著者
岩野 健蔵 小林 正義
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.403-409, 2018-08-15

要旨:本研究の目的は,統合失調症長期入院患者の認知機能障害を,外来(デイケア)患者との比較によって明らかにすることである.入院群(n=33)は外来群(n=30)より,年齢,累積入院期間,服薬量,簡易版陽性・陰性症状評価尺度(Brief PANSS)の妄想が有意に高く,機能の全体的評定尺度(GAF)と統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS)の言語性記憶,ワーキングメモリ,運動機能,注意と処理速度,遂行機能,総合点が有意に低かった.入院群の認知機能障害には,長期入院や慢性経過を背景とする全般的な心理社会的機能の低下や抗精神病薬服用量などが,関連している可能性が推測された.
著者
土井 智晴 生熊 嶺 西山 敦 小林 正志 井口 武 伊能 崇雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2010 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1A1-C03_1-_1A1-C03_2, 2010 (Released:2017-06-19)

We develop termite prevention-of-the-breeding and extermination robots system. This robot system is applied technology of rescue robot system. The most important feature of this robot system is in collaboration with a worker to protect house from termites. Therefore, these robots are design according as safety guideline for service robots. The name of the robots system is named "mirubo". This research shows the method of evaluations for the mirubo III. The evaluations include main five examinations as mobility exam, velocity exam, illumination exam, injection exam and step-over-performance exam.
著者
小林 正秀 衣浦 晴生 野崎 愛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.I02, 2004

カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)が穿入したナラ類の生立木が枯死するのは、カシナガが樹体内に病原菌を持ち込むためと考えられている。海外でも生立木に穿入するナガキクイムシ類が知られており、カシナガと同様に病原菌のベクターになっていると疑われている種類もいる。しかし、ナガキクイムシ類は、一般に衰弱木や枯死木に穿入し、生立木に穿入しても樹液によって繁殖に成功することはほとんどない。カシナガでも、樹液が繁殖阻害要因になっていると推察されているが、樹液が繁殖に及ぼす影響を調査した事例はない。そこで、穿入孔からの樹液流出の有無とカシナガの羽化脱出数を同時に調査した。2.方 法 京都府和知町仏主の被害地(以下、和知調査地)と京北町米々谷の被害地(以下、京北調査地)で調査を行った。2003年6月17日、和知調査地のコナラ20本とミズナラ6本の穿入孔に、また6月21日、京北調査地のコナラ2本とミズナラ15本の穿入孔にチューブ式トラップ(図)を設置した。 トラップの設置は、調査木の地上高1mまでの樹幹部の穿入孔を調査し、穿入孔数が20孔以上の場合には20個のトラップを、20孔未満の場合には10個のトラップを設置した。ただし、和知調査地の調査木は、2002年6月上旬に、樹幹表面の穿入孔の有無によって穿入履歴の有無を確認し、穿入履歴がある調査木には、穿入孔数の多少にかかわらず、10個のトラップを設置した。 7月11日、フィルムケース内に入れたティッシュペーパーの変色の有無によって、穿入孔からの樹液流出の有無を確認した。また、7月11日_から_11月12日まで2週間ごとにトラップ内に脱出したカシナガ成虫を回収して雌雄別に数えた。3.結 果 穿入孔からの樹液流出とカシナガ脱出状況を表に示す。樹液を流出している穿入孔の割合は、穿入後に生存した樹木(以下、穿入生存木)の穿入孔のほうが穿入後に枯死した樹木(以下、穿入枯死木)の穿入孔よりも有意に高かった。 カシナガの脱出が確認された調査木の割合は、穿入枯死木(9本中7本)のほうが穿入生存木(34本中3本)よりも有意に高かった。また、脱出が確認された穿入孔の割合も、穿入枯死木の穿入孔のほうが穿入生存木の穿入孔よりも有意に高かった。脱出が確認された穿入孔あたりの脱出数は、穿入生存木(平均102.5頭)のほうが穿入枯死木(平均48.3頭)よりも有意に多かった。 脱出が確認された穿入孔の割合は、樹液を流出していない穿入孔(243孔中47孔)のほうが樹液を流出している穿入孔(387孔中14孔)よりも有意に高かった。しかし、脱出が確認された穿入孔あたりの脱出数は、樹液を流出している穿入孔(平均62.8頭)と流出してない穿入孔(平均69.3頭)との間に有意差がなかった。4.考 察 穿入生存木からのカシナガ脱出数は少ないとする報告が多く、今回も同様の傾向が認められた。樹液を流出している穿入孔では、脱出がなく繁殖に失敗している穿入孔の割合が高かったことから、樹液が繁殖阻害要因であり、穿入生存木からの脱出数が少ないのは、穿入生存木の樹液流出量が多いためと考えられる。 穿入孔あたりの脱出数は、平均2_から_20頭とされている。これに比較して、今回の穿入孔たりの脱出数は多く、最高337頭が脱出した。特に、穿入生存木の穿入孔からの脱出数が多かったが、これは、穿入生存木では樹液によって繁殖に失敗する穿入孔の割合が高いため、一旦繁殖に成功した穿入孔は種内競争の影響が少なく、広い繁殖容積が確保されたためと推察される。 ヤツバキクイイムシが青変菌と共生関係を結んで針葉樹生立木を衰弱または枯死させるのは、生立木に穿入しても樹脂などの防御物質による抵抗を受けて繁殖できないため、青変菌によって樹木を弱らせ、キクイムシ類が利用可能な状態にするためとされている。ナラ樹の樹液は、針葉樹の樹脂と同様の防御物質であり、R. quercivoraは青変菌と同様に、その防御を突破する役割を担っていると推察される。
著者
小林 正彬
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.1-36,i, 1984-01-30 (Released:2010-11-18)

O.S.K. (Osaka Shosen Kaisha), a small shipping company covering only the Inland Sea of Japan, was established in 1884. And it has been one of the two large shipping companies (O.S.K. and N.Y.K.) having the regular ocean routes since 1909.As compared with N.Y.K. (Nihon Yusen Kaisha), O.S.K. has achieved a great expansion under the good labor management and active strategies of leading executives.This article tries to clarify why O.S.K. could catch up with N.Y.K.. From the viewpoint of the labor management, there are four reasons : First, after Tokugoro Nakahashi took office as the fourth president of the company in 1898, he employed many talented college graduates as staff members. Second, the employees were well treated even in extreme depression. Third, this company had a more adequate system of Yobiin (the seamen reserved for sailing the regular ocean routes) than N.Y.K. did. Fourth, since captains and engineers of superior ability were promoted to executives, the labor and the management cooperated well with each other.This article emphasizes the last two of them : one is Yobiin system, the other is the good labor-management relations in O.S.K..

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著者
小林 正彬
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.102-105, 1977-10-15 (Released:2009-11-06)
著者
小林 正法 服部 陽介 上野 泰治 川口 潤
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15217, (Released:2016-07-09)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

Intrusive thoughts and difficulty in controlling thoughts are common, not only for people with psychological disorders, but also for healthy people. Individual differences in thought control ability may underlie such problems. The Thought Control Ability Questionnaire (TCAQ), which consists of 25 items, was developed by Luciano et al. (2005) in order to measure individual differences in the perceived ability to control unwanted intrusive thoughts. The purpose of the present study was to develop the Japanese version of the TCAQ and evaluate its reliability and validity. We translated the English version of the TCAQ into Japanese. We also conducted confirmatory factor analysis with a one factor solution, similar to the previous study. Based on the analysis, we excluded items whose factor loadings were lower than .30, resulting in 22 items for the Japanese version of the TCAQ. The model exhibited acceptable goodness-of-fit. The Japanese version of the TCAQ also demonstrated good reliability as well as evidence of construct validity. Thus, the development of the Japanese version of the TCAQ was successful.
著者
広田 秀憲 小林 正義 関東 良公 上田 一之
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.125-130, 1987-02-28 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6
被引用文献数
3

著者らの観察ではセンチピードグラスは新潟市の気象環境の下でも10数年は生きるものと考えられ, 耐寒性はバーミュダグラスとほぼ同じ程度に強く, 冬の極値が12°F (-11℃) 以上の気温で生育する。晩秋の霜枯れしたあと生育を停止する。年平均気温13℃の地域を北限としているため, 限界地帯では年によりかなり冬枯れするが, すべて枯死することはなく春になれば再び旺盛に生育を始める。ほふく茎は2次茎も3次茎も太く, 葉幅も3~4mmと芝草の中では広い方である。芝地としては管理しやすい草種である。病虫害にも強い。早春と秋にモグラの害を蒙ることがありモグレスなどの忌避剤をまく必要がある。本草種の用途としては, ゴルフ場のラフ, 公園の植込みの間, 運動場のフィールドや観覧席, あるいは道路, 堤塘などにおける平面や斜面の緑化などに普及性が高い。ほふく茎のもつ被覆力, 各節からの旺盛な発根力をもつと種々の方面に活用したいものである。なお, 本草種は飼料としての価値はあまり高くないとみられているが, 平準的な季節生産性を利用して兎, 羊など中小動物による放牧利用の可能性がまだ残されている。
著者
桑水流 理 松村 圭悟 アギアルデソウザ ヴィニシウス 小林 正和 戸田 裕之
出版者
一般社団法人軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.570-575, 2014
被引用文献数
4

The crack initiation mechanism of cast aluminum alloy was addressed to quantitatively evaluate the fatigue strength. We employed the synchrotron radiation microtomography to visualize the three-dimensional damages around pores and silicon particles. Two types of specimens underwent a low-cycle fatigue test. The temperature of solution treatment was different, and it yielded a difference in the shape, size and distribution of silicon particles. After a certain cycles of fatigue, a catastrophic damage around many silicon particles occurred, and they connected to each other so as to form a crack especially within the high stressed region around a relatively large pore. The scanning electron microscopy after the test showed that the type of damage was the breakage of long-shaped silicon particles or the aluminum–silicon interface debonding of round silicon particles. The high temperature solution treatment facilitated the interface debonding by the enlargement of silicon particles.
著者
原田 和宏 佐藤 ゆかり 齋藤 圭介 小林 正人 香川 幸次郎
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.263-271, 2006-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
4

本研究は,在宅で生活を続ける自立高齢者における機能低下の実態を地域ベースで把握することをねらいに,ADL(歩行,入浴,トイレ動作,食事,着替え)および活動能力(老研式活動能力指標)の自立者を1年半後に追跡し,ADLまたは活動能力障害の新規出現に対する転倒既往と閉じこもりの関与を縦断的に検討することを目的とした。調査は中国地方の某町の在宅高齢者全員を対象に2002年12月と2004年6月に行い,ADL障害の出現では1,085名,活動能力障害の出現では525名のデータを分析した。その結果,在宅で生活を続ける自立高齢者のうち1年半でADL障害は4.7%に生じ,手段的自立の障害は9.0%,知的能動性は13.3%,社会的役割は15.4%,後者3指標いずれかの活動能力障害は25.9%に生じた。また,障害の新規出現は高年齢と併せて転倒既往や閉じこもりによってその割合が高まることが認められた。自立高齢者から機能低下のハイリスク者を選定するにあたり,転倒経験や外出しようとしない閉じこもり状況を考慮することは意義があると推察される。
著者
宮田 一弘 小泉 雅樹 岩井 優香 小林 正和 臼田 滋
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.118-126, 2016 (Released:2016-04-20)
参考文献数
33

【目的】Balance Evaluation Systems Test(以下,BESTest),Mini-BESTest,Brief-BESTest およびBerg Balance Scale(以下,BBS)の得点分布の特性と転倒予測精度を比較することである。【方法】57名の入院患者(脳卒中者と骨折者)を対象とした。退院時に3 つのBESTest とBBS を測定し,退院後6 ヵ月間の転倒の有無を調査した。評価指標の得点分布と転倒予測精度を検討した。【結果】BBS のみに天井効果を認め,歪度からBBS の分布に偏りを認めた。転倒予測精度について,Area under the curve と感度でMini-BESTest が最も高く,特異度ではBBS が最も高かった。【結論】Mini-BESTest は,その得点分布が比較的均一で,中等度の転倒予測精度を有し,動作課題項目も少ないことから有用性の高い評価であることが示唆された。
著者
秋元 洋輔 小林 正美
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-180, 2011-10-25
参考文献数
13

大阪港の色彩景観は、陸上の港湾施設や大規模構造物、海上を往来する船舶やコンテナなど、その大部分が塗装の色によって構成される。工業塗料の色彩は無数であり、港で使用できる色彩の許容範囲も広く、そこに非日常的な都市空間像が追い求められると、周辺景観から逸脱した色彩群が出現し、混沌とした景観を生み出すことにつながる。水運の歴史と共に育まれてきた港の景観には、その場所に残り続けてきた色彩が存在するはずである。本研究では、場所の拠り所となる色彩を求めて、まず港湾景観の歴史を辿り、かつてそこにあった地域の色彩を収集した。また行政や民間会社にヒアリングを行い、現在の景観を構成する要素の塗色を調べ、船舶業界と倉庫業界で引き継がれてきた色彩決定の仕方や考えを聞き取り、これまで大阪市で検討されてきた、公共上屋の色彩計画の策定資料を収集して分析した。さらに、大阪市港湾局で行われた、天保山客船ターミナルの外装塗り直し工事の塗色選定に関わり、港湾施設の色彩改修を実践した。
著者
秋元 洋輔 小林 正美
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-180, 2011-10-25

大阪港の色彩景観は、陸上の港湾施設や大規模構造物、海上を往来する船舶やコンテナなど、その大部分が塗装の色によって構成される。工業塗料の色彩は無数であり、港で使用できる色彩の許容範囲も広く、そこに非日常的な都市空間像が追い求められると、周辺景観から逸脱した色彩群が出現し、混沌とした景観を生み出すことにつながる。水運の歴史と共に育まれてきた港の景観には、その場所に残り続けてきた色彩が存在するはずである。本研究では、場所の拠り所となる色彩を求めて、まず港湾景観の歴史を辿り、かつてそこにあった地域の色彩を収集した。また行政や民間会社にヒアリングを行い、現在の景観を構成する要素の塗色を調べ、船舶業界と倉庫業界で引き継がれてきた色彩決定の仕方や考えを聞き取り、これまで大阪市で検討されてきた、公共上屋の色彩計画の策定資料を収集して分析した。さらに、大阪市港湾局で行われた、天保山客船ターミナルの外装塗り直し工事の塗色選定に関わり、港湾施設の色彩改修を実践した。
著者
小國 龍治 小林 正法 大竹 恵子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-22, 2020-04-27 (Released:2020-04-27)
参考文献数
8

We investigated the effects of imagining (episodic simulation) helping behavior on helping efficacy. Participants were asked to imagine (imagine condition) and remember (remember condition) helping behavior, and make a headline (headline condition) in response to sentences describing a person in need. Then, they rated their helping efficacy and helping intention regarding the person. The results showed that helping efficacy and helping intention in the imagine and remember conditions were significantly higher than in the headline condition. Thus, it is suggested that helping efficacy is enhanced by imagining helping situations without actual behavior.
著者
野田 雅博 松田 俊二 小林 正夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.664-669, 2000-08-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系, ビグアナイド系, アルデヒド系およびハロゲン系の計5種の消毒剤の殺ウイルス効果を, DNAウイルスのヒトヘルペスウイルス, ヒトアデノウイルス, ブタパルボウイルスの3種およびRNAウイルスのウシラブドウイルス, ヒト免疫不全ウイルス, ポリオウイルスの3種を用い, 血清蛋白質の非混在および混在の条件下で検討した. アルデヒド系およびハロゲン系の消毒剤はすべてのウイルスに対して有効であったが, 陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系, ビグアナイド系消毒剤はエンベロープを有するウイルスに対してのみ有効であった. 血清蛋白質の混在は, 陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系消毒剤の殺ウイルス効果に強く影響した.