著者
大塚 類
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.267-273, 2011-03

本稿の目的は,児童養護施設の学習ボランティアのインタビュー記録を手がかりとしながら,学習や人間関係に困難さを抱えている子どもたちの成長にとっての,学習ボランティアの意義と役割について考察することである。第一節では,インタビュー記録に即して,学習ボランティアと子どもたちとの関わりの推移を概観する。第二節では,ヴァルデンフェルスの対話論を手がかりとして,学習に対する子どもたちの姿勢や意欲が,どのようにして変化したのかを考察する。この考察から,学習ボランティアと子どもたちが,対話的な共同性を一緒に生きていること,そして,こうした共同作用のなかで,子どもたちが,ボランティアの働きかけを能動的に引き受け,自分の振る舞いとして実現していることが明らかとなる。本稿は,ただ勉強を教えることを超えた,学習ボランティアの意義や役割について,新たな視座を示すことになった。This study focuses on the meaning and the role of the learning support volunteer for children with special educational needs, based on an interview of a volunteer in a children's home. The first section describes how the relationships between two children and the volunteer developed, through interview documents. In the second section, the transformation of children's attitude and motivation toward the learning, and the condition underlying these changes, are analyzed with the help of Waldenfels's dialogue theory. It is elucidated that (1) children and the volunteer work-together (Zusammenwirken) in a dialogical community and that (2) children themselves undertake and thus realize the volunteer's approach actively in such working together. This implicates a new aspect on the significance of the learning support volunteer beyond teaching certain knowledge and skills, exam study, or mental support.
著者
井沼 学 大塚 玲 峰村 淳 稲富 康朗 竹久 達也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J95-A, no.7, pp.588-599, 2012-07-01

キャンセラブル・バイオメトリクスと遠距離型(アクティブ型)のRFIDシステムを組み合わせることで,高い利便性を有し,かつ,生体情報の漏えいに耐性のある安全な認証システムを低コストで実現することが可能となる.例えばRFIDシステムと適切な虹彩読取装置があれば,利用者にストレスを与えることのないウォークスルーやハンズフリーで認証可能なキャンセラブル・バイオメトリクス認証システムへの展開が期待できる.しかしながら,リーダと通信可能なRFIDタグがリーダの周囲に多数存在する場合は,その中から生体情報を提示したユーザのタグを絞り込まなければならない.さもないと,数多くのタグに対してバイオメトリクス認証プロトコルを実行しなければならず,処理時間の大幅な増大を招いてしまう.この問題を解決するために,本論文では,認証プロトコルを実行する前に,あらかじめ認証に成功する確率の高いタグを特定するプロトコル(タグフィルタリングプロトコル)を提案した.
著者
山口 尚秀 宮崎 久生 神田 晶申 大塚 洋一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.944-949, 2002-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
奥乃 博 中臺 一博 大塚琢馬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.729-734, 2009-08-15

音楽のリズムに合わせて振舞う音楽ロボットを目標に据えると, 音楽情報処理の課題が見えてくる.
著者
綾野 雄幸 大塚 慎二郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.41-47, 1968-12-31

食用レバー(豚)を水煮した場合,加熱が蛋白質の消化にどのように影響するか,また脱脂ならびに脱糖処理をして水煮した場合,消化性がどのように向上するかについて,ペプシンによる人工消化試験を行なった.1.消化過程中における消化率の変化は,生のもの,加熱したもの(100℃および120℃で1時間)両者とも時間の経過にともない上昇した.しかし加熱温度が高いものほど消化率は低かった.37℃で24時間消化後の消化率は生のもの89.1%,100℃で加熱したもの84.4%,120℃で加熱したもの77.6%であった.2.脱脂(凍結乾燥レバーをエチルエーテルで処理)ならびに脱糖(生レバーをglucose-oxidaseで処理した後,凍結乾燥,脱糖率59.3%)処理により消化率は向上した.脱脂したものの消化率は無処理のものより各加熱段階(60℃,100℃および120℃で1時間)とも約3〜4%高くなった.脱糖したものも約2%高くなった.消化生成物中の窒素成分の組成の点からみても,脱脂ならびに脱糖処理を行なったものは無処理のものより小分子のものに分解されていることが認められた.特に120℃に加熱したものではその傾向が顕著にあらわれた.3.レバーの消化を阻害する因子として蛋白質の加熱変性以外に,脂肪や還元糖の存在が考えられ,これらは加熱温度が高い場合に著しく影響することが分った.
著者
喜田 宏 清水 悠紀臣 岡部 達二 関川 賢二 見上 彪 笠井 憲雪 小野 悦郎 大塚 治城 喜田 宏
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.オーエスキー病ウイルス(ADV)の前初期(IE)蛋白IE180の機能ドメインを解析した結果、初期および後期遺伝子の転写活性化に関与する領域、IE遺伝子の転写抑制に関与する領域および核への移行シグナルが明らかになった。2. ADVの初期蛋白EP0が感染細胞の核に局在し、IE、初期TKおよび後期gX遺伝子の転写を増強することが明らかになった。この転写増強作用には、EP0分子のN末端に存在するRINGfinger領域が必須であり、酸性アミノ酸を多く含む領域も関与することが判明した。3.蛋白工学手法によって、ADVのIE遺伝子の転写抑制因子を作出した。これら因子の転写調節作用を解析し、以下の成績を得た。1) IE180のDNA結合ドメインとヒト単純ヘルペスウイルスのトランスアクチベータ-VP16の結合ドメインとのキメラ蛋白は、ADVのIE遺伝子の転写を抑制した。このキメラ蛋白はウイルスの増殖を著しく阻害した。2) IE180およびEP0のdominant-negativemutantはウイルスの増殖を抑制した。4.ウイルスの増殖を最も強く抑制した3-1)キメラ蛋白遺伝子をC57BL/6マウス受精卵にマイクロインジェクション法によって導入した。1系統のF1マウスに本遺伝子が導入されたことを確認した。現在、このF1マウスを用いてトランスジェニックマウスの系統を確立しつつある。今後、系統化されたマウスが本遺伝子を発現していることを確認してウイルス感染実験を行う予定である。
著者
新堀 淳樹 小山 幸伸 林 寛生 能勢 正仁 大塚 雄一 堀 智昭 津田 敏隆 IUGONETプロジェクトチーム
巻号頁・発行日
2012-05-21

日本地球惑星科学連合2012年大会(JpGU Meeting 2012), 2012/05/20-25, 幕張メッセ(千葉県)
著者
矢持 秀起 御崎 洋二 藤原 秀紀 森田 靖 大塚 晃弘 前里 光彦 中野 義明 白旗 崇
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

π電子共役系の電子機能性を引出すため、共役系の形状や大きさ、組込むヘテロ原子の種類と位置、更には共役系外の置換基を自在に設計し、実際に多様な電子状態を持つ物質を合成した。環境変化や外部刺激に対する応答を検討し、パルス光照射に超高速に応答する分子性導体の電子状態と結晶構造の変化過程を0.1ピコ秒単位で計測するなど、基礎科学の新展開を促進する成果が得られた。さらに、実用電子材料の動作原理を与える成果も得られた。
著者
大塚 斌 菊田 文夫 近藤 四郎 高橋 周一
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.311-318, 1992-04-15
被引用文献数
3

In order to investigate the relation between foot sizes and leather shoes sizes, the foot lengths and ball-joint girths of right and left feet in Japanese adults(149 males and 178 females)were measured. Their proper shoes sizes were assigned to JIS Standard from the measurement values. The similarity between proper size and self-styleed size of leather shoes in each subject was investigated concerned with three grades of favorite fitted feeling of the foot to shoes: "tight," "fit" and "loose." The most frequent self-styled sizes were 25.0(cm) EEE in males and 23.0(cm) EE in females in JIS Standard. The 38% in males and 59% in females recognized their self-styled sizes of their foot lengths, but without the recognition of their ball-joint girths. As the grade of fitted feeling shifted from "tight" to "loose," the difference between proper size and self-styled size of the foot length became bigger in males, but the tendency was not clear in females.
著者
橋本 好弘 森谷 [キヨシ] 大塚 吉則
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.109-119, 2009-01-01
被引用文献数
1

消防活動は重装備の激しい活動であり,過労・ストレスによる隊員の死傷者が多い.本研究では,寒冷環境下における消防活動が隊員に及ぼす身体負担を経時的に分析し,休憩の必要性を検討した.北海道S市の消防隊員71名に対して24時間の拘束勤務中にボルター心電計を装着させ,消防活動中の心拍数変化を測定し,Wu, et al.(2001)のmaximum acceptable work duration(MAWD)でその負担を評価した.出動途上の平均最高心拍数は145.5拍/分であり,急激に心拍数が上昇していた.現場活動中の最大心拍数と活動時間には正の有意な(P<0.01)相関が認められた,小規模火災2件でMAWDを大きく超え,活動開始5分間の負担は平均で92.6並びに93.6%heaft rate reserve(HRR),活動全体の平均でも72.3と70.2%HRRであった.災害現場での消防隊員の死傷事故減少には,寒冷環境下の小規模火災でも,火勢制圧後,隊員に休憩・交替を与え,過労・ストレスを軽減させる必要がある,
著者
大塚 攻
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ : 日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
no.2, pp.3-12, 1997-02-10
被引用文献数
1

The Tantulocarida are small maxillopodan crustaceans ectoparasitic on amphipods, cumaceans, isopods, tanaidaceans, copepods and ostracods. The group consists of five families, 17 genera, and 25 species, two of which have so far been recorded in Japanese waters. Their taxonomy is based mainly on the morphology of their tantulus larvae and, in addition, adult females and males. Recently two life cycles have been discovered in tantulocaridans : parthenogenetic and sexual. The dispersal phases are tantulus larvae and sexual males and females, all of which are non-feeding stages. Host-specificity seems to be relatively low because a single species has been found infesting nine species of copepods in six families and three orders. These parasites may suppress their hosts' ecdysis. Future studies on the Tantulocarida are proposed.
著者
大塚 眞理子 大嶋 伸雄 平田 美和 新井 利民 大熊 明 高田 玲子 井口 佳晴 小川 恵子 加藤 巳佐子 藤井 博之
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.131-137, 2002
被引用文献数
2

本研究の目的は、ケアマネジャーとサービス提供者による質の高い介護サービスを利用者に提供するためにITを活用したWEBケアフォーラムを開発・試行し、その効果を明らかにしてWEBケアフォーラム活用の可能性を検討することである。3事例に試行し利用者から好評をえた。3名のケアマネジャーからは【孤立性や不安の軽減】と【ケアマネジメント技術への支援を得る】が得られた。参加したチームメンバーが得た成果は、【援助感の変化】【他職種のイメージの転換と理解の促進】【利用者に対する理解の変化と援助の自信】であった。フォーラムの利点は【情報共通化の促進】【利用者の状態把握の促進】【サービス提供時の安心感の増進】【擬似カンファレンス機能によるチーム意識の向上】などであった。WEBケアフォーラムは在宅ケアにおけるチームの連携・協働を促進する効果があり、活用の可能性と課題が示唆された。