著者
石井 裕正 横山 裕一 堀江 義則
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.877-887, 2000-07-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
61
被引用文献数
1

わが国のアルコール飲料の消費量は依然として増加傾向を示しており,それにともないアルコール性肝障害も日常臨床上,ウイルス性肝障害に次いで重要な疾患として位置付けられる.本稿ではアルコール性肝障害の発症機序に関する最近の知見を,特にアルコール代謝との関係から論じ,さらにアルコールによる肝細胞死を特にアポトーシスの立場から考察を加える.また最近行われた全国規模の調査から疫学的にみたアルコール性肝障害の実態についても言及したい.
著者
林 海鷹 松井 徹 堀江 崇文 菱山 信也 藤瀬 浩 矢野 秀雄
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-56, 2003-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
17

一般臨床上健康な48頭の柴犬から採血を行い,高圧液体クロマトグラフィーにより血漿中ビタミンC濃度を測定した。供試犬の年齢構成は1歳未満4頭,1-2歳12頭,2-5歳7頭,5-10歳12頭,10歳以上13頭であり,性の構成は,雄13頭,雌28頭,避妊雌7頭であった。血漿中ビタミンC濃度は年齢の影響を受けたが(P<0.001),性の影響および年齢と性の交互作用は認められなかった。1歳未満の柴犬は,1歳齢以上のイヌと比較し血漿中ビタミンC濃度が高かった(P<0.01)。一方,1歳齢以降では加齢に伴う血漿中ビタミンC濃度の変化は認められなかった。1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度は7.00±1.10mg/L(平均±標準偏差)であり,1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度の標準的な値は4.8-9.2mg/L(平均±2×標準偏差)程度であることが推察された。
著者
大貫 雅子 橋本 洋子 堀尾 武
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.505-510, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

42歳, 男性。体温上昇時, 精神的緊張時に強度の痛みとともに生じる皮疹を主訴に受診した。温熱負荷および運動負荷により紅斑と粟粒大の膨疹が誘発され, 皮疹出現時の発汗低下が確認されたことより, 減汗性コリン性蕁麻疹と診断した。組織学的には発汗低下の要因となるような機質的変化はみとめられず, 連日の運動負荷による発汗の促進誘発により症状の軽快が得られた。本疾患の病態形成機序は十分解明されていない。自験例では, 誘発時の血中ヒスタミン値の有意な上昇はみられなかった。また, 内服PUVA療法により皮疹形成は抑制されたが痛みは改善しなかったことから, 両者に関与するメディエーターは異なる可能性が示唆された。
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.265-273, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
12

ICTの活用と学力の関連について,諸外国の研究を調査して,総括的に述べている.本総説を述べるには,学力の定義や,ICTの活用に関わる多様な要因について言及する必要があるが,ここでは,小学校から高等学校までの教科の学力,ICTの利用頻度や形態などの要因に限定して述べている.本総説では,OECDのPISA調査,イギリスのBectaの調査,アメリカテキサス州の調査を中心にして考察した結果,ICTの活用は,全体的に教科学力の向上に効果的と言えるが,統計的な有意差は,特定の学年や教科に限定される.ICTの活用の仕方と,教育理念,授業形態,教員の指導力,技術支援体制,教材,ICTの環境などとの関連については,フィンランド,シンガポール,中国への訪問調査によって事例的に述べている.
著者
宮内 隆行 松村 長生 江川 善康 大塩 猛人 石橋 広樹 堀家 一哉
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.77-82, 1994-01-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

最近,われわれはプール消毒剤誤飲による頸部食道穿孔から縦隔炎を併発した1小児例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は12歳,女児.主訴は呼吸困難. 1992年7月24日水泳中,プール消毒剤(次亜塩素酸カルシウム錠剤)を誤飲し,呼吸困難が出現したため,当科紹介となった.食道造影で頸部食道穿孔から気縦隔および縦隔炎を併発したと診断され手術を施行した.頸部食道に径1.5cmの穿孔を認めた.穿孔部の一期的修復と左後縦隔ドレナージ,両側傍食道ドレナージを施行した.術後,右縦隔炎が増悪し,受傷後17日目に再手術を施行したがドレナージは不十分であった.受傷後27日目に食道内Tチューブドレナージ,デューブルドレーンによる右後縦隔,傍食道ドレナージを施行し,イソジン持続洗浄により炎症は消退した.
著者
柳原 敏昭 七海 雅人 狭川 真一 入間田 宣夫 菅野 文夫 堀 裕 山口 博之 誉田 慶信 佐藤 健治 齊藤 利男 飯村 均 乾 哲也 井上 雅孝 及川 真紀 岡 陽一郎 菅野 成寛 鈴木 弘太 長岡 龍作 奈良 智法 畠山 篤雄 羽柴 直人 若松 啓文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本科研がめざしたのは、歴史資料の再検討による、平泉研究の新たな展開のための基盤整備である。研究目的に即し、文献・考古・石造物の三班に分かれて研究を遂行した。文献班は、中尊寺文書を中心とする同寺所蔵中世史料の悉皆的な調査を実施し、多くの新知見を得た。また、平泉関係の文献史料を集成した。考古班は、経塚を中心とする12世紀代の遺跡の発掘調査を行い、日本最北端の経塚を確認するなどの成果を上げた。また、平泉に関連する北海道・東北地方の遺跡の集成を行った。石造物班は、平泉とその周辺の石造物を調査、資料化し、主要なものについて報告書に掲載した。結果、平泉研究に新しい面を開くことができた。
著者
永井 康睦 斉藤 芳男 松田 七美男 酒井 修二 堀越 源一
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.280-283, 1989-03-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
佐藤 朝美 松河 秀哉 椿本 弥生 荒木 淳子 中村 恵 松山 由美子 堀田 博史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43039, (Released:2019-08-13)
参考文献数
6

本研究では,保護者が子どもの成長や学びについて深く考えるために,デジタルストーリーテリングワークショップを開発し,その効果を明らかにすることを目的とする.園で撮影された写真を用いた活動をデザインし,実践した結果,子どもの成長だけでなく,保護者自身,園や先生の役割についての振り返りが促されていた.また保育者からは,本WSのDST作品や保護者の対話に対して,「子どもを共に育てる」気持ちを共有できたというポジティブな見解が示された
著者
程 岩松 堀内 孝次 大場 伸哉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.153-160, 2002-09-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
14
被引用文献数
2

植物の他感作用を活用して, イネ科強害草のメヒシバの生育を抑制する目的で, 42種類のハーブの抽出液を用いた発芽実験を行い, さらに発芽抑制効果の大きかった数種ハーブについて, 植物体砕片を土壌に混入し, それをポットに充填してメヒシバを育成し, その生育抑制効果を調査した。その結果, 発芽実験ではバルサムギク, ローマンカミツレ, メボウキ, ミドリハッカ, ラベンダーの蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, メボウキ, アマドコロ (地下茎) のメタノール抽出液が発芽を強く抑制した (第1表)。発芽後初期生育は, スイカズラ, ラベンダー, イチョウ (果皮) の蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, キツネノボタン, ウコン, アマドコロ (地下茎) とイチョウのメタノール抽出液によって顕著に抑制された (第1表)。また, スイカズラとラベンダー砕片を土壌に混入したところ, メヒシバの乾物重と分げつ数は対照区に比べて大きく減少した (第3表)。これらの実験結果は, ハーブ類数種がメヒシバの生育を強く抑制し, 他感作用を有する可能性を示した。
著者
曽我部 真裕 井上 武史 堀口 悟郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

曽我部は、研究全体のとりまとめを行うとともに、「基本的情報の提供・流通の体制のうち公共放送のあり方」に関して、報道の任務について論じ(「任務は権力監視、独立性が生命線」Journalism328号(2017年))、また、関連して判例の検討等を行った(「2017年マスコミ関係判例回顧」新聞研究799号(2018年))。また、「補完的に民意を表明・調達する手法」として、デモ規制のあり方について検討した(「市民の表現の自由」宍戸常寿・林知更(編)『総点検 日本国憲法の70年』(岩波書店、2018年))。井上は、分担テーマである「民主政に関与するアクターの規律」について、民主政に関するフランスの憲法規定の変遷を統計的、網羅的に検討し、かつ民主政のあり方を問い直す最近の改憲議論を取り上げて、その動向を探る研究を行った(「フランス第5共和政における憲法改正:最近の改憲論議も含めて」辻村みよ子編集代表、講座政治・社会の変動と憲法:フランス憲法からの展望第Ⅱ巻『社会変動と人権の現代的保障』、信山社、2017年)。堀口は、昨年度に引き続き、分担テーマである「専門的知識を創出・供出する制度」として、学術の中心をなす機関である大学に関する検討を行った。具体的には、①高等教育の無償化が大学に与える影響(斎藤一久=安原陽平=堀口悟郎「高等教育の無償化に向けての憲法改正の是非」季刊教育法195号(2017年))、②大学運営に対する学生の参加が大学教員の学問活動に与える影響(堀口悟郎「(学会報告)学生の参加と教授の独立」比較憲法学会、2017年10月28日、同志社大学)について考察した。
著者
田島 美幸 佐渡 充洋 藤澤 大介 堀越 勝 大野 裕 横井 優磨 吉原 美沙紀 原 祐子 藤里 紘子 岩元 健一郎 石川 博康 岡田 佳詠
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、認知行動療法を活用した認知症の家族介護者向けの2つのプログラム(①集団CBT、②訪問看護師による個人CBT)を開発し有効性を検討した。【集団CBT】集団CBTプログラム(月1回90分、計5回)を実施したところ、75歳以下の介護者では、介護負担感、介護に対する否定的な感情において主効果が認められた(p<0.05)。【訪問看護師によるCBT】 訪問看護時に訪問看護師が実施できる個人CBTプログラム(1回30分、計11回)を開発した。また、介入の質を担保するために訪問看護師に対するCBTの教育体制(集団研修およびスーパービジョン)を整備した。現在、症例登録を継続中である。
著者
西川 潔 堀田 千絵 馬野 範雄 宮野 安治
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-10, 2019 (Released:2019-08-05)

The aim of this study was to find the main learning ability in teaching practice at elementary school. Especially, considered the previous research, we focused on the claim advanced by the school teachers, compared to more reports toward students or university educators. We conducted the mail-in survey and asked the elementary school teachers to answer the two type’s questions. The first question was consisted of eighteen learning contents in teaching practice. As a second question, we asked them to write to-be-learned contents in teaching practice freely apart from the first question. As a result, the five hundred-twenty nine valid answers were obtained. Eighteen items by first question consisted of 5 factors: (1) school management; (2) class management; (3) lesson practice abilities; (4) the understanding for special need education; (5) the qualifications as a teacher. All these factors had a high degree of internal consistency for Cronbach’s alpha reliability for the scale. Moreover, the independence of categories was rated as the most significant learning content. Furthermore, in free descriptions, it seemed that thirty-two percent of teachers insisted on the significance of the positivity and motivation for learning. Our findings corresponded to previous studies for each type of school. For future direction, we need to examine how to cultivate the abilities as an acceptable member of society during a four-year university education.
著者
岡村 かおり 池田 鉄輔 島倉 康仁 吉場 史朗 岸 賢治 安藤 潔 堀田 知光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 = The Japanese Journal of Clinical Hematology (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.527-531, 2005-07-30
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は34歳,女性。白血球数17,900/&mu;<i>l</i>(異型リンパ球58%)を指摘され精査にてT細胞性前リンパ球性白血病と診断した。2カ月後に白血球数43,600/&mu;<i>l</i>まで増加したため,2'deoxycoformycinおよびCHOP療法を施行するも寛解せず,非血縁BMTを目的に入院した。cytarabineとetoposideで腫瘍量を減少させた後にTBIとcyclophosphamideによる前処置を行い,非血縁BMTを施行した。GVHD予防にはcyclosporineとshort-term MTXを用いた。Day 13よりGrade IIの急性GVHD(皮膚と消化管)を発症したが,Day22の末梢血T細胞のshort tandem repeat (STR)解析でrecipient-typeが9.4%と腫瘍細胞の残存を認めた。免疫抑制剤の減量を開始するもGVHDの悪化はなく,recipient-typeのT細胞が消失した。移植後22カ月経過した現在も完全寛解を維持しており,T-PLLにおいてGVL効果が期待できることが示唆された。
著者
山口 訓央 高木 将通 堀 敦史 石川 裕
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-152, no.8, pp.1-10, 2015-12-09

InfiniBand を用いたハイパフォーマンスコンピューティング向けの通信ライブラリにおいて,通信性能低下を最小限に抑えながら,100 万ノードでの並列実行を可能にするメモリ消費削減手法を考察する.対象とする通信ライブラリは,MPI ライブラリとその下位に位置する低レベル通信ライブラリである.また,NUMA ノード内を OpenMP で並列化し,NUMA ノード間を MPI で並列化することを想定する.これらの通信ライブラリでは,並列実行ノード数と NUMA ノード数が増加した際のノードあたりメモリ消費量の増加が課題となる.この課題を解決するため,通信コンテキストの総数を制限する手法,また複数の通信相手で一つの資源を共有する手法,また複数の MPI プロセスでオブジェクトを共有する手法を考察する.本手法は,1 ノードあたり 4MPI プロセスとした場合,100 万ノードを用いた並列実行において,1 ノードあたりメモリ消費量を 1.00GB に抑えることができる.