著者
大塚 吉道
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.53, pp.13-18, 1999-09-16

2000年からBSデジタル放送が始まる。わが国のBSデジタル放送は、国際的に割り当てられた8チャンネルの電波を用いて行われており、現在はこのうち4チャンネルの電波でアナログ放送が行われている。2000年からは残りの4チャンネルの電波を用いてデジタル方式の放送が始まる。既に、放送事業者の割当が決まっており、放送に向けて着々と準備が進められている。BSデジタル放送では1チャンネルの電波でハイビジョン2番組を放送することを基本とする。また、映像・音声に加えて、文字や図形、静止画やコンピュータデータなど各種の情報データも放送することが予定されている。このようなデータを活用することにより、様々な新しい機能をもつ放送サービスが可能となる。例えば、いつでも最新のニュースや天気予報が見られたり、番組に関する詳しい情報を表示したりすることもできる。高画質なハイビジョン放送をベースに各種データ放送サービスを取り込んだBSデジタル放送は、21世紀のマルチメディア放送にふさわしいものになるでしょう。ここでは、下記の内容で、BSデジタル放送についてチュートリアルな解説を行う。なお、地上デジタル放送については、今回は触れず、別の機会に譲ることとする。
著者
高田 良三 山崎 信 杉浦 俊彦 横沢 正幸 大塚 誠 村上 斉
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.59-65, 2008-02-25
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

わが国における肥育豚の飼養成績に及ぼす地球温暖化の影響を各地域の月平均気温の変動予測シナリオから推定した.肥育去勢豚(開始体重42.1±5.5kg)を用いて環境制御室において温度と飼養成績との関係を求めたところ,23℃時の日増体量に対して5%,15%,30%低下する時の気温はそれぞれ24.5℃,27.3℃,30.4℃であることが示された.同様に日飼料摂取量に対してはそれぞれ25.9℃,30.3℃,33.8℃であった.6~9月について,その気温域に該当する区域を日本地図上に図示するプログラムにより,肥育豚の日増体量に及ぼす地球温暖化の影響を解析した.「気候温暖化メッシュデータ(日本)」を将来の気候予測データとして用い,約10×10km単位のメッシュで解析を行った.その結果,2030年,2060年と年代の経過と共に日増体量の低下する地域が拡がり,また低下する程度もより厳しくなることが予測された.8月においては現時点ですでに西日本の沿岸部を中心に日増体量の低下が認められるが,2060年になると北海道の一部および標高の高い山間部を除いた大半の地域で日増体量の低下が予測され,特に関東以西では15~30%の厳しい日増体量低下が予測された.以上の結果から,今後予測される地球温暖化の加速化がわが国の養豚生産に大きく影響を与えることが明らかとなった.
著者
黒田 壽郎 前田 成文 竹下 政孝 霜垣 和雄 沢井 義次 大塚 和夫
出版者
国際大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

前年度は、イスラ-ムの都市性、とりわけイスラ-ム的宗教意識と都市形成原理の相関関係を明らかにするため、タウヒ-ド、ウンマ、シャリ-アが構成する三極構造の本性と、それが帰結するイスラ-ム世界固有の社会形成原理について研究を行ってきた。この基礎研究の成果をふまえ、今年度は、共同体形成原理の法的側面から研究を進めた(第6回研究会)。またマスジドがイスラ-ムに固有の聖俗関係を保持しつつ、共同体形成に密接に関わっている点に着目し、キリスト教社会、仏教社会との比較研究も行った(第9回研究会)。以上の基礎的、理論的研究ではそれなりの成果を上げ得たが、イスラ-ム的宗教意識と都市形成原理の相関関係は、現実のイスラ-ム都市に引き当ててその理論的妥当性を検証しなくてはならない。H班ではシリアのアッポを研究対象とし、対象研究の方法について討議、検討を重ね、またイスラ-ム社会と都市における異教徒の調和的共存とイスラ-ム共同体の形成原理に関する討議を行った。(第5、8回研究会)第7回研究会では、上記とは異なる視点からイスラ-ム的ネットワ-クと都市、イスラ-ム経済と都市の問題などについて討議を行った。これらの問題も単独で存在するものではなく、上記三極構造と密接な関係をもつことが確認された。具体的成果としては、第6回研究会報告書を出版、同時に都市性と深く関わるイスラ-ム経済活動の基本構造に触れたシャイバ-ニ-の『利得の書』を訳出、刊行した。他の研究会成果も発表予定である。また以上の研究に伴い、イスラ-ム共同体論、共同体形成論、都市形成論などの基礎的文献を収集するとともに、シリア,アレッポ関係の文献、地図などの収集にも務めた。
著者
森東 淳 福元 伸也 大塚 作一 三部 靖夫 田中 宏征 武田 光平 野村 雄司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.470, pp.43-48, 2010-03-08

2次元コードが,広告におけるWebページとの連携を目的として広く利用されている.しかし,デザイン性を損なわないように,2次元コードを小さく表示するのが一般的である.このため情報取得が煩わしく,また取得時間がかかるという問題があった.また,デジタルサイネージにおいては,ディスプレイ解像度の問題も加わるため,デザイン性と機能性の両立がより困難になると予想される.そこで,動物体の接近を感知し,2次元コードを適応的に拡大表示する手法を提案する.また,提案手法の有効性を確認する実験を行なった.その結果,(1)提案手法では取得時間を5秒程度短縮できる可能性があること,(2)2次元コードの適切な拡大時間が250ms程度であること,が示唆された.
著者
相原 玲二 大塚 玉記 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.440, pp.131-138, 2001-11-14
参考文献数
13
被引用文献数
7

広帯域IPv6インターネット上での高品質画像伝送を行うため、マルチキャスト等に対応するMPEG2伝送システムを開発した。高品質画像をリアルタイムに伝送するには、パケットロスや伝送遅延ゆらぎのないネットワークが要求されるが、現実には実現困難であり、前方誤り訂正(FEC)機能等を持つ伝送システムが必要となる。本稿では、開発したFEC機能を持つMPEG2 over IPv6システムについて述べる。また、アフリカ南部で観測された皆既日食のJGN回線などを利用した中継実験について紹介する。この実験では、全国9地点(広島を除く)および広島市内4地点へMPEG2画像をIPマルチキャストにて伝送し、合計700名以上の参加者が2時間にわたりその中継映像を観察した。その際得られた実測データをもとに、誤り訂正機能が極めて効果的に機能したことを示す。
著者
湯之上 隆 鈴木 淳 大塚 英二 大友 一雄 保谷 徹 岩井 淳 杉本 史子 横山 伊徳
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

静岡県を調査主体とする江川文庫史料西蔵調査事業と連携して調査研究を進めた。平成24年3月刊行の静岡県文化財調査報告書第63集『江川文庫古文書史料調査報告書』4冊により、約30, 000点の古文書を目録化した。本研究の前提となる第1次調査分の約20, 000点と合わせた約50, 000点にのぼる古文書調査はほぼ完了し、本研究の所期の目的は完遂した。江川文庫研究会を5回開催し、調査研究成果の公表と情報の共有を図った。国文学研究資料館の「伊豆韮山江川家文書データベース」により、調査成果を公開した。
著者
松井 徹哉 武藤 厚 大塚 貴弘 永谷 隆志
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

浮屋根と液体の非線形性を考慮した大型液体貯槽の地震時スロッシング解析理論を体系化し、縮小模型による振動台実験を実施してその妥当性を検証した。さらにその成果に基づいて、2003年十勝沖地震で発生したシングルデッキ型石油貯槽浮屋根の損傷・沈没の原因究明を試み、浮屋根や液体の非線形性に起因する非線形振動モードの存在がポンツーンに過大な応力を発生させ、浮屋根を座屈・沈没に至らせる可能性のあることを指摘した。
著者
窪田 充見 手嶋 豊 大塚 直 山田 誠一 水野 謙
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

無形の利益が侵害された場合の損害賠償における損害の把握と賠償額の決定に関して、(1)損害論のあり方(水野)、(2)延命利益の賠償(大塚)、(3)自己決定権侵害における損害賠償(手嶋)、(4)純粋財産損害の賠償(山田)、(5)慰藉料請求権の内容と機能(窪田)の各テーマについて、各担当者が、我が国の判例と学説ならびに比較法的な状況を分析し、研究会においてその分析と解釈論的な提案を検討するという形で共同研究を進めた。その結果、(1)損害論のあり方においては、担当者より、従来の裁判例の分析を踏まえたうえで、口頭弁論終結時までの「プロセスにおける不利益状態」を類型ごとに規範的・金銭的に評価したものを損害と捉えるという従来の損害=事実説対差額説という図式に入らない損害概念の把握が提案された。(2)延命利益の賠償については、近時の最高裁判決を、延命利益論、割合的因果関係論、確率的心証論、機会の喪失論、救命率に応じた救命可能性の侵害論などの最近の理論的枠組の中で、どのように位置づけるのかを検討した。(3)自己決定権侵害における損害賠償においては、医療における自己決定権侵害を理由とする損害賠償額の決定について、従来の裁判例のマクロ的ならびにミクロ的な分析がなされ、具体的にどのような衡量要素によって賠償額が決まっているのかが析出された。(4)純粋財産損害の賠償については、この問題が、権利構成の法秩序に組み込まれてこなかった問題であるとして、裁判例の検討を手がかりとして、一般財産の状態自体が被侵害法益となるのではないかとの解釈論的提案がなされた。(5)慰藉料請求権については、ドイツ法の判例の展開を分析し、慰藉料の機能の拡張に関する問題が精神的損害固有のものではなく、損害賠償法一般の役割の問題として位置づけられるべきものに変遷してきたことを分析した。
著者
森川 由紀子 村田 光範 大塚 睦子 大坪 裕美 出口 敬子 草川 三治
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.620-620, 1971-08-25

東京女子医科大学学会第169回例会 昭和46年5月21日 東京女子医科大学本部講堂
著者
大塚 賢治 衣笠 雄気 兒玉 清幸 吉田 和幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.203-208, 2009-02-26
参考文献数
6

サーバの使用状況や動作しているサービスの調査を行うscan攻撃が後を絶たない。scan攻撃の場合,宛先のアドレスをランダムに設定しコネクション要求を送るため、応答がないことが多い。このため、存在しないpアドレスに対してコネクション要求を行なう回数を数えることでscan攻撃を検知することができる.しかしながら,検知したpアドレスを単純にファイアウォールなどで止めた場合,TCPhalfopen攻鑿のように送信元のIPアドレスを偽装する可能性が高い攻撃に対して,問題が起こる可能性がある.そこで,TCPコネクション要求に対して送信元アドレスが偽装されていないか確認するとともに、コネクションが確立したか否かでscan攻撃を検知するシステムを試作した.本稿では、攻撃検知手法と送信元の確認の効果について述べる.There are a lot of scan attacks which look for state of the server or check on service. Scan attacker send TCP connection request to random destination address, so there are seldom answer for them. For this reason, we can detect scan attack by count the number of failed connection request. However if we refuse detected IP address with firewall etc, a problem may occur for attacks like TCP half open attack with fake source IP address. We implement the system which detected scan attacks that we confirm source IP address is not camouflaged for TCP connection demand, and connection successfully or not establishes. In this paper, we describe this attack detection technique and its effect.
著者
西嶋 尚彦 鈴木 宏哉 大塚 慶輔 田中 秀典 中野 貴博 高橋 信二 田渕 裕崇 山田 庸 加賀谷 淳子 福永 哲夫 久野 譜也 松田 光生
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.213-224, 2003-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
3 2

The purpose of this study was to confirm the causal structure model of muscle, motor and living functions utilizing structural equation modeling (SEM). As subjects, 103 community-dwelling older men and women, aged 65.7±6.9 years of age, participated in the study to measure muscle cross-sectional area, maximum voluntary contractions, muscle power, 4 physical performance tests, and 16 questionnaires regarding ability of activities of daily living. The causal structure model of muscle, motor and living functions was hypothesized to be a hierarchical causal structure. The causal structure model of muscle function was hypothesized to be a hierarchical causal structure consisting of 3 sub-domains of muscle mass, muscle strength, and muscle power. Data analysis procedures were as follows : a) testing of construct validity of muscle function variables using confirmatory factor analysis (CFA) in SEM ; b) testing of causal structure using SEM ; c) testing of factor invariance using multi-group analysis for gender. The highest goodness of fit indices was obtained in the causal structure model of muscle, motor and living functions (NFI=.928, CFI=.978, RMSEA =.061). The causal coefficient of muscle function to motor function was. 98 (p<.05), followed by .34 for motor function to living function. From the results of multi-group analysis, the measurement invariance model indicated the highest goodness of fit indices (TLI=.968, CFI=.977). It was concluded that the hierarchical causal relation was among muscle, motor and living functions, and in which muscle function was consisted of 3 sub-domains.
著者
大塚 浩司 後藤 幸正
出版者
東北学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

X線造影撮影法を用いて、コンクリートのフラクチャープロセスゾーンを検出し、その性状を明らかにすることを目的とする研究を行った結果、研究の期間(平成4年度〜平成5年度まで)に得られた成果の概要は次の通りである。(1)本研究によって得られた、X線造影撮影法はコンクリート中に発生する微細なひび割れ群からなるフラクチャープロセスゾーンを非破壊的に検出するのに有効な手法であることが明らかとなった。(2)CT試験(コンパクトテンション試験)供試体を用い、供試体の寸法を同一とし、コンクリートの粗骨材の最大寸法を4種類に変えた場合のフラクチャープロセスゾーンの検出結果を比較したところ、微細ひび割れ群からなるそのフラクチャープロセスゾーンの性状は粗骨材の最大寸法に極めて大きく関係しており、特にその幅(破壊進行領域と直角方向)は粗骨材の最大寸法が増大するほど大きくなる傾向があることが明らかとなった。その最大幅は、粗骨材最大寸法が5mmの場合はその2.5倍程度であり、微細ひび割れの周辺の雲状の部分も含めると4.3倍程度であった。(3)荷重-開口変位曲線下の面積から求められる、破壊に使用されたエネルギーを破壊領域の面積で除した、破壊エネルギーGFは粗骨材の最大寸法が増大するにつれて大きくなる傾向がみられた。一方、破壊に使用されたエネルギーを破壊領域の体積で除した、破壊エネルギーGWは粗骨材の最大寸法に関わらずほぼ同様な値となる傾向が見られた。(4)粗骨材として河川砂利を用いたコンクリートの場合のフラクチャープロセスゾーンの幅は砕石を用いた場合のそれよりもやや広くなる傾向が見られた。
著者
滿田 郁夫 竹内 栄美子 大塚 博 丸山 珪一 林 淑美 木村 幸雄 杉野 要吉 古江 研也 島村 輝
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

中野重治は、その文学的出発にあたって「微小なるものへの関心」ということを言った文学者である。と同時に、石川啄木について論じて国家権力に敵対することを己に課した詩人である。以来、自分固有の世界、固有の視点を保ちながら、同時に「大きな物語」への鋭い関心を持ち続けた作家である。その人がその晩年に「戦後転換期」に際会して、世の変動に己の感性を全開して書き切ったのが長篇『甲乙丙丁』であるが、そこに至るまでに何を見、その心に何が生じ、同時代の政治・思想・文学とどう斬り結んだか、それを、残された日記・書簡などによって知ろうとした。平成九、十年度で日記の第一次読み合せと、粗ら打ち込みは終了し、十一年度は第二次読み合せと註付けに入った、しかし平成十二年度にはそれを一旦中断して、一九六三年日記と六四年日記との精密な読みと註付けの作業に入った、研究年度が終った平成十三年度にもその作業は続き、しかもなお、我々がここに提出するのは未完成の「テスト版」に過ぎない。一九六三、四年と言えば東京オリムピックを目掛けて、日本の社会が音を立てて変わって行った年々である。世界的には中ソ論争が起き、部分核停条約の評価を回って国内でも議論が始まり、新日本文学会第十一回大会は大いに揺れた。原水禁世界大会も分裂した。そうした事態に、全力を挙げて非妥協的に戦いつづけた中野重治は、自らが中央委員であった日本共産党を除名される。そしてその年末から『甲乙丙丁』が書き始められる。そうした重要な時期を扱って、我々の研究がどれだけ核心に迫りえたか。忸怩たるものがある。これは我々の到達点ではなく、出発点である、そんな風に思っている。
著者
大塚 昌孝 中原 新太郎 小西 善彦 千葉 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.36, pp.15-20, 1996-05-17
参考文献数
6
被引用文献数
5

軽量・安価な移動体衛星通信用アンテナとして, フィルム基板と平面樹脂板を用いて無給電素子付き円形マイクロストリップアンテナを構成した平面アレーアンテナを提案する. アンテナ中心にロータリジョイントを配置し,また天頂角θが30°≦θ≦65゜のカバレージエリアで所望の利得9dBiを実現し,かつサイドローブをできるだけ低減するために,素子配列として,アンテナ中央に素子アンテナのない8素子の方形配列を採用した.L帯で試作したアンテナではカバレージエリア内の最低利得9dBi以上,衛星軌道面のサイドロープレベル-7dB以下の特性を得ている.
著者
坂田 勝 阿部 博之 大塚 昭夫 北川 浩 宮本 博 青木 繁
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

各研究分担者は当初の計画に従って研究を行い、開口および混合モード負荷を受けるき裂先端の弾塑性変形について解析および実験を行った。宮本・菊池・町田は、先端に巨視的ボイドを有するき裂について微視的ボイドの存在をモデル化したガーソンの構成式を用いて有限要素解析し、き裂とボイドの相互作用および合体について研究した。大塚・東郷は、混合モード負荷を受ける切欠きおよびき裂の挙動について有限要素法解析および実験をおこなった。切欠きについては、モードI負荷成分が大きいときの開口型き裂の発生は限界ボイド率によって予測できるが、モードII成分が大きいときのせん断型き裂の発生の予測は困難であった。き裂についても開口およびせん断型き裂が進展し、J積分による予測が可能なことを示した。坂田・青木・岸本は、混合モード負荷を受けるき裂について有限変形理論に基づく有限要素法によって、き裂先端に一個の巨視的ボイドが存在するモデルについて解析した。ボイドがき裂の鈍化側に存在するときには、き裂先端の塑性ひずみおよびボイド率の増加に寄与し破壊を促進するが、き裂の鋭化側に存在するときは相互作用しないことを示した。北川は、現象論的な構成式を用いないで、微視的なすべり機構を考慮した有限要素法シミュレーションを行って、き裂の開口形状を解析した。共役2すべり系による解析が実験結果とよく一致することを示した。阿部・坂は、有限要素解析およびすべり線場解析を行うとともに実験を行って、モードI負荷をうけるき裂の進展を規制する量として強変形域塑性仕事の概念を、混合モード負荷については一般化き裂開口変位の概念を導入し、これらがき裂の発生および進展を規制するパラメータであることを示した。
著者
大下 誠二 後藤 常夫 大塚 徹 槐島 光次郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.15-22, 2011 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

本研究は,東シナ海におけるウルメイワシの成長や成熟特性を求めたものである。月別の体長組成から年齢毎に正規分布を仮定して平均体長を求め,成長曲線を推定した。その成長式は BLm=244.8[1−exp {−0.10(m−0.55)}] で表された。ただし BL および m は被鱗体長とふ化後月数である。鱗による年齢査定と耳石による日齢査定からも本結果を裏付けた。生殖腺を組織学的に検討し,産卵期間は 12 月から 6 月であり,産卵期間中に複数回の産卵を行うことが明らかとなった。成長式と体長・成熟率の関係から推定して雌雄とも満 1 歳から産卵もしくは排精することがわかった。
著者
大塚 英二
出版者
愛知県立大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

豪農の家政改革は、一個人の経営立て直しにとどまらず、地域的な信用構造の面からして、村共同体と地域社会に大きな影響を及ぼさざるをえない。その社会的・政治的意識や行動は常に衆人環視の対象であった。その家政改革や行動について論究する場合には、やはり彼らの日常的な業務内容と地域社会状況について検討を加える必要がある。以上のような観点から、山田家文書に残された書状類及び触・御用留の類の分析を通じて、山田家が家政改革を行う時期の東部遠州地域における政治的・社会的な状況と、その中での同家の役割について検討を加えた。山田家の経済的蓄積期にあたる18世紀後半には、山田家は庄屋として領主蔵米を扱い、当該地域の積み出し港である川崎湊の廻船問屋八郎左衛門と日常的なつながりを持って、八郎左衛門所有の湊の蔵(領主蔵米の一時保管庫)の実質的管理にも関わった。山田家の炭山経営にも八郎左衛門は関わっていたと推定され、こうした廻船問屋商人とのつながりが同家の豪農としての成長に直接関わっていたと考えられる。しかし、その後、山田家の経営は順調には進展せず、米穀類の価格低下や地域的金融の混乱の中で家政改革を余儀なくされる。最初に家政改革が行われた文政期は、まさにそうした不況下で幕府が大々的な倹約触(文政2)を出した時期であった。この時、山田家は郡中惣代として倹約と諸物価引き下げに関わる郡中議定を策定するのに奔走していたが、これは同家の経営上の問題と全く二重写しとなっている。豪農の社会的・政治的活動をその家政改革は相即的なものであると見てよいだろう。なお、当該議定に関わる郡中惣代間の書状のやりとりでは、隣接する他郡の議定内容なども意識されており、こうした有力百姓層においては社会意識の面でかなりの共通性があったことが理解できる。今後更に書状類からそうした意識を探っていく必要があろう。
著者
池田 良穂 片山 徹 正岡 孝治 馬場 信弘 岡田 博雄 大塚 耕司 奥野 武俊
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本報告書は,平成10年度および平成12年度文部省科学研究補助金を受けて実施された「無人高速電車を用いた滑走型高速船の操縦性能試験法の開発」に関する研究成果をまとめたものである.高速船においては,高速航走時に操縦性能が悪くなることが知られており,時としては操縦不能などに陥ることもある.しかしながら,高速滑走艇は,姿勢ならびに速度を大きく変化させながら旋回もしくは針路変更を行うために,その操縦特性は非常に複雑であり,ほとんど解明されていないのが実状である.本研究では,高速船に働く流体力(操縦性微係数)を計測するシステムを無人高速電車用に開発し,その実験結果の有用性を確かめること,さらには滑走型高速船特有の操縦性能を評価できる新たな試験法を提案することである.平成10年度は,本学既存の実験装置を用いて操縦性微係数の一部である斜航流体力係数の計測を行い,その流体力学的特性について明らかにするとともに,無人高速電車用のPMM試験機の設計・開発を行い操縦性微係数の計測を行った.平成11年度には,平成10年度に作製したPMM試験装置を用いて,滑走艇模型の操縦流体力の計測実験を実施し,同システムによって同流体力が実用上満足できる制度で計測できることを確認すると共に,パソコンを用いた解析プログラムを作成し,計測した流体力から微係数を即座に算出できるシステムを構築した.平成12年度は,上下揺れ,縦揺れおよび横揺れを自由にした状態で模型船に左右揺れと船首揺れを強制的に与える,新しいタイプのPMM試験法を開発し,運動の計測を実施した.その結果,横揺れが大きくなるときに,縦運動が横揺れ周期の半分の周期で大きくなる運動が計測された.この運動は,コークスクリューと呼ばれているスラロームなどの周期的操縦運動や微小な船首揺れに伴う上下揺れと縦揺れの大振幅動揺であり,この大振幅動揺発生メカニズムは,横揺れによって生じる上下揺れおよび縦揺れへの連成流体力が引き金となってポーポイジングが発生したものであることをシミュレーションによって確かめた.上記のように高速滑走艇に特有な操縦性能を評価できる新しい一評価手法を提案できた.本研究で開発された実験システムは,今後の高速滑走艇の操縦性能評価において有用な多くの情報を得るための重要な道具となるものと思われる.