著者
大塚 恭寛 石塚 保弘 三村 文昭 小笠原 猛 高橋 誠
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.139-144, 2011-03-15 (Released:2011-06-02)
参考文献数
24

胃悪性リンパ腫に対する外科的治療の役割は近年減少傾向にあるが,穿孔や大量出血などのoncologic emergencyは救命目的の緊急手術の適応である。我々が経験した症例は,9年前より慢性関節リウマチに対してステロイド治療中の51歳,女性である。3か月前からの食思不振に対する胃内視鏡検査にて,胃体上部から前庭部にかけての小弯に2型の潰瘍を伴う隆起性病変を認め,生検にてびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断。腹部CTにて最大径21cmの巨大な胃原発腫瘍と領域リンパ節の腫大を認めた。病期診断のための精査中,突然の大量吐血から出血性ショックに陥ったため当科を救急受診。輸液負荷と輸血にてショックから離脱後に緊急胃内視鏡検査を施行したが,胃内には凝血塊が充満しており,内視鏡的止血は困難であった。以後も循環の維持に持続的な輸血を要したため,transient responderと判断し,吐血の13時間後に外科的止血目的の緊急手術を施行した。開腹すると,胃小弯より発生した巨大な腫瘍が,腫大し一塊化した領域リンパ節を介して膵体部と横行結腸間膜に浸潤していた。腫瘍は易出血性で,術中に消費性凝固障害が出現したため,系統的リンパ節郭清は危険と判断し,出血源である原発巣のみの切除を目的に胃全摘術(D0,後結腸性Roux-en Y再建)を施行した。術中出血量は5,600gであった。切除標本は径25×14×9cm,重量2,320gの全胃で,粘膜面に径21×13×8cmの腫瘍(佐野分類上の決潰型)を認めた。組織学的には漿膜露出とsampling摘出したリンパ節に転移を認め,Lugano分類上の臨床病期stageII1E(pancreas)と診断した。術後経過は順調で,術後7日目より経口摂取を開始し,14日目にがん化学療法目的で当院血液腫瘍内科に転科した。術後2年の現在,悪性リンパ腫の完全寛解が得られている。
著者
大塚 秀高
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.79-134, 1994-03

以平話為書名的「小説」有両種。 一種是宋末元初刊本之『新編五代史平話』,一種是元至治年間建安虞氏所刊行之「全相平話五種」。 它們在版式和史観表現方面各有特色。 前者好像比較尊重民族的血統,而後者却似乎更尊重王朝的正統一這在其代表作『三国志平話』中猶為明所顕。 明代成書的『残唐五代史演義伝』中也可看出跟『三国志平話』同様的史観。 依我所見,早在『残唐五代史演義伝』成書之前已応該有「残唐平話」。 『残唐五代史演義伝』基本保持了它的史観,而『新編五代史平話』則是根拠史書改編而成的。 『新編五代史平話』之創作改変是単独而先行的。 但到了明代嘉靖年間,却掀起改編講史章回小説的高潮。 比如熊大木編纂的現存之『唐書志伝通俗演義』和『大宋演義中興英烈伝』,都由楊氏清白堂・清江堂出版。 已佚而曽経存在的熊大木編纂的,除上述両種外,還有『列国志伝』『全漢志伝』『南北宋志伝』。 這些作品,拠我所知,都是嘉靖後半由楊氏両清堂刊行,而万暦年間,在南京由周氏万巻楼(仁壽堂)・大業堂和唐氏世徳堂,附上上元王少淮写像相継刊行,在福建由余氏三台館以上図下文形式刊行出版。 在這不但時期而且地点也不同的三次出版中,熊大木編纂的本子(嘉靖定本)所用的分則形式漸次変化,以至誕生了新的分回形式本子即万暦新本。 根拠版本和挿図之画工来判断,可以認定和上述五種講史章回小説同様『東西晋志伝通俗演義』也早已有嘉靖定本,只不過現在佚失罷了。 拠上元王少淮写像的挿図来看,『英烈伝』之余君召三台館刊本,恐怕是南京出版的。 它的南京斉府原板也有可能為嘉靖定本。 熊大木不但拠史書来改変旧本(原本)小説(恐怕是平話或者平話系統的本子)的荒誕無稽,而且記下他改変的根拠等。 這由嘉靖定本(及其系統之版本)中常々発現「旧本○○」「小説○○」等註記可以得到説明。 嘉靖定本之中還有附上彩絵図之内府抄本。 内府除了以抄本形式向皇帝・皇后等提供娯楽外,還以刊本形式向一般読者提供閲読講史章回小説的方便。 但培養忠義・英烈等封建思想則是其真正的目的之所在。 這従忠義・英烈的詞匯出現在書名上可以得到説明。 我想,在推動小説生成的歴史上郭勛之存在很重要,而嘉靖定本之出現和郭勛之所作密接相関。 特別是把小説創作作為到達某種政治目的的一種手段的作為更是引人注目。 拠『皇明従信録』所註,郭勛為他的五世祖郭英写了『国朝英烈記』。 這『国朝英烈記』和南京斉府本『英烈伝』相当有関係。 也正是受到郭勛的創作意図的影響纔能誕生了武定板『三国通俗演義』和『水滸伝』。
著者
大塚 崇雄 齋藤 芳徳 山口 健太郎 絹川 麻里 三浦 研
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.576, pp.9-16, 2004
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to suggest environment for the wheelchair users in a nursing home. This study focuses on behavioral patterns of elderlies from viewpoints of moving ability, transfer ability and degree of dementia, and on care of staffs. The results are as follows. (1)For the elderlies who cannot transfer by themselves, it is necessary to improve care environment and develop the tools that support transfer ability. (2)For the elderly with severe dementia, it is necessary to make a living base smaller size.
著者
大塚 崇雄 齋藤 芳徳 山脇 博紀 山口 健太郎 三浦 研 外山 義
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.569, pp.47-54, 2003
被引用文献数
4 3

The purpose of this study is to clarify the effects of introducing adjustable wheelchairs in a nursing home.For this objective, a nursing home was surveyed by means of observations and interviews.The results are as follows. 1) The mobility of the elderly improved relatively by the use of adjustable wheelchairs. 2) The support of the seating posture became possible by the effect of the seating. The restraining straps of the wheelchair came off by the use of adjustable wheelchairs. 3) The elderlies whose behavioral patterns are improved by the use of adjustable wheelchairs are only few.lt is considered that the improvement of conciousness to the care staffs and of the surroundings which adjust the new type wheelchairs are necessary.
著者
大塚 浩司 大町 真一郎 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DBS,データベースシステム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.415-420, 2006-07-14
参考文献数
6

共通のトピックに関するウェブページの集合であるウェブコミュニティを抽出する手法の1っとしてHITSアルゴリズムが知られている.HITSアルゴリズムは,ウェブコミュニティを"オーソリティ"と"ハブ"と呼ばれる2種類のウェブページからなる2階層の構造をしていると仮定し,これを2部グラフと見なして抽出することを目的としている.しかし,一般にウェブコミュニティはより複雑なリンク構造を持っている.本論文では,3階層以上の多階層のリンク構造を持つウェブコミュニティを抽出することを目的とし,オーソリティ・ハブに加えて中間ノードを導入したウェブコミュニティ抽出法を提案する.提案手法により,HITSアルゴリズムでは抽出しにくいページをウェブコミュニティのメンバとして抽出することが可能であることを実験により示す.
著者
大塚 尚寛 関本 善則
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.897-902, 1993-11-25 (Released:2011-01-27)
参考文献数
8

It is considered that land deformation caused by open-cut mining influences on wind system around the quarry. Two case studies were conducted to investigate the change of wind system around the quarry.The results are summarized as follows:(1) Land deformations caused by open-cut mining were simulated with three dimensional computer graphics, and it became possible to forecast the changes of wind direction visually.(2) By use of quantitative formula that showed the relationship between lay of land and wind direction frequency, it became possible to forecast the changes of prevailing wind direction and wind direction frequency quantitatively.(3) It became clear that deforestation according to open-cut mining influenced on increase of wind speed around the quarry.(4) In case A, the ridge of the quarry will be mined, it was forecasted that change of wind system affected on living environment a little.(5) In case B, all over the mountain will be mined-out, it was forecasted that wind system around the quarry was changed widely.
著者
大塚 好古
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.750, pp.86-91, 2011-11
著者
大塚 浩通 渡辺 知香 小比類巻 正幸 安藤 貴朗 渡辺 大作 増井 真知子 林 智人 安部 良 小岩 政照 佐藤 繁 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1161-1166, 2006-11-25
被引用文献数
7 35

周産期における乳牛の栄養状態と細胞性免疫機能の関係を明らかにする目的で,異なる2つの飼養内容にあった2群の乳牛の免疫状態を観察した.免疫解析としては末梢白血球ポピュレーションおよびreal-time RT-PCRによる末梢血単核球のIFN-γ, TNF-α, IL-4およびIL-10のmRNAを計測した.乾乳期の飼料内容は1群(N=6)では非繊維性炭水化物が不足しており,II群(N=6)では充足していた.I群の血糖値はII群にくらべ分娩前12週から分娩後16週にかけて有意な低値を示した.1群の総コレステロール値はII群に比べ分娩後2週から10週まで有意な低値を示した.I群のCD3^+T細胞およびCD4^+T細胞数はII群に比べ分娩後6週および14週に有意な低値を示した.またI群のCD21^+B細胞はII群に比べ分娩前の16過と12週および分娩後の2過と10週で有意に低かった.一方,I群におけるCD4^+/CD8^+比は分娩後2週から14週までII群に比べ有意な低値が見られた.分娩後6週ではI群のIFNγ/IL-4mRNA比がII群に比べ明らかな低値を示した.周産期において低栄養にある乳牛では分娩後に細胞性免疫の低下のあることが明らかとなった.
著者
戸川 達男 斉藤 浩一 大塚 公雄 山越 憲一 小川 充洋
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、戸川らがコンセプトを提唱し、実際に研究を進めてきた高齢者の健康状態を在宅でモニタするための技術のさらなる開発を進めるものである。これらの技術の特色は、家屋および家具にモニタ機器を組み込むことにより、被検者の日常生活を妨げずに生理量や行動を計測するというところにある。被検者は無侵襲かつ無拘束で計測が可能であり、計測は自動化されており煩雑な機器操作を求められない。また、計測されていることすら意識させずに在宅で計測が遂行可能である。本研究では、これまでの研究成果を実用化するため、長期間にわたってデータを収集し、得られたデータの解析・解釈の方法を確立することを目的とした。具体的には、このために一般家庭で使用できるシステムを開発することをねらいとした。研究においては以下を行った。まず、独居被験者を対象とした生理量および行動モニタリングのためのシステムを構築し、モニタリング実験を行い、連続3ヶ月以上のメンテナンスなしでのモニタリングが可能であることを実証した。また、3世代家庭においても行動センサを用いてのモニタリングを行なった。また、小型の3軸加速度および3軸磁気センサを内蔵した腕時計型データロガーを開発し、生活行動中の測位が可能であるかどうかについて検討した。また、収集した行動データの定量評価法の開発を試み、具体的な評価法を示した。生理量モニタりんぐについては、ベッド内温度計、浴槽内心電計、トイレ体重計を用いた1ヶ月以上の連続計測を示したほか、トイレ体重計を改良した。また、被験者のプライバシや家庭に導入するモニタ機器のセキュリティに関して検討を行った。結果、本研究においては、長期の在宅健康モニタリングと、それを支援するための定量的評価プロセスが可能であることを示した。なお、被験者のプライバシ保護については更なる議論が必要と考えられた。
著者
大塚 好古
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.735, pp.195-197, 2011-01
著者
大塚 紘雄 君和田 健二 上原 洋一
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.629-636, 1994-12-05
被引用文献数
6

桜島噴火から噴出した新鮮火山灰に腐植の給源と思われるススキ,ササ,カシワの植物遺体を添加し,反応速度を高めるために加湿して培養し,腐植酸の生成過程を追跡した.さらに,腐植酸の生成に関して反応速度論的解析を試みた.結果を要約すると次のとおりである. 1)培養による植物遺体の色の変化は,新鮮火山灰・水添加区(新鮮火山灰+植物遺体+水)では,培養日数が増加するにしたがい,黄色から褐色,黒褐色へと変化した.植物遺体区(植物遺体+水)も黄色から,赤黄色を経て黒褐色に変化するが,その速度は新鮮火山灰水添加区より著しく遅かった.新鮮火山灰・水無添加区(新鮮火山灰区+植物遺体)では黒褐色にはならなかった. 2)新鮮火山灰・水添加区の色は,90℃,75℃,65℃の順に早く黒褐色に変化した. 3)90℃培養ススキの腐植酸の形態変化は,新鮮火山区では202日間でA型に達したが,植物遺体区(ススキ+水)ではB型にとどまった.75℃についても,同様なパターンがみられた. 4)ササの腐植酸への形態変化のパターンもススキの場合に類似し,培養の初期にΔlog K の大きな現象が起こった後に,RFの増加が始まった.しかし,カシワではΔlog K の現象変化が小さく,培養の初期からRFの増加が起こった.しかし,カシワにおいても,ススキ,ササと同様に,新鮮火山灰・水添加区ではA型の生成が早かった. 5)75℃培養区の微生物測定の結果,微生物の影響はほとんどないと判断した.したがって,ススキ,ササ,カシワの各植物遺体の腐植酸はすべて,(1)新鮮火山灰と水が存在する無菌的条件下で,培養温度が高いほど早くA型腐植酸を生成できること,(2)水が存在しないと,腐植酸の腐植化の程度は進行しないこと,(3)新鮮火山灰は腐植化の程度を進行させることが明らかとなった. 6)反応速度論的解析によって,ススキの新鮮火山灰区,35℃では約150年でRF80以上のA型腐植酸になることを推定した.ススキを有機物の給源とする土壌では,植物遺体中のA型腐植酸の基質量と反応速度が十分に大きく,活性化エネルギーはササよりも小さい.ススキはA型腐植酸が容易に生成できる条件を備えていることが明らかとなった.
著者
大塚 尚宏 大谷 淳 中津 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2129-2137, 1997-08-25
被引用文献数
17

表情認識は, マン・マシンインタフェースの高度化, 画像通信における伝送量の削減等を実現するためには重要な技術である. 本論文では, 連続出力確率密度分布をもつ隠れマルコフモデル(HMM)を用いて不特定多数の人物の顔動画像から表情を認識する手法を提案する. 本手法では, まず動画像中の連続する2枚の画像から得られるオプティカルフローを積算して顔の各位置の移動ベクトルを求め, そのフーリエ変換の低周波成分を認識のための特徴ベクトルとして抽出する. 次に, 連続出力確率密度分布をもつHMMを使って基本表情ごとに特徴ベクトルの時間変化のパターンを学習させて認識のためのモデルを作成する. HMMの出力を連続的な特徴ベクトルとすることにより, 離散的なシンボルを用いる場合に問題となる量子化誤差のない高精度なモデル化が実現できた. また, 出力確率分布を多次元正規分布の荷重平均として近似することにより, 人物ごとに異なる表情の特徴をモデル化することができた. 4人の被験者(男性3人, 女性1人)からの顔動画像を用いて実験したところ高い認識率が得られた.
著者
大塚 宗春
出版者
早稲田大学大学院商学研究科
雑誌
商学研究科紀要 (ISSN:02870614)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.1-14, 2012-03-25
著者
大塚 末野
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.489-496, 1965-08
著者
坂本 洋子 藤野 ユリ子 大塚 邦子 石橋 通江 森本 淳子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-9, 2006-12-22

人間関係論演習の一環として看護大学2 年生の希望者を対象に、構成的グループ・エンカウンターを4年間実施した。その結果、参加前後の気持ちや自己イメージの変化は、いずれも肯定的に変化していた。またオープナー・スケールも肯定的に有意に変化していたため、相手をリラックスさせ自己開示を促す能力が向上していることが示唆された。また、実施後3 ヶ月、1 年後にフォローアップ・アンケートを実施した結果、自己理解や他者理解の深まり、新しい人間関係の形成、自己課題の発見など実施直後と同様の結果が得られ効果の持続が示唆された。また、グループ体験が臨地実習やグループワークに活かされているという結果も得られた。今後の課題として、対象が多くなった場合、抵抗を感じる学生やエクササイズを消化すればよいと感じる学生が出てくることが考えられるため、エクササイズの工夫や適正なファシリテーターの指導方法の検討が必要である。
著者
大塚 忠
出版者
関西大学
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.335-369, 2005-12

本稿は、前半を専門工の職業移動とマイスター・技師の職業移動の分析に当て、専門大学でのエンジニアーによる代替がどのように、またどの程度進展したかを見る中で、専門工の地位やマイスターの地位がこの間の技術的・組織的な構造変化によって変化したのか、また今後はどうかなどを検討している。昇進機会は減ったが、両者の地位は基本的に維持されたというのが結論である。後半は、その結論を受けて、地位を維持するために、機能変化に応じた能力開発が行われたとみて、それを職業訓練制度改革の中に見た。訓練改革の方向が定まりプロセス重視を目的とした訓練が行われるようになった、というのが論点である。