれる猛毒物質がヤマガラの内部寄生者を減少させる可能性に注目する。シキミ自生地の内外でヤマガラの糞を採取し、そこに含まれるDNAの量を分析することで寄生者などの微生物の組成やアバンダンスを明らかにする。そしてシキミの種子を食べることが、ヤマガラの体内寄生者を減少させるかどうかを検証する。
著者
吉川 徹
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.429-435, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

近年, 発達障害のある成人に対する就労支援のニーズが飛躍的に高まっている. しかし彼らの就労支援において, どのような支援が必要とされているかという点については, いまだ十分なコンセンサスが得られていない. 自閉スペクトラム症においては, 社会的動機づけの障害が中心的な役割を果たしていると考えられるようになってきている. また注意欠如・多動症においても遅延報酬障害が実行機能障害と並んで, 重要な役割を果たしていると考えられている. 本稿では成人発達障害者への就労支援の領域における, 動機づけの支援の必要性について考察する.
著者
吉川 直孝 伊藤 和也 堀 智仁 玉手 聡 豊澤 康男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_125-I_130, 2011 (Released:2012-01-20)
参考文献数
6

本論文ではトンネル切羽の肌落ちにより発生した死傷災害を調査し,その発生状況を分析した.山岳トンネルでは,装薬や支保工の建て込みに際して作業員が切羽に接近して作業するが,多くの災害はそのような作業時に発生している傾向が見られた.また,肌落ちした岩塊の大きさは0.6m角程度と比較的小さいことから,肌落ち・落石災害防止対策として,切羽変位計測,十分な照度の確保,鏡吹付,導水・さぐり削孔といったソフト・ハード両面からの対策を提示した.
著者
吉川 次郎 高久 雅生 芳鐘 冬樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.21-41, 2020-02-29 (Released:2020-03-27)
参考文献数
48
被引用文献数
4 2

英語版Wikipedia 上のDOI リンクを対象に,(1) DOI リンクと編集者に関する状況,(2) 各研究分野における編集者ごとのDOI リンクの追加件数の偏りおよび占有度を明らかにするための分析を行った.結果として,まず,研究分野が特定可能な学術文献として約93 万件の参照記述を取得可能であり,ESI 分類における22 の研究分野と照合可能である.これらの参照記述を追加する編集者のうち,User は34,062 名,Bot は31 名,IP (非ログイン編集者) は16,349 名である.次に,既存の参照記述に対してDOI リンクを追加する編集を大規模かつ機械的に実行する編集者の存在により,User およびBot における研究分野全体でのジニ係数は0.93 であり,総体的に偏りが大きい.また,多くの研究分野においてそれぞれ偏りが大きい.
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014-04-01 (Released:2014-04-01)
参考文献数
42

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
高岩 義信 九後 太一 早川 尚男 棚橋 誠治 金谷 和至 五島 敏芳 小沼 通二 伊藤 憲二 伊藤 和行 九後 太一 受川 史彦 平田 光司 小長谷 大介 田中 希生 田中 正 難波 忠清 西谷 正 吉川 直志 坂東 昌子
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本の素粒子論研究が世界的に評価される礎を築いた湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一の遺した資料を活用してその学問の系譜を研究することを目標とし、その資料の利用環境整備を行った。史料データベースを充実させネットワーク上のサーバーを介して一般に公開している。このサーバで稼働するオープンソフトウェアの検討およびカスタマイズ、さらにその後継ソフトウェアの検討を行った。またこれらの資料を科学史研究に利用するのに有益な史料作成者データのデータベースを、史料カタログと連携するものとして構築することによって、史料の有効利用に資することができるようにすることを検討した。また今後へ向けての課題の検討を行った。
著者
大薗 博記 森本 裕子 中嶋 智史 小宮 あすか 渡部 幹 吉川 左紀子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.65-72, 2010
被引用文献数
2

How do we come to trust strangers? Previous studies have shown that participants trust smiling faces more than they trust nonsmiling faces. In daily communication, both facial and linguistic information are typically presented simultaneously. In this context, what kind of person will be judged as more trustworthy? In our experiment, 52 individuals participated as donors in a Trust Game involving many partners. Prior to the game, participants were shown photographs of their partners' faces (smiling/nonsmiling) as well as answers to questions indicating their partners' level of trustworthiness (neutral/somewhat trustworthy/trustworthy). Participants then decided how much money to give to each partner. The results showed that more trust was placed in partners providing trustworthy answers than in those providing neutral answers. Smiling female partners were trusted more than nonsmiling female partners. In addition, smiling partners were less trusted than nonsmiling partners only when the answers were trustworthy. These results suggest that individuals displaying too many signs of trustworthiness can actually be viewed with distrust.
著者
菊地 久美子 片桐 千華 吉川 拓伸 溝上 陽子 矢口 博久
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.195-205, 2016-11-01 (Released:2017-01-13)
参考文献数
23
被引用文献数
4

顔の肌色は,肌色に対する嗜好やそれに伴う化粧行動などに影響を受け,時代によって変化することが示唆されている.1990年代初頭と比較し,2000年代初頭の日本人女性の肌色は,明度が上昇,彩度が低下,色相が黄みへ変化したことが確認されているが,2000年以降の変遷については明らかにされていない.その背景には,多くの女性の肌色データの収集が困難なことに加え,同一測色計の維持の難しさがある.本研究の目的は,異なる分光測色計を用いて得られた肌色データを比較可能とするための補正式を構築し,日本人女性の肌色分布の長期的な変遷について明確化することである.まず,異なる分光測色計を用いて肌の同一部位を測定し,その差異を確認した上で,肌の分光反射率の補正式を構築した.さらに,2005年と2015年に約2000名の日本人女性の頬部を測色し,補正式を適用した1990年代初頭のデータ,2001年代初頭のデータと比較することで,約25年間の肌色分布の変遷を明らかにした.2000年以降,日本人女性の肌色分布は低彩度・赤みへシフトしたことが確認された.
著者
吉川 哲史
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
神経感染症 (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.39, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
13

【要旨】水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus、以下 VZV)は初感染で水痘を起こし、その後脊髄後根神経節に潜伏感染し宿主の加齢、免疫抑制、ストレス等に伴い再活性化し帯状疱疹を起こす。水痘予防のためワクチンが定期接種化され水痘患者数は減少しているが(pros)、一方で患者数減少に伴うナチュラルブースター効果の減衰に伴い、既感染者の水痘特異的細胞性免疫能の減衰スピードが速くなり、帯状疱疹患者の増加、若年化が懸念されている(cons)。帯状疱疹患者の増加は、疱疹後神経痛だけでなくウイルス再活性化に伴うさまざまな神経合併症の増加にもつながる。よって、今後帯状疱疹ワクチンによる帯状疱疹予防の重要性が増すと考えられる。
著者
齊藤 みづほ 星野 義延 吉川 正人 星野 順子
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.17-31, 2019 (Released:2019-07-30)
参考文献数
39

1. 沖縄県西表島の渓流辺植物群落(渓流帯に成立し,渓流沿い植物を主な構成種とする群落)の成立立地と冠水頻度の関係について,流積と集水域面積の2軸で冠水頻度を指標した渓流帯テンプレートを用いて明らかにすることを目的とした.2. 西表島の7河川において277の植生調査資料を収集した.また,河川横断面図の作成と冠水痕跡の調査から,平水位と年最高水位における流積を算出して渓流帯テンプレートを作成し,西表島の河川における渓流帯の範囲を推定した.3. 得られた植生調査資料から,ヒメタムラソウ-サイゴクホングウシダ群集,ヒナヨシ-シマミズ群集,マルヤマシュウカイドウ-イリオモテソウ群集の3群集を識別した.植分あたりの出現種に占める渓流沿い植物の割合は,ヒメタムラソウ-サイゴクホングウシダ群集,ヒナヨシ-シマミズ群集,マルヤマシュウカイドウ-イリオモテソウ群集の順で大きかった.4. 識別された3群集の分布を渓流帯テンプレート上にプロットした結果,ヒメタムラソウ-サイゴクホングウシダ群集とヒナヨシ-シマミズ群集は,年1回かそれ以上の頻度で冠水する立地に成立する渓流辺植物群落であると判断された.とくに前者は冠水頻度が高い立地にも成立していた.一方,マルヤマシュウカイドウ-イリオモテソウ群集は,年1回程度の増水では冠水しない立地に成立しており,渓流辺植物群落ではないと考えられた.5. 西表島の河川では,定期的な冠水による攪乱が,渓流辺での通常の陸上植物の生育を妨げ,冠水に適応した種からなる渓流辺植物群落を発達させていると考えられた.そのため,冠水頻度を低下させるような河川の人為的改変が行われた場合,渓流辺植物群落が衰退するおそれが高いことを指摘した.
著者
塚本 直幸 ペリー 史子 吉川 耕司 南 聡一郎
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.101-137, 2016-03

本論は,筆者らが継続的に行ってきたLRT(Light Rail Transit)整備に関わる各国の財源制度と個々の都市特性との関連で,整備手法や整備効果がどのように異なっているかについての体系的な現地調査の一連の流れの中にある。すなわち,LRT整備財源制度の把握を行い,都市特性に特徴があると考えられるスペイン3都市,フランス3都市の現地調査と交通政策担当者に対するヒアリングに基づいて,各都市の特性に応じたLRT整備計画の狙い,社会的合意形成プロセス,整備効果,LRT関連施設のデザイン決定プロセス等に関する情報収集を目的として実施したものである。
著者
麥谷 邦夫 吉川 忠夫
出版者
京都大學人文科學研究所
巻号頁・発行日
2003-03-20

周氏冥通記. 4卷
著者
奥村 誠 足立 康史 吉川 和広
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.115-122, 1989-12-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10

Spatial data are characterized by spatial interdependence and heterogeneity which give a variety of measurement problems. Heterogeneity can be covered by some econometrical techniques for model with non-spherical error term. Though spatial interdependence is considered as a “statistical noise” in the field of econometrics to date, how to model spatial interaction is the main subject in regional modeling. However, most of empirical works fails to take into account the interdependence effects in estimation or tests.In this paper, we consider a family of simultaneous spatial models which explicitly contain spatial interdependence. The most popular OLS estimator is neither unbiased nor consistent. We propose a new consistent and efficient estimator, that is named Two Stage Generalized Least Squares (2SGLS) Estimator. OLS bias, efficiency of 2SGLS and 2SLS estimator are numerically assessed. We conclude by discussing the applicability of 2SLS and 2SGLS estimator.
著者
城所 環 吉川 悦子 石田 千絵
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.330-336, 2022 (Released:2022-11-25)
参考文献数
17

目的:訪問看護師の「寄り添う」を明らかにする.方法:訪問看護師6名に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.結果:訪問看護師の「寄り添う」は,【人と家の雰囲気を捉え共感する】,【人として近づき信頼を深める】,【在宅療養の青写真を共に描き共に成長する】,【本人・家族の覚悟を見通し支える】,【暮らしの中で共に歴史を積み重ねる】,【安心して落ち着く場と日常を保障する】の6カテゴリーと14サブカテゴリーから構成された.結論:訪問看護師の「寄り添う」は,訪問看護師自身が利用者や家族にとって安心できる存在として認められ,積み重ねてきた信頼関係を基盤に成り立っていた.多様な背景を持つ療養者とその家族との暮らしの中での関わりは,訪問看護師自身の成長の機会にもなり,訪問看護の価値,やりがいや自らの看護観の醸成につながっていることが示された.