著者
重松ロカテッリ 万里恵 河野 崇 山中 大樹 立岩 浩規 北岡 智子 横山 正尚
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.29-32, 2017

<p>鎮痛薬の有効性はプラセボ・ノセボ効果の影響を強く受ける.特に,鎮痛薬への期待と不安は,それらの発現に重要と考えられる.今回,臨床実習前の医学生を対象として新規に説明を受けた鎮痛薬の期待と不安の関係についてアンケートを用いた予備調査を行った.医学部4年生(108名)に対し,弱オピオイド鎮痛薬のトラマドールの説明を通常臨床と同様に行った.その後,トラマドールの鎮痛効果への期待と副作用の不安について11段階で評価した.その結果,トラマドールの鎮痛効果への期待度と副作用の不安度には有意な正の相関が見られた(Spearmanの順位相関係数:0.392).鎮痛薬のプラセボ効果を最大限にして,ノセボ効果を最小限にすることは医療従事者にとって永遠の課題といえるが,その達成のため今後もさらなる検討が必要と考えられる.</p>
著者
井上 雄彦 山中 浩之
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.138-142, 2012-03

──『ペピータ』の取材で、ガウディの創造の原点を見たい、という井上さんは、彼がインスピレーションを得たと言われるモンセラの岩山に向かいます。ここで井上さんがスケッチに熱中する様子は、この本の見どころだと思います。井上 雑誌で連載していると、人物は僕が描きますけど、背景はアシスタントに指示して描いてもらうことになります。
著者
山中 美穂 大田 忠親 福田 哲生 西山 一朗
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.491-494, 2004-09-15
被引用文献数
1 8

マタタビ属果実の品種/系統特性ならびに有効な利用法を検討するため,果汁中に含まれるアクチニジン濃度およびプロテアーゼ活性について調査を行った.用いた12品種/系統のうち,'さぬきゴールド'および'Ananasnaya'では,主要な経済栽培品種である'ヘイワード'と比較して,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に高値を示した.一方,'ファーストエンペラー','ティアドロップ'および'紅鮮'の果汁では,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に低値を示した.特に'紅鮮'果汁のプロテアーゼ活性は,'ヘイワード'のわずかに13%であった.
著者
鈴木 慎一 中川 孝之 池田 哲臣 杉之下 文康 山中 徳唯 小木曽 圭一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.15, pp.61-66, 2009-03-13
被引用文献数
2

筆者らは、ミリ波帯を用いたスタジオ用のハイビジョンワイヤレスカメラ「ミリ波モバイルカメラ」の開発を進めている。このカメラには、高い回線信頼性を有した、高画質・低遅延でのハイビジョン映像の無線伝送が要求されている。今回、1フレーム以下の低遅延でハイビジョン映像を伝送することが可能な42GHz帯を用いたミリ波モバイルカメラを試作した。そして、2008年12月31日にNHKホールで開催された「第59回NHK紅白歌合戦」の番組撮影において、初めて使用したので報告する。
著者
山中 勝
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.159-171, 2017-05-31 (Released:2017-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
山中 大樹 河野 崇
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.143-148, 2018-09-20

■臨床の視点▲エンドトキシン誘発性痛覚過敏とは?自然免疫応答は,宿主を病原体から守る高度な生体内防御システムである。病原体(抗原)の侵入は,各病原体に特有の分子構造にToll様受容体(Toll-like receptor:TLR)を代表とするパターン認識受容体が反応することで察知される。その結果,免疫担当細胞が活性化されサイトカインを分泌することで生理的な炎症反応を引き起こし,病原体を排除する。炎症に関連する免疫担当細胞としては,樹状細胞やマクロファージが重要な役割を担うが,中枢神経系ではミクログリアやアストロサイトといったグリア細胞がその機能を果たす。このような免疫系は生体防御に働くばかりではなく,急性および慢性の病態にも関連する。例えば神経損傷時には,免疫担当細胞の活性化により末梢性侵害受容器の過敏化(末梢神経感作)や脊髄後角神経の過敏化(中枢神経感作)が生じ,痛みが遷延することが知られている。 エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)であり,細胞内毒素としてTLR-4を介して自然免疫応答を誘発する。LPSの大量投与(4.0ng/kg)により,敗血症の病態が再現される。また,LPSの少量静脈内投与(0.4ng/kg)による全身炎症モデルは,ヒト健康ボランティアを対象とした臨床研究にも広く応用されており,多くの論文が報告されている。この少量LPS炎症モデルでは,全身の各種侵害刺激に対する疼痛閾値が低下することが一貫して示されている1)。われわれの研究でも,ラットモデルを用いて血行動態に影響を与えない程度の少量のLPS投与により,後肢足底切開後の自発痛が増強されることを報告した2)。このようなLPSによる痛みの増強は,エンドトキシン誘発性痛覚過敏と呼ばれている。実際,感染症などの全身炎症時には,発熱,食欲不振,疲労,抑うつ,傾眠,そして痛覚過敏といった全身症状を呈する。これらの症状はsickness behaviorと呼ばれ,生存のための適応的反応と推測されている。sickness behaviorはLPS投与により再現されるため,エンドトキシン誘発性痛覚過敏はsickness behaviorの一部と考えられる。また,LPS投与後の内臓や骨格筋の痛覚過敏は,それぞれ機能性腹痛症候群,線維筋痛症の病態としても注目されている。
著者
今西 純一 奥川 裕子 金 鉉〓 飯田 義彦 森本 幸裕 山中 勝次 小島 玉雄
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.9-14, 2011-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

サクラ類は全国に広く植栽され,地域の重要な景観資源となっている。サクラ類を適切に管理するために,活力度の評価が必要となるが,開花期の着花状況に基づく活力度評価の方法は定まっていない。そこで,本研究は,奈良県吉野山のヤマザクラを対象として,着花状況に関する 4 つの評価項目の検討を行った。その結果,樹頂部の頂枝における芽の数や,葉芽と花芽の比率は,栄養成長と関連を持ち,活力度の評価項目として適切であることが明らかとなった。一方,1 つの花芽から出る花数は,様々な生育段階を含む集団の活力度評価には適さなかった。個体全体の満開時の着花量は,活力度評価には適さないと考えられた。
著者
何 夢夢 高松 一哉 岸 邦宏 山中 康裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.631-636, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17

日本は少子高齢化社会を迎えており、中山間地域の公共交通機関空白地域において、運転せざるを得ない高齢者人数がだんだん増えていく。3年毎に全国の自治体は、介護保険事業計画を策定する際に、65歳以上の高齢者を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」を実施している。本研究は、このニーズ調査が高齢者の運転状況に関する情報を提供する可能性を示した。ひとつは、ロジスティック回帰分析をもちいて、機能的健康状態等から運転しないと推定される運転している高齢者(注視運転者と呼ぶ)をスクリーングとして見出せることである。もう一つは、注視運転者の多くが「運転も同乗もする」ことに注目して、機能的健康状態の低下ともなう、(1)自ら運転するが同乗しない、(2)自ら運転もするが同乗もする、(3)運転しないが同乗する、(4)運転も同乗もしないという順序(移動者弱者指標と呼ぶ)を確認した。
著者
杉浦 紳之 平 純一 竹中 圭介 山中 和夫 菅井 研自 小佐古 敏荘
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.214-220, 2007 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
7 7

The smear test is one of the important ways to measure surface contamination. The loose contamination under the high back-ground radiation, which is more significant in handling non-sealed radioisotopes, can be evaluated by this method. The removal factor is defined as the ratio of the activity removed from the surface by one smear sample to the whole activity of the removable surface contamination. The removal factor is greatly changed by the quality and condition of surface materials. In this study, the values of removal factor at several typical surface conditions were evaluated experimentally and the practical application of those values was considered. It is required the smear should be pressed by moderate pressure when wiping the surface. The pressure from 1.0kg to 1.5kg per filter paper was recommended. The removal factor showed lower value in wiping by the pressure below 1.0kg. The value of 0.5 for the removal factor could be applied to the smooth surface of linoleum, concrete coated with paint or epoxy resin, stainless steel and glass with the statistical allowance.
著者
笠松 健太郎 山中 浩明 酒井 慎一
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.265-275, 2015
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;地震動評価で重要となるS波速度構造モデルの構築に資するため,深部地盤の二次元S波速度構造を推定する手法について検討した。本手法では,二次元仮定が成立する伝播経路を対象とした構造推定のため,はじめに観測記録を分析してラブ波伝播特性を調べる。次に,ラブ波がほぼ同じ方向に伝播する測線上の観測記録を用いて,ラブ波を対象とした波形インバージョンを行い,二次元S波速度構造を推定する。提案手法を2011年富士山付近の地震(<i>M</i><sub>J</sub>6.4)を対象とした地震動の三次元シミュレーションによる周期6~10秒の速度波形に適用し,手法の妥当性を確認した。この手法を同地震の相模原と世田谷を結ぶ測線上の地震観測記録に適用し,この断面の二次元速度構造を推定した。観測記録のラブ波成分は良く再現され,推定結果の速度構造は地震調査研究推進本部(2009)のモデルに比べて堆積層が薄く求められた。この結果の妥当性を確認するため,観測記録のcoda部分を用いて水平上下スペクトル比を算定し,理論によるレイリー波の基本モードの楕円率と比べた。観測されたピーク周期は推定結果の方と良く一致しており,構造モデルが妥当であると考えられることを確認した。<br>
著者
中野 孝教 荒矢 大輔 飯田 史哉 石本 達成 伊戸 康清 猪嶋 清文 今村 智子 江川 勇飛 小澤 弘幸 帰山 寿章 片瀬 靖規 酒井 元哉 佐藤 実 澤田 誠司 下島 浩平 野田 博幸 松田 智幸 松本 高志 山田 明弘 山田 佳裕 山下 勝行 岡野 修 岸本 圭祐 勝見 尚也 山中 勝 城間 吉貴 大河内 博
出版者
日本地学教育学会
雑誌
みんなの地学 (ISSN:24356441)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.10-15, 2020-06-30 (Released:2021-12-02)
参考文献数
10

人間社会は岩石や水,生物,大気などの様々な自然資源を開発し利用することで発展してきたが,それに伴い環境は変化し時に汚染や災害など生存にかかわる問題を引き起こしてきた.地学は持続可能な社会を支える必須な学問であるにもかかわらず,高校地学の履修者は少なく,教師も研究者も減少している.人間と自然の関係は複雑だがシームレスにつながっており,共に地域的な多様性に富むという特徴がある.地球環境研究は社会変革につながる学際研究,大学は地域貢献,自治体は地域創生が求められるようになってきた.ここでは健全な水循環の実現に向けて,大学と小学校が連携しながら,地域性が強い水資源を観測・調査している福井県大野市の例を紹介し,生徒の環境リテラシーの向上と地学研究を協働して推進する地学教育の可能性を考えてみたい.
著者
山中 克郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1074, 2016-06-10

著者の平山幹生先生を私はよく知っている.名古屋近郊にある春日井市民病院という人気の研修病院で,3年間ほど研修医教育を一緒にさせていただいた.実直かつ臨床能力の高い臨床医である平山先生は当時,副院長(研修医教育担当)をされていた.神経内科だけでなく,全ての医学領域において貪欲な探究心をお持ちである.ケースカンファレンスの後で,参考になる論文はこれです,と何度も重要論文をお送りいただいた.私はそのように真理を探究する平山先生の姿勢に大変敬服している. 平山先生が40年間の臨床経験に基づいて書かれたのがこの書である.示唆に富む教育症例は全部で61あり,「意識障害」「頭痛」「めまい」「発熱」「嘔気・嘔吐,不定愁訴」「しびれ,痛み」「けいれん,高次脳機能障害」「脱力」「錐体外路症状」「脳神経症状」の10章に分類されている.症例ごとに誤診(診断エラー)の原因と対策が分析されている.どうして診断を間違えたかを,認知エラーとシステム関連エラーに分け,さらに細かいカテゴリーから考察されている.
著者
鈴木 健太 山本 正伸 入野 智久 南 承一 山中 寿朗
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

氷期の急激な気候変動やイベントとして,ダンスガード・オシュガーサイクル(DOサイクル)とハインリッヒ・イベント(HE)が知られている.HEの氷山流出がDOサイクルの温暖化を引き起こしたという考えが有力であるが,すべてのDOサイクルの温暖化がHEに対応しているわけではない.またDOサイクルの寒冷化速度は時期によりさまざまであり,その速度の支配因子は不明である.このような疑問を明らかにするには,ローレンタイド氷床の北極セクターの崩壊と氷山流出イベントを復元する必要がある. 本研究では,過去7万6千年間の西部北極海堆積物層序を確立し,堆積物の起源と運搬過程を推定した.これにもとづきカナダ北極諸島側からの氷山流出イベントを検出し,氷山流出が起きる条件を考察した.また,西部北極海への氷山流出イベントと温暖化との関係,ローレンタイド氷床北極セクターの崩壊と寒冷化速度の関係を考察した.この目的のため,2011年と2012年に韓国極地研究所の砕氷調査船ARAONによって西部北極海チュクチボーダーランドから採取された5本の堆積物コアについて,IRD含有量と鉱物組成,粒度分布,色,GDGT濃度と組成,有機物量の分析を行った. IRD含有量と鉱物組成が西部北極海チュクチボーダーランドの堆積物層序の確立に有用であることが示され,イベント層としてドロマイト濃集層とカオリナイト単独濃集層が認められた.ドロマイト濃集層は9,000年前と11,000年前,42,000~35,000年前,45,000年前,76,000年前に認められ,カナダ北極諸島からの氷山により運搬されたと考えられる.ドロマイト濃集層堆積時は海水準が現在と比較して40mから80m低かった時期に対応していた.ローレンタイド氷床の縁が北極海に達し,かつ北極海が厚い棚氷や海氷に覆われていなかった時期にのみ,ローレンタイド氷床の北極セクターの崩壊が起きたと考えられる.9000年前のドロマイト濃集層の堆積はH0に,45000年前のドロマイト濃集層の堆積はH5と年代誤差の範囲内でほぼ同時であった.30,000~12,000年前にはローレンタイド氷床の北極セクターの崩壊は起きておらず,亜間氷期1~4の温暖化には北極セクターの崩壊は関与していないと考えられる.45000年前にはローレンタイド氷床の北極側とハドソン湾側の両方で崩壊が起きたと推定されるが,直後の亜間氷期の寒冷化速度は,他の亜間氷期に比べて長い.ローレンタイド氷床の大規模な崩壊により,氷床の成長に時間がかかり,寒冷化に時間がかかったと考えられる.14,000年前のカオリナイト単独濃集層は,その堆積学的特徴から氷河湖の崩壊に伴う淡水の大量流出により形成された可能性がある.
著者
園田 敬太郎 和田 義彦 今村 嘉博 山中 成元
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.127, pp.27-36, 2019-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
7

近年,滋賀県ではニホンジカの生息数が増えており,県内主要茶産地である甲賀市では,野生シカが茶園に侵入して生育,収量への影響があると言われていたが,十分な状況把握ができていなかった。筆者らは,2016年7月に生産者にアンケート調査を行ったが,幼木園において被害を認める生産者は約7割,成木園において被害を認める生産者は約9割であることが分かった。同年9月から行ったトレイルカメラを使った実地調査では,侵入は夜間に多く,シカが自生する雑草を摂食する様子が認められた。しかし,10月下旬以降はチャ樹冠面の成葉を摂食する様子も観察されるようになった。また肥料として施用する「菜種油かす」がシカを誘引しているとの生産者の声があることから,数種類の有機質肥料に対するシカの行動を調査した。その結果,一般草地に出没するシカは「菜種油かす」は摂食しないが,茶園に出没するシカは摂食することを認めた。さらに数種類の有機質肥料に対する行動を調査したが,「魚かす」は摂食の対象になり,「ひまし油かす」は摂食されにくいと考えられた。
著者
山中 進
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学法学部人文社会論集
巻号頁・発行日
no.2, pp.49-62, 2000-07-10
著者
中田 誠司 増田 広 佐藤 仁 清水 信明 鈴木 和浩 今井 強一 山中 英壽 斉藤 浩樹 中村 敏之 加藤 宣雄 高橋 修 矢嶋 久徳 梅山 和一 篠崎 忠利 大竹 伸明 関原 哲夫 猿木 和久 鈴木 慶二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.1483-1487, 1995-09-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

(背景と目的) 同一家系内に発生した前立腺癌患者の臨床病理学的特徴について検討した.<br>(対象と方法) 親子または兄弟に発生した7組 (14例, 親子2組, 兄弟5組) の前立腺癌患者 (F群) と, 1987~1993年の間に群馬県およびその近郊の病院で, 未治療の状態で発見された前立腺癌患者1,741例 (G群) を比較検討した. 両群の平均年齢が異なるため, 生存率は相対生存率を求めた.<br>(結果) 診断時年齢は, F群が54~86歳まで分布し, 平均68.1±8.5 (S. D.)歳, G群が47~97歳まで分布し, 平均74.2±8.3歳で, F群で平均年齢が低い傾向であった. 臨床病期, 組織学的分化度は, F群で早期癌の占める割合が高く, 低分化癌の占める割合が低い傾向であった. 予後は, 3年および5年相対生存率はF群で82.4%, 57.6%, G群で84.3%, 73.9%で, 5年の時点ではF群の生存率が低い傾向であったが, 全体的には両群の間にほとんど差はみられなかった. F群では死因の明らかな6例のうち4例 (66.7%) が前立腺癌死であるのに対し, G群では死因の明かな398例のうち前立腺癌死は224例 (56.3%) であった.家系の病歴に関しては, F群で前立腺癌の2人を除いた他の癌患者がいたのは6家系中3家系であった.<br>(結論) 家族性前立腺癌は, 診断時年齢が若く, 早期癌が多く, 低分化癌が少ない傾向であった.
著者
山中 玲子 水島 美枝子 Rahena AKHTER 古田 美智子 山本 龍生 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.125-133, 2008-04-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
21

電動歯ブラシの使用は,高校生への公衆衛生学的なアプローチとして効果的であると思われる.しかし,電動歯ブラシの機構はさまざまなので,代表的な2種類の電動歯ブラシOral-B(PC)とSonicare(SE)によるブラッシングの効果と安全性を,歯肉炎に罹患している高校生を対象にして比較検討した.高校生956名のうち65名が,歯科検診で歯肉炎と判定された.そのうち本研究に文書で同意をした59名に口腔内診査を行い,学年と性別,すべての第一・第二大臼歯と,右側上顎中切歯,左側下顎中切歯の10歯のプロービング時の出血部位数を診査部位数で除した値の百分率(出血部位割合),口腔清掃状態の指数(QuigleyとHeinによるPlaque IndexのTureskyらによる改良法; PII),プロービングデプスをマッチングしPC群とSE群に分けた.ベースラインから8週間後まで,1日2回,2分間のブラッシングを指示しベースラインと2, 4, 8週間後に口腔内診査と電動歯ブラシによるブラッシング指導を行った.出血部位割合, PII,プロービングデプスは,2群間に有意差はなく,各群とも経時的に有意に減少した.歯肉の擦過傷は,PC群において2,4週間後に4個存在したが,8週間後にはなくなった.電動歯ブラシPCとSEの使用は,同程度に高校生の歯肉炎を改善し,歯肉に対して安全であるため,公衆衛生学的な手法として有効である.