著者
宮崎 耕輔 谷本 圭志 伊藤 昌毅
出版者
香川高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,地方部における交通系ビッグデータを活用した地域公共交通計画立案の開発である.昨年度の検討結果を踏まえ,基礎集計の基礎となる利用者個人単位のデータベースの作成ならびに利用実績に着目したデータベースの作成などを行った.具体的には,「5.交通系ビッグデータから地域公共交通計画立案に必要なデータ抽出法の開発」に着手した.提案したデータ抽出法が効果的かどうかについての検討をするに際し,トライアンドエラーの繰り返しをしながら,以下のような分析を行った.抽出したデータベースをもとに,個人単位ならびに利用された駅単位などによって,利用実績を整理した.そして,クラスター分析や非負値テンソル因子分解などを用いて,グループ化し,これらのグループごとの特徴整理をすることによって,利用者の交通行動分析を行った.また,個人単位ならびに利用された駅単位などによって,整理した結果を用いて,経年変化について整理し,時系列分析の手法を用いつつ,クラスター分析等の手法を用いて,グループ化し,これらのグループごとの特徴整理をすることによって,利用者の交通行動分析を行った.以上の交通行動分析結果が適切であるか否かについての検討を行い,提案したデータ抽出法が効果的であるか否かについての判定を行った.なお,効果的なデータ抽出法の模索に時間を要し,今年度のほとんどの時間をデータ抽出法の開発に要してしまった.そのため,次年度以降については,「6.具体的な地域公共交通計画立案へのデータ活用法の開発」「7.地域公共交通計画立案に資するビッグデータの整理ならびにその項目集の作成」を実施することを目指すとともに,さらなる分析を行うことを確認した.
著者
西田拓実 宮崎浩一 岩井邦紘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-05-16

本研究では,株式市場において取引のしやすさに関連する指標となるAmihudの非流動性やモデルから推定したBid Ask Spreadの各々が日本における代表的な景気指標である日銀短観を予測する力を有するかについて検証する.回帰モデルの説明変数に流動性指標以外の景気に対して予測力を有すると考えられている指標も加えて予測力が高いモデルの構築を試みる.その際には,流動性指標の回帰係数が状態に応じて異なる値をとるレジームスイッチング回帰モデルも採用し,流動性指標が日銀短観の予測に与える影響度と経済状態との関連性も議論する.This research addresses the forecasting powers of liquidity measure expressing smoothness of equity trading (Amihud illiquidity ratio or Bid Ask Spread) for Tankan short-term economic survey of enterprises, which is the representative indicator of business cycle in Japan. The other factors thought to have the forecasting power are also included in the explanatory variables of the model to make its forecasting power improved. The regime-switching regression coefficients for the liquidity measure are also incorporated in the model and the relation between the influence of the liquidity measure on the forecast and the economic regime is discussed.
著者
宮崎 澄雄
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.341-345, 1994
被引用文献数
1

溶血性尿毒症症候群(HUS)は近年増加傾向にある。その病因としてverotoxin産生大腸菌(VTEC)がもっとも重要である。演者らは全国調査により1976年から1980年までの5年間に146例のHUSを集計した。このうち122例について詳細な解析を行った。122例中101例(82.8%)が全治し,中枢神経系や腎障害などの後遺症例15例(12.3%), 死亡例6例(4.9%)であった。この全治群と後遺症+死亡の予後不良群について臨床症状を比較すると,予後不良群において意識障害,けいれん,高血圧の頻度が有意に高かった。また検査成績では,BUN, クレアチニン,GOT, GPT, C3, CH50, CRPなどの生化学的検査が有意の差を示した。VTECあるいは血清抗体は35例で検査され60%が陽性であった。国立小児病院の竹田氏によれば,わが国では毎年1,200例の出血性大腸炎が発生し,HUSは年間100例前後がみられ,その70%はVTEC感染によるという。
著者
宮崎 真由
出版者
大阪府立大学
雑誌
人間社会学研究集録 (ISSN:1880683X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.73-94, 2006-03-31

Despite the liberty of individuals, the government sometimes compels an individual to refrain from a particular act 'for his/her own good'. This is usually justified by one of the following arguments: harm to others, offense to others, legal moralism, or paternalism. Our purpose in this paper is to examine the arguments justified by paternalism and to suggest more precise criteria for invoking paternalism. We have identified two distinct types of situations where paternalistic restrictions are justified. In one case, a person is acting in a non-rational fashion, while in the other, a person is acting in a completely rational fashion. There are some stronger arguments against paternalism in the latter situation. However, we may regard paternalism as justified when a nation needs to protect or promote its basic "goods", such as health, which any reasonable individual would want to have, as Gerald Dworkin has suggested, except that some individuals clearly express their will to refuse their basic "goods". Therefore, we admit that fully rational individuals' decisions should be respected and that they should pursue their own good. However, we can allow authority's interference with an individual's choices as long as that interference is related to his/her basic "goods", such as life or health.
著者
宮崎 千穂
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成20年度より平成23年8月まで(途中、出産・育児による中断あり)の約3年間に亘る本研究では、医療・衛生の観点より「帝国」を捉えなおすことを目的とし、特に、ロシアから日本へと伝播された「検黴」(梅毒検査)を手がかりに、「性病」のあり方を考察してきた。最終年度である本年度(平成23年4月~8月)は、幕末の長崎で日本初の検黴を実施したロシア艦隊がその後、1890年代にいかなる「梅毒との闘い」を繰り広げたのか、ロシアにおいて収集した史料を分析することで明らかにし、その内容を論文としてまとめた。日本最初の検黴以後も、ロシア艦隊は継続して<長崎の梅毒>を憂慮しており、特に、<秘密売春(私娼)>目を向け、その取締りを長崎当局に要請していた。一方で、注目すべきことは、同時に、<売り手>である長崎の女性のみならず、<買い手>であるロシア水兵に対する管理も本格化していたことである。1890年代、ロシアでは梅毒蔓延対策をめぐり梅毒学者や医師などが参加する全国規模の大会が開催され、子孫の絶滅危機という梅毒を<国民病>とする語りによって農村での梅毒蔓延の危険性が訴えられた。その時、下級軍人(兵士)には<帝国全土への梅毒の散布者>というラベルが貼られ、罹患者の洗い出しのため、病に対する差恥心を捨てて病を自白し医師の治療を受ける必要性が教育されるとともに軍務生活中の自律が強く求められたのである。その際、下級軍人には、梅毒は都市の売春婦との性的関係により感染するものの、帰郷後の農村では性的関係以外の経路で家庭、子孫に感染させると教えられた。かような軍医による医学的語りは、<都市の性病>、<農村の生活習慣病>としての梅毒像を結んだのである。
著者
内田 直 高畑 隆 宮崎 伸一
出版者
日本精神神経学会
雑誌
精神神經學雜誌 = Psychiatria et neurologia Japonica (ISSN:00332658)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.1242-1248, 2002-12-25
被引用文献数
1
著者
小澤 いぶき 宮崎 健祐 田中 哲 市川 宏伸 黒田 安計
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.222-229, 2012-07-15 (Released:2016-05-29)
参考文献数
10

背景:東京都立小児総合医療センタ-児童・思春期精神科(以下当科)は,2010年3月の開院後より小児精神科救急を導入している。今回,診療開始から1年間に当科へ緊急入院した患者の統計および,そのなかで身体合併症治療目的に緊急入院となった患者の統計を集計したので報告する。対象と方法:2010年3月から2011年3月までの1年間に,当科へ緊急入院した患者について診療録に基づき統計をとり,そのなかから身体合併症目的に入院した患者について検討した。診断にはICD-10を用いた。結果:開院後1年間で当科に緊急入院した患者総数は122名で,診断としては統合失調症が最も多く,次いで多かったのが発達障害圏であった。このうち,身体合併症治療目的での緊急入院は6名であった。考察:統合失調症に次いで多かった発達障害圏の患者の入院治療は,その特性理解と,それをふまえた対応が求められる。小児精神科の緊急入院が可能な医療機関が限られているなか,そのような患者の身体合併症治療における当科の役割および,他科,他院や関係機関との連携についての検討を行った。
著者
村田 弥栄子 山本 多恵 大場 郁子 中道 崇 中山 恵輔 太田 一成 宮澤 恵実子 清元 秀泰 上野 誠司 大友 浩志 佐藤 博 伊藤 貞嘉 宮崎 真理子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.357-362, 2012-04-28 (Released:2012-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東日本大震災では,宮城県の広い範囲,特に東部沿岸地域は津波による市街地の流失,電気,上水の供給停止,通信の途絶など,大きな被害を受け,災害拠点病院への救急患者集中,通院手段の確保困難,生活環境の悪化が生じ,被災地外での支援透析を要した.災害支援透析において,被害が大きい依頼側に,通常の臨時透析と同レベルの情報提供を求めることは,災害支援の基本概念に沿わない.また,支援側は,業務増大の中で初診の多数の透析患者の診療を行わなければならないが,過酷な環境から避難してきた透析患者への対応は,平時とは異なる視点が必要となる.そこで,われわれは震災後に多人数の入院支援透析を行うにあたり,災害時透析入院クリニカルパスを作成し使用した.クリニカルパスの運用によって,避難患者の容態把握を共通化,標準化することが可能で,二次避難先への引継ぎにも利用した.過去に例をみない大災害であったが,このクリニカルパスの活用は災害時入院支援透析における診療に有用であったので,ここに報告する.
著者
伊東 賢二 宮崎 浩一 回渕 純治
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MPS-86, no.6, pp.1-6, 2011-11-24

本研究では,小型株と大型株のポートフォリオリターンを対象に,株式売買のしやすさを表現する流動性指標 (流動性リスクの代用変数) と株価リターンの関係をレジームスイッチングモデルに基づき考察する.特にマーケットファクターに関する回帰係数もレジームに応じて異なる値をとることができるように既存モデルを拡張したモデルを用いて検証を行う.また,いくつかの仮定を置くことになるが,決定係数や回帰係数のt統計量の考え方を導入したうえで検証を行う.
著者
鈴木 亜夕帆 渡邊 智子 渡邊 令子 中路 和子 満田 浩子 井上 小百合 山岡 近子 西牟田 守 宮崎 秀夫
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.259-269, 2015
被引用文献数
1

自立した生活をしている81歳の男女58名の3日間の食事秤量調査を行い,食生活の実態について検討した。1) 血液検査値,体位およびBMIは,それぞれ正常範囲内であった。2) 男女とも嗜好飲料類の摂取量が一番多く,次いで,穀類の摂取量であった。穀類摂取量の変動係数は,食品群の中一番低く,藻類および菓子類は,男女で摂取量の個人差の違いが異なる食品群であり,女性は男性に比べ,菓子類の摂取量が多く,そのばらつきも少なかった。3) エネルギー摂取量は,男性2,077kcal,女性1,761kcalで男女とも適正であった。エネルギー産生栄養素比率は,たんぱく質:男性15.4%,女性15.2%,脂質:男性23.9%,女性24.1%,炭水化物:男性56.6%,女性59.9%,アルコール:男性4.1%,女性0.7%であった。4) イコサトリエン酸およびアラキドン酸で男性が女性よりも有意に多く摂取していた。エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計摂取量は,1.1g (男性1.2g,女性1.0g) であった。5) グルタミン酸,次いでアスパラギン酸が多く摂取されていた。6) ショ糖,次いでぶどう糖および果糖が多く摂取されていた。7) 日本人の食事摂取基準2010年版から対象者の個人別必要エネルギーを算出した値と,実摂取量とを比較すると,男女ともに1%以内の相違にすぎなかった。 これらのことから,自立して生活している高齢者のエネルギー摂取量および栄養素別エネルギー摂取比率は食事摂取基準の適正範囲内であったが,食品群別摂取量を見ると男女別に特徴があることがわかった。
著者
宮崎郁雨著
出版者
東峰書院
巻号頁・発行日
1960
著者
浜田 祐一 周 桑完 宮崎 文夫
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.12, pp.585-592, 2000-12-15 (Released:2011-10-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Pedaling is a typical example of the problem of man-machine interaction. The design of machines and bicycles that makes full use of human capabilities is an old but still challenging engineering problem. This paper describles the optimal design of a bicycle from several viewpoints such as kinematics, statics, dynamics, and physiology. The efficacy of a new mechanism called “magic crank” that realizes an unconventional non-circular pedaling trajectory is also discussed.
著者
宮崎 彰吾 萩原 明人
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.226-234, 2012
被引用文献数
1

【目的】人々の健康増進に用いられている鍼灸療法の費用をカバーする助成金額と健康指標との関連について検討するため、 国民健康保険の保険者である各自治体が独自に設定している鍼灸療法の公的な助成金額と集団の健康状態の指標とされる平均寿命および疾病分類別の医療費との関連について検討した。 <BR>【方法】福岡県内の85市町村を対象に、 国民健康保険の保険者である各市町村が独自にその範囲を設定している助成制度から 「鍼灸療法に対する1年間当りの助成金額の上限値」 を算出し、 「健康指標 (平均寿命、 標準化死亡比)」 及び 「医療費 (疾病分類別における入院及び入院外の1人当り実績医療費)」 との関連を検討した。 <BR>【結果】鍼灸療法の公的な助成金額と平均寿命との間には有意かつ正の相関 (男性:r=0.53, P<0.001、 女性:r=0.44, P<0.001) が見られ、 標準化死亡比との間には有意かつ負の相関 (男性:r=-0.48, P<0.001、 女性:r=-0.34, P<0.005) が見られた。 更に、 鍼灸療法の公的な助成金額と医療費との間には有意かつ負の相関 (入院:r=-0.26, P<0.05、 入院外:r=-0.30, P<0.05) が見られた。 <BR>【考察及び結論】鍼灸療法を利用する多くの患者は、 主に筋骨格系の症状に対する治療目的で受診している。 助成金額が高い場合ほど平均寿命が延伸するのは、 鍼灸療法によって筋骨格系疾患が改善することにより、 日常生活動作 (ADL) や身体活動量の向上につながり、 致命的な疾患 (例えば癌、 虚血性心疾患と脳血管障害) のリスクを減少したためであると考えられる。 また、 鍼灸療法が致命的な疾患あるいはその原因となる状態に直接影響している可能性も示唆された。
著者
森 健治 橋本 俊顕 原田 雅史 米田 吉宏 島川 清司 藤井 笑子 山上 貴司 宮崎 雅仁 西條 隆彦 黒田 泰弘
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.329-335, 2001

自閉症患児29例 (IQ50以上=6例, IQ50未満=23例) および正常小児19例において, 扁桃体~海馬を含む左, 右側頭葉内側部, 左小脳半球の3箇所にてproton magnetic resonancespectroscopy (1H-MRS) を施行し, 代謝物質の濃度を抑制されていない組織水を用いた内部標準法にて測定した.IQ50未満の自閉症患児においては, 扁桃体~海馬を含む左側頭葉内側部および左小脳半球にてN-acetylaspartate濃度が有意に低下していた.これは, これらの部位における神経細胞の減少や発達異常あるいは神経活動の低下を反映していると考えられ, 自閉症で報告されている神経病理学的所見および脳血流SPECTの所見とよく一致していた.1H-MRSは自閉症の病態解明に有用であると考えられる.