著者
花川 賢治 天笠 俊之 波多野 賢治 宮崎 純 植村 俊亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.35, pp.81-88, 2005-03-25

本発表では、事実の集合を格納するデータベースからユーザの要求に応じた構造化文書を生成する処理について論じる。代表的な事実についての表現形式として、データベースと構造化文書が存在する。両者は対照的な性質を持ち、前者が意味的に独立した要素の集合であり、唯一の存在であるのに対し、後者は要素間の関係が木構造化され、その構造は利用者の参照の条件に応じて多数の種類が存在し得る。多数の種類の構造化文書を効率的に処理するためには、宣言的に構造化文書の仕様を記述するための言語と、データベースから構造化文書への変換を行う汎用の処理系が重要になる。本発表では、構造化文書の仕様記述言語に一階述語論理式を用い、Prologを拡張した処理系を実装する。We discuss a process of producing structured documents from a databases which contains facts.The usual methods of representing facts are a database and a structured document.They are very different.A database consists of independent elements and uniquely exists.In contrast, structured documents have tree structures where connections between elements have meanings and types of them are very diverse. In order to treat the diverse structured documents effectively, we propose a deductive language for specifying a tree structure and a general language processor for translating from a database to a structured document. In this language, the tree structure is specified in a first order predicate logic formula, and the language processor is implemented by extending a Prolog interpreter.
著者
大江 靖雄 栗原 伸一 霜浦 森平 宮崎 猛 廣政 幸生
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究課題では、都市農村交流時代における新たな農業と農村の役割として近年注目を集めている農業の教育機能について、理論的な整理と実証的な評価を加えて、今後の増進の方向性についての展望を得ることを目的に研究を実施してきた。主要な分析結果については以下のとおりである。1)農業の教育機能は、正の外部性を有する農業の多面的機能の一つの機能で、その外部性が環境ではなく人間を対象としている点に、特徴がある。2)定年帰農者の事例分析から、農業の教育機能は、近代的な最先端技術よりも、伝統的な技術の方が、教育的な機能が大きいことを明らかにした。この点で、高齢者や退職者帰農者などの活躍の場を農業の教育機能の提供者として創出できる余地がある。3)その経済性について実証的な評価を行った結果、正の外部性については、十分な回収がされておらず農家の経営活動として内部化は十分されておらず、農業の教育サービスの自律的な市場としてはまだ十分成長してないことを、計量的に明らかたした。4)酪農教育ファームについての分析結果から、多角化の程度と体験サービスの提供とはU字型の関係を有していることを、実証的に明らかにした。その理由として、技術的結合性、制度的結合性が作用していること、特に制度的な結合性の役割が大きいことを明らかにした。5)農業の教育機能については、今後とも社会的なニーズが高まることが予想されるので、農業経営の新たな一部門として位置づけて、有効な育成支援策を講じることが重要である。
著者
岩田 直子 小川 博之 宮崎 芳郎
出版者
The Heat Transfer Society of Japan
雑誌
Thermal science and engineering (ISSN:09189963)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.127-132, 2010-10-01

Experiments were conducted to verify whether an Oscillating Heat Pipe (OHP) with reservoir works as a temperature controllable thermal control device in space. We set the reservoir in 3 ways (vertical, horizontal, and vertically inverted directions) and confirmed that the OHP operates as a variable conductance heat pipe in each case. We also put the OHP vertically and confirmed that the OHP works even in the "top heat mode". It is concluded that the OHP does not lose its temperature control function of reservoir and heat transfer function of OHP by gravity.
著者
安浦 寛人 村上 和彰 黒木 幸令 櫻井 幸一 佐藤 寿倫 篠崎 彰彦 VASILY Moshnyaga 金谷 晴一 松永 裕介 井上 創造 中西 恒夫 井上 弘士 宮崎 明雄
出版者
九州大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002

本研究では,システムLSI設計技術を今後の高度情報化社会を支える基盤情報技術ととらえ,システムLSIに十分な機能・性能・品質・安全性・信頼性を与えるための統合的な設計技術の確立を目指す.1.高機能・高性能なシステムLSIを短期間に設計する技術では,無線通信機能を有するシステムLSI設計技術の研究を行い,シリコンチップ上にコンパクトで安定なRFフロントエンドを実現するためにコプレナー線路を通常のCMOSプロセスで形成する技術を確立した.また,新しい可変構造アーキテクチャとしてSysteMorphやRedifisプロセッサを提案し,それに対する自動設計ツールとしてRedifisツール群を開発した.2.必要最小限のエネルギー消費を実現する技術としては,データのビット幅の制御,アーキテクチャの工夫,回路およびプロセスレベルでのエネルギー削減技術,通信システム全体の低消費エネルギー化設計手法などを構築した.3.社会基盤に求められる信頼性・安全性を実現する技術としては,安全性・信頼性を向上させるための技術として,ハッシュ関数や暗号用の回路の設計や評価を行った.また,電子投票システムや競売システムなどの社会システムの安全性を保証する新しい仕組みや,セキュリティと消費電力および性能のトレードオフに関する提案も行った.4.社会システムの実例として,個人ID管理の仕組みとしてMIID(Media Independent ID)を提案し,権利・権限の管理なども行えるシステムへと発展させた.九州大学の全学共通ICカードへの本格的な採用に向けて,伊都キャンパスの4000名の職員、学生にICカードを配布して実証実験を行った.本研究を通じて,社会情報基盤のあり方とそこで用いられるシステムLSIの研究課題を明示した.RFIDや電子マネーへの利用についても利用者や運用者の視点からの可能性と問題点をまとめることができた.
著者
白武 義治 甲斐 諭 宮崎 卓朗 細野 賢治
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は次の諸課題を分析した。1.地域経済の担い手である中小規模食品製造業の存在構造2.伝統手延素麺製造業の展開条件-島原そうめん長崎県南高来郡手延素麺製造業を事例に-3.地域経済に寄与する焼酎製造業の展開条件-鹿児島県芋焼酎産業を事例に-4.韓国キムチ輸入後の日本におけるキムチ市場の動向と野菜漬物産業の構造変化5.地域農業再生と活性化に果たす農産物直売所一長崎県における農産物直売所を事例に-(補論)1.キムチ貿易と韓・日両国の野菜漬物産業の構造変化2.キムチ輸入量増加と日本野菜漬物産業の市場対応3.鹿児島県焼酎産業の成長要因と持続的発展条件-内発的発展論の視点から-これらの研究は中小食品製造業がアジア諸国の地域農業発展に寄与したことを明らかにした。
著者
谷口 義明 唐牛 宏 有本 信雄 岡村 定矩 太田 耕司 土居 守 海部 宣男 唐牛 宏 有本 信雄 岡村 定矩 太田 耕司 土居 守 宮崎 聡 小宮山 裕 村山 卓
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ハッブル宇宙望遠鏡の基幹プログラムである「宇宙進化サーベイ(COSMOSプロジェクト)」を遂行した。国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡のデータとあわせて、宇宙の暗黒物質の空間分布を世界で初めて明らかにした。これにより、暗黒物質に導かれた銀河形成論のパラダイムが正しいことを立証した。また、COSMOS天域で検出された約100万個の銀河の測光データに基づき、銀河、巨大ブラックホール、及び宇宙大規模構造の進化の研究に大きな貢献を果たした。
著者
金子 昌生 岡和田 健敏 高井 通勝 佐藤 一雄 田中 博 高橋 元一郎 宮崎 洋二郎 深谷 哲昭 小山 照夫 内藤 真明
出版者
浜松医科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究は、デジタル画像の圧縮・蓄積・転送など、画像の持つ情報管理の一面があり、アナログ情報をデジタル化して保管する方法を模索する研究も含まれている。4年間の研究期間中に、この分野の電子工学的発展はめざましく、研究のカバ-すべき範囲が広いため、X線撮影時からデジタル化される Computed Radiography(CR)は紹介するだけに留めた。従来から取り組んできたフィルムのアナログ的な保管方法であるマイクロ化システムを、いかにして効率よくデジタル化して活用するかについて新知見を得た。すなわち、テレビ・カメラのレンズ系をズ-ミングによりマイクロ・フィルム情報を直接拡大して電気信号に変換し、A/Dコンバ-タ-によりデジタル化する方法を開発した。CCD方式とレ-ザ-・スキャン方式のデジタル化も基礎的臨床的に比較検討した。デジタル画像の読影、報告書作製に関する適合性を評価するため、読影結果のレポ-ト作製の方法を比較検討するとともに、音声入力の方法の有用性を実際にテストした。Radiology Information System(RIS)の一環として放射線オ-ダリングやリファリングを実現させる反面で、その見返りとしてのレポ-ティングはやはりデジタル情報としてコミュニケ-ションされるべきであろう。しかし、有用なレポ-ト作製には臨床医から充分な臨床情報を得ることが必須条件である。このためのRISの臨床情報伝達ソフトウェア開発を行っているところである。画像管理・保管と読影業務すべてを包含するTotal Information System(TIS)をより高度化するために、実現可能性の高いMini-PACSやCase Information System(CIS)を実現させ、理想的なImage Management and Communication Systems(IMACS)を完成させるべきバック・グラウンドを研究した。
著者
遠山 一郎 丸山 裕美子 久冨木原 玲 中根 千絵 宮崎 真素美 山村 亜希 犬飼 隆 桐原 千文 下村 信博 山口 俊雄 福澤 将樹 高橋 亨 吉田 永弘 小谷 成子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

古代から近代に渡り、戦が文化・文物に影響したさまを広く研究し、中国・朝鮮との関わり、さらにヨーロッパとの比較の視点をも取り入れて、総合的な研究を実現した。2007年から2011年の5年間にわたって催した研究集会・講演会、文物の展示会、伝統芸能の実演によって約2, 200名の参加を得、学術研究を広く地域の人々とも共有するという当初の狙いを具体化した。これらの成果をもとに単行本5冊と、語りの実演にその語りの本文に索引を付けたDVD1つを刊行し、研究集会と伝統芸能の映像記録も2つのDVDに残した。
著者
瀬口 哲夫 福島 茂 高山 純一 宮崎 幸恵 宮崎 耕輔
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1999年以降に合併した、800km^2以上の行政面積を持つ市を研究の対象とした。これら、「合併巨大都市」は、行政規模が大きくなり、集約型の都市を志向する傾向がある。また、土地利用や都市計画、さらに、産業振興・地域活性化では、地域的差異を抱え込みながらも広域調整の点で成果が見られる。一方で、広大な過疎地や山間部を抱えていることから、「都市内分権」や住民自治の強化が求められており、地域自治に先駆的な試みが見られる。
著者
高木 繁光 諫早 勇一 松本 賢一 メーリニコワ イリーナ 銭 〓 大平 陽一 宮崎 克裕
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文学作品ではナボコフの小説『絶望』、ドストエフスキイの小説『おかしな男の夢』、マラルメの『イジチュール』、中国の『紅楼夢』を、映像関係ではアレクセイ・ゲルマンなど50年代のソ連社会を舞台とした近年のロシア映画、エイゼンシュテインの映画理論、30年代から50年代のドイツ映画と親近性をもつ近いマキノ雅弘作品などを主たる分析対象として、各研究者がそれぞれの分野で、「二重世界」、「二重文化性」、「二重の知覚」といった二重性を生きる分身的主体のあり方について考察したものである。ここで分身的主体とは、ジギルとハイドのような<病的>現象としてではなく、あれでもありこれでもあるという複数的存在様態を肯定してゆく創造的エネルギーを備えたものとして捉えられている。あれかこれかという単一的世界像の見直しを促すこのような分身テーマは、複製技術時代における文学と思想と映像の相互関係を理解する上できわめて有効な手掛かりとなりうるものである。
著者
宮崎 修次 小林 幹 江島 啓 出尾 美佳 高口 太朗 森野 佳生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.560, pp.37-42, 2008-03-20

Watts-Strogatzモデルの遷移行列の固有値統計を調べ,規則グラフとランダムグラフの領域でそれぞれ異なる特性が現れ,第一第二固有値間隔がリンク組換率の冪関数となり,スモールワールド性が規則グラフとランダムグラフを繋ぐある種の臨界状態であることを示す.また,mixiネットワークのある利用者から距離2で切断した部分ネットワーク上の酔歩による大偏差統計解析を行う.ノード毎に定義された特性量の分布の違いが動的構造関数に反映されることを示し,観測されたq相転移を遷移行列の対角ブロック構造を用いて説明する.最後に,異なる時刻の状態変数を独立した状態変数とみなすことで,森の射影演算子法に現れる記憶項を無視する時間相関関数計算法を説明する.この手法をフラクタル拡散係数が現れるカオス拡散モデルに適用し,厳密な結果とよく一致することを示す.
著者
武田 弘輝 藤田 勝久 宮崎 長生 植野 祝
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.80, pp."6-27"-"6-28", 2005-03-18

This paper proposes a estimation method of dynamic forces between 4 wheels and road using strain information of steering nuckle. First, we propose a vehicle-tyre model. It contains nonlinear caracteristics of tyre by Magic Formula function. In addition, we design multi-body dynamics suspension model. And we conduct the coupled simulation to obtain the boundary condition of steering nuckle. Then, in order to decide the optimum positions of strain sensors to estimate the forces, FEM simulations are conducted.
著者
山本 秀樹 田川 忠道 宮崎 敏彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.1967-1981, 1993-09-15
被引用文献数
23

近年、英語を母国語とする人と実際に会話をしているような環境の撮供を目的とした環境型のCAIシステムが開発されている。しかし、これらのシステムは英会話の教育において重要な音声こよる会話文の入力機能を持たないため、十分な臨揚感を学習者に提供できていない。またこれらのシステムのいくつかは会話の目的や状況を理解していない学習者を対象としていない。そこで、本諭文では、音声による会話文の入カ機能とビデオを魅話的こ操作する機能の両方を持つこと1こより、会話の臨場感を高めること、および会話の目的や状況を理解していない学習者をも対象とすることを可能にした英会話用知的CAIシステムについて述ぺる。まず対話的に操作可能なビデオと音声による対話機能により、目標のある会話を行う際こ必要な英会譜能力を段階的こ習得可能な指導方法を提案する。次に、音声による会話のシミュレーションを実現するために、音声認識システムをどのようにシステムに統合したかについて述ぺる。さらに教材の作成が容易な会話の知識表現を提案する。本システムは、ワークステーション上に実装されており十分な速度で音声による会話を可能としている。本諭文で述ぺた方式は他の音声対話システムにも応用可能である。
著者
鈴木 智典 宮崎 智
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.92-97, 2009-05-16

我々は,現在インターネット上で公開されている生物学的データベースのURLや公開形式,検索ページのCGIパラメータなどを網羅的に集めたデータベースのデータベース(バイオメタデータベース)を構築し,データ検索から初め,遠隔操作によって複数のサイトの解析ツールを組み合わせて研究に応じた解析ワークベンチの動的な構築を試みている.メタデータベースの概要とワークベンチの事例について報告する.
著者
江村 恒一 安木 慎 宮崎 誠也 久保山 哲二 青木 輝勝 安田 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.473, pp.61-66, 2007-01-16
被引用文献数
3

Weblogなどの新たなコミュニケーションツールの普及により,個人が容易に情報発信する消費者発信型メディア(CGM: Consumer Generated Media)が急激に増加しており,既存のマスメディアからのパラダイムシフトを引き起こしている.さらに,携帯端末から投稿するMobile Weblog(モブログ)の登場により,時間と場所に制約されない情報発信が可能となっている.しかしながら,大量な情報を受発信できるようになったことで,必要な情報を取り出したり,相手に本当に伝えたい気持ちを表現することが困難となっている.このため,電子メールやWeblogなどの日常的に用いるテキストを対象に書き手の感情を抽出する研究が行われているが,感情を表現した語に基づいて抽出するため,感情語を含ないテキストから感情を抽出するために適した特徴量を扱えないなどの課題がある.本稿では,文末に付与する絵文字が感情を表すという仮定に基づき,SVMを用いて学習,感情モデルを構築し,書き手の感情を抽出する方式を提案する.
著者
柴口 拓 池田 弥央 東 清一郎 宮崎 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.713, pp.63-66, 2005-03-04

光照射下及び暗時においてSi量子ドットフローティングゲートMOSキャパシタの容量-電圧(C-V)特性及び過渡I-V特性を調べた。p及びn型Si(100)基板上に作製したAlゲートMOSキャパシタのC-V特性は、Siドットへの電荷注入・放出により、基板のフェルミ準位を反映した対称的なヒステリシスを示すことから、ヒステリシス特性に対する特定のエネルギーを持ったトラップからの影響を無視できる。また、光照射することでMOSFETsの動作状態である反転領域においてSiドットへの電子注入による容量ピークを観測した。このことは、光照射下におけるMOSキャパシタの特性からSi量子ドットフローティングゲートMOSFETsにおける最適な動作バイアス条件が評価可能であることを示す。
著者
宮崎 和光 木村 元 小林 重信
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.800-807, 1999-09-01
被引用文献数
42

1・1 工学の視点からみた強化学習 強化学習とは, 報酬という特別な人力を手がかりに環境に適応した行動決定戦略を追求する機械学習システムである. 強化学習の重要な特徴に, 1)報酬駆動型学習であること, 2)環境に対する先見的知識を前提としないこと, の2点がある. このことは, 「何をして欲しいか(what)」という目標を報酬に反映させるだけで, 「その実現方法(how to)」を学習システムに獲得させることを意味する. 強化学習システムは, 人間が考えた以上の解を発見する可能性がある. 加えて, 環境の一部が予め既知な場合には, 知識を組み込むことも可能である. この場合, 知識ベースが不完全であってもあるいは多少の誤りが含まれていても構わない. また, 強化学習は, ニューロやファジィなどの既存の手法との親和性が高い. さらに, 緩やかな環境変化には追従可能である. これらの理由から, 強化学習は工学的応用の観点から非常に魅力的な枠組と言える.