著者
大浦 律子 吉川 清兵衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.207-212, 1989-03-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Redox potentials of various bleaching agents and the fiber model substances were measured in order to estimate the oxidizing power of them.Bleaching agents used were sodium hypochlorite, hydrogen peroxide, sodium percarbonate, sodium perborate and sodium hydrosulfite. On the other hand, glucose and glutathion were adopted as the model substance of cellulose and wool fibers respectively.Results obtained were as follows.1) The redox potential of sodium hypochlorite was higher in plus value than that of hydrogen peroxide. That is to say, the bleaching agents of perchlorite series had more intensive oxidation power than that of peroxide series.2) Every redox potentials of peroxide bleaching agents used in these experiments were nearly equal. Sodium hydrosulfite exhibited minus potential.3) The potential of these bleaching agents lowered with the increase of pH, with point of infection appearing in diagram.4) The potential of glucose and glutathion were lower than that of peroxide series, and with the increas of temperature the potential of that became lower.
著者
吉川 昌太 木下 篤 船間 汐莉 松木 明好
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.404-412, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
34

【目的】小脳性運動失調を伴う脳卒中患者2症例に対して,体重免荷トレッドミル歩行練習(以下,BWSTT)を実施し,その効果を検討した。【方法】対象は小脳性運動失調を伴う亜急性期脳卒中患者の50 歳代の女性と60 歳代の男性とした。ABA 型のシングルケースデザインを用い,それぞれ期間を10 日間ずつ設定した。A 期には四肢と体幹の協調性練習,立位でのバランス練習や平地での歩行練習を受けた。B 期にはA 期の理学療法に加えBWSTT を実施した。評価項目は最大歩行速度,歩幅,歩行率,TUG,SARA,BBS,FACT,FAC とした。【結果】2 症例ともに最大歩行速度はA1 期と比べ,B 期において有意な向上を認めた。しかし,2 症例ともにB 期ではA1 期に比べSARA(歩行,立位,踵すね試験)やBBS の変化は乏しかった。【結論】小脳性運動失調を伴う脳卒中患者におけるBWSTT は歩行能力の向上に影響を及ぼす可能性が示された。
著者
植木 純 神津 玲 大平 徹郎 桂 秀樹 黒澤 一 安藤 守秀 佐野 裕子 佐野 恵美香 石川 朗 高橋 仁美 北川 知佳 玉木 彰 関川 清一 吉川 雅則 津田 徹
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.95-114, 2018-05-01 (Released:2018-09-20)
参考文献数
115
被引用文献数
10

呼吸リハビリテーションとは,呼吸器に関連した病気を持つ患者が,可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため,医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自身で管理して自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である.呼吸リハビリテーションは原則としてチーム医療であり,専門のヘルスケアプロフェッショナルすなわち,医師,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床工学技士,管理栄養士,歯科医師,歯科衛生士,医療ソーシャルワーカー,薬剤師,保健師,公認心理師,ケアマネージャー等の参加により,あるいは必要に応じて患者を支援する家族やボランティアも参加し行われるものである.また,呼吸リハビリテーションは病態に応じて維持期(生活期)から終末期まで,急性期,回復時,周術期や術後回復期も含むシームレスな介入である.介入に際しては,評価に基づきコンディショニングを併用した運動療法を中心として,ADLトレーニングを組み入れ,セルフマネジメント教育,栄養指導,心理社会的支援等を含む包括的な個別化プログラムを作成,実践する.達成目標や行動計画を医療者と協働しながら作成し,問題解決のスキルを高め,自信をつけることにより健康を増進・維持するための行動変容をもたらすよう支援する.継続への指導は再評価に基づき行い,身体活動の向上を重視する.呼吸リハビリテーションは息切れを軽減,健康関連QOLやADL,不安・抑うつを改善させ,入院回数・日数を減少させる等の有益な治療介入であり,適応のあるすべての呼吸器に関連した病気を持つ患者に実施される必要がある.
著者
生野 公貴 松尾 篤 吉川 奈々 中原 彩希 庄本 康治 森本 茂 鍋島 祥男
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.69-74, 2014 (Released:2022-09-03)
参考文献数
24

本研究は脳卒中後重度感覚障害に対する経頭蓋直流刺激(tDCS)と理学療法の併用治療の有効性をシングルケースデザインで検討した.症例は左視床出血後約3年経過した50歳代の男性である.表在および深部感覚は脱失で,右上肢に著明な感覚性失調を認めていた.tDCSは左体性感覚野に陽極を置き,刺激強度は2 mAとした.介入頻度は週1回20分とし,続いて40分の上肢練習を行った.練習セッションとベースライン測定に続いて,3セッション目をSham刺激,続く5セッションは真の刺激として,計8セッションの介入を実施した.評価は9-Hole Peg Test, Box and Block Test,感覚検査を実施した.その結果,tDCSによる有害事象はなかった.Sham刺激期間と比較してtDCS期間での全評価項目の有意な改善は認めなかった.感覚障害に対するtDCSは安全に実施可能であったが,本症例の運動および感覚障害に対して明らかな効果を認めなかった.
著者
清田 雅史 吉川 尚基 大野 豊 香山 薫 中島 将行
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.269-275, 2009 (Released:2010-01-14)
参考文献数
13

箱根園水族館で飼育されたカナダカワウソLontra canadensisの体各部の外部計測値を集計し,体長に対する各部のプロポーションを成獣5頭と新生獣1頭の間で比較した.新生獣の頭,口や体前部は成獣に比べ相対的に大きかったが,手掌,後肢,尾は小さかった.同亜科に属するラッコと比べるとカナダカワウソの遊泳に関わる部位は異なった発育パターンを示し,ラッコは仔獣の前肢が大きく後肢や尾の相対サイズに成獣と仔獣で違いが認められないのに対し,カナダカワウソの新生獣では手掌,後肢,尾が成獣より相対的に小さかった.四肢や尾の発育パターンの違いは,早成性のラッコ仔獣と晩熟性のカナダカワウソ仔獣の初期生活史における運動の必要性と関連していると考えられる.
著者
吉川 光司 対⾺ 栄輝
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202104, (Released:2022-07-13)
参考文献数
51

遠隔リハビリテーションとは,スマートフォンやタブレット,パーソナルコンピューターなどの情報機器と情報通信技術(以下,ICT)を⽤いてリハビリテーション従事者と患者が物理的に離れている環境でリハビリテーションを⾏う⽅法である。健康相談や評価,運動処⽅などを,ビデオ会議を介し実施することで遠隔地など医療の提供が困難な地域および通院が困難な患者を対象としているが本邦では社会的認知度が低い。 そこで本邦への情報提供を⽬的として2001 年から2020 年までの遠隔リハビリテーションを介⼊⼿段とした臨床研究を収集しレビューを実施,62 編の論⽂から情報を抽出した。結果,遠隔リハビリテーションの対象としては中枢神経疾患,運動器疾患,呼吸器や循環器疾患,難病や代謝性疾患,さらには⾼齢者のフレイルなど多種多様だった。また,研究数,研究実施地域および分野は徐々に増えていた。今後さらなる遠隔リハビリテーションの発展が⾒込まれる。
著者
森澤 太一郎 小谷 英太郎 神谷 仁孝 宮地 秀樹 渋井 俊之 吉川 雅智 中込 明裕 草間 芳樹 新 博次 梅澤 まり子 津久井 拓
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.79-86, 2013-01-15 (Released:2014-09-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1

潰瘍性大腸炎に合併する動静脈血栓症・塞栓症は,頻度は少ないが生命予後にかかわる重要な合併症の1つである.今回,われわれは潰瘍性大腸炎に合併した深部静脈血栓症および肺動脈血栓症に対し,抗凝固療法,血栓溶解療法にて出血合併症なく治療し得た2症例を経験したので報告する.症例1:44歳,男性.30歳より潰瘍性大腸炎全大腸炎型に対しサラゾスルファピリジン,メサラジンで加療中,寛解状態であったが深部静脈血栓症,肺動脈血栓症を発症.ヘパリンによる抗凝固療法,ウロキナーゼによる血栓溶解療法にて症状は改善し,ワルファリン療法に移行した.症例2:26歳,女性.頻回の下痢と血便が出現し,大腸内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎全大腸炎型・重症型と診断.メサラジン,プレドニゾロンによる治療を開始.経過中,右鼠径部から中心静脈カテーテル挿入後に深部静脈血栓を認めた.ヘパリンとワルファリンによる抗凝固療法により血栓は消失し,ワルファリン中止後再発を認めていない.潰瘍性大腸炎はメサラジンの内服にて寛解状態を維持している.炎症性腸疾患に伴う血栓症は,発症機序に不明な点が多く,原疾患に起因する出血を危惧して抗凝固療法,血栓溶解療法が躊躇される例も多い.しかし,炎症性腸疾患では血栓症の合併による死亡率が高いため,常に血栓症の存在に留意し,血栓症を発症した場合には出血のリスクを考慮したうえで,積極的な抗凝固療法,血栓溶解療法を迅速に行うことが重要と考える.
著者
吉川 正人 星野 義延 大橋 春香 大志万 菜々子 長野 祈星
出版者
低温科学第80巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.491-505, 2022-03-31

尾瀬ヶ原の湿原植生を構成する主要な群落について,構成種の種特性や食痕の確認頻度から,シカの採食圧に対する脆弱性の評価を行った.低層湿原や低木林・河畔林の群落は,シカの採食影響を受けやすい中・大型の広葉草本または低木を多く含み,食痕の確認頻度が高かったのもこれらの生活形をもつ種であった.このことは,低層湿原や低木林・河畔林で過去との種組成の違いが大きいという,既発表研究の結果と合致していた.また,構成種の積算優占度が大きい群落ほど食痕がみられた種数も多く,シカによく利用されていると推定された.これらのことから,尾瀬ヶ原においては低層湿原や低木林・河畔林の群落で保全対策の優先度が高いと判断された.
著者
坂口 英児 安田 康晴 山本 弘二 吉川 孝次 佐々木 広一 友安 陽子 竹井 豊
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.712-716, 2021-10-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
15

背景:救急活動においてストレッチャー操作は不可欠であり,とくにストレッチャーの持ち上げ操作における身体負荷は男性より女性のほうが大きいと考えられる。目的:ストレッチャー操作での男女の身体負荷を明らかにし,その対策を検討する。対象と方法:救急救命士養成課程の学生男性24名,女性5名を対象に,ダミーを乗せたストレッチャーの持ち上げ操作前後の自覚的運動強度と客観的運動強度の身体負荷をそれぞれ比較した。結果:自覚的運動強度での身体負荷は65kgの頭側と75kgの頭側,尾側で男性より女性のほうが有意に大きかった(p<0.05)。65kgの尾側では身体負荷に有意差はないものの,男性より女性のほうが身体負荷を感じていた。客観的運動強度での身体負荷は65kg,75kgともに頭側,尾側で男性より女性のほうが有意に大きかった(p<0.05)。考察:腰痛予防対策指針には重量物取扱い作業時の自動化・省力化が示されている。女性救急隊員の身体負荷の軽減や活躍できる環境を整えるために,女性がストレッチャー操作する際には頭側を避け,尾側の左右に1名ずつ配置し持ち上げ操作を行うなどの対策や,電動ストレッチャーを導入するなどの対策が必要である。
著者
髙田 琢弘 吉川 徹 佐々木 毅 山内 貴史 高橋 正也 梅崎 重夫
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2020-0022-GE, (Released:2021-02-11)
参考文献数
26

本研究は,過労死等の多発が指摘されている業種・職種のうち,教育・学習支援業(教職員)に着目し,それらの過労死等の実態と背景要因を検討することを目的とした.具体的には,労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターが構築した電子データベース(脳・心臓疾患事案1,564件,精神障害・自殺事案2,000件,平成22年1月~平成27年3月の5年間)を用い,教育・学習支援業の事案(脳・心臓疾患事案25件,精神障害・自殺事案57件)を抽出し,性別,発症時年齢,生死,職種,疾患名,労災認定理由および労働時間以外の負荷要因,認定事由としての出来事,時間外労働時間数等の情報に関する集計を行った.結果から,教育・学習支援業の事案の特徴として,脳・心臓疾患事案では全業種と比較して長時間労働の割合が大きい一方,精神障害・自殺事案では上司とのトラブルなどの対人関係の出来事の割合が大きかったことが示された.また,教員の中で多かった職種は,脳・心臓疾患事案,精神障害・自殺事案ともに大学教員と高等学校教員であった.さらに,職種特有の負荷業務として大学教員では委員会・会議や出張が多く,高等学校教員では部活動顧問や担任が多いなど,学校種ごとに異なった負荷業務があることが示された.ここから,教育・学習支援業の過労死等を予防するためには,長時間労働対策のみだけでなく,それぞれの職種特有の負担を軽減するような支援が必要であると考えられる.
著者
山野 泰穂 松下 弘雄 田中 義人 吉川 健二郎 原田 英嗣 吉田 優子 加藤 文一朗 久保 俊之 菅井 有 仲瀬 裕志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.48-56, 2019-01-25

要旨●大腸腫瘍性病変に対する拡大内視鏡診断は腺腫・早期癌に対する質的診断,量的診断において欠くことのできない診断手法となった.しかし,SSA/Pという新たな疾患概念の登場により,鋸歯状病変の拡大内視鏡診断は新たなステージを迎えている.今回筆者らはHPを除いた大腸鋸歯状病変180病変に対して従来のpit pattern分類にII型・IV型の亜分類(開II型,伸II型,鋸IV型)を加えて分類し,病変全体の均一性の観点からpit pattern単一群とpit pattern複合群とに分けて検討した.その結果,単一群において,SSA/Pでは81病変中69病変(85.2%)と高率に開II型を示し,TSAでは12病変中10病変(83.3%)と高率に鋸IV型を示すことが判明し,各々高い感度,特異度,陽性的中率を認めた.一方,複合群においては,SSA/P+CDでは31病変中24病変(77.4%)と高率に開II型+鋸IV型を示し,開II型+何らかのpit(α)で,またTSAでは何らかのpit(α)に鋸IVが付随することで高い感度と陰性的中率を示したが,特異度,陽性的中率は劣っていた.Ca in SSA/Pでは開II型+VI型が高率に認められたが,Ca in TSAでは特徴は見い出せなかった.その理由として,TSAの病理組織学的診断上の問題などの関与が示唆された.以上より,大腸鋸歯状病変に対する拡大内視鏡観察では均一性の確認が重要であり,複合したpit patternを有する病変では慎重な対応が望まれると結論した.
著者
前田 忠彦 朴 堯星 吉川 徹 尾崎 幸謙
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度は,「日本人の国民性調査」に関連して次の内容を実施した。(1a)2018年度に実施した「日本人の国民性 第14次全国調査」についてのデータクリーニング、および関連する調査地点データ等の整備、(1b)同調査の基礎集計の吟味と主な時系列的な知見の整理、(1c)先に整理が進んだ過去のデータに基づく共同分析の実施と成果発表,(2)過去(第13次全国調査まで)の調査データに付帯するメタデータ情報の整理と共同利用研究のためのデータ整備、(3)オンラインパネルに対するウェブ調査の方法論の検討、等。(1a)に関しては調査報告書の発行とウェブ上での公表を予定していたが,データ整備の遅延により2020年度に先送りした。(1b)について,継続調査の中で長期にわたって利用されてきた調査項目の多くでは,(変化自体が観察されにくくなっていることを含めて)これまでの動きと同質の傾向性が見られる一方,2013年度実施の第13次全国調査で見られた「東日本大震災後」に特有の意識,たとえば自然災害に対する不安や,日本人の良い性質などについての項目で若干の「揺り戻し」とみられる動きが観察されること,などが分かってきている。(2)1953年に第1次調査が行われて以来の,2018年まで14回にわたる全国調査について,,今後の共同利用(のためのデータ公開)に向けて,メタデータおよび個票データの整備を進めた。すなわち調査データそのもの,コード表,調査地点情報の3点の整備を行った。また複数時点間で微妙に異なるコーディング法等をハーモナイズする方針などを検討した。(3)については確率標本に対する面接調査とオンラインパネルに対するウェブ調査の比較検証の前に,ウェブ調査の信頼性を揺るがす可能性がある,いわゆる手抜き回答の検出法等に関する成果発表を行った。